戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

皆さんのおかげで「戦いの神(笑)ですが何か?」も五十話に到達いたしました!思っていたよりも、あっと言う間でしたなぁ……個人的にですけど。

とにかく、これからも最終話を目がけて突っ走って行く所存です。どうか皆様、これからも未熟な作者を応援のほど、よろしくお願いいたします!

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


加賀美 真 強化計画(始動)ですが何か?

「よ~し、諸君!今日もあのカブトムシ野郎を跡形も無く消滅させるため……会議を始める!」

 

「おお!我らが神に仇なした奴を許すな!」

 

「奴に血の制裁を!神に勝利をもたらすのだ!」

 

「スミマセン、間違えました」

 

 そう言って俺は思い切って扉を閉めた。いつの間にやら、どこぞの宗教団体の集会所に来てしまったらしい。うん……とっととラボラトリに向かわなければ、こんな所で油を売っている暇はない。

 

「ちょっと待って加賀美君!現実逃避はダメよ!」

 

「あれ、岬さん……何でこんな所に?ハハハ……馬鹿言っちゃいけないですよ、ここがラボラトリな訳が……」

 

「ええ、私だってね!自分の研究室を乗っ取られた気分よ!それでも毎日ここで仕事しているの、分かる!?」

 

 岬さんは涙目、涙声になりながら必死に俺を前後に揺さぶる。そう……ここは紛れも無くZECT統括先進技術研究施設ラボラトリ……俺が、実質的に所属している企業だ。

 

 今日が約束された日だから赴いたのに、なんなんだ?どうしてこう……ココの人達は俺を祀り上げようとするんだ。正直扉の奥に入るのはもう嫌だ……死ぬほど帰りたい。

 

「ほら、行くわよ加賀美君!」

 

「ええ~……勘弁してくださいよ岬さん」

 

 岬さんは、ストレスでも溜まっているのか、無理矢理俺を引っ張って行く。なんだか原作のカブトにて、親父が叱られてる時とかがこんな雰囲気だった気がするな……。

 

「我らが神のご到着だ!」

 

「はいはい……分かったから、アンタらはそのまま続けててくれ」

 

「はっ、ご指示通りに!」

 

 俺が現れたことにより、会議をしていた連中はどよめくが、適当にあしらうとアッサリ言う事を聞いた。本当……それで良いなら良いけどさ、大人が十六の小僧にあんな態度ってどうなのよ?

 

「はぁ~……もう、あの横断幕は何とかならないのかしら……?」

 

「無理ですね、主任。外そうとしたら鬼みたいな形相で迫られましたよ。あっ、加賀美君……緑茶で良いかな?」

 

「頂ます……」

 

「僕は多分……マトモだから、何か相談事があったら話してね」

 

 イカン……涙が出そうだ。ここにもまだマトモな人が残っていたなんて……。あの二十代半ばと言った感じの男性の事は、これから兄貴と呼ばせてもらう事にしよう。

 

 ちなみに横断幕と言うのは、この研究室内にあるメインモニタの上あたりにぶら下がっているアレの事だろう。そこには『打倒!カブトムシ!』と大きく書かれている。なんだかここの人達は、カブトムシが嫌いになったのかもしれない。

 

「ごめんなさいね、加賀美君。勝手に盛り上がっちゃって」

 

「いや……良いんすけど、なんであの人達は……あんなに俺の事を持ちあげるんですか?」

 

「うん……私達はね、お互いの事を単純に仕事仲間だとは思っていないの」

 

「僕らはライバルであり、仲間であり、家族である……ですよね?主任。はい、お待たせ加賀美君」

 

「貴方の事も、家族だって思ってるのよ……もちろん私もね」

 

 岬さんと兄貴は、俺の方を見ながらニッコリ微笑んだ。家族……か、親父だけいれば十分だと思っていたが……何も血の繋がりだけがそうでは無いもんな……俺は少し感極まってしまう。

 

「それはとにかくとして、加賀美君に渡す……と言うより、返さなくちゃならない物が有るわ」

 

「ん……?おお、ガタックゼクター!元に戻ったんですね」

 

 岬さんの手から、ガタックゼクターが手渡された。子供がおもちゃを渡された……そんな感じのリアクションを取りながら俺は喜びを露わにした。

 

 その後しばらくは、故障個所と故障要因、それに対してどんな処置を施したのか説明を貰ったが……大半がチンプンカンプンだ。なんとなく整備室で簪達が使っていた用語を耳にしたが、そもそもその用語を理解できていないのだから、意味はなさなかった。

 

「と、とにかく……問題なく作動するって理解できときゃ良いですか?」

 

「そうね、死ぬほど要約したら結局はそう言う結論だから」

 

 し、死ぬほど……?岬さん的には、そこまで難しい事を言ったつもりでは無いのだろうか……。もしかすると、勉強不足だったり?案外、候補生達なら理解できたかもしれない。

 

「あの……今日は何をしに?と言うより、俺は何をしたらいいですか?」

 

「ん~……とりあえず、これから見せる映像を見て頂戴。今からメインモニタに……映すとまた大騒ぎね……私のPCを見て」

 

 岬さんがPCを操作すると、俺が行った試合の映像が流れた。これはどうやら……オルコット戦?なぜに三人称視点なんだ?ガタックの記録映像は、俺視点のはずだが。

 

 その事を尋ねると、ガタックゼクターは俺視点から記録した映像を別視点で再構築する事が出来るらしい。なにか……俺の知らない機能が満載だな、ガタックゼクターは。

 

「まぁ私達が研究した結果……いろいろと言いたい事は出来たのだけれど、まずはここね」

 

「……俺がダブルカリバーで連撃を加えてるところですね。ここが、どうかしましたか?」

 

「見ていて気づいたんだけれど、貴方……誰かのマネをしているでしょ?」

 

 ビンゴ……それは思いっきり当たりだ。俺がしている動き、それはガタックが……親父がしていた動きの再現だといっても良い。ボレーキックにも同じくだ……些細な仕草すらも。

 

「妙に型に嵌っていると言うか……それが立派な剣術なら問題ないけれど、やたらめったら振り回すのとあまり変わらないわよ?この動き。誰をマネしているのかは知らないけれど……」

 

「う……そうですね……」

 

 他でも無く、父親ですとは言えない。さほど気にすることは無かったが……他のISと違いガタックは、俺の生身の技術がそのまま反映されるからな……。確かに、このままでは些か問題が有りそうだ。

 

「対して改善策として参考になりそうなのが、この映像よ」

 

 これはつい最近……忘れようにも忘れられない。映し出されているのは、カブトとの戦闘だ。序盤、焦っていた俺は……ことごとく攻撃を防がれ、逆にチャンスを与えている。

 

「じゃ、この映像はガタックゼクターに入れておくから……参考にして頂戴ね」

 

「え!?その……具体的なアドバイスとかはないんですか?」

 

「あぁ、甘いわね。その程度の気構えじゃ、何度あのIS……カブトと戦っても同じ事でしょう。良い?加賀美君。貴方は、自分の悪い所は自分で気づかなければならないわ。私達が指摘するのは簡単な事よ、でも……それでは何も意味が無いの、私が言いたい事……分かるかしら?」

 

「……はい。よく分かります」

 

 俺は……思わず数秒前の自分をブン殴ってやりたい気分に駆られた。岬さんの言っている事は、何も間違ってはいない。本当……甘ったれも良い所だ。

 

「これは、貴方の為でもある……。親心……って所かしら?」

 

「大丈夫です。俺なりに答えは出して見せますから!」

 

「フフッ、頼もしいわね。それじゃ次は、貴方の伸ばすべき点ね」

 

 次に映し出されたのは、またオルコット戦だ。だがシーンは違い、俺がBTに囲まれギリギリの回避を繰り返している。そのまま続けて一夏戦……一夏の全力の袈裟斬りを受け流した場面……。

 

 そのまま一夏&デュノア戦……カブト戦と俺が何かしらを防いでいる、または避けているシーンがダイジェストで流れた。ここに、俺の長所ヒントが……。

 

「これも、ガタックゼクターに読み込ませておくわ」

 

「どうも……。だけど、今のって……」

 

「あら?やっぱり気づいていないの……?。私達としては、異常なまでの長所だって見解だけれど……。加賀美君は自分の事に疎いわね」

 

 岬さんは鈍感だと言いながら、俺をからかうように突く。ふむ……異常ねぇ……?本当に、俺にそういった俺だけの強みがあるのだろうか……。

 

「それで、貴方の長所と短所をハッキリとする方法があるの。一応言っておくけれど、動く必要があるわよ。貴方が自分の体に相談して、やるかどうか決めて頂戴」

 

「やります」

 

「即答か、お前ならそう言うと思ってたぜ!」

 

「田所さん!」

 

 そんな相談するまでも無く、俺が岬さんの問いに答えると、入り口から図ったかのように田所さんが現れた。その姿はスーツでは無く、なぜかジャージだ。オフだった……?いや、流石にプライベートでZECTロゴの入ったものは着ないだろう。

 

「元気してたか……ってのは、適当じゃねぇな。怪我の具合はどうだ?」

 

「右手は時々まだ痛みますけど……それ以外は全然、大したことは無かったので」

 

「そうかそうか!そいつぁ何よりだ!」

 

「痛い!田所さん、それが痛いです!」

 

 田所さんは豪快に笑い声をあげ、バンバンと俺の背中を強く叩いた。田所さんの掌は、広くて固く……叩かれた衝撃は背中の奥深くまで届く。

 

「じゃ、加賀美君。頑張ってね」

 

「プリーズ ミー 主語」

 

「簡単に言や、組手だな。もちろん、俺とだ」

 

 あまりにも主語が無い岬さんの言葉に、詳しい説明を求めると、代わりに田所さんが説明を入れてくれた。なるほど、だから田所さんはジャージ姿だったのか。

 

「よしっ、行くぞ真。場所はIS用の訓練施設だが、特別に仕様を武道場風にしてある」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 俺がキチッとした礼をすると、田所さんは満足そうに頷き、歩き出した。俺はその背中を小走りで追う……際に見送られるのだが、どうにもやっぱり神!神!と言われる……チクショウ……。

**********

 さて、所変わって訓練施設だ。そこには通常と違って、畳が一面……とまでは行かないが、生身で使うには十分すぎるほどに敷き詰められている。用意されていたジャージに着替えた俺は、田所さんと対峙している。

 

「始める前に、一つ聞きたい事がある。お前さん、喧嘩は得意か?」

 

「得意かどうかで聞かれると……まぁ、はい……イエスです」

 

 中学校に入り始めた頃からだろうか?俺は学校や、町のバカ……もとい不良と呼ばれる者たちに良く喧嘩を吹っかけられていた。怪我とかはするものの、負けたことは一度も無い。

 

「だろうな、そんな感じはしてたが……それは、相手がアマチュア、またはそれ以下だからだ」

 

「どういう……意味ですか?」

 

「二流、三流……確かにそのレベルなら、真でも通用するだろう。所がだ……俺達プロ、言い換えるなら一流の人間……こいつ相手にゃそう上手くいかねぇ」

 

「…………」

 

「つまり、お前さんは未熟ってこった。このロートルにも勝てやしねぇだろうよ」

 

 田所さんの表情に、先ほどまでの朗らかさは無く、真剣そのものだ。と言う事は、冗談で言っているつもりも、挑発で言っているつもりも無い……そう言う解釈をした方が良いのかもしれない。

 

 この人は……本気だ。本気で一切、微塵も、全く、俺に負けるなんて思ってはいない。俺はそれに対して、特に苛立ちや怒りを感じなかった。なぜなら、田所さんは決して俺の事を舐めているわけでは無いからだ。

 

 明らかな格下相手に、手加減なんてかけるつもりはないのだろう。そう……田所さんの表情が物語っていた。そのおかげか俺は、自然に田所さんに胸を借りる気構えが出来上がる。

 

「精一杯……貴方に俺をぶつけます」

 

「い~い面構えだ……。ったくよぉ、惚れちまいそうだぜ」

 

 そうして、俺と田所さんの間に流れる静寂……。まるで……真剣を持った者同士の立ち合い。少しでも動きを見せたら、斬られてしまいそうだ。が……仕掛けない事には始まらない!

 

「おおおおッッ!」

 

 俺は大きく振りかぶった右の拳を、田所さんの顔面目がけて振りぬく。田所さんは当たり前のようにパシッと俺の右手を掴むが、簡単に取られると思っていた!

 

 既に行動は次に映しているッッ!俺は全力で放ったが故、浮いた右足をパンチと同時に動かし始めていた。そのまま、一歩踏み出すようにして、田所さんの内腿を……削ぐように踵で蹴り込むッッ!

 

「ん、やっぱり素人だな……」

 

「なっ……!?」

 

 俺は確かに田所さんの内腿を狙ったハズ……!?それなのに、いつの間にか俺の足は小脇に抱えるかのようにして田所さんにロックされていた。掴まれた……そこから待ち受けるのは……!

 

「おらぁっ!」

 

ズダン!

 

「ガッ……!ゲフッ……ゴホッゴホッ!」

 

 田所さんは、俺の残った軸足をクイッと掬い上げるように右足で刈った。当然俺は一瞬だけ宙に浮き、その浮いた状態から押さえつけられ、俺は背中から畳に叩きつけられた。

 

 まるで風船から空気を抜くように、一気……一気にだ……俺の肺から根こそぎ空気が押し出された。むせ返り、呼吸を元に戻そうとする機能が俺の復帰を妨げる。その数秒後に俺はようやくガバッと立ち上がり、ファインティングポーズが取れた。

 

「今のはだな……っと、何がダメだったか指摘するのは禁止だったな。おら、続けるぞ」

 

「はい!」

 

 せめて返事だけは、いや……返事くらいは一丁前にしなくては。俺は身構え、今度は田所さんを待った。この人はきっと、こねぇならこっちからだ……となるはず。

 

「構えたか……でもな、そんな事を無にしちまう……所謂、必殺技ってもんがあるのよ。それは……」

 

(ッッ!来る……いや、来た!避ける……なんとしてでも!)

 

「ジャブだ」

 

スパァン!

 

「ガフッ!……!?!?」

 

 なっ……何が、起こったんだ!?田所さんが一歩こちらに踏み込んで来たと思ったら、俺は顔面に攻撃を喰らっていた。それが……平凡なジャブ!?馬鹿な……全く捕える事が出来なかった!

 

「無条件……磨き抜かれた単なる『速さ』。正々堂々たる速さが、お前さんの顔面を捉えた」

 

「くっ……!」

 

 その時……ふと俺の鼻の穴から生ぬるい液体……血が流れた。口にも、鉄に似た風味の感覚が過る……口内を切ったか……。不作法ながら、耐えられず俺はペッと血交じりの唾を吐き捨てた。

 

「……止めに、するか?」

 

「……ッッ!?ふざけんじゃ……ふざけんじゃねぇ!こんくらい、俺はまだ動けるッッ!そのセリフは、俺が地に伏せてから言いやがれ!」

 

「良く言った!やっぱりオメェは最高だ!よし、いいか?今度は良く見ろ。さっきも言ったが、ジャブは速さが旨だ。よく見りゃ、避けれる。それはまぁ……お前さんの技量次第だが!」

 

 さぁ……田所さんの言う通りだ!見ろ、良く見るんだ!何もフェイントがある訳ではない!真っ直ぐ、凄いスピードで向かって来る拳を避ける……『それだけ』なのだからッッ!

 

「フンッ!」

 

 矢継ぎ早に飛んで来る田所さんの拳……俺はそれを、躱す。良く見て、拳が飛んできていない方に、顔を動かす。拳は、俺の顔面スレスレを通り抜けて行った。避け……きった!それでもギリギリ……なんて速さだよ、田所さん!

 

「なるほど……岬が言ってた『長所』ってのは大当たりらしいな……」

 

「……なんです?」

 

「いや、なんでもねぇ。さて、真……お前さんの望み通り、精も根も果てるまでやるぜ」

 

「はい!」

 

 田所さんが何を呟いたのかは、良く聞こえない。だけれど、そんな事を気にしている暇は無い。俺の攻撃は普通の技じゃ通らない。考え、工夫し、与えるのだ……致命的な一撃を。

 

 まぁ結局のところ……素人とプロの差を見せつけられただけであった。ボロボロになるまで俺はしごかれたが、何か光明が見えたかと聞かれると……それはノーだ。

 

 その事を田所さんに聞かれ答えると、いつでも相手をしてくれるとの事。俺と田所さんは、男と男の約束の証に、お互いの拳をぶつけ合った。

**********

「会長、よろしいでしょうか?」

 

「構わんよ、三島……。用件は、なにかね」

 

 ZECT本社の会長室は襲撃事件以来慌ただしい雰囲気だったが、今ではすっかり落ち着きを取り戻している。多方面への会見等で忙しかった陸も三島も、通常業務へ戻っていた。

 

 三島は用件を口で言うよりもまず、一つの封筒を陸に手渡した。黙ってそれを受け取り中身を取り出すと、そこに書かれていたのは、IS学園の学園祭への招待状であった。

 

「ああ、話には聞いていたが……ようやく形として届いたな。それで、これがどうかしたかね」

 

「……本当に、ご出席するおつもりですか?」

 

「私以外にも、各企業の重役は招待されているのだろう?顔を売るまたとないチャンス……そう思わないか」

 

「私は……そんな事を言っているのではありません!」

 

 三島は声を荒げ、会長用デスクを叩いた。いつも通りに事だ……陸は、三島の言いたい事など分かりきっている。逆に三島も分かっていた、陸が自分をからかっている事を。

 

 それでもこうして、冷静を保っていられないのは……純粋に陸を心配する気持ちからだろう。それだけ三島は、ZECTと陸に忠誠を誓っているのだ。

 

「まぁ……来るだろうな、ファントムタスクは。予想していた通りに、この間もだ……。真が第二フェーズに入った途端……分かりきった事ではないか、時として危険は付きまとう」

 

「分かっていらっしゃるならなぜ……!?」

 

「それが、私の『役割』だからだ」

 

 陸はその両眼でしかと三島を捉える。対して三島、陸の目を見て止めるだけ無駄と言う事を悟った。三島は大きくため息をつくと、後ずさるようにデスクから離れる。

 

「……お孫様も、『役割』をこなしているに過ぎない……そう言う、事ですか?」

 

「そうは言わんよ。ただ……ここまでは、『あの』コアを奪われるまでは想定内……。分からんのはコレからだ……主に、真が……ソルがどう動くか……」

 

「…………」

 

「それに最悪の事態を避けるため、私は動いているのだよ。学園祭では、更識に接触するのも手だろう……あそことは別段、争う気が無いのを分かって貰わなくてはな」

 

「それでしたら、いつものような言動は……お止め下さいね」

 

「コレは敵わん……」

 

 三島の毒のある一言に、陸はクックックと笑う。そんな陸に、三島はほとほと呆れが来たようだ。用件は済ませた……速く去ろうと三島が頭を下げようとした途端。

 

「ああ、三島……適当に返事を頼む」

 

「は……?いや、しかし……」

 

「ついでに、お前も付き合え。それと田所君にも声をかけておいてくれ、彼が居ると心強いのでな」

 

「……かしこまりました」

 

 三島は再び手元に戻ってきた招待状を、憎らしく見つめた。なんで私が……と言う気分になるが、まさか陸に逆らえるはずも無く、深々と頭を下げるしかない。

 

 そうして三島は携帯電話を取出し、田所に当てて連絡を送る。この事をどう説明しようかと迷う、何とも気苦労の多い三島の背中は、哀愁に包まれていた……。

 

 

 




真の長所・短所は、ある程度この話で予想が出来るかも……。これも割と初期の頃から決まってた事ですね~……あえて触れなかったのは、真が本当に強くなろうとした時までとっておこうと思ったので。

それと、真と田所さんのシーンですが。分かる人は分かると思います……あのシーン「ある格闘漫画」のパク……ゲフンゲフン!パロディです。

単行本を呼んで「やりたいな~」って思ったので即実行。本当にヤリタカッタダケーですが、しっかり真の長所を描写するきっかけになったから問題ないよね!

次回は、やりたい事が済んだので……学園祭本番だと思われます。学園祭でいったい何話使うだろ?けっこう長くなる予定。

それでは皆さん、次回もまたよろしくお願いします。

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