戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

皆さんは当然知っていると思いますが「ガンバライジング」ってあるじゃないですか。私はガンバライド時代から頻繁にプレイしているのですが……。

正月の間はチビッ子達が多くて視線が痛かったですね。その辺りは開き直ってるつもりなんですけど、チビッ子を見守る大人達の視線は倍くらい痛かったというか半分耐えられなかったです。

あまりにも前書きで話すことが思いつかなかったので近況報告です……軽く流して頂いて結構ですからねwww

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします!


天災との会合、飛来せし福音(前途多難)ですが何か?

「ただ今お連れしました!」

 

 アンタは篠ノ之博士の付き人か何かか?とでも言いたくなるほどに丁寧な対応をする山田先生。それに対して、俺は目の前にいる篠ノ之博士のある一点をマジマジと見つめていた。

 

(……兎だ)

 

 そう、ウサミミのカチューシャ?を頭に着けている。確か織斑先生と同い年だったよな、良い年こいて恰好もなんかアリスみたいな感じでメルヘンチックだし……。

 

 というか、何か爺ちゃんと兎に関して話した気がするんだが、なんの話だっけ?……たしか兎は危険みたいなことを爺ちゃんに忠告されたのだった。

 

 兎……というのはもしかして、篠ノ之博士の比喩表現だったのだろうか。だとすると、俺はますますヤバイ状況に陥っているのか。…………さすれば、細心の注意を払ってのファーストコンタクトをかけよう。

 

 学年全員が注目する中、俺は大きく前に踏み出す。すると、同じようにして篠ノ之博士もこちらに近づいてくる。会話が出来そうな位置まで来ると、篠ノ之博士はパッと人当たりの良い笑みを浮かべた。

 

「やぁやぁ!君がもう一人の男子だね?」

 

「……ッ!?」

 

 この女……分かりやすいほどの猫を被ってやがる。顔は確かに笑っているが、俺に向けられているのは純粋な「悪意」でしかない。しかも、相対する人物にしか分からないような微弱な「敵意」も感じる。

 

 

「ん~?どうかしたのかなぁ?」

 

「あ、いや……何でも無いです。えっと、俺は……」

 

 篠ノ之博士のプレッシャーに充てられた俺は少しばかり反応が遅れてしまう。そんな俺を見て、篠ノ之博士は白々しい事に下から顔を覗かせてきた。

 

 完全に自分の容姿が優れていると自覚しての行動だろう。不覚ながら、美人であることは認める。少し動揺しつつとりあえず自己紹介しようとしたが、篠ノ之博士に遮られた。

 

「ああ、だいじょぶだいじょぶ!君の名前なんて知ってるし興味ないから、教えてもらわなくても良いよ」

 

「はぁ……?」

 

 落ち着け……俺の煽り耐性よ、今こそ覚醒の時だ。この女のペースに乗せられて、得する事なんて何もない。むしろ、最悪だろう……ZECTにどういう危険が及ぶか分かったものでは……。

 

「君にさぁ、いろいろ聞きたいことがあるんだよね~。良いかな?良いよね?というより、君に拒否権は無いと思った方が良いよ?」

 

「分かりました。とりあえず、俺に答えられる事なら」

 

 拒否権が無いなら最初っからそうしとけや……と心の中で毒を吐く。あ~……ダメだね……この女は苦手なタイプだ。なんか少しばかり女狐と同じ匂いがする。

 

「じゃあ早速1つ目の質問ね。君のISって何?」

 

「な、何……?何と言われても……」

 

 恐らく俺のISに不可解な事が多い事についての言及なのだろうが、なぜこの女がその事について知っている?……この際その辺りは無視した方が良いのかもしれない。

 

「不思議だよねぇ~世代的には第一世代、第二世代くらいが妥当なISなのにさ、ワンオフアビリティークラスの能力を持ってる。けど、確かワンオフアビリティーじゃないんだよね?」

 

「まぁ……俺も把握できてないですけど。そうですね、その見解で合ってます」

 

「そっか~そっか~。う~んこの束さんの天才的頭脳をもってしても理解が及ばないや」

 

 篠ノ之博士はそんな事を言いながら、頭を抱えてグワングワンと揺れる。クソッ、何を考えているのか分からねぇ……質問の意図さえ読めれば今の状況はマシになるだろうに。

 

「特にアレとか、意味わかんないもん。何だっけ?クロックアップ?だいたい予想はついてるけど、予想がつくからこその疑問って言うかさ~」

 

「予想……ですか?」

 

「た・と・え・ば……時空操作能力とか?」

 

「!?」

 

「おややっ、その反応は肯定と見て良いのかな?ひゃっほう、大正解!」

 

 完璧にクロックアップの詳細を言い当てられてしまい反応を示してしまった。自分から図星ですよと言ったと同然の反応を示す俺に、篠ノ之博士は大正解だとピョンピョン飛び跳ねはしゃいでいる。

 

「ねぇねぇ、どういう原理なの?時空間の操作って言ったらやっぱりタキオン粒子が関わっているのかな?」

 

「いや、さっきも言った通り俺にもよく……分からないです」

 

 興奮気味に詰め寄ってくる篠ノ博士に後ずさりながら答えた。分からないとは言ったが、クロックアップの原理に関してはタキオン粒子の操作で正解だろう。

 

 だが、あくまで「あろう」としか言えないのも事実。本気で分からないことが多すぎるのだ、この……ガタックゼクターは。俺の答えに篠ノ之博士は残念そうにする。

 

「まぁ、そうだよね……タキオン粒子自体の存在も証明できて無い段階で答えれられる訳ないか。じゃあ、次の質問いってみよ~!」

 

「…………」

 

 なんか……もう疲れてきたんだけど、帰って良い?無駄にハイテンションなくせに突っ込むところはキチンと突っ込んでくるし……ボロが出ないようにするのは気を使う。さて、次の質問はいったいなんでしょうかね。

 

「君はさ、どれだけ自分の事を理解できてる?」

 

「は……?質問……それですか?」

 

 全く持って意味が分からない質問をしてきた。俺の事……だと?なんでこの女が俺の事を聞かなくてはならないと言うのか。どう反応して良いか分からず、質問に質問で返す形になる。

 

「ふ~ん?君は自分の身に何が起きてるかまでは知らないんだね」

 

「……アンタ、さっきから何を言ってるんだ?」

 

「私が何を言いたいか?アハハ、半分解ってるくせに。君は、自分が普通じゃないと思える出来事に遭遇した……違うかな?」

 

(!?!?!?)

 

 おい…………ちょっと待て、ちょっと待てよ!この女は俺が暴走したシュバルツェア・レーゲンと戦った時に起きた「あの出来事」……ISの声らしきものが聞こえた事について言っているのか!?

 

 おかしいだろ!?ガタックの事についてやクロックアップについて知っていることに関してはまだ納得がいく。だが、あの出来事は俺しか体感していないし、俺は誰にも話していない!なぜこの女はその事を知っている!?

 

「誰かに相談できるはずないもんね。頭がおかしいって思われてお終いだろうから……ISの声が聞こえた、なんてさ♪」

 

「ッッッッ!?」

 

 篠ノ之博士は妙に艶めかしい声色で俺にそっと耳打ちした。だが、これでビンゴだ。この女は俺について何か知ってる。動揺を隠せない俺の表情に周りは困惑しているようだが、今の俺にはそんな事は気にならなかった。

 

「俺の何を……知ってる!?話せよ、洗いざらい!全部!」

 

「アハ、怒った?わ~わ~怖~い」

 

「しらばっくれる気か……!!!!」

 

 俺の怒りに満ちた口調に全く動じることなく、篠ノ之博士はあくまでふざけた態度を崩さない。その姿勢にますます俺のイラつきはつのるばかり、心底の憎しみの視線を向けるが、これも特に動じることは無いようだ。

 

「うん、そうだよ」

 

「なっ!?いけしゃあしゃあとよくも……」

 

「だって束さんも確証がある訳じゃないしね、確信に変わるまで誰にも話さないよ。それに……何より君のためでもある訳だし。束さんの考えが正しければの話だけど」

 

「俺の……?」

 

 俺のため……とは、どういう意味だ?一々気になって仕方が無いような言い回しをしやがるくせに、今更俺のためなんて言われて「はいそうですか」となる訳がない。

 

「この束さんが珍し~く興味も無いような存在に注意勧告をしてあげてるんだから、大人しく聞いてよ」

 

「…………」

 

「今からするのは最後の質問……と言うよりお願いだね。君……ISに乗るの止めてくれない?」

 

 …………俺の「何か」を知ったうえで、俺にISに乗るのを止めろってか?説得力が無さすぎる……俺の事も聞けていない状態で、これも納得いくわけがない。

 

「それは、さっきの話と何か脈絡が?」

 

「……さっきも言ったけど、君のためでもあるんだよ。この先後悔したくないなら、今すぐISを降りることをオススメするね」

 

「もっと解るように言って貰わないと困るんですがね?」

 

「質問してるのは私だよ。このままISに乗るか、それとも降りるか……どっちかな?」

 

「そこまでにしてもらおうか」

 

 それまで黙ったまま動かなかった織斑先生だったが、ここで篠ノ之博士に待ったをかけた。もう少し早く動いてほしかったものだけど、まぁ良し……篠ノ之博士も大人しくなるだろう。

 

「え~でもでも~」

 

「デモだろうがストだろうが止めろ。ISから降りてくれだと?加賀美が私の監督下にいる間は、私の生徒だ。私の生徒と言う事は……一端のIS乗りになって貰わないと困る」

 

「あだっ!アダダダダ!?織斑先生、髪っ!髪っ!」

 

 織斑先生は女性らしからぬ怪力で俺の頭を押さえつけながらそう言った。しかしなんというか、随分と男前な発言だ。こういうセリフをすんなり言えちゃうところがカリスマって奴なのか?

 

「ちーちゃんがそう言うなら退避!とぅ!」

 

 そう言って篠ノ之博士は大げさに後ろに後退した。……分からないことだらけだが、一つだけわかった事がある。俺は、俺の知らない秘密を抱えていて、篠ノ之博士は俺の真実に最も近い所にいる。

 

 だが言ってしまえば、爺ちゃんとか怪しもうと思えば怪しい人物は身近に沢山だ。それでも、身内は絶対に疑ってなるものか。俺の答えは、俺で見つけてみせよう。

 

「たっ、大変です!おっ、織斑先生!」

 

 山田先生が俺を呼びに来たような慌てようで織斑先生に近づいて行く。いつも忙しくしてるな、山田先生は。教師になってどれくらいなのだろうか?

 

(あれは……)

 

 手話……か?どうやら呑気な事を考えている場合ではないらしい。口では話せないからこその手話、となると機密事項……と考えるのが妥当だろう。

 

 山田先生がどこかに行ってしまったのを皮切りに、織斑先生から指示が出た。内容はIS学園教員は機密任務にあたるとのこと。それによって今日の試験は中止となる。

 

 突然の機密任務による中止という状況に多くの女子達は戸惑いを隠せないでいる。だが、許可なく部屋を出たものは拘束という一見脅しとも取れる織斑先生の言葉に、女子達は慌ててISを片付け始めた。

 

「専用機持ちは全員集合しろ……篠ノ之、お前も来い!」

 

「はいっ!」

 

 専用機持ちが呼ばれるのは分かるが、どうしてそこに篠ノ之も呼ばれる?気になって、密かにガタックゼクターでスキャニングをかけた。すると、どうやら「紅椿」なる専用機を取得しているようだ。

 

 となれば、篠ノ之博士に譲渡されたと考えるのが自然だろう。身内にIS貰ったらなんとなく頼りっきりって気持ちになるよな、俺には分かる。

 

 おっと、俺も早く旅館に戻らなくては……。ただでさえ緊急事態みたいなのに、遅れるとか洒落にならんっていうかむしろ死ねる。小走りで歩き出すと、篠ノ之に話しかけられた。

 

「真」

 

「なんだ?……まぁ、急ぎながら話すぞ」

 

「さっきは姉が済まなかった。事情はよく分からなかったが、混乱させたようだったな……」

 

 まぁ傍から見たら意味の分からん会話だよな。俺とあの女しか知りえない情報ばかりだったんだし。でも、つまらんことで謝られたものだ。

 

「気持ちは分かるが、アンタが謝るのは筋違いだね。アンタはアンタ、姉は姉だ……そうだろ?」

 

「……ああ、全くその通りだ」

 

「その辺は日本人的観点だよな。身内の粗相は身内の恥……ま、気持ちだけ受け取っておくさ」

 

「そう言ってもらえると助かる。ありがとう……」

 

「しかしなぁ、アンタも……」

 

「? 私が、何だ?」

 

「いや、なんでも」

 

 姉……なぁ、たぶん簪と同じで苦労はしてるんだろうなとは思うが……。どうにも篠ノ之と簪では苦労のしかたに差があるような気がする。簪なんて比較対象が在学中で、方や篠ノ之は比較対象が世界最高の天才……か。

 

 いや、この話題は止めておこう。どちらも同じだ、大きすぎる姉の存在に苦労している……それだけ。比べるだとかなんていうのは最悪の発想だ。スマン、2人とも。とりあえず俺は心の中で謝罪を述べておく。

 

 そろそろ本気で気持ちを切り替えなくてはならない。どういう状況かまだ分からないにしても、集中だけはしておかなくては、いざという時にアホ面をさげる訳にもいかんだろう。

 

 とりあえず篠ノ之の話はそれで終わったらしいので、これ以上の無駄口はいらん。俺は少し歩く速度を上げて集合場所に向かった。

**********

「では、現状を報告する」

 

 俺達専用機持ちが集められた大広間には、織斑先生をはじめとした数名の教師が険しい顔つきで立っている。いや……教師だけではなく、代表候補生たちもだ。

 

 俺も企業のテストパイロットだが、それはあくまで名目上のものだ。織斑、篠ノ之、俺の3人は漠然と「ヤバい事が起きている」くらいにしか事態を呑み込めない。

 

 そんな中、俺達に構っている暇はないと言わんばかりに空間投影されたディスプレイを用いて織斑先生は説明を開始した。

 

 遡ること2時間前、ハワイ沖にて運用試験中であった第三世代型IS「銀の福音」が突如暴走。監視区域を離脱し約50分後にはここから2キロほど離れた場所を通過するそうだ。

 

 それで結局なぜ俺らが呼び出されたのかというと、簡単に言えば「私たち教師は空域を封鎖するから、代わりに君たちが暴走ISを止めてね」という事らしい。

 

 ……普通は逆じゃね?生徒のために命張るのが教師ってもんじゃ無いのか。まぁ教師陣が使うのはあくまで量産機だし、専用機を持った者が対応するのが戦力的に有利かもしれんけど。

 

「それでは、作戦会議を開始する。意見のある物は挙手するように」

 

「はい」

 

 一番に手を挙げたのはオルコットだ。内容は、スペックデータの開示要求という至極まともな発言である。未知数の相手に情報零で挑むのは無謀に近い。

 

 ただし、関係者以外に口外した場合は査問委員会にかけられるそうだ。おっかねぇ、ZECTでもちっとばっかし手が届かなさそうだから、助けてもらえ無いよな……くわばら、くわばら。

 

 開示されたスペックを見て、候補生たち4人はやんややんやと意見を交わし始める。別に理解できないわけでは無いが、言いたいことはだいたい先に言われたので黙っとく。

 

「織斑先生。ちなみにですけど、チャンスは何回ありそうですか?」

 

「この機体は現在も超高速移動を継続中だ。恐らく一回きり、それが限度だろう」

 

 とりあえずこの情況かで無言なのは役立たずな気がして、とりあえず発言しておいた。チャンスが一回……か、逆を言えば一回チャンスがあれば十分な機体を持った奴が1人いる。

 

「だったら零落白夜しかないわね」

 

「ですが、問題は……」

 

「どうやって白式をそこまで運ぶか、だよね」

 

「ああ、エネルギーは全部攻撃に回すとして……移動をどうすれば良いかが重要になるな。つか、そもそも超高速移動を続けるISにどうやって追いつくかって話だけど」

 

「それに、超高感度ハイパーセンサーも必要になるな」

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ!俺が行くのか!?」

 

「「「「当然」」」」

 

「この流れからしてそうだろうがよ」

 

 あれだぞ、いつものって奴だ。具体的に言えば困ったときの零落白夜的な?一撃で沈めれるって本当恐ろしいよね。ガタックのライダーキックはダメ押しようだから一撃とは限らないし。

 

「織斑、コレは実戦だ。もし覚悟がないなら無理強いはしない」

 

「……やります。俺が、やって見せます!」

 

 織斑の覚悟を決めた表情に、織斑先生は水を差すのは止めたようだ。そうして、俺達のIS中最も速度が出る機体を探すことに。

 

 すると、オルコットが追加パッケージ「ストライク・ガンナー」なるものが本国から送られたと発言。おまけに高感度ハイパーセンサーも付いてて、オルコット自身の音速下における戦闘訓練時間も申し分ないらしい。

 

 時間も無いのだ、これで出撃するメンバーが決まり早く次の段階へ……という所に、不思議の国からの来訪者が一人やってきた。

 

「ちょっと待った~!ちーちゃんちーちゃん、私にもっといい考えがある!」

 

「出ていけ」

 

 天井から突如生えてきたかのような篠ノ之博士を織斑先生は一蹴する。この人のこういう所は嫌いじゃない、というよりむしろ好きだ。いいぞ、もっとやれ。

 

「聞いて、聞いて!ここは断然、紅椿の出番なんだよ!」

 

 篠ノ之博士もそういう対応に慣れているのか、特に気にすることなく話を続ける。曰く、篠ノ之の専用機となった紅椿の方が適任なんだとか。

 

 どうやらパッケージなしでも素の状態で超高速移動が可能だとか、それを篠ノ之博士は展開装甲と呼称した。第四世代型の新機能だとも言っている。

 

 篠ノ之博士は展開装甲に関して織斑にうだうだ説明しているが、つまるところモードチェンジと言った方が織斑は理解できるはず。あれ……?キャストオフ、プットオンシステムもある意味展開装甲じゃね?

 

 換装を必要としない万能機って篠ノ之博士も言っている。ほら?ガタックって換装必要とせず装甲パージしてモードチェンジしてるじゃん?ガタックって中身は第4世代だったんだな(適当)

 

 なんて考えてる間になぜか篠ノ之博士は「白騎士事件」について語りだした。……ダメだこりゃ、長くなりそう。時間がないって言ってるんですけどね。

 

 はいはい、どうせアレでしょ?篠ノ之博士のマッチポンプでしょ?自ら天才を名乗るくらいなんだからそのくらい出来て当然と言う熱い風評被害を押し付けておく。

 

(ん……?マッチ……ポンプ?)

 

 ……なんか、きな臭くないか?篠ノ之が専用機をこの日に所持した事、篠ノ之が専用機を所持した日に軍用ISが暴走……。その暴走したISが花月荘近くの空域を「たまたま」通過する……。

 

 考えてみると、偶然にしては出来過ぎている気がしてならない。まさかこの女、ISを暴走させたうえでこちらに呼び寄せ、妹に活躍の場を設けた……?

 

「話を戻すぞ。束、紅椿の調整にはどのくらいかかる?」

 

「7分もあれば余裕だね」

 

 深い考察から現実に引き戻されると、どうやら織斑先生は作戦に篠ノ之を起用する決意を固めたらしい。オルコットが何か反論したげだが、肝心のパッケージをインストールしていない事を盾に却下される。

 

「それでは、織斑・篠ノ之両名による追撃及び撃墜を目的とする。作戦開始は30分後。各員、準備にかかれ!」

 

 織斑先生の号令を合図に織斑以外は一斉に動き出す。手の空いている者は率先して出撃の手伝いをせよ、とのことなので、言われた通りに物を運んだりすることに。

 

「…………ッチ!」

 

「なによ、何か不満なことでもあんの?」

 

「ああ?……いや、少しな。アンタが気にするほどの事じゃない」

 

 さっきの引っ掛かりの事を思い出したら、胸が妙にモヤモヤしたのでつい周りに聞こえるような舌打ちをしてしまう。幸い鳳は特に気にすることなく「そう」と短く答えて手伝いに戻った。

 

 んな事を気にする暇があったら、目の前の役割をこなさないとな……。運ぶものが片付き始めたので、女子達に後は俺がやっておくと言う旨を伝える。こういう時こその男手だ、それに候補生達なら織斑にアドバイスできることもあるはず。

 

 すると、しばらくしてギャーギャーと騒がしくなってきたので作戦会議でも始まったようだ。俺もそれくらいのタイミングで運搬を全て終えた。

 

 俺もあの中に混ざるべきなのだろうが、そんな事よりも俺は奴を観察する事に徹した。言うまでも無く、篠ノ之博士の事である。まぁ、自分の妹が危険にさらされることはしないはずだ。

 

(何を考えてやがる……)

 

 壁にもたれかかりながら篠ノ之博士を眺めていると、向こうもどうやらオレの視線に気づいたらしい。すると、ムカつく事に俺を見て挑発的な笑みを浮かべて来るではないか。

 

 お返しに睨んでやると、凄むどころかむしろ満面の笑みで紅椿の方へ向き直る。そんな篠ノ之博士に対して、何だか負けた気分になった俺は……。

 

「チッ!」

 

 またもや大きく、周りに聞こえるくらいの舌打ちをする。そんな俺の心中を知ってか知らずか、篠ノ之博士は俺と目を合わせて以降、より楽しそうに紅椿の調整を進めていくのだった。

 

 

 




束さんのキャラがイマイチつかめない……こんな喋り方で良いのだろうか?原作ではもっとハッチャケてる気がします。

それと、束さんの意味深なセリフですけどね……意味分からないでしょ?今の時点では意味が解らないと思いますが、後々「ああ、この会話はこういう事だったのか」となる展開ですので、真相を知りたい方はかなり首を長くしていただく必要があります……。

次回はどうなるかな……?一夏と箒の戦闘シーンはカットするつもりなので、真&原作ヒロインズVS銀の福音ってところですかね。

それでは皆さん、次回もまたよろしくお願いします。

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