戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

さて、今回から九章へと突入します。この章は……主に真VSソルを推していく展開になるでしょうね。

ここまで引っ張っておいて、どっちかがアッサリと負けてしまう様な展開だけは避けなくては……。せめてソル戦は、前後編くらいでお送りしたいですな。

まぁとりあえずは、ソル戦へと向けてどんどん更新していきます!あっ……スクライドとかグレンラガン見直して、男臭さを勉強しとこう……。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


九章 ~宿命の二人~
未来への啓示(謎)ですが何か?


 あの日ソルと遭遇して以来……かなりの日数が経過した。だが、亡国機業が動きを見せる事は特にない。そのおかげで俺達は、平和な学園生活を送れている。

 

 ……が、専用機持ち達は心の奥底では忘れていないハズだ。いつ来るかは分からない……。俺もそうだ……それこそ、俺とソルの決着が……世界の命運を分けると言っても良いのだから。

 

 だからと言って、重圧を感じているわけでは無いが……気を抜いている暇は無いという事だ。まぁ……俺がやられたところで、決して一人ではないけれど……。

 

 きっと、敵は取ってくれるはず。だけど、始めからそんな事態を発生させるつもりもない。俺達は、誰一人として欠ける事無く……亡国に勝ち抜くと誓った。

 

「…………」

 

「真、考え事か?」

 

「……ああ、まぁな」

 

 一組に向かっている途中での考え事だったせいか、一夏に呼び掛けられ意識が覚めた。問いかけに対して肯定の言葉を述べると、一夏は少し難しそうな表情を見せる。

 

 何故このタイミングでその顔だ?歩きつつではあるが、言いたい事があるならはっきり言えや……みたいな視線を送ってみる。すると一夏は、ギョッとなった後に口を開いた。

 

「あのさ、考えても仕方ないような事なら……初めから止めといた方が良いぜ」

 

「まぁ……お前の言い分も分かるが、逆に一夏は考えた方が良いんじゃね?」

 

「うっ……!それ言われると、弱い……。ハハ……俺達の調度中間が良い感じなのかもな」

 

「だな。だったら俺らは、いいコンビってこった」

 

 俺がそう言うと、一夏はヘヘヘ……と照れたような笑いを見せる。だから……そういう顔は女子連中に見せてやれって……いや、言うだけ無駄か。

 

 それは置いといて、確かに一夏の言い分にも一理ある。いや、一理どころか二理や三理レベルやも知れん。どうにも俺は、難しく考える性分だからな……。

 

 その点は、一夏の能天気っぷりが羨ましい。……褒め言葉だからな?ポジティブっつーか、なんつーか。言ってたらキリがねぇんだろうなぁ……どうせ、一生治んないだろうし。

 

「ま、なんだ……平行線って事で」

 

「そうだな……って言うよりは、そうしてくれると有難い。真とディベートとか、あんまりしたくは無いから」

 

「ハッ、俺は理屈も屁理屈も大得意だからな」

 

「うわぁ……すっげぇ良い表情」

 

 本当……それにかけては天才的だと自負している。俺の捻くりに捻くれた根性に、口八丁……完璧すぎやしないだろうか。それでいて、店長との口喧嘩で鍛えられ……。

 

 ……止めておこう。なんだか、悲しくなってきた。何がって、昔の俺が黒歴史過ぎて……。俺の馬鹿が……良くあんだけ人に悪口言えたもんだよ……。

 

 突然溜息を吐く俺に、一夏は不思議そうだ。何でも無いと答えて教室に入ると……それはもう。一夏は今さっきの比では無い表情を浮かべる。

 

「……抜き打ちテストとか、あったか?」

 

「アホか、この時点で分かってたらおかしいだろう」

 

「でもこの落ち込みよう……なんなんだ?」

 

 そう、一夏の言う通り……数人の女子が落ち込んでいるのだ。鍵となるのは『数人』という部分だろう。ざっと見た感じ、箒たちは別段なんて事は無さそうだ。

 

 まぁだから……言ってしまえば、クラスメイトだけどあまり話さない女子達……かね。噂とかは好きではないが、コレは余りにも気になり過ぎる。

 

「本音、なんだこの状況は?」

 

「おはよ~、かがみ~ん。えっとね~、浸透したっぽいよ~」

 

「浸透……何がだ?のほほんさん」

 

「かがみんと~、かんちゃんが~、ら~ぶら~ぶ」

 

 そう言いながら、恐らく本音は手でハートマークを作っている。な、なるほど……つまり落ち込んでいる連中は、俺に気があったらしいな……。

 

 あ~……う~ん……どうなんだろうな、この場合……。ってか、その情報はどこから漏れた?大勢の前ではわりかし自重するようにはしてたんだが。

 

「加賀美くん!」

 

「お、おう?」

 

「実際のとこ、更識さんとの関係は?」

 

「いや、まぁ……うん、付き合ってるけど……」

 

「神は死んだ!」

 

 おい、頼むから落ち着いてくれよ。落ち込んでいた数人が、俺に詰め寄って来たと思ったらこれだ。まぁ学園に二人しかいない男子の一方が埋まれば、こんなもんなのか?

 

 当事者でなければ、どうだってよかったんだが……。おいコラ……専用機持ち共……何笑ってんだコンチクショー。そのニヤニヤした面……笑えなくしてやろうか。

 

「あぁ……この情報……眉唾であって欲しかったわ……」

 

「情報……?悪い、それ貸してくれ」

 

 どうやら女子達の噂には、情報の出所があるらしい。それは紛れも無く……新聞部発行の物だった。と言うかもう……!一面じゃねぇか!

 

 写っているのは、俺と簪のツーショット写真で……記事の隅々まで目を凝らすと、気になるイニシャルが見えた。情報提供者……T・Sとな……?んなモン、更識 楯無でファイナルアンサー!

 

「畜生!覚えてやがれクソ姉貴!」

 

「姉!?早くも会長さんを姉呼ばわりなの!?」

 

「そこまで進んだ関係なんだ……」

 

「あっ、しまっ……。いや、その……なんつーか、向こうが俺を弟って呼ぶから仕方なく……」

 

 最近になって癖付いてしまっていたせいか、詰め寄って来た女子の前で『姉貴』発言をしてしまう。これによって、女子達はヒートアップの一途を辿った。

 

 でも言った通りに、仕方ない部分はあるんだぞ?だって、姉って呼ばないと返事すらしてくれないんだもの。おかげでこうして、本人の居ない所でさえ呼ぶようになってしまったのである。

 

 しかし……この騒ぎにどう収拾を付けてくれようか?いつもの連中は、端から俺が困惑するのを楽しんでやがるし……。かと言って、怒鳴るのとかも気が引けるし……。

 

「お前達、席に着け」

 

スパァン!

 

「な、何で俺だけ!?」

 

「頭の位置が高いからな」

 

 いつの間に背後に忍び寄ったのか、織斑先生の出席簿が俺の後頭部を叩く。織斑先生は女性としては背が高い方だが、それでも俺とは比べ物にはならない。

 

 だから俺が座るでもしなければ、確かに脳天は叩きづらいだろう。最近また2cm伸びてたしな……。しかし、織斑先生の『コレ』も久しぶりだ。

 

 痛みを堪えながら、頭を上げてみると……俺に詰め寄っていた連中は既に着席していた。コンニャロウ……!と、思う俺だが……すぐさま座らねば二発目が来る。

 

 どう考えたって、織斑先生>越えられない壁>俺……だしな。ちなみにだが、大なりの数は死ぬほど端折ってある。数えていたら、きっと日が沈んでしまうだろう。

 

 そんな訳で、大人しく着席すると二発目は無かった。だけれど織斑先生の出席簿アタックは、内部に痛みが浸透すると言うか……。とにかく、痛む頭で受けるショートホームルームとなった……。

**********

「あ゛~……しんどっ……」

 

 IS学園校舎屋上から、沈む夕日を眺めつつそうぼやいた。本当に今日は……色々としんどい一日だよ……。あれからと言うもの……どこに言っても質問されるわ、なんとなく視線を感じるわ……。

 

 おかげで今日は、簪に会えていない!深刻な簪成分不足だよ!とは言え、わざわざ屋上に呼び出しはせんが……寒いし、俺が来たのも考え事をしたかったからだし。

 

 朝っぱらから一夏に、考え過ぎるなと言われたが……まぁ、必要な事だし仕方ないという事にしておこう。む~……と、こめかみを掻きつつ思考を巡らせる。

 

「最終フェーズ……なぁ」

 

 そう……気になっていたのは、ソルのあの言葉だ。最終ってこたぁつまり……俺達が、いわゆる完全態となるって事なんだろうけど。

 

 奴が言うには……俺達の進化の要因は、心的要因……頭で無く、心から強くありたいと想う事が鍵だと言っていた。ここまでトントン拍子で来たのに、伸び悩んでいる感じがある。

 

(焦ってる訳じゃねぇんだが……)

 

 それこそ、この間の件とか……。オータムとの戦いで、簪を人質に取られて……何も出来ず悔しかった。だからこそ、また強くあろうと思った……つもりなんだけどな……。

 

 俺自身、特に何が変わった感じでも無い。やっぱり……想いが足りなかったのか?だとすれば、俺の簪に対する愛が足りないと言われているようで、何かショックだ……。

 

 第四フェーズへの扉は、それだけ分厚いと言う事か……。しかしあの口ぶり、ソルも次の段階に進んでいないって事だよな?……アイツの心境の変化からするに、覚醒していてもおかしくない話だが。

 

 だけどソルの事だ……俺のミスリードを誘っている可能性も十分に考えられる。次会ってみたら……俺は既に貴様より先ん出ている……とか言われたりしてな。

 

(……洒落にならんか)

 

 そうなんだよ……俺とソルの力関係は、常に均衡かもしくは俺が勝っていなければならない。一歩先に出られた時点で、勝率は限りなく低くなってしまう……。

 

 だとしても、やらなきゃならん……。アイツは、俺をライバルだと認めたのだから……喰らいついてでも、その期待に答えなくてはダメだろう。

 

 ま、成せばなる……成さねばならぬ何事もってね。結局は根性論な部分もあるが、今となってはその方が俺らしくて良いだろう。

 

(んじゃ、帰りますか……)

 

 結論『とにかく頑張る』……みたいな何とも実りのない思考だったが、実際それしかやりようがない。俺って、自分が思ってる以上に脳筋なのかも知れないな。そうして、踵を返したその時だった。

 

『次……ざめ……終……ェーズ……』

 

「ぐっ!うぅ……おぉ!?ああああああああ!!」

 

 頭の中で声が響いたと思ったら、とんでもない激痛が走った。それはもう……まともに意識を保つことこそが苦痛なほどだ。ISの声である事を疑ったが、そもそも近場にISは存在しない。

 

 そのうえに俺の視界には、自分が見ている物とは違う物が見える。何か……眼球をそのままスクリーンにされているかのような感覚だ。

 

 これは……ジョウント!?超……巨大なジョウントが、上空に……?いったい……何の暗示で……。クソ!視界にノイズが走って、何が何だかわからねぇ!

 

キィ……

 

「真……。ここに……!?真……!」

 

「かん……ざし……」

 

 屋上の扉を開いて現れたのは、簪だった。どうやら俺を捜してココに行きついたらしいが、今はとてもタイミングが悪い。また……余計な心配をかけてしまう。

 

 頭を押さえて苦しむ俺に、簪は慌てて駆け寄ってきた。何か言っているが……ダメだ、上手い事聞き取れない。だから俺は簪を抱き寄せ、その肩に顔を埋めた。

 

 なんとなく、落ち着く……。簪のおかげか、頭痛は徐々に引いて来て、意識もはっきりとしてきた。でももう少しだけ……こうしてても悪くないだろう。

 

「真……!?大丈夫……?」

 

「最……終……フェーズ……」

 

「へ……?」

 

「『次の目覚めが、最終フェーズ』だって……声が聞こえたんだ……」

 

 そう……この台詞が、何度も何度も頭の中でリピートされていたのだ。見えた映像に関しては、何が何だかよく解からんが……。声の方は、確かにそう言っていた。

 

 何なんだ……?伸び悩んでいたと思ったら、このタイミングで次が最後だと伝えてきた。何者かが、そうしたとしか思えない。亡国機業……は、無いな……んな事をする得が無い。

 

「それで……頭痛が……?」

 

「ああ……。もう心配なさそうだけどな」

 

「…………。まさか……また隠して……」

 

「ッ!違う!それは無い!」

 

 簪にまた隠し事をしていたのではないかと疑われ、俺はガバッ!っと言った感じで簪の肩から離脱する。そのまま必死な様子で簪の両肩を掴んだ。

 

 しかし……それはまずかった。少し……どころか、かなり簪を怖がらせてしまったらしい。俺はまるで水をかけられたように大人しくなり、後ろに後ずさった。

 

「あ……ス、スマン……」

 

「う、ううん……私の方こそ……。でも……何でそんなに……大声で……」

 

「……簪には、隠し事しないって決めた。俺は……ほんの少しでも、簪に嫌われたくなんかない……」

 

 俺は簪から目を逸らしながら、声を震わせつつそう言った。多分だけど……俺は、簪に依存している。既に簪の居ない生活など、考えられない。

 

 不信感を抱かれるなど、もっての外だ。そんな事になった暁には……いや、想像すらしたくない。今だって、少し疑われただけだ。なのに俺は、簪の顔を見る事が出来ない。

 

「ダメだね……私……」

 

「は?いや、簪は何も悪く……」

 

「本当は……叱ってあげる場面だと思う……。だけど……嬉しい……。そんなに……私の事を……って」

 

「簪……」

 

 そう言いながら簪は、俺にきつく抱き着いた。脇腹当たりの服を掴み、引っ張られるほどだ。簪の頬は紅く染まっていて……表情は、とてつもなく色っぽい。

 

 ……我慢できるはずも無い。俺は簪の顎を持ちながらクイッとあげ、上を向かせる。そしてそのまま、間髪言わずにその唇を奪った。キスしていた間は、比較的に短く俺はすぐに簪から離れる。

 

「……この話題……もう止めような。考えるだけ、無駄だと思うからさ」

 

「うん……解かった……」

 

「じゃあ……簪。俺を捜してたんだよな?」

 

「あっ……うん……。晩御飯……一緒に……」

 

「そうだよな、今日はロクに二人で過ごせなかったしな」

 

 俺達は、いったんさっきの流れは忘れる事にした。本当に気を取り直して……と言った感じで、話題を別の物に変えた。もちろん、とてつもなく重要な事が起きたのは忘れちゃいない。

 

 だけど、それは後回しで良い。考えても仕方が無い……と言うのも本当の事だ。だから後で、ゆっくりと考えればそれでいい。今はとにかく……簪と一緒に居たい。

 

「お姉ちゃんのせい……。でも……」

 

「でも、何だ?」

 

「これで……誰も真に色目を使わないかなって……」

 

「使われた覚えも無いけどな……。まぁ確かに、これで結果オーライなのかも知れん」

 

 いつまでたっても俺は近寄りがたいのか、クラスメイト以外にはあまり話しかけられない。朝に詰め寄って来た女子達には、事あるごとにちやほやされているような気もするけれど。

 

 今となっては……そんなもん無意味だ!俺が簪以外の女に目移りするなんてことは、万に一つとして無い。俺達が好き合うようになった経緯は、そん所そこらのカップルとは違う。

 

「それじゃ、行くか」

 

「うん……」

 

 俺と簪は歩き出すと同時に、どちらとも無く互いの手を取った。ギュッと握りしめられる簪の手は、やっぱり……温かい。俺は簪の温もりを感じつつ、一歩一歩を踏みしめた。

**********

「スコール!居ないのか!」

 

 マンションの一室にて、珍しくソルが声を荒げてスコールを呼ぶ。しかし……どこを見てもその姿は無いし、気配すら感じられない。

 

 ソルは、肝心な時に……!と、忌々しそうに舌を打つ。居ないのならば仕方が無いと自室に戻ろうとするが、別の人物が姿を見せた。

 

「……騒がしいぞ」

 

「マドカか……」

 

 ソルがらしくも無く、騒ぎ立てたのだ……異常事態と考えるのが普通だ。とりわけ、両者はとある事情から旧知の仲である。それこそ、幼馴染クラスの関わりだ。

 

 だからこそ、マドカからすれば余計にらしくない。自身でも取り乱し過ぎたと思っているのか、ソルは少しばかり深呼吸をし心を落ち着かせる。

 

「何があった?」

 

「……声が聞こえ、映像が見えたんだ」

 

「声……?例の第二フェーズとやらか」

 

「いや、それとは違う。どちらかと言えば、啓示の様に感じられた。しかも……次が最終フェーズだと」

 

 そう……真と同刻にソルも例の声を聴き、例の映像を見たのだ。自室で睡眠中に、突然頭痛が起き……あのソルでさえベッドから転げ落ちた。

 

 ソルが断っている痛覚は、主に触覚系統だ。それ故、脳へのダメージはほぼ等倍で襲う。とは言え、真と違って自力で我慢できるのが、ソルの強みだろう。

 

「……どういう事だ。お前の最終進化が次であることを、誰が知らせる」

 

「オレも分からんから、あの女を捜していたのだろう」

 

「だろうな。だが……あの女は、こういう時に限っていない」

 

「同感だ。いらん時には出張ってくる癖に……」

 

 あの声や映像は、明らかに第三者からの物だ。だからこそソルは、スコールならば何かを知っているに違いないと思ったのだ。だが……マドカも居ないと言った。行き場すら分からないのであろう。

 

 ついでにオータムも居ない……となると、ソルはなんとなく悟った。その途端に、とんでもない脱力感がソルを襲う。さっきの出来事など、既にどうでも良くなってしまった様子だ。

 

「映像の方は?」

 

「空を覆い尽くす様な……ジョウントが見えた」

 

「何……?」

 

 ソルの言葉に、マドカは怪訝な表情を見せた。もしもソルの見た映像が本当だとして、それを実現できるのは亡国機業のみだからだ。しかし、疑問は尽きない。

 

 何故なら、ジョウントは単なる移動手段で、そこまで巨大な物を使う必要性が理解不能だ。二人はすぐさま、こう推測した。それに見合う巨大な何かを、付近に出現させる……?

 

「だが……まさかとは思うが」

 

「ああ、オレの最終フェーズとやらは……」

 

「「未来視」」

 

 そう……二人はソルの見た映像を『これから起こりうる未来』であると考えた。先ほどの通りに、ジョウントを使えるのは自分たちのみ。となると、遠くない未来でそういった作戦を起こす可能性が高い。

 

 しかし、またしても疑問が残った。ソルの最終フェーズ到達は、亡国機業の最大の目的だ。それすなわち、全てを超越した力を得るはず。だとすれば未来視は、ソルには弱く感じられた。

 

「やはり……あの女を問い詰めん事には始まらん」

 

「……そうだな」

 

 やはり、その一言に尽きる。知っていたとしても、知らなかったにしても……だ。知らなかったのならばそれまでだが、知っていたならば隠し立てする必要が何処にも見当たらない。

 

 オータムやマドカに隠すのなら、まだ解る。しかし今回の件に関しては、ソルですら知らないのだから。だとすると、やはり亡国機業の計画が関連している可能性が高い。

 

「……では、騒がせたな」

 

「…………」

 

 マドカに謝罪しながら、ソルは振り返った。だが、その足取りは異様にふらついている。やはりソルとて、一筋縄ではいかない疲労感を感じているようだ。

 

 右へ左へフラフラ……フラフラ……。非常に物珍しいソルを見て、マドカは柄にも無く小さく笑う。それにピクリと反応を示したソルは、マドカの方へ向き直った。

 

「笑うな、こう見えても辛いんだぞ」

 

「まるで酔っぱらいだ。私が介抱してやろうか?」

 

「そうか、ならそれで頼む」

 

「なっ……!?おい待て、貴様……!」

 

 マドカは、冗談半分のつもりだった。しかし介抱というワードに反応したかのように、急に元気になる。もっとも、ただのやせ我慢なのだが……。

 

 ソルはマドカをお姫様抱っこでかかえ、マドカはソルの腕の中でジタバタと暴れてみせる。だが小柄な少女そのものであるマドカの抵抗は、無力に等しい。

 

 結局のところ有言実行といった感じで、マドカはソルに膝枕を要求される。自身の膝でスヤスヤと眠るソルを見て、決して満更でなかった事などは……口が裂けても本人には言えない。

 

 

 




性懲りも無く謎のフラグをおっ立てていくスタイル。

久々ですが、申し訳ない……。最終章付近でないと、こうやって自然な伏線の張り方が思いつかなかったもので……。

例の如く、この謎に関しても全貌はかなり先での公開となるでしょう。と言うかもはや、予定では最終回前後くらいなんじゃないかと……。

ですがそれ以前に、もうちょっとだけアレが何だったのかは分かるのではないかと。具体的に言えば、次回とか……

その次回は、真とソルがそれぞれの頼れる人へ相談する……のが主な展開です。なんか、ソルの登場頻度が増えてきましたな。

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。

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