戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

いきなりですが、今回……タイトル詐欺になるかと。何事かと申しますと、ちょっと予定を変更した次第です。

本当はちょっちブリーフィングのシーンを入れて、戦闘開始って感じだったのですが……。それやっちゃうと、どうもね……。

ぶっちゃければ、時間稼ぎですね。やっぱりせっかくのオリジナル展開なんだから、遣りたい事をやろうと思い立ったのです。

今回は、攻勢へ出るよりも前の段階です。だから話してばっかですが、いつも通りにゆっくり行きましょう。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


いざ、攻勢へ(情報開示)ですが何か?

 ソルのIS学園訪問から、数日が経過した。一応だが、楯無先輩には報告しておいたわけだが……何の事は無い。いつも通りの平和な日々が続いている。

 

 ……と、思いきや。またしてもいつものメンバーが、楯無先輩に呼び出しを喰らったのである。亡国機業と関わりがあろうとなかろうと、穏やかでないのは確かだろう。

 

 そのため、メンバーの表情はいくらか固い。ラウラなんか、何やらピリピリとしている。あの二人は、相性が悪いんだったか?まぁ、一方的にからかわれれば……そりゃ、な。

 

 そんなわけで、俺を筆頭にゾロゾロと歩く。そうして辿り着いた場所は、広めの会議室だ。どうしたって、生徒会室じゃ狭いわな……。

 

 とりあえず、挨拶しながら戸を開いた。するとそこには、楯無先輩と虚先輩……本音も居る。うん……いつもの11人だな。

 

 全員が入りきると、とりあえず適当に腰掛けてくれと言われる。先に用事を言われないのが不安なのか、他の専用機持ちは警戒しながら腰かけた。

 

 そして、正面に位置する鈴から……すさまじい視線を感じる。その目は『アンタが切り出せ』とでも言いたそうだ。確かに……この中だと簪を除いて、俺が一番近しい仲だわな。

 

「姉貴、用事って?」

 

「ごめんなさいね、弟くん。もう少し待ってて、そしたら話すわ」

 

「何よ今の気になるやり取り!姉!?弟!?」

 

「あ~……やっぱかがみん言ってなかったんだ~?」

 

 俺と楯無先輩のやり取りを見て、鈴はガタン!と椅子を弾きながら立ち上がった。言ってなかったって……俺と簪の関係の事か?

 

 別に言う必要は無かったし、それこそ俺と楯無先輩のやり取りは、多くの人間に目撃されているし……。もう既に、広まっている物だと思っていた。

 

「あっ、なるほど……それは、そう言う意味だったんだな」

 

「鈍感……ここに極まれり、だな」

 

「いい加減にしないと怒るぞ、嫁よ」

 

「な、なんでだ!?」

 

 お前……気付いてなかったんかい!?それはビックリだわ!普通に、一夏の前でも例の『姉』『弟』のやり取りは行っている。と言うか、この中では最も一夏が見てきたハズだ。

 

 それなのに気付いていなかったらしい一夏に、5人は非難の目を向ける。これに一夏は焦る焦る……どうせ、何が悪いのかも分かっちゃいないのだろう。

 

「それはそうと、お二人とも……おめでとうございます!」

 

「末永くお幸せに、って……気が早いかな?」

 

「どうだろうな……。まぁ、ありがたく受け取っとく。な、簪」

 

「わ、私に振らないで……」

 

 おろ?同意されなかった。つっても、この人数の前だから……照れているだけだろう。もし今の台詞が照れ隠しじゃなかっとしてみろ、ショック死するぞ俺は。

 

 と言うか、もう既に想像するだけで泣きそうだ。簪に愛されない人生とか、そんなモンもう知らん……世界とかどうでも良いから、すぐ自害してくれるわ。

 

「会長、準備が整いました」

 

「ました~」

 

「そう、ありがとう。ハイハイ!皆、こっちにちゅうも~く!」

 

 先ほど言っていた『少し待っていて』が、完了したらしい。楯無先輩は、パンパンと手を叩きながら注目を集めるが、ノリがなんだか子供番組なのは気のせいか?

 

 ま、いつもなんとなくそんなノリだよな。俺達が気持ちを切り替え、楯無先輩の方へ視線を集めた。すると満足そうに頷きながら、立っている場から少し横へと移動する。

 

「それじゃ、皆を集めた理由からね。ある人から、私達ご指名で依頼があったの」

 

「え……?僕達、全員……ですか?」

 

「ソイツ、一体どこの富豪よ……」

 

 シャルロットの呟きは、もっともだった。俺達は全員が専用機持ち、それだけならまだ良い。多国籍な代表候補生を、全員集めているのが問題なのだ。

 

 鈴は目を細めながら、吐き捨てるように言うが……良いのか?そんな事言って。俺は、楯無先輩が言った『ある人』っての……予想がついちまってる。

 

「で……そのある御方……とは、どなたなのでしょう?」

 

「どういった依頼なのか、その辺りの詳細も掲示して頂きたい」

 

「そう言うの、全部ひっくるめて本人が説明してくれるそうよ?」

 

「回線、繋ぎます」

 

『各専用機持ちの諸君……真が、世話になっている。私は、ZECT総会長を務める加賀美 陸という物だ』

 

ガタタッ!

 

 やっぱりか……そんなこったろうとは思ったよ。目の前のモニターに、爺ちゃんの姿が映し出されるや否や……俺、簪、一夏を除くメンバーは、一斉に立ち上がった。

 

 鈴なんかは、さっき吐いた暴言とも取れる発言を聞かれた居ないのか心配らしい。脂汗をかきながら、しきりに『大丈夫……聞かれてない……大丈夫……』と、呟いていた。落ち着け、本当に落ち着け……鈴。

 

『そう焦らず、楽にしていてくれ。私の方が、諸君らに物を頼む立場だ』

 

「こっ、光栄ですわ!」

 

「いや、だからお前ら落ち着けって。謎は多いけど悪い人じゃねぇかんな」

 

 楽にしてくれ、からの光栄ですわ……は、何かがおかしい。まぁ多分……そんだけ、すげぇ人なんだろう。身内な分だけ、その感覚が薄くなっているだけだ……きっと。

 

 とにかく、俺の一言で全員は席に着いた……が、やはり緊張はほぐれていないらしい。それに対して、爺ちゃんはニヤニヤ……あぁ、頭が痛い事この上ない。

 

『真、愉快な友人たちだな』

 

「はいはい……わぁったから。話、進めてくれ」

 

『うむ。諸君らは、学園祭やキャノンボール・ファストの際に現れた連中について、どれほどの知識があるかね?ボーデヴィッヒくんは、ドイツ軍人と聞くが……』

 

「ハッ!奴らの名は、亡国機業。第二次世界大戦前より前から暗躍する、テロ組織だと認識しております!」

 

 質問を投げかけられたラウラは、いかにも軍人然とした態度で応えた。だからそう言うの、別にいらんと思うんだが……。

 

 まぁそもそもラウラが知らんって事は、ありえんだろう。別にテロリストである事は、襲われているのだから把握できているはずだ。

 

『結構。奴ら……亡国機業は、徐々に攻勢へと転じている。そこで、我々も……そろそろ反撃するべき、そう思っているのだ』

 

「それで、僕達に声をかけたんですね……」

 

『左様。都合のいいことに、諸君らの所属は『IS学園』と扱って良いと聞いた。遠慮なしに、最大であろう戦力を集めさせてもらった次第だ』

 

 本当は、2年生に一人と、3年生に一人……専用機持ちが存在するが、今回のケースの場合は、俺の秘密を知っている事が最低条件なのだろう。

 

 それでも、全員合わせて専用機持ちが9人……。ISと関連性の無い軍とかの人間からすると、笑うしか無いような戦力に見えるはずだ。それも割と当たり前と思える俺は、かなり感覚が狂っているらしい。

 

『さて……本件に入る前に、確認せねばならない事がある』

 

「そもそもこの話を、受けるか否か……」

 

『その通り。当然ながら、向こうの妨害は十分に予想される。参加否参加は、諸君らの判断に委ねよう』

 

 楯無先輩の呟きに、爺ちゃんが首を頷かせながら答えた。まぁ……そりゃそうだ。言ってしまえば、亡国とZECTの対立は、俺とソルの因縁とイコールしても良い。

 

 だから正直な話……申し訳なさを感じてはいる。んな事を本人達に言ったら、軽く殴られるに違いない。証拠に、誰一人として何も言わない。その表情は、早く話を進めろとでも言いたそうだ。

 

『……協力、心より感謝する。それでは、本件に移ろう。まずは、こちらを見て欲しい』

 

「……なぁ、箒。人参のアイコンだが……」

 

「……言うな。何も言うんじゃない……」

 

 爺ちゃんが映し出されているモニターが、半分へ分割された。そこには世界地図が表示され、ハワイ沖付近へ矢印の目的の為か、人参のアイコンが点滅している。

 

 それを見た一夏と箒は、一瞬にして何かを察したらしい。と言うか、俺も何度か関わったせいか分かってしまう。多分だけど……篠ノ之博士が関係しているようだ。

 

『織斑くんと篠ノ之くんの想像通り、コレは博士から送られてきた情報だ。知っての通り、彼女は真を殺害しようと目論んで居た訳だが……既にその必要は無くなった。信頼しても良いだろう』

 

「そこに……いったい何が……?」

 

『彼女の話によると、例の……緑の昆虫に似た兵器の生産工場の様だ』

 

「ワームのか!?」

 

『ワーム……?うむ、では今後、そう呼称しよう』

 

 この世界では、あくまで機械であるワームだ。その生産工場がある場所と聞き、思わず叫んでしまう。だがこの瞬間、皆の中で『緑の虫』となっていたのが、ワームが正式名称となった。

 

 ちなみに、人参の数は4つ……各工場の規模がいか程かは想像がつかないが、なぜアイコンは海の上なんだ?ハワイ州はいくつかの島で構成されてはいる……しかし、完全に海の上としか……。

 

『もう解るかと思うが、この工場を叩く。ここ4か所だけとは考えにくいが、連中の戦力を削るのには事足りるハズだ』

 

「ですが……直接叩くとなると……」

 

「ああ、凄まじい数を……少ない人数で対処せねばならなくなるかも知れん」

 

『その辺りに関しては、現在偵察班が行動中だ。詳細は、申し訳ないがしばし猶予をくれ』

 

 4か所……って事は、だいたい一か所につき2人程度となるな。いや、それこそ情報が固まってからでも遅くは無い。こちらから攻めるのだから、軽率な行動は避けなければ。

 

 誰だったかが言っていたな……『守る事は、攻めるよりも難しい』と。つまり向こうも、いつ攻撃を受けても良いように、それなりの準備をしているはずだ。

 

「あの~……素朴な疑問なんですけど」

 

『なにかね?鳳くん』

 

「そもそも、移動とかって……どうなのかな~って」

 

 鈴は恐る恐ると言うか、本当に小さく手を上げながら発言した。あの顔は……『頭悪いとか、思われない?』とでも考えてそうだな。

 

 安心しろ、鈴……そこは俺も心配だったから。前提条件として、ハワイ沖だ……ISならば、問題ない距離ではある。だが攻めに行くのに万全な状態でないのは、話にならない。

 

『ハッハッハ……安心すると良い。我がZECTの誇りにかけて、諸君らの待遇に関しては最高のもてなしを約束しよう』

 

「……爺ちゃん。どうせ、今から話す気はないんだろ?」

 

『お見通しか、流石は私の孫だ。こういったのは、サプライズした方が面白い』

 

「皆、スマン。俺の身内が本当……」

 

 あくまでいつもの姿勢を崩さない爺ちゃんは、やっぱり皆まで言わない。そんな爺ちゃんのせいで、俺は謝らずにはいられなかった。

 

 が、特に効果は無いらしい。大半の面子が、黙って首を左右に振るばかりだ。確かに本人を目の前にしては、否定も肯定も出来んか。

 

『作戦決行の日時が固まり次第、追って連絡しよう』

 

「ん~……その時は、私だけでも大丈夫そうね」

 

『そうか、それなら詳細は楯無殿に伝える』

 

 確かに、再度俺達を集める必要も無いだろう。今回は、参加するかどうかの意思確認が必要だったわけだし。嬉しい事に、全員が参加してくれるわけだし。

 

 それだったら、楯無先輩がパイプとなった方が早いだろう。簪と鈴以外は同じクラスだが、いつでもこうやって集まれるとも限らんからな。

 

『それでは、私からは以上だ。諸君らの活躍を、期待している』

 

 爺ちゃんはそれだけ言うと、通信を切断した。途端に全員が、緊張がほぐれたかのように力を抜く。何度も言うが、そんなにかしこまらくても……。

 

「ま、まさか……ZECT会長と会話をする日がこようとは……」

 

「立場上、様々な人間と接してきたが……これ以上の大物は、今後出会わんだろうな」

 

「ラウラでもそんなのとか、アタシは一体何よ……。あ~……緊張したわ……」

 

 この無駄な緊張の反動が、俺へと向かなければいいんだがな……。もし文句を言われたって、本当に知らんぞ。孫である俺ですら、あの性格には苦労しているのだから。

 

 つーか……直接会ってすらないのにこの緊張っぷりだ、実際目の当たりにすると……更に混沌とするんじゃないだろうか?まぁでも、そっちの方が人となりがよく解かるってのもあるか。

 

「俺には老紳士に見えたけどな。……簪は、会ったことあるのか?」

 

「ある……。けど……割と、子供みたいな人……」

 

「なんか、ずっと僕達の反応を楽しんでたもんね……」

 

「流石は、真さんのお爺様ですわ……」

 

「どういう意味だコラ」

 

 聞き捨てならんにも程がある。俺が性格が悪いのは、爺ちゃんからの遺伝で無く、前世からの事……あれ?余計に悪くなってる気が……。

 

 ……ドングリの背比べと言う事にしておこう。とにかく、軽口が出ると言う事は、もう何の心配もいらんと言う事だ。ただし、次があればフォローはしてやらんがな。

 

「それじゃ、今日のところは解散ね。皆、集まってくれてありがとう」

 

 楯無先輩が解散の音頭を取れば、俺達は一斉に立ち上がった。そうして最後まで『緊張した』などと言いながら、また大人数でゾロゾロと移動を開始する。

 

 候補生の凄い所は、有事との切り替えの早さなんだよな……。作戦当日となったら、この和やかな雰囲気は消え去るのだろう。それにしても……攻勢、か……上手くいけば良いんだがな。

 

 いや、何を弱気な!絶対に成功させる……くらいの気構えで無くてどうする。とにかく、それまで精進あるのみだ。今日も、誰かに模擬戦の相手をしてもらわなくては。

**********

 ……どうしてこうなった。この状況を見れば、そう言うしかないだろう。現在はワーム生産工場破壊作戦の一日前……なのだが。

 

 日本でいうなれば、そろそろ寒くなってくる季節。しかし……今俺達が居るのは、南国だ。日本の夏とかと比べて、蒸し暑さとかは感じない……。

 

「あっ……お爺さん、引いてます!」

 

「む?本当だな。織斑くん、タモを頼めるかね」

 

「はい!」

 

 うん……向こうを見れば、一夏と爺ちゃんが釣りをしてる。そして別の場所に目を向ければ、三島さんと虚さんが従者の繋がりで意気投合してる。

 

 候補生や本音たちは、水着姿で遊んでるし……。田所さんが、ノリノリで簡易的な海の家みたいなのを開いてるし、岬さんはビーチパラソルの下で優雅にトロピカルジュース飲んでるし……。

 

「なんでだああああ!?」

 

「真。うるさいぞ、魚が逃げる」

 

「いや違げぇだろおおおお!なんで爺ちゃんいんだよ!?アンタ、会社は!?ってか、ZECTの面子を連れてき過ぎだろう!」

 

「たまには、慰安も必要だ」

 

 ぐっ……もっともな発言ではあるが……。あ~……そうそう、ちなみにだが俺達が今居るのは……無人島だ。とは言っても、爺ちゃんの所有らしいけど……。

 

 つまりは、プライベート用に買ったって事か?地図には乗ってないらしい。それで、なぜ俺達がリゾート気分かと聞かれると、実はここ……例の生産工場よりほど近いのだ。

 

 とは言っても、そりゃ相当な距離ではあるが……日本から比べると、月とすっぽんだ。ここを拠点とし、作戦行動を進める手筈らしい。

 

 ZECTの人間が居るのは、慰安の目的だけでは無い。今回の作戦は、ZECTの生身の部隊と合同との作戦らしい。今回の事でようやくわかったが、田所さんはそのトップ……総司令官なのだそうだ。

 

 田所さんは、部隊を引き連れ……岬さんは、ラボラトリの面子を引き連れ……よって、かなりの大人数となった訳だ。まぁそれは……見上げるばかりの豪華客船で来たから問題ないけどな!

 

 あぁ~……頭痛い……。日本からここまで、金の匂いしかしないのだ。まずZECT所有のジャンボジェット機でハワイまで飛び、そこから客船で無人島……と言った流れだった。

 

「作戦決行は、明日の日暮れ頃だ。それまで、お前も楽しむと良い」

 

「っていうか、真もアロハシャツなんか着てるし……楽しむ気まんまんだろ?」

 

「ファッ!?いつの間に!?」

 

 本当にいつの間に!?俺は、青地に赤のハイビスカスが描かれたアロハシャツを着ていた。楯無先輩に南国へ行くことを聞かされてから、ずっとボーッとしてたしなぁ……。

 

 爺ちゃんが皆をここに連れて来たのは、コレから大変になるから今のうちに遊んどけって事だろう。それこそサプライズってのは、南国へ行けるって話だったのかね?

 

 その事を知らされた時の皆の反応と言ったら……すげぇ嬉しそうだったもんだ。しかし……なんだか、漫画でありがちな『居たら助かる金持ちキャラ』的な事になって無いか?俺の立ち位置。

 

「いつの間にって、簪と二人で過ごすってしきりに言って……」

 

「だっしゃおらああああ!」

 

「うわああああ!?」

 

バシャーン!

 

 余計な事を口走る一夏を、投げっぱなしジャーマンで海に放り投げた。ぜぇぜぇと息を荒げていると、流石に爺ちゃんからお咎めが入る。

 

 一夏が海から這い出てくるのに手を貸せば、しっかり謝罪をしておく。すると奴は、そんな事は気にしないと言った様子で、俺を釣りに誘って来る……が。

 

「真……」

 

「おっ、簪。姿を見ないと思った……ら?」

 

 簪に呼ばれて振り返ってみたら、言葉を失った。簪は白のマキシ丈のワンピースに身を包んでいて……可愛い!うほぉう……イ、イカン……男心をくすぐられる。似合い過ぎだ……驚異の融合係数だ!

 

 思わず簪に見とれていると、後ろから視線を感じる。再度振り返ってみれば、爺ちゃんと一夏がニヤニヤと俺を見ている。クソッ、さっき謝った手前……もう一度海にブン投げる訳にもいかんか。

 

「真……?」

 

「な、なんでもねぇぞ?それで、どうかしたのか……って、簪に言わせる事じゃないな。簪、二人で過ごさないか?」

 

「う、うん……!」

 

 本当は可愛いと褒めてやりたいのだが、後ろの二人が鬱陶しいから後回しだ。だが簪は、俺から二人で過ごそうと言った途端に、頬を真っ赤に染めながら頷いた。

 

 それでいて、嬉しそうでもある。簪がそうやって嬉しそうにしてくれれば、俺も嬉しい。散々言っといてなんだが……爺ちゃん!ありがとう!

 

「この島は、海だけが楽しむ場所では無いぞ。ゆっくりと、見て回ると良い」

 

「ああ、そうするよ。じゃ……行くか、簪」

 

「うん……」

 

「晩飯までには帰って来いよ?」

 

 まるで親かの様な一夏の一言に、内心で吹き出しながら片腕を上げて答えた。それと同時に、俺は簪と手を繋ぎ歩き出す。

 

 爺ちゃんの話じゃ、見る所もあるみたいだけど……まぁ適当にブラブラしてみるか、時間もたっぷりある訳だ。とりあえず今は作戦の事は忘れて、俺も羽目を外すとしよう。

 

 

 




陸さんが、警戒され過ぎな気もしてきましたよ……。

私の中では完全に、変わり者として認識されているせいで、こういう事態になるのだろうか……?

今更ながら、ちょっと陸さんっぽくは無いかもしれません。これは少し、カブトの陸さんのシーンを、見直す必要があるかもしれません。

そして、隙あらば真と簪を二人きりにするスタイル。このスタイル……もしかすると最終回まで貫き通すかもしれないです……。

ってな訳で、次回もまだ戦闘回にはいかず……南の島で過ごす二人の様子をお送りしようかと思います。

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。

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