戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

この間ふと本屋に立ち寄ると、仮面ライダー公式写真集ってのが出てました。速攻で買い、家で本を開くと……いい買い物をしたなと思いましたね。

初代からドライブまでの主役ライダーを主にした写真集なのですが、各ライダーのキャッチコピー的なのがもう最高!コピーライター様GJと言うしかない!

長くなるので内容はお伝えできませんが、ぜひ皆さんの目で確かめてみてください。

それでは皆さん、次回もまたよろしくお願いします。


六章 ~振り絞れ、その命~
久方の日常(ほのぼの)ですが何か?


「ふふん、アタシに勝とうなんて百年早いって事よ!」

 

「声、震えてっぞ」

 

 胡瓜の漬物をボリボリと齧りながらそう指摘すると、鳳は少し苦い顔をした。というのも、今日は模擬戦の相手を鳳にしてもらったのだ。結果は鳳の言う通り俺の負けだが……惜しい所までは追い込めた。あと一歩だな、うん。

 

 このところ暇を見つけては、専用機持ちと模擬戦をしている。一夏、篠ノ之には普通に勝利。オルコットには苦戦しつつも何とか……で、今日は鳳と。次はデュノアかボーデヴィッヒだな、暇な時が無いか聞いておかなくては。

 

「あ、相性が悪いのよ!何?あのアンカー!」

 

「ん?まぁ双天牙月と龍砲しか積んでねぇ甲龍にゃキツイ兵装だろうな」

 

 それでも負けてるんだけどね……。シザーアンカーで鳳の動きを制限しつつ、バルカンやガトリングでチマチマと攻めていたのだが、鳳がそんな細かい事を気にする性格ではないのを勘定に入れてなかった。

 

 エネルギー弾を受けつつも、こちらに突っ込んでくる鳳は、なかなかに迫力満点であった。小柄な体に秘めたるパワフルさ……そのギャップからくるものかもしれない。

 

「つか、良いのか?なんか俺と普通に二人きりだが」

 

「は?なんで真がそんなの気にすんの」

 

 模擬戦が終わった流れで食事に誘われたのだが、特に他のメンバーが居る様子では無かった。俺も今日は整備室のメンバーと一緒では無い。

 

 どうやら鳳は、俺が何の心配をしているのか察したのか『あ~……』と呟くが、その視線は何処か遠い。そこで俺はようやく、特に心配する必要が無いのに気付いた。

 

「一夏の事なら言いっこナシね。アイツがそんな事を気にするなら……アタシ達はそんなに苦労してないわ」

 

「それもそうだ。スマン、失言だな」

 

 何やら、少し落ち込まさせてしまったようだ。苦労かぁ……一夏を好きになった者に対する試練なのだろうか?というか、最近になってそうとしか思えなくなってきた。

 

「アンタこそ良いの?あの二人」

 

「大丈夫……だと思う。俺が鳳を口説きに行かない限りはな」

 

「何それあり得ない」

 

「だろ?」

 

 真顔で言われると、なかなかにダメージが大きい物だ……表に出さないではいるが。つーか、何だ鳳……その微妙そうな顔は。俺が口説いてるところを想像でもしたのだろうか?多分だけど、想像がつかないと思う。

 

「ねぇ、実際のとこ……どうなわけ?」

 

「どう……ねぇ?どうなんだろうな……俺が一番よく分からん」

 

「男らしくないわね」

 

「そこは一番俺がよく分かってる」

 

 近頃になって、こういう事は良く聞かれる。結局、簪と本音のどっちを取るのか……と。まぁ……そりゃ聞かれるよな、二人同時に友達以上の関係を保っていたら。

 

 男ならとっとと答えを出すべき……分かってはいるが、やっぱなぁ……決めきれんよなぁ……あんな良い子二人の二択で……。なら二人同時?それは無い、絶対認めん。

 

 完全に俺の我儘だが、男は一人の女を愛し、守ってこそナンボ……恋人としての話だけども。その辺りはしっかり親父の血なんだろうなと思う、親父がお袋を愛したように……。

 

 俺の我儘で、二人を苦しめている事だろう。だったら早くしろや……と言いたくなるかもしれん。でもよく考えても見ろ、それこそ簡単に決めて良い事ではないんだ。二人とも……真剣に俺を……その、好いていてくれるのだから。

 

 つまり俺は、どちらか一方を傷つける覚悟が出来ていないのだろう。甘ちゃんだなぁ……それが二人をより苦しめるっつってんだろうが、このヘタレが!……自分に言い聞かせても、効果は薄いらしい。

 

「あ~……クソがぁ……どうすりゃ良いんだろうなぁ~……」

 

「な、なんか……アタシが思ってたよりも悩んでるみたいね」

 

「まぁ……見て見ぬフリしてた所はあるから……。いやさ、俺もさ、ズルズルこのままって訳にもいかないってのは分かってんだよ……。だけど簪も本音も同じくらいに天使だし、んなもん決めろって方に無理があんだって。あ~あ~……最低だな~俺は……。フフフフフフ……フィクションの中でハーレムハーレム言ってる連中が羨ましいや……俺の脳ミソもそれくらい単純に出来てりゃんな悩まなくて……」

 

「ちょっ、ストップ!ストップ!アタシが悪かったから、帰ってきなさい!」

 

スパコーン!

 

 頭に謎の衝撃を覚えて、ハッ!?となった。……?俺はこの数分間、いったいどうしていたっけか……。ダメだ……全く思い出せん。何やら鳳が息を荒げている……何かあったのだろうか?

 

「なんか、真の面倒臭い一面を垣間見た気がするわ……」

 

「んだいきなり、面倒臭いとは」

 

「あっ、本当に記憶が飛んでるのね。じゃあもう良いわ、早く済ましちゃいましょう」

 

 き、記憶が飛んでる……?さりげなく恐ろしい事を言われた気がするのだが……。あ、アレか?織斑先生にでも叩かれたのかもしれない。入学したての頃に、四連撃を喰らった時にはもう気絶するかと思ったし。

 

 織斑先生なら仕方が無いな!そうと分かれば、鳳の言う通りに食事を終わらせよう。さて……部屋に帰ったら鳳戦の傾向と対策だな、甲龍の性質上からして、さほど時間はかからんだろう。

**********

「う~っす……って、のわぁ!?なんだお前ら……何があった!?」

 

「あ~……かがみ~ん……」

 

「大丈夫、大丈夫……ちょっと根本的な問題にぶち当たっただけだから……」

 

「それ深刻だろ!?」

 

 翌日明け、シャルロットとラウラの予定も空いておらず、生徒会等々の用事も無かったため、真は整備室に顔を出した。すると入ってみるなりズーン……と一同が暗いオーラを放っているのに心底驚いた。

 

 櫛灘は大丈夫と言うが、決して大丈夫そうな感じでは無い。というか、根本的な問題は『ちょっと』とは言わなないものだ。とにかく真は、簪から事情を聞いてみる事にしたようだ。

 

「なぁ……根本的な問題って?」

 

「うん……火器管制システムの方で……ちょっと問題が……」

 

 打鉄弐式には、高度な誘導ミサイルを搭載している。六基のミサイルポッドが、計八発ずつ……つまり、最大で同時に四十八発のミサイルを撃てると言う代物だ。

 

 しかし、肝心な事に四十八発を全て独立で稼働させる……いわゆるマルチロックオン・システムがどうしても完成しない。それが『根本的な問題』という訳だ。

 

 真はなんとなく事情は読めたものの……どちらかといえば『そんな物騒な装備を積んでるのか』とあっけにとられていた。チラリと打鉄二式を眺めると、ミサイルが群れを成して飛んで来るビジョンが見える。

 

(お……恐ろしっ!)

 

「真……?」

 

「い、いやぁ……なんでも無いぞ?」

 

 不思議そうにこちらを見てくる簪に、少しばかり真はたじろいだ。何かを誤魔化しているのは明白だったが、簪は特に追求はせずに、視線を打鉄二式に戻した。

 

「諦めた方が……いいのかな……?」

 

「ダメ~!それはぜ~ったいダメだよ~かんちゃ~ん!」

 

「そうよ!ここまで来たんだから完璧にしたいじゃん!」

 

「でもさ、なかなか私達だけの力じゃ現実的な事を言ってないのも確かだよね。別に諦めるって言いたいわけじゃないけど……」

 

 簪の弱気な発言を皮切りに、少しばかり小競り合いが始まってしまう。それをよそに、真は打鉄二式の前を行ったり来たり行ったり来たり……。真は、ある事で迷っているのだ……もちろん、マルチロックオンについて。

 

(……マルチロックと言えば、ガタックミサイルもそうなんだよなぁ……)

 

 そう、ガタックミサイルも四つの砲門に八発ずつ計三十二発を最大四発同時にロックできる仕様だ。打鉄弐式と比較すると、同時発射数は10分の1以下だが、確実に参考になるはず。

 

(いや~……でもなぁ……企業所属のテストパイロットな手前……勝手な判断で技術提供をする訳にもいかんし……)

 

 真が迷っているのは、そこについてだ。ミサイルをはじめとするガタックに関わる事柄は、全て岬が率いるラボラトリの血と汗の結晶……そう思うと、真は簡単にデータを公開できなくなる。

 

(んなケチ臭い事を言わないでデータくらい……いやいや、でも……)

 

 簪は助けてやりたいが、自身の立場を考えるとジレンマが生まれる。そのせいで真は、やっぱり打鉄二式の前を行ったり来たり……している間に、携帯が鳴った。

 

 こんな大変な時に誰だ……と思ってディスプレイを見ると、やはりと言うかなんというか、電話の相手は陸だった。今それどころでは無いと頭を悩ませながらも、真は電話に出る。

 

「爺ちゃん?悪ぃけど今忙し……」

 

「私も少々忙しいのでな、手短に言うが……近くに更識 簪君は居るか?」

 

「はぁ……?居るけど、簪に何の用事だ?」

 

『それは彼女に直接話す』

 

 真は自分の近くで論争を続ける簪の元に歩み寄った。耳元でボソボソと『顔貸してくれ』と呟くと、簪はコクリと頷き輪から外れた。そして真は、どうにも収拾のつかない残りのメンバーを沈めた。

 

「まぁお前ら、ジュースでも飲んでリラックスしな」

 

「……加賀美君に賛成!」

 

「そうだね~ちょっと落ち着こうか~」

 

「でもいいの?加賀美君。なんか完全に奢ってくれる感じだけど」

 

「構わん。いやらしい話……貰うもんは貰ってっから……」

 

 財布から野口英世を取出し、相川達に手渡した。申し訳なさそうに鷹月から問われると、真がテストパイロットなのを思い出したのか『そっか』と小さく呟く。

 

 四人はしっかり真に礼を言うと、とりあえず自動販売機の方に向かう事に。これで思惑通りに真と簪の二人となった。それを今一度確認すると、真は携帯の通話状態をスピーカーに変更した。

 

「待たせたな、ちっと人払いをしてた」

 

『それは構わんが、どうしてスピーカーだ?』

 

「爺ちゃんと簪をサシで話させれるかよ……いろいろ心配だっつーの」

 

「え……?お爺……さん?…………ZECT……会長?」

 

 スピーカーから響く声と、真が発した『爺ちゃん』という単語から、簪は真の通話相手が加賀美 陸だと理解した。真も一応だが肯定の意を示し、コクコクと首を頷かせる。

 

「…………」

 

「この時点でパニック!?」

 

『ハッハッハ……』

 

 ZECT会長が自身に用事と知って、平然としていられる方がおかしいだろうが……。簪の場合は、目がグルグルと回転し、シュー……と頭から煙が出る。真は簪を落ち着かせると、自分が仲介する事で話を進めた。

 

「さて……まぁ、自己紹介とかからいくか?」

 

『そうだな……。初めまして、私はZECTグループ総会長を務める加賀美 陸という者だ。以後、よろしく』

 

「こっ、こちら……こそ……。更識 簪……です」

 

 真は思った……簪のたどたどしい挨拶を聞いて、さぞかし顔をニヤつかせているのだろうなぁ……と。いかんせん悪趣味な祖父に辟易としながら、気を取り直し仲介役を続けた。

 

「で?簪に何の用事だ?」

 

『うむ……その前に簪君。そちら、更識と我々ZECTが正式に協力する事になったのは、耳に入っているかい?』

 

「は……はい。姉から、なんとなく……」

 

「はぁ!?なんだよ、初耳だぞ!」

 

 真は学園祭での陸と楯無のやり取りを、全く聞かされていなかった。思わず不満を出して陸に訴えかけるが『話す時間が無かった』で済まされる。しかし、そう言われてしまえばつけ入る隙が無かった。

 

『そこでだ、簪君。この際だから我々の所属になる気はないか?』

 

「…………えぇ!?そ、それって……言葉通りの意味……ですよね?」

 

「い、いや爺ちゃん、ちょっと待てって!そんな簡単に言うが……その、政府とかIS委員会とか、倉持技研とかは!?」

 

『あぁ、五月蠅いから黙らせた』

 

「え、えぇぇぇ~……?」

 

 自由奔放な祖父に、なぜか孫の方が気苦労を感じるこの始末。真は『そう言う人だった』と納得がいくが、聞いている簪はまたパニックを起こしている。

 

『我々としては、更識にささやかな力添えのつもりなのだよ。実質、倉持からのサポートは期待できん状況……そうだね、簪君』

 

「はい……」

 

 簪は暗い雰囲気で未完成の打鉄二式を眺めた。専用機すら7割近い歓声で放置されたのだ……追加パッケージ等々は、夢のまた夢だろう。そんな簪の置かれている状況に、陸は多少の憤りを覚えているようだ。

 

『嘆かわしい事だ……祖国の候補生が受ける仕打ちではない』

 

「…………」

 

『私は、君に成果は求めないつもりでいる。それでいて、我儘には答えるつもりだ。気を楽にしてくれればいい……我が孫も、名ばかりのテストパイロットなのだからな』

 

「おい、泣くぞ」

 

 つまりは、無償で装備から何までの世話をする……陸はそう言っているのも同然だ。だが簪からすると、警戒せざるを得ない。開発にだって金はいる……この話はZECTに全くの得が無い。

 

「どうして……ですか?どうしてそこまで……」

 

『孫が世話になっているから……と言っても、信じては貰えないのだろうが……。こちらに打算的な発想は無い。まぁ……亡霊に対する戦力強化とでも思いなさい』

 

「それなら、お姉ちゃんを……」

 

『彼女はロシア代表……となると、堂々と我々の所属にしてしまうのなら、君の立場は都合がいい』

 

 真から聞いて、陸の言葉に嘘偽りは感じられなかった。単純に簪の力になりたい……本当に、それだけ。警戒するのは当然だが、簪を騙して陸に得がある訳でも無いのだ。それも陸の日頃の言動のせいで、全く汲み取っては貰えていないが。

 

『とにかく、後は君の返答次第となる。かと言って、今すぐ答えが欲しいとも言わん。ゆっくり考えたまえ……考えた末に断ると君が言うのなら、すっぱりと諦めるとも』

 

「いえ、そのお話……受けさせて下さい……」

 

「…………」

 

 提案されたその場で肯定の意を示すのは、即答と言って良いだろう。陸はある程度だが、簪の人間性は把握していたため、即座の返答に少し驚いているようだった。真は、自分の口出しする場ではないと、口をつぐんでいる。

 

『勧誘したのはこちらだが、良いのかね?簡単に決断してしまって』

 

「はい……。真は……貴方を信じていますから……。私も……そうしたいんです」

 

『ほぅ……それはそれは……。嬉しい事を言ってくれる……なぁ?孫よ』

 

「うっさいな……」

 

 真は、陸本人が目の前に居ないのに、照れたように頬を掻きながら目線を明後日の方向にやった。そんな真の様子に、簪はクスリと微笑む。陸もまた、自身の孫から寄せれる信頼を嬉しく思っているようだ。

 

『それでは、簪君。此度の快諾……心より感謝する。それと同時に、我々ZECTは君の事を歓迎しよう』

 

「感謝するのは……私の方です……。本当に、ありがとうございます……」

 

『うむ……書類上の手続きを終え、それから正式にZECT所属を名乗って貰おう。それまで、他言は控えてくれたまえ。身内なら構わないが……』

 

「爺ちゃん、その手続きってのは……爺ちゃんを尋ねれば良いか?」

 

『正確に言えば、君らの所属はラボラトリの方だ。……岬主任に任せるとしよう。こちらから話はつけておくから、適当に尋ねなさい。その際は、真が丁重にエスコートするように』

 

 真は短く『了解』と答えつつも、簪をラボラトリに連れて行きたくは無かった。なぜなら、半ばガタックを神とした宗教団体と化している『あの場所』を見せる事になるからだ。

 

 ラボラトリは真が尋ねるたびに、賑やかになって行く。今度尋ねた時には、祭壇でも出来ていそうな気がした。真は心の中で乾いた笑みを浮かべると、陸との通話を断った。

 

「なんか……信じられない……」

 

「なにがだ?」

 

「私が、あのZECT所属になるなんて……」

 

「『あの』って……『どの』かは俺にはよく分からんが。とにかく……コレから同じ所属だな、改めてよろしく、簪」

 

「うん……」

 

 真と簪はお互いに右手を差し出すと、固い握手を交わした。握手をしたことによって、思い出す。簪がZECT所属になるのなら、マルチロックの技術提供に憂いは無くなる事に。

 

 それは本音たちが帰って来てから……と思っていた矢先の事だ。ガヤガヤと整備室の入口から、四人が現れた。本音を筆頭に、各々飲み物を手にしている。

 

「たっだいま~。かがみ~ん、かんちゃ~ん、どっちのお茶が良い~?」

 

「どっちって……あぁ、緑か紅いかの差な。簪、先に選んで良いぞ」

 

「じゃあ……緑……」

 

 本音はノロリと二人に近づき、簪には緑茶を、真には紅茶を手渡した。それと同時に真にはお釣りも一緒に渡される。釣りを財布にしまうと、小休止が始まった。

 

 休憩している間に、当然なぜ簪が残ったかの話題になるが、今さっき釘を刺されたばかりだ。二人は適当に誤魔化すが、かえってそれが怪しまれることとなり、相川と鷹月の両名にいじられる。

 

 そんなこんなで休憩を切り上げると、再度マルチロックについて話し合いを……という提案が出るが、その問題に関しては既に解決済みだ。真はガタックゼクターを呼ぶと、武装に関するシステム部が呼び出された。

 

「コイツを見てくれ」

 

「これ……マルチロックシステムだよね!?」

 

「ああ、ガタックミサイルも実はそのシステムを……」

 

 解説を入れようとするが、五人は一斉にガタックゼクターの背部から映し出されている空間投影型ディスプレイに釘付けになる。そこから真にとっては、聞いても意味が解らない言葉の羅列で会話が始まり、困惑する。

 

「てゆーか、加賀美君……出し惜しみしてたって事!?」

 

「いの一番に見せなきゃダメでしょ!」

 

「私達の落ち込みを返してよ!」

 

「い、いや……それは分かってるが……。俺の都合も少しは考慮してくれると有難い……」

 

 真は三人に詰め寄られ、タジタジな様子だ。最近の真は、かなり悪口を自重しているため、言われたい放題である。だんだんと小さくなっていく真に、本音は助け舟を出す。

 

「ま~ま~……かがみんを責めてもしょうがないよ~。かがみ~ん、このデータはさ~、私達が好きに使って良いんだよね~?」

 

「うん……まぁ……はい……。なるべく、マルチロック以外は勘弁していただけると……」

 

 本音に止められ落ち着いたのか、三人はようやく言い過ぎた事に気が付く。真にちゃんと謝ると、仕切り直しと言わんばかりに、マルチロックシステムを指さした。

 

「よ~し!これだけ豊富なデータがあればなんとかなりそうね!」

 

「うんうん、今日中に完成させちゃうくらいのつもりで……いきましょうか!」

 

 こうして、マルチロックシステム騒動は無事に終わりを告げた。もうすぐ完成の見えてきた打鉄二式に、全員胸が躍るのを感じていた。

 

 肝心なのは、完成させて動かす所だが、もはや六人には失敗するという弱気な発想は持ち合わせてい無さそうだ。ラストスパートをかけるメンバーは、時間も忘れて整備に没頭するのだった。

 

 

 




簪がZECT所属に決定しました。

これはものすごく急遽でしたね……。更識とZECTが協力する事になったのは良いのですが……友人に『更識だけ、負担が大きくないか』と指摘されまして。

それもそうだと思いましたね、ええ。更識は真を預かってるのに、ZECTなんにも更識のためになる事をしてねぇや。

だったらどうすればと問うと『ZECT所属にすれば?』と返されました。友人のアドバイスを丸々採用する二次創作作者の屑。

そんなやり取りの末、簪のZECT入りが決定。……打鉄弐式の追加パッケージのアイデアももらっとこ……。

次回は……未定!個人的に少し迷っている部分がありまして、それが決まり次第に書き始めます。悩んでる事については、活動報告に載せる予定です。

それでは皆さん、次回もまたよろしくお願いします。

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