久々の真視点だ!……と、思いながら張り切って書いたは良い物の……真のテンションが掴めなくなってるかもです。
真の気が沈んでたせいか、どうにもテンションが高く見えてしまう……。こんなこだったかなと、読み返してみたり。
まぁ……こんな子だったかなと、無理矢理にでも納得する事にしました。違和感を感じた方は、申し訳。
それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。
あぁ……なんだろうな、今までとは違ってこう……強くなれたんだって、実感が沸く。体の内から力が溢れてくると言うか、変わったのはガタックのはずなのに、不思議なものだ。
いや、違うな……気のせいなんかでは無い。皆のくれた力が、不足している訳が無い。紛れも無く、俺の実感している力は本物だ!
うん……まぁ、それはそれとしてだ。俺の知ってるハイパーガタックと違う!あのコレジャナイ感が溢れ出るフォルムじゃない!いや、勿論そっちの方が嬉しいが……。
まぁ顎の巨大化は同じとしてだ。各種アーマー……カブトで言うカブテクターだから、クワガテクター?は、ハイパーカブトに近いデザインだ。
タキオンプレートは始めから黄金……ってか、ハイパーカブトの銀部分が金、赤部分が群青と言った方が早いか。カブトの胸部や、両腕両足には角を模した装飾が施されているが、こちらは顎だ。
クワガタの顎が、閉じたままのような感じのデザイン……と言えば、伝わるのだろうか?これ、ハイパークロックアップしたらどうなるのか、一発で予想がつくな。
『マスター、集中してください。武器も持たずに突っ込むつもりですか?』
『おお、本当だ……ダブルカリバーどこ行った?』
『パススロットに仕舞われていますね、名称が変化しているようですが』
青子に指摘されて、ようやく気が付いた。ハイパー化するのに邪魔だったから、肩に引っ付けておいたと言うのに、いつの間にか消えている。
パススロットを覗いてみれば、そこには『ハイパーカリバー』なる武装登録が存在した。何やら、ダブルカリバーが強化されているようだ。
そうと決まれば!そう言った感じで、腰から剣を引き抜くイメージをしつつ、武装を展開した。すると、ダブルカリバーを短剣から日本刀ほどにしたような剣が、二本現れた。
「リーチが伸びたか!これなら……」
「チッ!厄介な……!」
ガギィ!
ハイパーカリバーを受けるのにクナイでは心もとないと考えたのか、ソルは斧二本で受ける。が……単純にリーチの差という物は大きい。だからこそソルは、厄介だと呟いたのだろう。
俺はわざわざ鍔競り合いをすることなく、少し後ろへ引きながら、すぐさまハイパーカリバーを横一閃同じ方向に振った。今までならばできなかった事だ、これなら俺の攻撃は届いても、ソルの攻撃は届かない!
「どらぁ!」
ギャギィ!ザァン!
「ぬぅ!」
よし、とりあえず第一撃は綺麗に決まった。だが、ここからだ……ソルは、転んでもタダでは起きてくれない。負けず嫌いなと言うか、執念深い所も……やはり俺なのだろう。
ソルは俺の攻撃を避けられないと判断したのか、攻撃を喰らいつつも既にアックスを振り上げている。しかし、焦りが見えるな……コイツにしちゃ、お粗末だ。
俺は片方の……ハイパーマイナスカリバー?長いな……。マイナスカリバーで通そう。マイナスカリバーを逆手持ちに変え、アックスの攻撃を受ける。と、同時にマイナスカリバーを傾け、受け流した。
「小賢しい!」
「テメェもな!」
ズッコケるように飛び出たソルだったが、飛び出た反動を利用し、その場で一回転した。オレも復帰させまいと切りかかるが、すんでの所で防がれる。
離脱を許してしまったか……どうにも、決め手に欠けるな。急に長くなったもんで、ハイパーカリバーが扱いにくい。気のせいか、この剣どうにも柄が長くねぇ?
まるで連結してくださいとでも言いたげな……ん?連結?もしやと思った俺は、ハイパーカリバーの柄の底と底とを、左右反対になるように押し込んでみる。
ガシン!
「!? おおっ!」
柄と柄とが連結したかと思ったら、そこから少しだけ伸びた。……アギトのシャイニングカリバーだコレー!?いや、ストームハルバートか?
つーかもう、あの二つを足して二で割ったような感じだ。持ち手はハルバートほど長くなければ、シャイニングカリバーよりは長く。刃はハルバートほど小さくなければ、シャイニングカリバーほど長くない。
とにかく、コイツも有用な武器だ。名前は……なんかもう長いし、ロングカリバーでいいか。ロングカリバーの形状からして、より連続攻撃を叩きこめるはずだ。
「行くぜ!」
「来るがいい!」
俺はロングカリバーを槍のように構えて、ソル目がけて突いた。当然それは、上からの攻撃で弾かれる。……が、それで良い。弾かれたままの威力を利用し、そのまま背中へと回して再び右肩辺りまで回転させた。
そしてそのまま左手で引っ掴み、斜めに思い切り振り下ろす。するとどうだ、面白いほど簡単に斬撃が入るではないか。だが、これで終わりと思っては甘い。
ロングカリバーを両手でブンブンと回転させつつ、X字を描くように振り回す。ロングカリバーは両方に刃が付いているため、怒涛の連続攻撃がカブトの胸部へと入り続ける。
「おおらぁああああ!!!!」
ギャギャギャギャギャギャギャギャ!
「ぐおおおお!?」
うむ、ロングカリバー……良い武器だ!攻守において、相手を切り崩す事を旨にする俺の戦法にとってみれば、最適の武器かもしれんな。
この形状の武器の利点は、こうやって連続攻撃を叩きこめるだけでない。ソルは攻撃を喰らったままの状態で、無理にでもアックスを振ってくる……が。
ガギィギャリリリリ!
「何ッ!?」
ダブルカリバーの状態だと、一旦受けてから逸らし始めなければならないが、ロングカリバーの形状だとその必要は無い。アックスの攻撃を受けると逸らすをほぼ同時に行う。
「さっきから……!」
鬱陶しいってか?残念、もう少し『練習相手』になって貰うぜ。んな事、奴に直接言ったらすげぇ形相するのだろう。それはそれで面白いが……今は集中だ。
俺はあえてソルの攻撃に反撃はせず、ロングカリバーにて受け流しを行い続けた。金属の擦れる音と火花が散るが、その間の俺は……無傷!
「貴様……!」
「言わなくても、分かるだろ?お前は俺なんだからな」
どうやらソルは、俺がわざと反撃しなかったのはお見通しだったようだ。それに厭味ったらしく返してやる。いろいろショックで調子を崩したが、煽りのテクで俺に勝とうなんざ10年早いっつーの。
そこまで言うと、ソルは後ろへ飛びのいた。はてさて、ここからどう攻めて来るか……。なんて思ったが、至極単純な事だ。ソルは持ち手を銃形態へと移行し、とにかく連射をかける。
『そっちもバレてたか……?青子、確認しとくが……』
『バルカン及び火器系統は、存在すらしていません』
だよなぁ……ハイパー化の影響か?ソルが超限定的なセカンドシフトみたいなモンって言ってたが、この状態は違うISに乗っているのに等しいのだろう。
クナイガンのエネルギー弾は、威力は無いにしても弾速が早い。もちろん距離が開いているから、左右に動く事で簡単に避けられている。しかし、いつまでもこのままと言う訳にもいかんだろう。
『その代わりと言っては何ですが、エナジーチャンバーのエネルギー効率が以前の比では無いですね』
『解るように言え!』
『つまりは、余剰エネルギーを射出可能……かも知れないと言う事です』
エナジーチャンバーってのは、ダブルカリバー双方のグリップに備えられた、荷電粒子を刃に送り込む機関の事だ。どうやら、ハイパー化に伴って強化されているらしい。
つまりはアレか、紅椿の空裂とかと同じ原理って事か?ええい、物は試しだ!俺はロングカリバーにエネルギーが満たされていくようなイメージを行う。
バチバチバチバチ!
すると刃の部分全体に、エネルギーで出来た刃のようなものが形成された。おお、なんかいけそうだ!俺はロングカリバーを頭の上へとかざし、ブンブン回転させてから、勢いよく振り下ろした。
「いっけええええ!」
シャキィィィィン!
「なんだと!くっ……!?」
振り下ろした勢いで、エネルギーの刃がまるで波のように飛んで行った。それも、クナイガンのエネルギー弾を切り裂きながらだ。
残念ながらソルには躱され、威力のほどは分からなかったが……遠距離でも俺が勝る事が確定した!本当……奴がパーフェクトゼクターを持って無いのが救いだな。
そう言えば……ハイパーガタックにも、マキシマムハイパー系統の必殺技は用意されているのだろうか?手探りで何ができるか確認している状況だからな、必殺技に関しては慎重に行かなくては。
『マスター。どうやら……エネルギー刃の射出は、ロングカリバー形態しか不可のようです』
『飛ばすのは、だな?』
『流石マスターです。纏わせるだけ、ならば……二刀流でも行えるようですよ』
エネルギー効率が良くなった……とは言っても、ガタックのエネルギーを直接削っての攻撃だ。多用が出来ないのならば、限定されている方が有難い。
とは言え、今回は出し惜しみはナシだ。俺はソルへの連撃を行った時同様に、振り回しながらX字を描く。さらに、エネルギーを継続的に流し続けると……。
先ほどよりは小さいが、大量のエネルギー刃が継続してソル目がけて飛んでいく。どうやら適当に振っても、割とホーミングするらしく、大半がソルへとヒットした。
「くっ……おおおお!防戦一方だと……貴様なんぞに!」
「ハッ!よっぽど混乱中かい?その『なんぞ』に、明らかに押されてんだろうが……劣化コピーさんよぉ!」
「誰が劣化だ!俺が貴様に劣って良い事など、何一つあってたまるか!」
ここまで押されてて、随分と自信家なこった……。どうにも、その辺りは似なかったらしいな。人間謙虚が一番だぜ?まぁ最近になって、ようやく学んだことだが。
……っと、そんな事より、どうやら『来る』らしいな。ソルが左手を、左腰へと翳しているのが分かる。ハイパークロックアップだ……。
クロックアップで、あのリスクだ……ハイパークロックアップで、同じだったり何もないなんてことは、まずないだろう。しかし!俺はやるぜ……なんだって良いから、皆の為にあいつを倒す!
「「ハイパークロックアップ!」」
『『―HYPER CLOCK UP-』』
その電子音と共に、ハイパーガタックのクワガテクター各部は展開を始める。その展開方法は、凄まじく予想通りだった。顎が閉じたようなデザイン……と言ったが、それがハイパークロックアップに伴い一気に開く。
その様は、その強靭な顎で獲物を捕らえる準備が出来たと知らせているかのようだ。そして最後に、背中の甲虫と類似した部分が開き、カブトとは違い黄金の羽が一瞬だけ現れた。
そうすると、ハイパークロックアップが完了な訳がだ……実際やって見て、あまり通常のクロックアップとの違いが判らんな。まぁ良い……ココから先のアイツの行動は、読めているのだから。
「文字通り、コイツで『蹴り』だ!」
「同感だね、終わりにしようぜ!」
『『―MAXIMUM RIDER POWER―』』
俺達の力関係は、ほぼ均一だ。それ故どちらかがクロックアップをしたのならば、合わせて発動せねばならない。そうでなければ、好き放題にされるからだ。
必殺技に関しても、同じことが言えよう。相手が使ったのならば自分も使わないと、対抗する手段が無くなるのだ。もちろん、俺は受けて立つ気が満々である。
『『―ONE TWO THREE―』』
「ハイパーキック!」
「ハイパー……キック!」
『『―RIDER KICK―』』
ガタックゼクターの顎を開くと、通常時とは比べ物にならないエネルギーが右足に重訳する。そのエネルギーは通常時とは違い群青だ。本当に、何もかもハイパーカブトと真逆の色なのだな。
「おおおおっ!」
見ればソルは、背部のタキオンプレートから放出されるエネルギーを推進剤として利用しているようだ。恐らく、最もポピュラーなライダーキックの体勢で、こちらへ突っ込んでくる。
俺もすぐさま、タキオンプレートかエネルギーを放出した。すさまじい勢いで背中をグンッ!と押された感覚だが……これなら見劣りしないだろう。
蹴り込む体制は、勿論ボレーキックだ。こればっかりは、譲る事が出来ない。俺はボレーキックを振り切る寸前の体勢で前へ進んでいるため、レッグラリアート気味に振りぬいた。
「うおらぁっ!!!!」
ドゴォッ!ガガガガガガガガ!!!!
空中でぶつかる二つのハイパーキックは、凄まじい爆発音と衝撃波を生んだ。お互い渾身の力を込めた必殺技は、互角と言った所だろう。
「くっ……ぬぅおおおお!」
「おん……どれぇえええええ!」
俺もソルも一歩も譲らない……が、奴の執念が勝っているのか!?徐々に……押し返されて……!いいや、思い出せ……こんな時だからこそ、弱気になるな!
ハイパーガタックになれたのは、皆が居てくれたからこそ。それに報いるには、コイツをぶっ飛ばす……それしかないだろうが!アイツが渾身の力『だけ』なら俺はそれプラス……想いの力を込める!
「おおおおおおおおおお!!」
「エネルギーが……膨れ上がった!?」
「ブッ……飛べええええ!!!!」
ガギィ!!!!
「ぐああああ!」
まるで俺の想いに答えるかのように、右足のエネルギーが突然に威力を増した。俺はそこから更に力を籠め、完全に右足を振り切った。と、同時に……ソルのハイパーキックに勝った!
だが、まだだ!これではただ吹き飛ばしただけ……確実に、仕留める!俺は吹き飛ばしたソルの方向へ、タキオンブースターを全開にし追撃を開始する。
そのまま調度いい間合いを取ったら、足を縮めてから……思いきり伸ばす!ピンと張った俺の前蹴りの威力が、最大到達地点となった瞬間に、ソルの腹部へとハイパーキックが叩き込まれる。
「ぬどりゃぁ!!!!」
ズドォン!ドガアアアアアアン!!
「ぐ……おおおおおおおお!?!?」
『『―HYPER CLOCK OVER―』』
俺のキックが決まり、ソルが吹き飛ばされた数瞬だった。カブトは明らかにヤバそうな電流を上げ、大爆破を起こす。すさまじい爆風を、よくよく観察……している暇が無かった。
「ぬぐぅ……っ!?」
体中に、ハンパでない痛みが走る。以前にクロックアップを連続発動した時ほどでは無いが、確実にクロックアップを使用した時以上の痛みだ。
恐らくハイパークロックアップを連続使用したら……死ぬな、ショック死で。それくらいの予感をこの痛みからは感じたのだ。
『マスター……他のISの反応が』
『おうよ……』
そう、先ほどから……カブトの反応は消え失せている。その代わりに、突然と言った感じで現れた反応があったのだ。その正体は……サイレント・ゼフィルス……。
煙が晴れると、ソルを肩に担ぐように抱えているあの女が居た。ソルは気絶か?まぁカブトが強制解除されているようだし、まず間違いはないだろう。
「どうも、お引き取りご苦労さん!」
「…………」
俺はわざとらしく、敬礼するようにした。それに対して、あの女は何も答えない。さぁて、どう来るか……正直な話だが、今相手するとなると厳しいぞ。
すると女は、とっとと背を向けてどこかへと飛び立つ。なるほど……回収だけが目的か、助かっ……てねぇ!そうだよ、ソルを倒したんだから……ワームを何とかしねぇと!
『青子!もう一発いけそうか?!』
『先ほどのですか?ええ、もう一発だけならばなんとか』
『了解!』
『―MAXIMUM RIDER POWER―』
エネルギー切れが心配だったため、青子に確認を取ってからハイパーゼクターの顎を開いて閉じた。そしてさらに、先ほどまで仕舞っていたハイパーカリバーを再び手元に呼び出す。
何がしたいのかと言うと、俺には前世の頃から『やれそうだ』と思っていたハイパーガタックの必殺技があった。それすなわち、ハイパーカッティング(仮)である。
ハイパースティングやハイパーシューティングがあるのだから、おかしくないと言う安易な発想だが。それでも威力はお墨付き……試してみる価値はある。
俺は急いでワームと戦っている皆の付近まで移動した。どういう物になるかは分かった物では無いので、この辺りで発動させるのが吉だろう。俺は、ハイパーカリバーを鋏の形へ連結させた。
「ハイパーカッティング!」
『―MAXIMUM HYPER HURRICANE―』
…………はい?今……何つった?マキシマムって言った?ハイパーって言った?ハリケーンって言った?…………嘘おおおおおおおお!?!?!?!?
マジかよ、今のがマキシマムハイパー系統の必殺技!?完全に予想外だった…………。すると、ハイパーカリバーからエネルギーが完全に溢れ、超絶巨大なガタックゼクターのような顎を形成した。
つまりは、マキシマムハイパータイフーンと同列の必殺技って事か?あっ、良く見たらエネルギーの感じが似てるな……って、言ってる場合か!このままでは……皆を巻き込んでしまう!
「ちょっ……真ぉ!何やってんのアンタ!」
「お、お待ちください!冗談で済まない大きさですわよ!?」
「い、いや……俺も想定外で……」
『マスター!顎の空間に、超強力な重力場が発生しています!このままでは、彼女らが引き寄せられますよ!』
何いいいい!?つまりはアレか、重力場で引き寄せて、そこを顎で挟み込む必殺技な訳だな!?本当にそれはマズイ……とにかく、本気で急いで退避命令だ!
「あ、あれ……?なんか、顎の方に引き寄せられてない!?」
「そ、そんな馬鹿な事……ある!」
「一夏達……言ってる場合じゃ……ない……!」
「お前ら、死にたくなければ急上昇もしくは急降下だ!」
青子の分析によると、発生している重力場は割と『面』の効果範囲らしい。つまりは、上か下かに逃げてしまえば効力は薄いという訳だ。
俺の死にたくなければと言う指示に、全員がすぐさま従った。一目散に専用機持ち達は、重力場から逃れる。対して、大量のワームは団子状に塊り身動きが出来ないようだ。
「よっしゃあ!コイツで……シメだ!」
俺はマキシマムハイパーハリケーンの顎を出来るだけ大きく開き、ワームの塊に接近していく。そして、塊が調度いい位置に着た瞬間、思い切り顎を閉じた。
ギャリィ……スパン!ズドォォォォン!!
思いのほかとんでもない切れ味で、大量のワームは一斉に輪切りにされた。まるで手応えが無い……。なんて考えている内に、ワームは緑色の爆炎を上げ完全消滅した。
マキシマムハイパーハリケーン……どこらへんにハリケーン要素があるかは分からんが、とりあえずだ……生物に対して使うのは、止めておこう。まぁ……それはとにかくだ。
「……よしっ!」
「良くない……殺す気か!?」
「戦友よ、流石に冗談きついぞ」
「お姉さんもビックリしたわ……」
一件落着と思っていたら、皆がギャーギャーと文句を言いながら集まって来た。うん……俺が悪かったのは認めるけどさ、だってしょうがないじゃん……初めて使う技だし……。
鈴なんか、心配させた分も含めて殴らせろなんて言って来る。俺もそうさせてやりたい所だったが、今殴られたら本気で死んでしまう。普通にしてるだけでも苦しいのに……。
そうやって必死に訴えていると、なんとかなったらしいが……とりあえずまた後日と言う事になった。結局のとこ、俺が殴られるのは確定しているみたいだな……。
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「あれ?真……早かったな」
「んぁ?あぁ……小言だけで済んだよ、今はな」
学園に帰ると、待ち受けていたのは鬼軍曹だった。いつもの通りに長い説教だと思ったら……意外な事に、謝罪から始まった。どうやら織斑先生は、俺の秘密を知っていたらしい。
それを俺に打ち明けてやれなかった事と、俺の許可なしに皆に話したことに対して……だそうだ。別にそこは、既に受け入れられたし……話したことに関しても、言う事は無い。
その後は、俺の居なかった間についての話……。逃げたのは事情が事情だし許容範囲であるが、書類上は無断欠席扱いとなるらしい。だから逃げた事に関しては、怒られなかった。
ただし、大勢の人間に心配をかけた事に関しては、こっぴどく……。これには俺も、ぐうの音も出ない。だから明日ももう一日休ませてもらって、謝罪に回る予定だ。
それで、今は自室に帰ってきたところだ。一夏は制服に着替えている。時間帯的にラボラトリ襲撃が朝だったからな、これから普通に授業なのだそうだ。ちなみに俺は、今日はもう休んで良しとのこと、明らかに俺の酷い顔を見ての判断だろう。
「そっか……。なぁ、真」
「なんだよ?」
「帰って来てくれて、ありがとな」
「ハッ、なんだそりゃ。まぁ……なんだ……待っててくれて、ありがとよ」
俺がそう返すと、一夏は照れくさそうに笑った。そうして黙って、固めた拳を俺に突き出す。俺は少しきつめに握った拳を、一夏の拳に叩きつけた。
「それじゃ、俺はもう行くから。しっかり寝ろよ?今の真、ゾンビみたいだからな」
「わぁってら。……気ぃつけてな」
「おう、行ってきます!」
そう言い残すと、一夏は元気に部屋を飛び出て行った。……行ったか、良かった……そろそろ『我慢の限界』だった所だ。俺はドタバタとよろけるようにして、流し台にもたれかかる。
「ゴホッ!ゴホッ……ゴホッ!カハッ!……っはぁ……はぁ……そりゃ、筋肉痛だけで済むはずが……ねえよな……」
俺が盛大にむせ返ると、口から鮮血が放たれ流し台へとこびり付いた。所謂……吐血である。それだけなく、心臓もどこか苦しい。
どこからどう考えたって、ハイパークロックアップの弊害だろう。心配させまいと耐えてはいたが、こうも酷いとは……。俺は流し台の極々小さな血だまりを、憎々しく睨む。
毎回……これで済むと良いのだがな、皆に悟られたくはない。もしかすると、コレからハイパークロックアップを使うたびに、俺の体は蝕まれていくのかも知れん。
「どうか……もってくれよ……。アイツを……止めるまでの間で良いんだ……」
俺は誰かに懇願するように、そう呟く。完全なる決着を、早く済ませなければな……。落ち着きを取り戻した俺は、蛇口をひねり血だまりを洗い流した。
真、圧勝!
そして、相変わらずリスクが付きまとう私の二次創作クオリティ。いろいろ悩んだ結果ですが、命に係わるかも知れない感じのアレで……。
まぁ、今の所はこの描写だけにさせてください。真の体が蝕まれていくのか、いかないのかは、これからの展開次第と言う事で。
あとね……相変わらずセンスの欠片も無いオリジナル要素ですわ。うん?パクリだって?アレは違うから、リスペクトだから……。今後も増えて行ったりするかもしれないです。
次回は、真が謝りに行く回。主に新とか、ZECTの面子とか。
それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。