戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

46 / 143
どうも、マスクドライダーです。

……今回は特に話す事無いや。せっかくですし、先週カブトの登場で触れられなかった話でもしますね。

ニンニンジャ―、先週から始まりましたね。今朝も二話を見ましたが、私は好きです。今の所はギャグ調が強いですが、やっぱり戦隊は明るいくらいじゃないと。

後、敵のデザインがカッコイイ!OPの敵ボスらしきシルエットとかもう……シルエットだけでカッコイイ!

なんかこれからもっと面白くなりそう……。こちらもニンニンジャ―に負けじと、どんどん盛り上げていきたいものです。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


突撃、隣の生徒会!(会長訪問)ですが何か?

「ふむ……」

 

「かがみ~ん、食べないの~?」

 

「冷めちゃうよ……」

 

「ん……。あ、あぁ……そうだな」

 

 現在は昼休み、今日は簪が空いていたので一夏達とは別行動だ。ちなみにだが、本音と簪の二人は、次の日朝食の時に会ってみたらケロッとしてたよ……切り替えの早さに心底ビビったのは内緒な。

 

 それで食事中に俺がいったい何をしていたのかというと、レポートを書いていたのである。今日の実戦訓練は二組との合同だった。もちろん俺は参加……出来るはずも無く、大人しく見学する事に。そもそもガタックゼクターは故障中だし……。

 

 その際に織斑先生が「見る事もまた学ぶ事」との有難い言葉を呟いてくれたので、とりあえず行動に移す事にした。そんな訳で、専用機持ち達の立ち回り等を簡単に纏めていたところだ。

 

 もちろん手帳とペンで……俺はどうにも簪のようなデジタル機器の扱いに慣れない。なんかこう……アナログ式の方が落ち着くのだ。

 

「真……最近、熱心だね」

 

「そうか?」

 

「勉強はともかく~実戦の方はそれほどでも無かったよね~」

 

 そうですなぁ……今までもっと真面目に訓練しておけば、もう少しまともにカブトとも戦えたのかもしれない。もう過ぎた事を言っても仕方ないからな、出来る事からコツコツとやって行かねば。

 

「そう言えばだけどさ、簪の実力ってどんなモンなんだ?」

 

「……どう……なのかな?自分じゃよく分からない……」

 

「ん、なら打鉄二式が完成したら手合せだな」

 

「お~……かがみんとかんちゃんの対決か~。早く見てみたいな~」

 

 打鉄二式の性能にもよりけりだが、簪自身もかなりの実力者と俺は見た。普段の儚さや華奢な感じなどはあてに無らんな。実際の力量を目の当たりにするのが楽しみだ。

 

「その時は……負けない」

 

「あぁ、望むところだ」

 

「二人の間に火花がビリビリ~。ゴングとかあったらな~」

 

 そう言って本音は木槌を振るそぶりを見せるが、今鳴らしたところでバトルは始まらんからね?俺と親父ならば、条件反射的に取っ組み合いになるだろうけど。

 

「とにかく……食うか」

 

「そだね~」

 

「いただきます……」

 

 結局のとこ食事の手は止まってたし、その上二人を話につき合わせてしまった。とにかく飯を食ってしまう事にしよう……包帯だらけで使い辛い右手を必死に動かしながら、食事を進めた。

**********

「うぅ……俺は無実だ……無実なんだ……!」

 

「はいはい……分かったから、とりあえず俺に泣きつくのはよせ……」

 

 さっきからクラスメイトの視線が痛いんだ……以前は一夏と話していても、こう……腐ったような視線を送られる事は無かったが、臨海学校後は比較的多くこういった視線を感じるようになっている。

 

 一夏はともかくとして、俺までホモ扱いはして欲しくないものだ。俺の制服の胸の所を掴んでいた一夏の手を払い退けると、今度は肩を掴んで必死な表情で迫る。

 

「真ぉ!お前まで俺の事を信じてくれないのか!」

 

「信じる信じないじゃねぇよ、アホ。そもそもお前が遅刻して来たのも事実だろうが」

 

 そう……さっきまでやっていた授業だが、一夏は遅刻して来たのだ。俺はしっかり「先に行くけど、次に遅れんなよ」としっかり忠告はしておいた……にも関わらず大遅刻。

 

 一夏が織斑先生に放った弁明の言葉が「見知らぬ女性のせいで遅れました」……だ。何の良い訳にもなってねぇっての……んで、織斑先生が「ラピットスイッチ」の実演だとか言って、デュノアに一夏を攻撃させたのだが……。

 

(はぁ……アイツらも……そういう事すっから気付いてもらえねぇんだろうに……)

 

 そのせいで俺がこうして一夏を慰める羽目になる……いったい何が悲しくて野郎を慰めてやらんといかんのだ。それでいて、アイツら誰一人として一夏を慰めようとしねぇし……一概にこの鈍感馬鹿のせいも言えんな。

 

「くそぅ……俺に味方は居ないのか……」

 

「あ゛~……何だコイツ面倒臭ぇ……。信じるって……だから元気出せよ」

 

 遅刻して来たとはいえ、あまりにも理不尽な対応に一夏はいつにも無く落ち込んでいる。正直なところ本気で面倒くさいので、適当に言葉をかけておく。

 

「やっぱり持つべきものは友達だよな!」

 

「ソウダナ~」

 

「……なんか片言じゃないか?」

 

「ハテ~ナンノコトヤラ~」

 

 どうやら俺の励ましの一言で元気は出たようだが、俺の口調に訝しむような視線を送る。……どうやら対応が露骨過ぎたようだ。興味のあるフリをする意味も込めて、一夏に話を聞いてみよう。

 

「実際のとこ、何者なんだ?お前の会った見知らぬ女生徒ってのは」

 

「いや、本当に見た事も無くて。リボンの色からして上級生だと思うけど」

 

 そういや、この学園の制服は学年ごとにリボンで色分けされていたな。とは言っても、改造制服も許可されているから付けていない生徒もいる。俺らも男子も、本来はネクタイとかした方が良いんだろう。

 

「なんだ?ハニートラップでも仕掛けられたか」

 

「う、う~ん……そう言うのじゃ無い。とにかく、からかわれた事には違いないな」

 

「まぁ特に危害が無いなら良かったじゃねぇか。ここで社会的に死ぬのは簡単だからな」

 

 俺がそう言うと、一夏は少し顔を青くしながら頷いた。……でもな一夏……俺から見たら、とっくに社会的に死んでもおかしくない事をお前は多々発生させてるんだが……。……まぁいいか、別に誰に実害があった訳でも無いし。

 

「しかし……変な人だったなぁ。人を食ったような、って表現にぴったりだ……」

 

「ん……?」

 

 ここに来て、ふとパズルのピースがカチッとはまるような音が、俺の脳内に響いた。上級生であり、人を食ってかかった態度……と言うのは、あの女狐にも当てはまる。

 

 ……もしかすると、なのかもしれないが……正直それは論外だぞ。あの女にはもっと他にやるべきことがあると言うのに。俺は嫌な考えを振り払い一夏に尋ねた。

 

「一夏……一つ聞くが、簪……は分かるよな?お前の会った上級生って、簪に似てたんじゃないか」

 

「言われてみれば……確かに、うん……似てたな」

 

 これほど嫌なビンゴは無いだろう。何をやっているんだ……あの女。いや、まぁ……早とちりは良くない。もしかすると、既に関係は回復しているのかも。後で本音に確認する必要がある……。

 

「真……?頭が痛そうだが……」

 

「一夏……あの女のペースにだけは乗せられない事をオススメする。それだけ、後は何も聞くな……」

 

 それだけ言うと、一夏の前から立ち去る事にした。どうせそのままでいたら、知り合いなのか?とか追及されるに決まってる。一夏も何か察したのか、立ち去る俺の背中を特に引き止める事も無い。

 

 そういう察しの良さは、もっと別の所にだな……って言っても無駄か。まぁいいや……次の授業の事に頭を切り替える事にしよう……。実戦訓練に出れないのは暇でしょうがないけどな、あ~……戦いてぇ……。

**********

(結局聞けねぇでやんの……)

 

 何のことかというと、女狐の事に関してだ。昨日はあの後、本音にも簪にも遭遇できずに時間が過ぎ去ってしまう。俺も俺で図書室に籠りっぱなしだったから、仕方が無いといえばそれまでである。

 

 現在は欠伸をしながら講堂に整列中……やはり俺だけ頭一つ抜きん出ている。だから嫌なんだ……整列ってのは、ここは特に一夏以外女性しか居ないのだ……余計に目立ってしまう。

 

 ま、何の話があるかは知らんが……いつも通り右耳を通して左耳へ流せばいいだけの事よ。ボーッと立っておくのは大得意な俺は、意識をどこでもないどこかへ向けかけていた。

 

「それでは、生徒会長から説明をさせていただきます」

 

(生徒会長ねぇ……なんであの女狐がんな肩書きなのか不思議でならん)

 

 壇上に上がったのは、俺の良く知る女狐その人だ。ファーストコンタクトが最悪だったために、いまだに女狐への信頼度は低いままである。……昨日の一夏の話を聞く限りでは、もっと低くなったかもな。

 

「今年は立て込んじゃって、挨拶がまだだったわね。私は更識 楯無。この学園の生徒会長よ」

 

 にっこりと綺麗な笑みを浮かべる女狐だが、騙されんぞ……俺は決して騙されん。あの笑顔の裏にとんでもねぇモンを抱えてるのが、奴だ。

 

「今月行われる学園祭の事だけど、今回に限り特別なルールを導入するわ。それは……」

 

 はぁ~……そう言えば学園祭か~……二学期といえばどこの学校も大抵やってるよな。それにしても特別ルールねぇ、あの女狐の考える事だ……きっとロクでも無いルールに決まってる。

 

 そう思いながら空間投影型ディスプレイを眺めていると、思った以上に飛んでも無かった。俺は思わず「ふざけんじゃねぇぞ女狐!」と叫びたくなるのを必死に堪えている。

 

「名付けて、各部対抗 織斑 一夏&加賀美 真 争奪戦!」

 

 会場の俺と一夏以外の女子達は一斉に叫んだ。それはもう、事前に打ち合わせでもしていたのではないかというくらいに。セルフで地震って起こせるんだな、だって今揺れたもの。

 

 細かいルール等々を女狐が説明をしているようだが、俺の耳にはイマイチ届いていない。ふざけたルールのせいでは無い……あの女、本当に簪と仲直りするつもりがあるのだろうか。

 

 ……他人の家の事情だし、本来は俺が立ち入って良い所ではない。だが俺は確かに、夏休みに入る前……俺の想いは女狐にぶつけたはずだ。……どうやら、再確認する必要がありそうだな。

**********

「女狐ぇ!」

 

「あら、加賀美君……いらっしゃい。でもお生憎様、会長はいませんよ」

 

 生徒会室の扉を、文字通り蹴破る。すると中には虚先輩しかおらず、女狐の姿は見えない。……そう言えば、仕事をしないのだったか……?クソが、ここに来れば必ず会えると思ってたのに。

 

「会長に、用事でした?」

 

「はい……一応。騒がしてスミマセンでした、出直します」

 

「大丈夫ですよ、今日はその内戻ってくると思います……それまで待っていて下さい」

 

 そう言うと虚先輩は、せっせとティーカップに茶を注ぐ。おおぅ……何という早業……断る隙すらなかった。ここまでしてもらって悪いので、俺は大人しく虚先輩の反対側の席に着く。

 

「その、ありがとうございます」

 

「いえ、このくらいなら。あっ……ケーキもあるけど、どうでしょう?」

 

「ど、どうも……いただきます」

 

 なんというか、至れり尽くせりだな。俺の今の有様を見てか?まぁいかにも怪我してますな見た目だが……虚先輩のソレはプロっぽいんだよなぁ……。

 

 いざ茶とケーキが並んだものの……どうにも食べ辛い。虚先輩も自分の分を用意しているようだから、少し待っておくことにしよう。

 

「えっと、改めて……いただきます」

 

「フフッ、どうぞ」

 

 ふむ……美味い……ありきたりなショートケーキだが、どこか高級感を感じさせる。同じくお茶も美味いな……淹れ方次第でかなり味が変わるモンなんだが、ここまで違うと素人の舌でもハッキリと分かる。

 

 思わず率直な感想を虚先輩に述べると、物腰柔らかな対応で感謝された。……これが本音の姉貴か、言ってしまうとあんまりだが、似てないな。まぁ俺も人の事を言えたクチじゃねぇし?事実親父と似てない。だから気にするほどでもねぇや。

 

「加賀美君、少し良いでしょうか」

 

「どうしたんっすか、藪から棒に」

 

「本音とは、上手くやれてる?あの子はどうも無邪気だから……加賀美君が苦労してるんじゃないかと心配で」

 

「いやいや、見てて楽しいですよ。本音の魅力の一つだと思いますし」

 

 本音も本音で突飛の無い事をし出すからな。それこそ文字通りの無邪気、邪気なんて無いから安心して見守っていられる。

 

「そもそもの出会いは、どんな感じでした?」

 

「あ~……アレは確か……」

 

 今となっては懐かしい……俺が食おうとしていたクッキーを、本音が物欲しそうに見つめていたのが全ての始まりだ。そんな調子で、虚先輩はどうも俺と本音の事ばかり聞いてくる。妹が心配な気持ちも分かるけど……。

 

「あの、さっきからこの質問には何の意味が?」

 

「だって、貴方は未来の義弟かもしれないでしょう?今のうちに貴方の事を知れたらなと思いまして」

 

 あ、あれ……なんだろう?急に胃が痛くなってきたような……。ボディーブローでも喰らったかのように、ジワリジワリと俺の腹部を何かが侵食していく。

 

 や、やべぇ!姉のプレッシャーってパネェ!なんかこの人、見た目が出来る女な分……女狐よりも相当な圧力を感じる!い、いかんぞ……何も返す言葉が見つからん!

 

「あれ?真……」

 

「げぇ!?加賀美君!?」

 

 イェア!ナーイス女狐……と一夏?どのみち滅茶苦茶いいタイミング!俺はケーキと茶を一瞬で片づけ、ズカズカと女狐目がけて進んでいく。グイッと女狐の制服をつまむと、振り返って虚先輩に告げた。

 

「じゃ、そう言う訳で虚先輩!ちょっと女狐借りてきます!」

 

「どういう訳よ!?う、虚ちゃん!」

 

「初めまして、織斑君。私は布仏 虚といいます。以後よろしく」

 

「虚ちゃぁん!」

 

 女狐は虚先輩に助けを求めるが、プロサッカー選手張りの華麗なスルーを見せつける。うん、一夏と自己紹介してるみたいだし邪魔しちゃ悪いよな。俺は女狐を引っ張りつつ生徒会室を出た。

**********

「……それで、何の用事?朝の件なら……」

 

「そっちも文句を言いたい所ではあるが、別件だ」

 

「別件……?貴方が私に用なんて、そのくらいしか思いつかないのだけれど?」

 

「簪」

 

 いちいち説明してやるのも面倒臭いので、俺はただ一言「簪」と呟いた。すると女狐は、うぐっと言葉を詰まらせ、気まずそうに視線をそらす。

 

「……その様子だと、解決してないらしいな」

 

「そ、それは……」

 

「俺は強制も無理強いもしないと確かに言った。だが……これはちょっと無いんじゃないか?」

 

「なんの事かしらね」

 

「しらばっくれるな、昨日や朝の事しかないだろう。簪の事をほったらかしにして、一夏と接触してる暇なんか……」

 

「黙りなさい……。私には、自分の感情を押し殺してでも……しなければならない事があるの」

 

 突如として女狐の雰囲気が変わり、俺はほんの少しだけ目を見開いた。この雰囲気は……爺ちゃんに、似てる……?何かを背負っている様は、爺ちゃんにも感じた事がある。自分の感情を押し殺し……か。

 

「……オーケー、事情は知らんが……そこは納得しておこう。だけど、夏休み中はどうだ?一ヶ月ちょっとの間、ず~っと忙しかった……なんて言い訳は聞かんぞ」

 

「……だもん」

 

「あぁ?なんて?」

 

「……怖かったんだもん」

 

 女狐は、扇子を広げ口元を隠しながらそう言った。隠そうとはしているようだが、目元付近まで顔が赤く染まっているせいで、どんな表情かは丸わかりだ。

 

「それは前にも聞いた」

 

「……私だってね、夏休みの間に話しかけようって……思ってたわよ。でも無理だった……どうしても、簪ちゃんに拒否されるイメージしか沸かなくて」

 

「……分かる。口先だけじゃない……俺にも、その気持ちは良く分かる」

 

 俺は、俺自身が夏休みに体験した出来事を話した。そう……親父に俺が普通の人間じゃないという事を伝えた時の事だ。あの時は……本気で怖くて仕方が無かった。

 

 きっと俺の感じた恐怖と、女狐が今感じている恐怖は全く同じものだろう。だからこそ、乗り越えてほしくもある。乗り越えてしまえばなんてことは無い……ただの取り越し苦労なのだから。

 

「そう、そんな事が……。貴方は……強いのね」

 

「いいや、俺は強くなんかない。誰だって違わないんだよ……俺も、アンタも……」

 

「…………」

 

「元が変わらないんだったら、アンタの方がマシだろうよ。朝の釈然としたあの態度……すげぇじゃん、ちゃんと生徒会長やれてんじゃん」

 

 そう思えば、目の前にいる女狐とはえらい差だ。ただ……目の前にいる女狐の方が、本来の姿なのかもしれないな。人間ってのは……弱い姿も、強い姿も、どちらも「本物」だとは言い難いのかもしれん。

 

「ありのままのアンタで、ありのままの想いを伝えてみなよ。アンタは、この学園の生徒会長だろ?胸を張れ、前に進め、そしたら結果は付いて来るさ」

 

「加賀美君……。そう……ね、私はIS学園の生徒会長……妹に会うくらいで尻込みして居たら、名が廃るわ!」

 

 女狐はスパーンと大きな音を立てながら扇子を開く、するとそこにはでデカデカと「復活」の二文字が。随分と説教臭い事を言ってしまった物だ……。

 

「簪ちゃんと話して見るわ。正直どうなるかは分からないけど……私は簪ちゃんと仲直りしたいもの」

 

「ああ、頑張れよ……俺は応援してるからな」

 

「え、え~っと……加賀美君?その事でちょっとお願いがあるんだけど……」

 

 すると女狐は、俺に向かって両の掌を合わせスリスリと擦り合わせる。なにか俺にねだっているようだが、いったいなんだろうか?

 

「その……私が簪ちゃんに会いに行くときは、付き添ってくれない?」

 

「……キチンと一人で決着はつけれんのか」

 

「そんな事を言わないで、ね?ね?同じ恐怖を味わった者同士でしょ?」

 

 なんか一人で行かせるのも心配な気もするな、途中でまた逃げ出すかもしれない。別に逃げるのは悪い事ではないが……女狐は仲直りしようとしている意志があるため、背中をもっと押してやらんといかんかもな。

 

「現場にまでは行かんぞ?」

 

「もぅ!加賀美君ったらイケメン!」

 

「調子の良い奴……」

 

 女狐は俺の事を肘で小突きながらそう言うが、痛いんだけど?俺は絶賛療養中なんだけど?俺が呆れ顔で溜息をついているのにも女狐は気が付かない。……それだけ嬉しいという事なのだろうか?

 

「じゃあ明日の放課後な」

 

「わ、分かったわ……!」

 

「……それと、学園祭の事だが……何か思惑があるんだよな?」

 

「そうね……加賀美君には、今度ゆっくり話す事にしましょう。織斑君が居ない時にでも……ね?」

 

 次いで開かれた扇子には「密会」の二文字が……なるほど、どうやら一夏が居ては何か都合が悪いようだ。……どうにも「生徒会」という組織自体に裏……というよりは、もう一つの顔でもあるのやもしれん。

 

「……ああ、じゃあその時に……またな」

 

「ええ、また。……怪我、早く治ると良いわね」

 

「ハッ……ありがとよ」

 

 それだけ言うと、背を向け片腕を軽く上げながら歩き出す。それにしても……俺と女狐もよく分からん関係な事だ。お互いに苦手意識があるのに、こうして心配し合ったり……。

 

 女狐の方も俺を本気で嫌っているわけではなさそうだし、それは俺にも言える。だが……恐らくこんな感じのやり取りは一生続くのだろう。

 

 ……長い付き合いになるかどうかは分からんが、腐れ縁というのも悪くは無いのかもな。とにかく今は、黙って女狐の力になろう。

 

 簪にしてみれば、大きなお世話かも知れない。それでも……俺は同じ恐怖を抱えた女狐を放っては置けない。……どうか、上手くいく事だけを祈っておこう……今の内から悪い事を考えていても始まらない。

 

 とりあえず今日は……帰るか。特に本音と簪の所に顔を出す必要もなさそうだ。それなら……今日のレポートをもっと詳しく纏めよう。俺は手帳を取出し、ペラペラと捲りながら帰路に着いた。

 

 

 




本当に忙しくなってきた……個人的思惑なおかげで、更識姉妹の関係は早めに戻しておきたい……。せめて学園祭本番までには……!

それにしても家族かー……基本的にウチは異様に仲の良い家族なので、更識姉妹の微妙な関係が表現しきれてないかもですね……。誰かを参考にしようにも、人の家庭事情を聞くのは人間としてどうかと思うし……う~ん、困った……。

まぁ……なんとなく良い話な感じなノリで行けば大丈夫だよね!……とにかく、イイハナシカナー?とだけならないように気を付けます。

それでは皆さん、次回もまたよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。