戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

イチャイチャはしばらく見納めみたいなことを言ったが……スマン、ありゃ嘘だった。いやしかし、私も事あるごとにイチャイチャさせるとも言いましたし……。

まぁ……やっぱりサブリミナルに、簪が目立つ話は挟まるのでしょう。ウチの小説では、戦闘は添えるだけ……ですね。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


南の島にて(二人きり)ですが何か?

「海……綺麗だね……」

 

「おう、そうだな。日本と比べちまうと、やっぱ別格なんだろうよ」

 

 とりあえず、俺と簪は浜辺に沿って歩く。どうせ元来た場所をブラブラすると、連中に茶化されること必至だ。もう既に、他の連中はかなり小さく見えている。

 

 しかし簪の言う通り、本当に海が綺麗だ。日本でいうなれば、沖縄とかその辺りが綺麗なのだろうが……正直なとこ、比べ物にならないんじゃないか?

 

 砂浜は純白と言って良いほどで、その粒の一つ一つが細かく、とてつもなくサラサラだ。海も信じられない透明度で、泳いでいる魚がハッキリと視認できてしまう。

 

「しかし……やっぱ勿体ねぇよなぁ……」

 

「どうか……したの……?」

 

「ああ。やっぱこんな良い所なんだから、二人で来たかったなと思って」

 

 俺はそう言いながら、水平に構えた手をデコに置き、遠くに見える連中を怪訝な表情で眺める。言っても仕方が無くはあるが、本当に爺ちゃんや三島さんは来なくなって……。

 

 そう思っていると、ふと左手に込められている力が強くなった。見てみると、簪は顔を紅くしながら何かを堪えるように俺の手を握っている。

 

「だ、大丈夫か?」

 

「ごめんなさい……。時々……真の言葉が嬉しくて……。その……どうしようもなくなっちゃって……」

 

 俺にとっては、その言葉こそ嬉しくて堪らない。簪は……昔に俺と出会って、ずっと俺の事を想い続けていた……と、言っていたな。

 

 そんな俺が、こうやってクサい台詞を言ってしまうと、やっぱりそうなるのだろうか?俺だって、同じなんだけどな……。

 

 俺がそういった台詞を言うのは、いわゆるガス抜きの様な物だ。そうしていないと……今だって、簪にキスしたくて仕方が無い。

 

 本当は、我慢しなくたっていいのだろう。だけど、一応は我慢する事にも慣れていなくては……。そうでないと俺は、取り返しのつかない事を簪にしてしまいそうで……。

 

 怖い……のだろう。俺に関わる何かしらで、簪を傷つけてしまうのが。だから……今は我慢だ。言葉でだって、愛はしっかりと伝わる。

 

「良いさ、俺の手は……強く握っててくれ。そうしてくれると、俺も嬉しい」

 

「離さないで……いてくれる……?」

 

「簪が、そう言うんだったらな。嫌でも離してやらねぇよ」

 

 そう言いながら俺は、簪の頭を撫でた。いつもの通りに簪は、くすぐったそうだ。あまりしつこくは撫でずに、俺はすぐ頭から手を退ける。

 

 後は、二人でしばらく黙ったまま海を眺める。波の音や天高く舞う鳥たちの鳴き声だけが、あたりに響き渡る。いつまでこうしていても飽きなさそうだが、爺ちゃんは海だけが見どころでないと言っていた。

 

 もう少し別の場所の散策を提案すると、簪はこれを了承。そうなれば、此処には用は無くなった。俺達は、次なる場所を目指して歩き出した。

**********

 森の方へ向かってみると、どうやら散歩コースとなっているらしい。俺達は順路に沿って歩いているのだが、見どころが各所に点在している仕組みか?

 

 まぁでも……こうしてるだけでも良いわな。木々に囲まれてるから、こっちの方が涼しい。それに日差しもあまり届かないから、簪の白い肌も焼かれる心配が無いという物だ。

 

 しかし……いつ見ても簪の肌は白いなぁ……。決して病的と言う事は無く、単に素でこの白さという訳だ。お袋も何だか色白だったが……もしかすると、俺も親父もそういうフェチなのか?

 

「あ、あの……真……。あまり……見られると……」

 

「ん?おう、悪い。白くて綺麗な肌だなと思って」

 

 俺は無意識のうちに簪を見つめていたようで、簪は少し困ったような視線を俺に向けた。それに対して、包み隠さず思っていたことを口にする。

 

 今までとは違って、特に照れがある訳では無い。それに、隠す必要だってない。俺が簪に見とれていたのは、紛れも無い事実なのだから。

 

「えっと……あ、ありがとう……」

 

「ハハッ、どういたしまして……」

 

 俺が言った事は少し意地悪かなと思ったが、簪は俺に礼を述べる。確かに、俺が簪を褒める目的で言ったのも間違いでは無い。

 

 こういうの……いつまで通じるだろうな。何か別の手を考えておかなくては……。などと考えていると、簪が少し先を指さした。

 

「あれ……滝みたい……」

 

「おっ、本当だ……。行ってみるか」

 

 簪が指差した方向には、小規模ながらも確かに滝がある。こういうの見ると、滝の裏とかに隠し洞窟とかありそう……と、思ってしまうのは、男子だからか?

 

 それは置いておいて、二人して滝へと近づいて行く。どうやら、すぐ近くまで寄れる様になっているようだ。ただし、足元には細心の注意を払わなくては。

 

「ほら、簪」

 

「うん……」

 

 俺が先導するようにして、簪に手をさしのべる。俺はまるでお姫様でもエスコートするつもりで、ゆっくりと下へ足を運ぶ。

 

 本当は、お姫様抱っことかのほうが良いのかも知れん。だが、それだと俺が足を滑らせると、本末転倒だ。高さもできるから、簪はより危ない。

 

「ここまで近づくと、涼しいな」

 

「気持ち……良いね……」

 

 自由落下し、水溜まりへと流れる滝の飛沫のおかげか、自然の中なのにまるで冷房に当たっているかのようだ。マイナスイオンだかで、心も安らいでいる……ような。

 

 すると簪は、水溜まりへと近づきゆっくりと腰かけた。そのまま履いている靴を脱ぐと、これまたゆっくりと裸足を水の中へと浸ける。

 

「真も……」

 

「そうだな、せっかくだし……っと」

 

 簪の隣へと腰かけ、俺もサンダルを脱ぎ捨てた。しかし、簪の様に優雅には行かず……少し乱暴ぎみに足を水へ突っ込む。

 

 自然の水の冷たさが、足へと伝わる。本当は体に良くなかったりするのだが、やはり体温が下がるのが良く分かるな。

 

「ふぃ~……癒されるなぁ」

 

「マイナスイオン……?」

 

「それもあるかも知れないけど、簪が居るから効果倍増だ」

 

「そ、そう……。それなら……私も……嬉しい……」

 

 簪はそういいながら、ニッコリ笑って俺を見上げる。あぁ~癒される!本当に簪は見ていて癒されるもんだ。マイナスイオンとか、比べ物にならない。

 

 ……ところでだが、事あるごとに簪へ『そういう台詞』を言っているが……。簪は、実際のとこ俺の事をどう思っているんだ?

 

 それはもちろん、好きでいてはくれるはずだ。そういう大まかな事を言っているのではなく、なんと言うか……こう、かっこいいとか?そういう感じ。

 

 決して不満がある訳ではないが、簪からあまりそういう事は聞いたことが無い。俺の押しが強いのもあるのだろうが、控えめな簪がそんな事を言ってくるわけはないか。

 

 でも……なんだろうか、言って欲しくなったかもしれない。店長が以前に彼女の評価は気にならないのか、とか言っていて……俺はそれを否定したが、スマン店長……すげぇ気になるわ。

 

「簪、その……聞きにくいんだがな。俺に……不満とかって、無いか?」

 

「え……?」

 

「いや、ほら……もし俺に何かあるんだったら、そこは直したいし……」

 

 ストレートに俺の事をどう思っているかとは、聞きづらかった。おかげで、本来の目的とは少しズレた事を聞いてしまう。

 

 だけど、この聞き方でも似たような言葉は引き出せるかもしれない。簪は、凄く驚いたような表情を見せたが、それはすぐに微笑みに変わった。

 

「不満なんて……ない……」

 

「ほ、本当か?」

 

「うん……だって真は、私の事を……その……す、好きでいてくれるから……。そこは……凄く伝わってる……」

 

「…………」

 

 もちろん俺は、簪を全力で愛している。しかし、俺がいちいち口にするのは、さっきも言ったがガス抜きのいっかんな訳で……。なんとなく、肯定し辛くはある。

 

 というか、やっぱり何か思い詰めさせてしまったようだ。聞かぬべきだったな……さて、ここからどう取り戻すべきか。そう考えていると、簪が意を決したように言う。

 

「ま、真……。大好き……だよ……」

 

「……ああ、俺もだ簪。愛してる」

 

 ……どうかしてたな、確かに気持ちを伝えるのに言葉は必要だ。だけど……そんなこと簪に言葉に出させなくても、はなから意味が無い。

 

 だって簪は……こうして俺に『好きだ』と、そう表現する以外方法が無いくらいに、俺の事を愛してくれているのだから。俺が考えるべきは、いかに簪を喜ばせるかだけだな。

 

「さて、これからどうするか……」

 

「まだ……先があるみたい……」

 

「まぁ、此処がゴールってこたぁねぇよな。多分だけど、一周してスタートに戻るつくりだろうし」

 

 順路の始まりに、それとは別に道があった気がする。どれほどの長さは分からないが、とにかく続きがあるのだろう。ここで引き返すか否かを、簪に問いかける。

 

 すると簪は、一応だが回る方を選んだ。別に俺も行きたくないわけでは無いしな、簪がそうしたいのなら、俺の選択肢も決まった。俺達は水面から足を出し靴を履き直すと、再び順路へと戻り歩みを進めた。

**********

「真……こっちへ来なさい。面白い事を教えてやろう」

 

「…………」

 

 やけに豪華な夕食が終わり、自由行動となった。これからどうしようかと思っていると、爺ちゃんが俺に声をかけて来るが……。

 

 爺ちゃんが面白い事?そんなの、嫌な予感がしない訳が無い。だが……聞くしか、無いのだろう。俺は露骨に嫌な顔をしながら、爺ちゃんの方へ近づく。

 

「なんだよ、面白い事って」

 

「まぁそんな顔をするな。少し、耳を貸すんだ」

 

「はいはい……で?」

 

「この船の風呂なのだがな……」

 

 爺ちゃんに手招きされ、そっと口元へ耳を近づける。こそこそと言うので何が飛び出てくると思ったが……風呂?客船だし、各部屋や大浴場があるのだろうが……。

 

 ちなみに俺は、普通に一夏と同室だ。もちろん簪と一緒が良かったのだがな、俺が簪と一緒になると、一夏がフリーになる。一夏がフリーになると……後は分かるな?今からチームワークを悪くしてもしょうがないしな。

 

「実は、混浴専用の浴場が用意してある」

 

「はぁ!?なぜそれを俺に言う!?」

 

「簪くんにも、同じことを教えておいた」

 

「ブハッ!?ゲホッ!ゲホッ!」

 

 爺ちゃんは親指を立てながら、嬉々としてそう言った。あぁ……圧し折ってやりたいよ、その親指……。んでまた無駄に朗らかなのがムカつく、おかげでむせたろう。

 

 と言うか、それを俺に教えてどうするつもりだ。……なんて、しらばっくれるのはいいか。俺のお爺様は、簪と二人きりで入ってこいとでも言いたいのだろう。

 

「場所は、この紙に書いておいた。心置きなく、男になって来るが良い」

 

「アホか!いや、アホだよアンタ!っておい……聞けよ!」

 

 クソ!爺ちゃんの最高に嫌な面を垣間見た気がする!絶対カブト本編より性質が悪いぞ、あれ!爺ちゃんは言うだけ言うと、静かにハッハッハと笑いながら去って行った。

 

 いや、行かなければ良いような気がしなくもないが……。いや、でもほら……男だったら迷うのが普通だろ。簪に……い、言える訳が無い……!

 

「おーい、真!ZECTの人を誘ってさ、大浴場に行こうぜ!」

 

「ぬぉわ!?い、いや……えっと……」

 

「どうかしたのか?……顔、赤いぞ?」

 

「ス、スマン一夏!何も見聞きしなかった事にしてくれ!」

 

 背後から『真ー!?』なんて声が聞こえたが、俺はそれどころでは無く……気が付けば走り出していた。適当な場所まで、まるで何かから逃げるような感覚で足を運ぶ。

 

 そして……爺ちゃんに無理矢理握らされたメモを、広げてみる事に。何だって爺ちゃんは。そんな物を作って……。単に面白そうだから、とか言いそうだ。……どうやら、本気であるらしいな……。

 

(まさかとは思うが……)

 

 俺は右向き左向き、監視の目を捜した。もしかすると、俺の困っている様子でも見ているのじゃないかと思ったからだ。その心配はなさそうだが……。

 

 ……どうしろってんだ!行けと?この俺に行ってこいと?馬鹿め……俺を誰だと思ってやがる!ヘタレの代名詞……ヘタレを体現したような男だぞ!

 

~数分後~

 

「あ~……何やってんだよ俺は……」

 

 はい、俺が今何処かと申しますと、例の混浴専用の風呂場ですとも。なんか……軽く自己嫌悪してしまう。何も言わずに一人でここ来た事とかな……。言えばよかったんだ……『一緒に』って。

 

 そもそも……何も言わずに簪が来るはずも無いだろうに。それを俺は、何を期待してこの異様に広い浴槽を使っているんだ。……もう少ししたら、出よう……。そう思った矢先だった。

 

ガラッ!

 

「…………」

 

「ん?……へあぁっ!?かっ、簪!?」

 

 出入り口の音がしたので振り返ってみると、そこに居たのは……バスタオル姿の簪だった。それを見た俺は、慌てて湯船にタオルを突っ込み、腰へと巻いた。

 

 危ねーっ!どうせ来ないだろうと思って、持って入らなくて良かった!それすなわち、俺の下心を意味するのだが……そこはご愛嬌で。

 

「なっ、ななななんで……!?」

 

「真のお爺様が……」

 

「いや、それは俺もだけど……。その……まさか本当に来るとは……」

 

「お爺様は……真は絶対に来るって……」

 

 あの爺様……なに吹き込んじゃってくれてんだ。……と、言うよりは簪……その言葉……俺が来るのを承知で来たって言ってるようなモンだぞ……。

 

 気まずい……。簪と二人で、こういう空気は久しぶりだ。どうしていいのか分からない俺は、ただ黙って簪を見るしかできない……バスタオル姿の簪を、だ。

 

「えっと……とりあえず身体を洗うから……」

 

「あっ、ああ!分かってる分かってる!絶対見ないから安心しろ!」

 

 取り乱しているから、仕方が無い事だが……この言い方は、良くない。いわゆる『フリ』って奴だったに違いない。アレだ……言葉とは裏腹な思惑があるって事。

 

 しかし、俺はもう体ごと振り向いてしまっている。ここから見ようとすれば、逆におかしい事になってしまう。それこそ……チラチラ覗き見るしかなくなるからだ。

 

 すると、浴場内にシャワーの音が響き渡る。シャワーか……俺が浴びている間に、簪が入って来なくて良かった。もしかすると簪……羞恥で卒倒するんじゃないか?

 

 なんて……他の事を考えていないと気が休まらない。そうして滅茶苦茶に長く感じる時は終わり、簪が……俺の隣へと入った。

 

「「…………」」

 

 お互いに、無言な時間が続く。それどころか、簪の方へ視線をやるのもキツイ。水着とかの方が、圧倒的に露出度は高いはずなんだけどな……。

 

 やはり今が、特殊なシチュエーションだからだろう。しかし……いつまでもこうしたって仕方が無い。簪はきっと、かなりの勇気を振り絞ってココに居るだろうから。

 

「簪、本当にどうして来たんだ?あっ、別に……来ない方が良かったって言いたいわけじゃないぞ。もう言っちゃえば、簪と混浴は純粋にうれしいけど。簪が、その……そう言うの向かないってのは分かってるし」

 

 俺は余りの緊張感からか、捲し立てるようにペラペラと喋った。こんなの……一発で見抜かれるわな。簪は、小さく笑い声が聞こえるほどに笑っていた。

 

 オーケー……だんだん慣れてきた。……が、新たな問題が出てきたぞ。水に濡れ、風呂の温度で頬を紅潮させた簪は……妙に色っぽい!うごごごご……耐えろ、俺の愚息よ……。

 

「私とこうして……えっと……嬉しいん……だよね……」

 

「あ、ああ……そりゃあ勿論。俺だって……男だしな」

 

「うん……だから……来た……」

 

「…………」

 

 皆までは言わないが、それはつまり……俺が喜ぶと思ったから……と言う解釈で良いのだろう。あぁ……畜生、心臓が痛い……。

 

 ときめき……と言う奴なのだろう。この感情は悪くない物だが、今に至っては心臓に悪い……。このままだと、俺が一番恐れていたことになってしまいそうだからだ。

 

「真……。お願いしても……良い……?」

 

「ん?まぁ……出来る範囲なら、全然問題ないが……」

 

「後ろから……抱きしめて欲しい……」

 

 そう言いながら、簪は少し前に出て俺が後ろに回れるスペースを開けた。照れくさくはある……が、簪がそれを望むのなら、俺はそうする。

 

 湯船に波を立てながら、滑り込むようにして簪の作ったスペースへと入る。そのまま両腕を簪の腰辺りに回すと、苦しくない程度に力を込めた。

 

「……心臓……速いね……」

 

「こうならない方が変だって……」

 

「うん……私も……凄く速い……」

 

 そう言いながら、簪は自身の胸に手を当てる。っていうか……この角度も、なかなかアレだな。アレだよ……谷間を、上から眺める形になってしまう……。

 

 こんな……前も水着見たけど、サイズ感が違うくないか?前より大きいような……。つか、これで小さいとか言ったら……他の女性に失礼な気もする。主に、中国の代表候補生とか。

 

「真……スケベ……」

 

「うのわぁ!?わ、悪い!」

 

「フフッ……冗談……。私も……見られるつもりで……ここに居るし……」

 

 カマをかけられてしまったか……。だが、簪のいう事も一理ある。わざわざ混浴だと分かって来ておいて、見るなと言う方がおかしい。

 

 悲しいかな、男なんてそんな生き物だろう。皆が皆そうとは言わんが、少なくとも好き合う関係の女性とこういう状況になったら……ねぇ?

 

「真……私ね……覚悟は出来てるから……」

 

「な、何のだ……?」

 

「貴方に……全て捧げる覚悟……」

 

「!?!?!?!?」

 

 簪の言葉に、驚きを禁じ得ない。えっ!?今のはアレか、言葉通りの意味で取って良いのか!?むしろその意味以外はあり得んのだろう……。

 

 だがそれは簪……俺の覚悟を、ぶち壊しかねない一言だ。今だって俺は、必死に歯をくいしばって、一握りの理性を繋ぎ止めているのだから。

 

 それに簪だって、今すぐにと言っている訳ではない。あくまで覚悟は出来ているから、後は俺に委ねると……そう言う意味だ。ただ単に、俺が理性を失いかけてしまっているだけだな……。

 

「ありがとな、簪。……俺の全部も、簪のためのモンだから……それは、頭に留めといてくれ」

 

「真……。うん……嬉しい……」

 

 俺は、簪の身体に体重をかける様にする。簪も簪で、俺に身体を預ける。俺達はより密着するが、もはやそこに恥じらいは無かった。

 

 それから俺達は、のぼせる寸前まで風呂へ浸かったままだった。長風呂が過ぎたのか、部屋に帰ると一夏に『何処に行ってたんだ?』なんて聞かれてしまう。

 

 本当の事を言えるはずも無く、かと言って……風呂上りなのも見たら解る。その上での質問なのだろう……だから俺は、無視を決め込む事にした。そのまま俺はベッドへと潜り込み、無理矢理にでも意識を手放す。

 

 

 




なんでだろうね、既に結婚してるようにしか見えない。

なんとな~く、やりたかった事が出来た回でした。混浴とかが、それです。やっぱり男の夢ですよね!アレ……私だけか?

そ、それはともかく!次回こそは、ようやく戦闘回に入れそうです。また長くなりそうだなぁ……。いつも私は、真と関連の無い戦闘はカットする事が多いです。

しかし今回はとある理由から、全ての戦闘をまんべんなく見せれたらなぁと思っています。……トドメのシーンとかだけになるかもですけど(ボソッ)

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。

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