待っていらっしゃった方も、そうでない方もお久しぶりです。
別にモチベーションが無い訳じゃないんですが、単純に書く時間がないです・・・。
亀更新のタグを付けた方がいいですかね?
今回は特にグダグダと言うか、間延びしちゃいました。
もっと短くまとめる技術を身につけなくては・・・。
それでは、今回もよろしくお願いします。
「お迎えに上がりました」
朝にチャイムが鳴り、玄関を開けてみると、そこには黒スーツに黒のサングラスをかけた「いかにも」な男が立っていた。
えも知れぬ威圧感を感じ、一瞬思考がすっ飛んでしまったが、口ぶりからしてどうにもZECTの人間らしい。戸惑いを隠せないながらも、男に対して返答をする。
「あ、ああ・・・ちょっと待って下さい。親父ー!迎えの人が来てるぜ」
「もうか!?分かった、今行く!」
迎えの人を待たせまいと、俺はリビングにいた親父を大声で呼ぶ。すると親父も姿は見せずに大声で返事をした。・・・なんだこの親子?
すると、すぐに慌てた様子の親父が玄関まで顔を出す。スーツの男と顔を合わせると、親父はなんだか申し訳なさそうな苦笑いを浮かべる。
「少し歩いた場所に車が停めてあります。こちらへどうぞ」
スーツの男は、俺と親父がそろったのを確認すると、それだけ言って歩き出す。なんというか・・・余計なことは一切しませんし、しないで下さいねって言われてるみたいだ。
マニュアル通りの動きと言うか、機械のような動きと言うか・・・。ZECTの職員ってっこんなだっけ?たまたまこの人だけってならありがたいけど。
とにかくとして、付いて行かなければ始まらない。俺と親父は顔を見合わた。すると親父は小さく頷く、俺はそれを見て小さくため息をつくと、スーツの男を追いかけた。
**********
「「・・・・・・」」
用意されていた黒塗りの高級車に乗り込んだまでは良かった。しかし、俺は慣れない状況に終始無言だった。ってか、なんで親父までそんな緊張した顔なんだ?単純に爺ちゃんに合うのが嫌なのかね?
「親父。緊張してるのか?」
「まぁ・・・多少はな、真はどうなんだ?」
「俺も緊張してるけど、親父みたいに余裕が無い訳じゃない」
「・・・俺そんなに余裕なさそうか?」
「ああ、すごく」
親父もきっと自分自身で自覚のあったことだろう。俺の返事に親父はそうかと呟くと、両手で自らの頬をパシン!と痛そうな勢いで叩く。
「俺も、ちゃんと向き合わないとな・・・」
「親父・・・?」
「いや、なんでもない。もう大丈夫だ!真のおかげで緊張がほぐれた」
なんと親父が呟いたかは聞き取れなかったが、何かしらんが親父はいつもの様子に戻ったらしい。俺が何したってんだ?ただ話しかけただけなんだが・・・。
まぁなんでも良いや、気にしたら負けだろ。親父が本調子になった所で、俺もここいらで気合を入れときますかね。
「そろそろ到着いたします」
早い・・・まだ覚悟できてなぇんだけど。ま、まぁいつも通りふてぶてしくしてたらどうにかなるだろ、うん、きっと何とかなる。そう信じたい・・・。
**********
見上げるばかりの大きさとはよく言ったものだ。車から降り正面入り口から上を見てみると、遥か彼方に感じられる場所に、ビルの天辺が見える。
超高層ビルって奴?不必要な高さの気もするが、とにかくZECTは本当に立派な企業なようだ。なんだかなぁ・・・実際目の当たりにすると、どうしていいか分からないもんだな。
「真。珍しいのはわかるけど、そんなことしてるヒマじゃないぞ」
「あぁ・・・そうな、分かった」
親父の言うとおり、いつまでもZECTビルを見上げていても始まらない。俺達はここの会長に会いに来たのだから。
「会長室は最上階となっております。こちらのエレベーターへどうぞ」
「ハッ、煙と馬鹿は・・・(ボソッ)」
「おい!真!」
俺のボソッとつぶやいた言葉を親父は見逃さず、肘打ちでどつく。今のは俺が悪かったな。本当にこの黒スーツに聞かれなくてよかった。
黒スーツの訝しむような視線をスルーし、俺達はエレベーターに乗り込んだ。外の景色が眺められる仕様のエレベーターは、グングンと俺達を地上から引き離す。
「(「天空の梯子」ってか、カブトだけに)」
この世界じゃ誰にも伝わらないネタだろうが、目の前の景色は確かに俺には劇場版カブトの「アレ」を連想させた。流石に宇宙まではいかないけどさ・・・。
なんて考えている間にエレベーターは俺達を最上階まで運んだ。ようやく、と言うかもうすぐZECTの会長・・・爺ちゃんとご対面だな。
エレベーターから出てしばらく長い廊下を歩くと、一目でわかるほど他とはちがう豪華な扉が見えた。どうやら、ここが目的地となるらしい。
「ご子息とお孫様をお連れいたしました」
「うん。ご苦労」
黒スーツが軽く扉をノックしながらそういうと、中からそんな声が聞こえた。黒スーツは扉を開くと、俺達を中に通した。
「失礼します」
「・・・失礼しま~す」
態度でわかると思うが、入った順番は親父、俺の順だ。部屋に入ると目につくのが、どっかりと置かれた会長用であろうデスクとイス。
そこに座っているのは紛れもなくZECT総監である「加賀美 陸」その人だ。当然の事だが、原作よりもだいぶ年老いていた。
それこそ、本格的におじいちゃんと言う感じに。だが、実際に目の当たりにするとわかる。この人は根本的にはあまり変わっていない事が。
なんでかって、その視線だ。俺と親父をまるで総べて見透かすような、そんな視線で眺めている。
「やぁ二人とも、今日はよく来てくれた」
「・・・久しぶり、親父」
「あぁ、新。久しぶり、最後にあったのはいつだったか・・・。それと、こうして会うのは初めてになるのかね?初めまして、真。私が君のお爺ちゃんになる者だ」
「え、えーっと・・・始めまし・・・て?加賀美 真・・・です」
「ハハッ・・・そこまでかしこまらなくても問題ないよ、私たちは家族なんだから」
血がつながってりゃ家族かよ、と言い出しそうになるのを喉のところで押し込む、あぶねー・・・いつもの癖がまた出そうになってしまった。
というか、やっぱりこの人とあんまり長いこと会話をしたくねぇな。なんていうか、言葉がねっとりからみついてくるというか、まるで蛇とでも会話をしてるみたいだ。
「それで、今日は俺と真に何の用事なんだ?」
「それはもちろん。真がISを動かした事についてに決まっているだろう?」
「その話だけど、親父。真がZECTに入る必要性はどこにあるんだ?」
「その事か?実は最近ISのコアが手に入ってね、この際だから我々ZECTもIS産業の仲間入りを・・・と思っているんだよ」
仲間入り・・・か、と言うことは今までIS関係の事は取り扱ってなかったのか、てっきりここは主にIS関連の企業かと思ってたが違うらしい。
「なら、そのコアを使ったISのテストパイロットになれ・・・と?」
「そういう事だ。まさか孫がISを動かすなんて思ってもみなかったよ、それは本人が一番思っていることだろうが・・・とにかくテストパイロットを探す手間が省けて済む」
「結局それかよ・・・俺の息子を・・・真を!商売の道具みたいに言うな!」
親父は爺ちゃんの物言いが気に食わなかったのか、ズンズン詰め寄りデスクをバン!と叩いた。確かに今の発言は、そう取れなくもないというか、たぶんこの人ならそういうつもりで言ったんだろう。
「新。少しは成長したかと思ったが・・・何も変わっていないな」
「何・・・!」
「もし私がお前と他人だとして、今の一言でこの件は無かったことで、と言われたらどうするつもりだ?」
「それは・・・」
「お前の愛する息子は、一瞬にしてZECTと言う後ろ盾を無くす事になる。そうだろう?」
その通り、そもそも俺達には断るなんている選択肢は無いに等しい。ZECTと言う強大なカードを持っている爺ちゃんの返答には、YESとしか答えるほかない。
「いい加減に自分が言ってる事が綺麗ごとだということに気が付け、そんなのでは父親失格だぞ」
「それは、アンタが決めることじゃねぇな」
「真!?」
爺ちゃんの親父に対する評価に、軽いイラつきを覚えた俺は、親父と同じように爺ちゃんに詰めよる。デスクを叩きはしねーけど。
「真・・・お前・・・相手が誰だか」
「あん?俺の爺ちゃんか?それともZECTの会長か?関係ねぇよ、例え今俺の目の前に座ってる奴が誰だろうとな」
「・・・・・・」
「おい爺ちゃん。遠くなった耳かっぽじってよく聞きやがれ、父親失格?親父が俺にしてくれた事を一つも見聞きしてねぇクセにほざいてんなよ」
爺ちゃんは、俺を眺めながら楽しそうな表情をしているように見える。クソが、マジで食えねえ爺様だぜ、だがここで怯んではやらねぇ。
「アンタの目から見たら、親父は父親失格なのかもな、だったら正しい父親ってのはなんだ?アンタみたいに現実見て、会社でっかくしてるのが正しい父親かよ?」
「・・・・・・」
いまだ爺ちゃんは口を開かなかった。ああ、そうかい。それだったら、俺の言いたいことだけ言わせてもらうことにする。
「それだったら、親父みたいに正義信じて馬鹿みたいにまっすぐで、笑って、飯食って、当たり前のように平凡に暮らしてる方が俺は好きだね。結論として、俺の隣に立ってるこの加賀美 新って男は、俺にとって最高の父親って事だ」
「まっ・・・まこ・・・真・・・」
俺は胸を張って、堂々と爺ちゃんに向かってそう言い切った。俺の言葉を聞いて親父は声を震わせながら俺の名を呼ぶ。最近涙腺が緩いんじゃねーの?あっ・・・年か。
「フッ・・・フフフフフ・・・」
爺ちゃんは突然肩を震わせ、小さく笑い始めた。・・・気に入らねぇ、俺の言葉が片腹痛いってのか?いいぜ、反論して来いよ、それでも俺の考えは揺らがない。
「いやぁ、冷めた子だと聞いていたが、なんてことはない・・・新にそっくりだ」
「はい・・・?」
「すまんね、真。少し我が孫を試したくなってしまってな」
「いや・・・何・・・?よく状況が飲み込めないんだけど?」
「言葉どおりの意味だよ、君がどういう子か知りたくなった。だからわざと新と口喧嘩になるように会話を運んだのさ」
「なんだよそれ!?」
と親父が爺ちゃんに再度詰め寄った。この反応を見るに、どうやら親父は爺ちゃんとグルと言うことではないらしい。もしグルだったら、ぶん殴ってただろうな俺。
当然だろ?なんか知らないうちにめちゃくちゃ恥ずかしいことを言わされたんだ。あ~・・・クソ、グルだったらよかったのに。
「いい教育をしているな、新。そうか・・・平凡でも、最高の父親か・・・。私は、その辺りを間違っていたんだろうな」
「親父?」
「私は確かにZECTを大きくする事にやっきになっていたよ、それがお前に、息子にしてやれる唯一の事だと思い込んでいた」
爺ちゃんの始めた独白に、俺も親父も耳を傾ける。それこそさっきまでの怒りなんてどこかに吹き飛んでしまい。冴えた頭で真剣に爺ちゃんの言葉を拾う。
「その行いが、お前との壁をどんどん厚くしているのも知らずに。それで、お前が私のもとを離れていった時ようやく目が覚めた。私のしたことは愚かだったと・・・。」
「だったら・・・そう思っててくれたなら、かまってくれたらよかったろ!それだったら俺は・・・」
「あぁ、そうだな。だけど、もう分らなかったんだ。私には、お前にどう接して良いかが。だから、顔を合わせれば皮肉めいた言葉しか出なかった」
親父は、爺ちゃんに対してまだ言いたいことがありそうだったが、グッとこらえているような様子だ。当然か、今まで仲たがいしてきた父親に、こんなことを言われているのだから。
胸中は複雑そのもの、と言ったところだろう。怒っていいのか、それとも喜べばいいのか。とにかく親父の出した選択肢は耐えるということだ。
「だからこそ、新に真がISを動かした事を聞かされて、今度こそは守ろうと思ったよ・・・息子を、孫を・・・家族を」
「親父・・・。親父の気持ちは良く分かった。だけど・・・」
「あぁ、そんなことで私が許されるとは思っていない。後は、行動で示すことにする」
そう言うと爺ちゃんは、懐から出した一枚のカードのようなものを、俺に投げてよこす。危なげもなくそれを受け取ると、それはどうやらZECTの社員証みたいなもののようだ。
「真。それさえあれば君は我がZECTのメンバーだ。無くしたら再発行するから私に言いなさい」
「結局のとこ俺はやっぱZECTなのな・・・」
「安心しなさい。さっき言ったように、真を道具のように扱ったりはしない。我々が行うのは真に専用機を委託する事と、アフターサポートくらいのものだ」
ま、それならいいけど・・・。俺がZECTってだけで他はもう手出ししてこないだろうし、この社員証があったことには越したことはない。
つまり俺は半分ZECTで、半分ZECTではない。いわば非正規メンバーとでもいえばいいだろうか、だが爺ちゃんの言い方だと、IS関連では大いに頼って良いという事か。
「でも親父・・・IS産業には乗り出したばっかりって言ったよな?ってことは、真に渡す専用機が第一号になるんじゃ・・・」
「良いのか?俺、最初のうちどころか、全く勝てないかもだけど?」
「まぁ正直なところ真には勝ってもらい、我々の技術力をアピールしてほしいところだが・・・そんなことはどうでもいい」
「そんな事って・・・下手すりゃZECTのイメージが・・・」
「よく聞きなさい真。私が君に専用機を渡すのは、自衛の手段にしてほしいからだ。ZECTの存続がどうとかは、真は気にしなくていい」
もはやアンタ誰だよ?この人本当に加賀美 陸か?原作との態度の違いに焦るんだが・・・。まぁこの世界はワームもネイティブもいないみたいだし、この人もそこまで重いものを背負っているというわけでも無いのかね?
「分かった。爺ちゃんにもらう力は、俺なりに扱う事にする」
「そうしなさい。真なら、上手く使えると信じている」
「なんたって、俺の息子だからな!」
俺の言葉に爺ちゃんは満足そうに頷き、親父は腕を組み、誇らしげに頷いた。なんかプレッシャーかけられてんじゃん。二人とも本心からだとは思うけれども。
「で?その専用機はどこにあるんだ?」
「ここにある」
「はい!?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。爺ちゃんが取り出したのはアタッシュケースだった、事前に足元にでも置いといたのだろう。
いやいや!俺が言いたいのはそんな事ではない。アタッシュケースに収まるということは、待機形態になってるって事か?
軽~く勉強した俺の知識によると、初期化と最適化をしなければ形態移行は行われず、待機形態にすらならなかったんじゃなかったっけ?
え~っと・・・そう!一次移行しなければ、正確に言えばその専用機は俺の専用機として登録されていないはずだ。俺はそのままの疑問を爺ちゃんに投げかけた。
「初期化は!?最適化は!?」
「・・・何の話だ?」
「親父は黙ってろ!爺ちゃん。答えてくれ」
「ああ、面倒だから省いた」
「はい!?」
素っ頓狂な声その2。面倒だからとかで省けるもんなの!?それともただ単にZECTが変態なだけかもしれないが・・・。
「パススロットは分かるか?」
「あっ、え~っと。ISの武装とかを量子変換時にしまっとく場所みたいな?ポケットのようなものだって認識だけど」
「思ったよりもよく勉強しているな。その通り、パススロットはそのためにある物だ。ならば、そのポケットにIS自体を収納すればどうかね?」
「それってつまり・・・」
「そう。このアタッシュケースに入っているのは、パススロットに専用機を積んだ別の媒体だ。我々は、これをゼクターと呼称している」
おお、なるほど!そういう形でISをゼクターにしたのか、あの神も結構考えるな。でもISごとにパススロットの容量って開きがあったっけ?ISそのものを収納しているとなると、相当な容量が必要になる気がするんだが・・・。
まぁいいか、やっぱりZECTは変態だったって事で。
「このゼクターを介してISを展開させることになるから、他より多少は展開に時間がかかるようになるが、そのぶん楽に展開させられる」
「俺みたいな初心者でも扱いやすい・・・って事か」
なんだっけ、ISそのものや武装を出すのや空を飛ぶことに関しても、ISはイメージ力が大事になるんだっけ?・・・スタンドアップ! THE ヴァンガー・・・なんでもない。
それだったら、時間がかかろうと簡単な方が俺は助かる。媒体ってのは、つまりゼクターをベルトに装着すればいい訳だろう?
「それで、この専用機の展開方法だが、このベルトにゼクターを装着すればそれでいい」
はいキター!ついに来ましたよ、この瞬間が!ようやくカブトが俺の手元に来るぜ。回し蹴りを決めるのが待ち遠しいな。
・・・と心の中でほくそ笑む事ができたのは、この数秒間。
「そして、これが真の専用機となる」
嫌な予感がしていた、と言うのは前も言っただろう。ハッハッハッ、嫌な予感ってのは当たるもんですねぇ。
「我々ZECTが開発したISの第一号が収まっているゼクター」
さっきから何を言ってるのかって?教えてしんぜよう。今俺の目の前に飛んでいるのは、赤いカブトムシではなく・・・。
「ガタックゼクターだ」
青いクワガタムシで、戦いの神(笑)さんじゃないですかヤダー!!!アイエエエエエ!?ガタック!?ガタックナンデ!?
ヘッズじゃなくても思わず忍殺語が出るよチクショウ!!!!!え、ヤダ・・・本気で嫌なんですけど!?ちょっ・・・神?聞こえてない?聞こえてるんなら出てこいよ、マジで、もっかいぶっ飛ばしてやるから。
『キュイイイイ・・・』
原作では何度も聞いた独特な電子音を発しながら、ガタックゼクターは俺を値踏みするように眺め・・・ているような気がする。
・・・まさかじゃないけど、ボッコボコにされないよな?「貴様に私を扱う資格は無い」的なことにならないよな、原作基準だとそうですが。
「ゼクターには高度なAIが積まれている。真を傷つけようとする物から守ってくれたり、そのほかにもさまざまな機能が搭載されている」
「へ、へ~・・・そりゃすげぇな~」
オーケー!とりあえずフルボッコにされる可能性は消えた。だから嫌なんだよ、ガタックゼクター。いっぺん拒絶した相手が死んだら生き返らすとかお前はヤンデレかと、声を大にして言いたい。
「・・・真。さっきからリアクションが薄いが、気に入らないのか?」
「べ、別に・・・そんなんじゃねーし」
「その言い方・・・絶対何かあるだろ?」
ISの話についてこれなかった親父が、ここにきてかなり余計なひと言をぶちかます。それに爺ちゃんは反応を示した。
「真。何か、意見があるのかね?」
「へ!?い、いや・・・意見っつーか、なんつーか。素朴な疑問・・・?はあるにはあるけど・・・」
「ほう・・・?聞かせてみなさい」
「な、なんでカブトムシじゃなくてクワガタムシなのかな~・・・と・・・」
俺の言葉を聞いて親父は吹き出す。ああ・・・イラッっと来たね、今のは。後でぜってーしめる。
「何かと思えばそんな事かよ?別に良いだろう?どっちでも」
「いや、普通思わねぇ?」
「真の質問に答えるとすれば、それは・・・」
「そっ・・・それは・・・?」
「それは・・・」
「それは・・・?」
「なんとなく」
ズコーッ!っと俺はお手本のようにズッコケた。えらく引っ張ると思ったから、よっぽどの理由があるのかと一瞬期待したのに・・・。
そういやこの人って原作でもこういう一面があったな、人をおちょくるというか。
「・・・なんとなくなら仕方ないな!」
立ち上がった俺はとりあえずサムズアップをしながら爺ちゃんに言葉を返す。爺ちゃんは愉快そうな様子だ。もう爺ちゃんが満足してくれたならそれでいいですハイ。
「では、さっそく試運転と行こうかね。地下に実験場が設けてあるから付いてきなさい」
「おっ、真の専用機が見れるのか!楽しみだな、真」
「あ、ああ・・・うん。そうだな・・・」
相も変わらず元気の出ない俺に、親父は頭にクエスチョンマークを浮かべるが、大して気になってもいないのか、扉を開いて爺ちゃんが通るのを待ち構えていた。
爺ちゃんが扉をくぐったのを確認すると、親父はすぐに爺ちゃんを追いかけて歩き出す。はぁ・・・と溜息をつきながら俺も歩き出すと・・・。
『キュイイイイ・・・』
ガタックゼクターも俺の後ろをピッタリついてくる。試しにその場で止まってみると、ガタックゼクターも動きを止める。
・・・ストーキングされてる側の気分ってこんな感じなのかね?四六時中ついて回られても困るんだが?
「(はぁ・・・もう言っても仕方ないか・・・)」
そう、仕方のないことだ。カブトとガタックを間違えてしまったのなら仕方が無い。俺はそうやって割り切ることにした。
そうしなければ、こいつは俺の専用機であり、大事な戦力だ。受け取らないという選択肢は、今の俺にとってはあり得ない。
戦いの神(笑)でどこまで頑張れるかはわからんが、とにかくこいつは俺の相棒なのだ。むしろ本当に戦いの神と周りから呼ばれるようになる。そういう意気込みでいよう。
「・・・これからよろしくな」
俺がそういうと、ゼクターは電子音を鳴らす。どうやら俺の言葉に応えてくれたらしい。
ドラマの中だけで見たゼクターが、確かに今目の前に存在している。その事実がなんだか面白く感じ、俺は一度クスッと鼻を鳴らすと、相棒と共に二人を追いかけた。
加賀美 陸さんの口調がつかめないッス・・・。
それに前回ISの世界におけるZECTがどういうものなのかを書くって言ったのに忘れるというね・・・、どうしようもないのでここで説明をば。
IS世界におけるZECT
何の企業かと一言で答えるとするならば「何でもやる企業」で建築電気機器製品の開発。巨大農場もやってたりと「パンツの紐から戦車まで」みたいな感じ。会長である加賀美 陸いわく、最近IS関連の商売にも乗り出した。加賀美親子が訪問したのは所謂「ZECTグループ」の本社みたいなところ。新の言っていた「政府にとってなくてはならない企業」と言うのは、もちろん加賀美 陸が裏でゴニョゴニョしているから。
とこんな感じの企業になります。私の説明で伝わりますかね・・・?
今回の話は不安だらけです。っていうかまだ真がIS学園にすら言っていない事実・・・。
あぁ・・・お先真っ暗とはこの事か・・・。
とりあえず自分なりに頑張りますかね。
では、また次回にお会いしましょう。