デート・ア・リベリオン   副題『男なのに精霊に転生しました』   作:岸温

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冒頭に設定集もどきを入れました。

個人的に、設定集に一話を使うのは性に合わないので。

オリキャラも主人公のみの予定です。





精霊とは

 今の俺の設定。

 

 

 名前:園枝那由他。これには前世の名前をそのまま利用。

 年齢:生前15歳。生後2週間弱。

 性別:体は女。心は男。構造は精霊。

 容姿:凛々しい顔立ちの茶髪ショートの麗人。(例えるなら茶髪の両義式や白純里緒)

 霊装:<創作礼装・欠番(ラディビーナ・コメディア)>。黄金色のワンピースに、黒色のリボンをあしらってある。

 天使:<超克天魔(ルシフェル)>。形態は首から足まで届く赤茶色のダッフルコート。

 天使の能力:『力の減退』。制御範囲や効果範囲に制限なし。

 性格:(自分で言うのもなんだが)責任感が強く背負わなくても背負ってしまう苦労人。精霊になって人に仇なす存在となったことで使命感に囚われている。

 原作知識:10巻まで。アニメは未視聴。

 3サイズ:興味なし。(カップは自己判断でB前後)

 

 

 

 

 

 

 人生における目標:……………………今はまだ、何もない。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん…………………………」

『落ち着きなって四糸乃ー。……まあこの状況で、落ち着けってのは無理な話だけど』

 

 

 ………………………………。

 

 

「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん…………………………」

『ああもう、泣き止みなよー。いつ敵が来るか分からないんだからさー』

 

 

 ………………………………心の底からごめんなさい。

 死んでお詫びしますからどうか許してください。――なんてやってる場合じゃない。

 

 

 現在、四糸乃は建物の一室に隠れ、声を抑えず泣いている。そして俺はその部屋の外でドアの隙間から中の様子を伺っている。ドアを開けるのに波動エネルギーを消して音を出ないようにするという、完全に天使の無駄遣いをしているのだが、そんな話はどうでもいい。

 

 

「ひっく……。痛い…………。力が入らない…………。どうしよう…………」

『痛くない。痛くないよー。……でも実際まずいよねー。もしここで敵さんが襲いかかってきたら、よしのんたち一貫の終わりだよねー』

「ひぃいええええええええええええええええええええん!!」

『そんな大声で泣いたら隠れてるのがばれるから、もっと静かにー!』

 

 

 どうやら――なんて言葉を頭に付けるまでもなく、四糸乃ちゃんはケガをしているようだ。

 四糸乃ちゃんの性格からして、霊力がなくなった時に驚いて転んだのだろう。転ぶ四糸乃ちゃんの姿が目に浮かぶ。

 早く出ていって四糸乃ちゃんを慰めないと。<魔導師>が突入してくる前に、さっさと四糸乃ちゃんとどう接していくかどうか決めてしまおう。

 原作と同じように選択肢を出すなら、こんなところか――――

 

 

 

 

 ①敵じゃないアピールをしながら四糸乃ちゃんを落ち着かせる。

 ②頭を撫でて四糸乃ちゃんを慰める。

 ③鳩尾に一発入れて泣き止ませる。その後そのまま何もなかったかのように四糸乃ちゃんと話をしていく。四糸乃ちゃんは臆病なので、人形の言葉は無視して無言の圧力をかければ従順になってくれる。何も問題はない。

 

 

 

 

 誰だ③考えた奴ゥ――――――――ッ!!? なんで一番『ない』選択肢が一番詳細に書かれてんだよ! 何が問題ないだ、問題しかねえよ!!?

 ……落ち着けェ。多分四糸乃ちゃんが泣いてるから気が動転しているんだ。相手を落ち着かせるのに、自分が落ち着いてないでどうするんだ。

 ここは①でいこう。さすがに何の説明もなしに頭を撫でても警戒されるだろうし。何気によしのんはしっかり考えるからな。

 四糸乃を驚かせないよう、俺はゆっくりとドアを開けて部屋に入っていった。

 

 

「あのー……」

「きゃあ!」

『誰だい君は? 霊力を感じないし、メカっぽい人たちの仲間でもなさそうだから、この建物にいた一般人かな?』

 

 

 可愛く驚く四糸乃と、目の前に現れた俺を冷静に見聞するよしのん。これが同一人物による行動だってんだから、徹底しているなあと感心してしまう。

 だが今は感心してる場合じゃない。よしのんから説得し、四糸乃を落ち着かせよう。

 

 

「お、落ち着いて! 俺は敵じゃないから!」

『敵じゃないー? 敵はみんなそう言うんだ! 観念するんだね!』

「なんで俺が観念しないといけないんだ……?」

『ふっ。どう見ても無害そうな四糸乃に対して怯えるような態度。四糸乃が精霊だって知ってないとできない反応だよねー』

 

 

 やだこの人形。頭いい。

 ――だがそんなことがばれた程度で臆する俺ではない! 四糸乃の霊力を消したのは俺なのだから、最初から警戒されるつもりで相対しているのだ!

 喧嘩生活で培った鋼鉄の精神を舐めるなよ!

 

 

「そりゃあ……、俺だって精霊だし。同じ精霊のことが分かるのは当然だと思うけど?」

「あなたも……精霊?」

『おやおやー。もしかして四糸乃の力を消したのって、貴方ですかー?』

「ご名答。君たち? が建物に入ったのを確認してから君の霊力を消して、<魔導師>たちに君たちが消失(ロスト)したと勘違いさせたのさ。多分彼女たちはもうこの建物に入って来ないと思うよ」

『へー、凄い能力だねー。君の霊力を感じないのもその能力のおかげってわけかい』

「そういうこと。ちなみに俺の天使はこのコートだから、触れば分かるかもしれないよ」

 

 

 そう言って俺は四糸乃に近づき、コートを触らせようとする。

 近づいたら近づいた分だけ四糸乃ちゃんが後ずさって若干ショックだけどそんな感情は無視する。座り込んでいる四糸乃ちゃんと立っている俺とでは移動距離が違うので、すぐに四糸乃ちゃんの元へと辿り着ける。

 おずおずと俺の天使に触ろうとする四糸乃ちゃん。とても愛らしいです。

 

 

「……あ。本当に天使だ」

『かすかに霊力を帯びてるのが分かるよ』

「それはよかった」

 

 

 それからしばらくは、コート型の天使が珍しかったのかそれとも心細いのか、四糸乃が<超克天魔(ルシフェル)>に触る時間が続いた。

 ――さて。ここからどうしようか?

 そもそも俺は四糸乃ちゃんと会って何をするのか明確に決めていなかった。四糸乃ちゃんを助けたのはなりゆきで、四糸乃ちゃんと話をしたかったから助けたとも言えてしまう。

 原作の何を確認しようにも、四糸乃ちゃんは生粋の精霊っぽいし過去とかなさそうだからなあ。

 見た感じ原作との違いはなさそうだし、徒労だったと言えなくもな――――

 

 

 

 

 

 

 ………………待て。『過去』?

 ……そうだ。原作において数少ない『過去』。その中でも原作の流れ(・・)の先にある『過去』があるじゃないか。

 原作の根幹、士道が精霊の能力を封印する『過去』と対応するもう一つの『過去』。それを確かめればこの世界が原作通りに進んでいるかをほぼ確定できる。

 

 

 

 

 ――ただ、これを確かめると間違いなく俺は原作に関わることになると思う。この『過去』を本人に尋ねた時点で俺は『知っている』ことになるのだから。

 でもこのまま何もしないでいても原作通りに進んでいるか判断するのは難しい。DEM社のスパイとか難易度高いし、ファントムやきょうぞうさんとか裏方の登場人物に会ったら絶対利用されそうになる。

 ……まあ、ファントムに見つかるのは時間の問題だろうけど。

 ともあれ『過去』のことに気付き、選択肢が生まれただけでも四糸乃ちゃんを救っただけの見返りはあった。

 これ以上原作キャラと関わると何が起きるか分からない。このまま最後の仕事を終わらせよう。

 

 

「それじゃあこれから、四糸乃ちゃんを隣界に送るから」

「隣界……?」

『あの真っ黒空間のことじゃないかなー?』

「そ。二人の霊力をゼロにして現界できなくする。時間を待たずにあそこに帰れるわけさ」

『そいつはいい。ぜひお願いしようかなー。……そういえば、名前聞いてなかったっけ』

「ああ。園枝那由他だ。覚えていてくれるとありがたい」

 

 

 ホントは覚えていられたらむしろ困るんだが、こればっかりは前世のトラウマだからなあ……。

 ……家族にも名前をまともに呼ばれなくて、自分の名前を忘れそうになったことなんて忘れてしまおう。

 

 

『園枝那由他……。おっけー覚えた。で、この子の名前は四糸乃。私はよしのんでーす』

「四糸乃…………です。よ、よろしく……お願い、します」

「こちらこそ。四糸乃ちゃんに……よしのんちゃん」

『今日はありがとねー、那由他ねーさん』

「これくらい気にすんなって」

『ほらほらー。四糸乃も那由他ねーさんにお礼言わないとー』

「う、うん…………。………………すー、はー」

 

 

 四糸乃ちゃんは緊張しながら息を整えている。数度息を整え、ようやく四糸乃ちゃんは口を開く。

 

 

 

 

 ――――俺は、今見たものをずっと忘れない。

 

 

 

 

「那由他さん…………。どうも……、ありがとう、ございました……。また……、助けてくれたら……嬉しい、です……!」

『よく言えましたー。すごい、すごいよ四糸乃ー』

「うん……」

 

 

 別に「また」という言葉に引っかかったわけではない。原作に関わるのがどうとか――そういうのはもう、どうでもよくなった。

 ――四糸乃ちゃんは、笑っていた。

 それを見て精霊というものが一体どういう存在なのか、俺は気づいてしまったんだ。

 

 

「そうだね。また……会えるといいね」

「はい、那由他さん……」

『まったねー。那由他ねーさんー』

「うん。四糸乃ちゃん、よしのんちゃん、さよなら」

 

 

 四糸乃ちゃんの霊力をゼロにする。まるで霞になったかのように四糸乃ちゃんは目の前から消えた。

 四糸乃ちゃんが消えるのを確認し、俺は天井を仰ぎ見た。

 

 

「……これが、精霊の当たり前なんだよな」

 

 

 精霊は人間との接触を避けようとし、|消失(ロスト)することを願う。隣界こそが精霊の帰る家。時崎狂三や誘宵美九や俺みたいな精霊は異端なんだ。

 精霊は人間と共存することはできない。

 俺が隣界に恐怖したのは、直前に死んだという記憶があったから。元人間の精霊だから、誘宵美九は現界し続けようという発想に至る。時崎狂三も目的からして生粋の精霊ではないだろう。

 夜刀神十香は人間を忌避する。四糸乃は人間を恐怖する。八舞姉妹は人間を無視する。

 彼女らにとって――――黒き死の世界こそ当たり前の日常。

 

 

 

 

「そんな当たり前など、認めてたまるかよ……!」

 

 

 

 

 決めたよ。俺は。

 原作など知ったことか。精霊は全員幸せにしてやる。

 いや、精霊だけじゃない。思いつくキャラクターは全部救ってやる。

 せっかくのチート天使と原作知識。せいぜい利用してやろう。

 

 

 

 

【――――おやおや。珍しい精霊がいたものね】

 

 

 

 

 まるで初めからそこにいたかのように突然現れる。

 雲のように実態がつかめぬ謎の存在。

 

 

「……<ファントム>か」

 

 

 俺は物語の裏側に関わり始めた。

 

 

 

 

 




主人公の原作既読は十巻までとか書いてますが、作者は実は七巻までしか読破していなくて、八〜十巻は図書館から借りて読みながら小説書いてたりします。

よしのんの口調とか全然自信がねえ!

誤字・脱字含めて、おかしいところはどんどん指摘してください。

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