戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

学生の子たちなんかを昼間に見かけると、そういや昔は冬休みなんてものがあったな……と思ってしまう自分がいます。

社会人になって、そんなに長くは無いんですが……遥か昔の事のように感じられるのは何故?精神的に年喰ってるのでしょうか?

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


真の休日(リア充)ですが何か?

 空を見上げると冴え渡るような晴天……チラホラと入道雲も見え始め圧迫感を感じる夏の空。俺は2人の少女を連れてリア充まっしぐら……なのだが、俺の心は曇り空といったところか。

 

「空なんて見上げてどうしたの……?」

 

「簪……。い、いや……別になんでも」

 

 曇り空である原因は今目の前にいる少女、更識 簪のせいである。「せい」と言っても責めるつもりはないし、事実簪は何もしてないし……例の如く俺が考え過ぎてるだけだろうけど。

 

 あの「簪サプライズ背中抱き着き」の件以来、俺はイマイチ簪をどう見て良いか分からなくなってしまっていた。何というか……簪を見ているだけでモヤモヤする。

 

 何のモヤモヤなのかすらはっきりしないが、一つだけわかるのが「恋心」ではないくらい。俺がそんなんで落とされたら「気難しい」だの言われるわけがないだろう。

 

 簪は全く何事も無かったように俺に接してくるし……どうすりゃいいのさ?意識しすぎるからか……?だとすれば、あのことは本気で忘れて自然体でいなければな。

 

「お~い、2人とも~!はやくはやく~」

 

「あぁ、悪い!ホラ、簪」

 

「うん……」

 

 俺達の少し先で元気に手を振っているもう1人の少女、布仏 本音は俺達に急ぐように促した。なんというか、本音に急ぐように言われる時が来るとは……まぁ小走りで追いつけるスピードだけど。

 

「一段と楽しそうだな、本音」

 

「もちろんだよ~。だってかがみんとかんちゃんとお出かけだも~ん」

 

「そういえば……本音と外出するのも久しぶりだね……」

 

「うん~!という訳で~今日は楽しんじゃお~う」

 

「お、お~……!」

 

「おうよ!」

 

 本音が大きく右腕を上げるのを見て、簪も控えめながらに右腕を伸ばす。珍しく俺もそれに乗る事に、バッ!と元気に拳を天に突きだした。

 

「じゃ、とりあえず歩くか」

 

「そうだね~」

 

ガバッ!

 

「ファッ!?」

 

 つい先日も似たようなことが合って申し訳ないが、言わせて頂こう。なんで本音は俺の右腕に抱き着いているんだ!?ちょっと待てぇぇぇぇ!なんでや!本音は俺に気が無いって言うたやろ!

 

「? どうしたの~?かがみ~ん」

 

「ど、どうしたのじゃ無くてですね本音さん。そういうのはその……俺にするべきではないじゃないですか……」

 

 そうなんだよ……まるでカップルがするかのような感じなんですよ。ってなんで敬語になってんだ俺は、とにかく何とかして本音を離さなくては……。

 

 そう思い左手を動かそうとするが、何か柔らかいものを握っている。見ると、簪が俺の左手をロックしているではありませんか、しかもご丁寧に恋人つなぎです。

 

「なに……真?どうか……した……?」

 

(誰かーっ!)

 

 俺は心の中で盛大に助けを呼んだ。が、残念……心の声なので誰にも届くはずがない。よしんば誰かが助けに来たとしても、この状況を見て「助けてください」なんて言ったら舌打ちを返されて終わりだろう。いや、顔面に唾を吐かれるかもしれない。

 

「かがみ~ん。かがみんが歩いてくれないと歩けないよ~?」

 

「そ、そうだよ……?早く、行こ……」

 

 オーケー……いったん落ち着くんだ俺。この状況は誰がどう見たって美味しいじゃないか、それを助けてなんて贅沢な悩みだなハハッ。ポジティ~ブ……イッツァ・ポジティブシンキ~ング……。

 

「わ、分かった……。あ、歩くぞ!?本当にこれで良いんだな、知らんぞ!?」

 

「何の確認……?」

 

 ええ、言ってみただけですとも……もしかしたら離してくれるかもしれないという希望を抱きながらの……な。いい加減に観念して俺は歩を進めることに。

 

 歩き始めてすぐ感じたのは、様々な視線だ。文字通り両手に華な状態を見て嫉妬の視線で見てくる男達。俺が緊張しているのを察してか「あらあら」みたいな目で見てくるオバサン達と……居心地が悪い。

 

 俺が無言過ぎたせいか、本音は心配そうにのぞきこんできた。俺は本音と目が合うと、とりあえずぎこちない笑顔を見せてみる。すると、ニパーッと明るい笑顔が返ってきた。

 

 ……もうね、反則だよね……?ぶっちゃけるけど、可愛い。なんだ俺の両サイドに居る可愛い生き物は、可愛さで男を殺す新種の生き物なのか?

 

「かがみ~ん」

 

「何でございましょう!?」

 

「かがみんは~こういう所って来るの~?」

 

「あ~……いや、滅多には来ないな。ガキの頃はたま~に親父が無理矢理連れ出してたけど……」

 

 紹介が遅れたが、俺達が今居るのは駅前の大型ショッピングモール「レゾナンス」だ。俺の家からはかなり遠いが、それでも有名な場所なので何度か親父と来たことがあった。

 

「真は……特撮以外の私生活が謎だよね……」

 

「ISを動かす前は~、休みの日とかはどうしてたの~?」

 

「う~ん……そうだな……。特撮以外ってんなら、適当に近所をブラブラ散歩したり……バッティングセンターに行ってみたり……。何かしら体を動かしてるな」

 

 俺はスポーツの類は好きな部類だ。個人的にスポーツは大概どんなものでもそつなくこなすし、特に野球は得意といっても良いだろう。バッティングもピッチングも親父に鍛えられた。

 

「健康的だね~」

 

「私も……見習わないと……」

 

「人には得手不得手があるし、もし運動するときは無理の無い範囲でな」

 

 簪は特別体を動かすのが苦手そうだし……代表候補生とはいえ生身じゃステータスに差は出るだろう。オルコットは女の子走りだったし。逆にボーデヴィッヒの走り方は男前すぎるがな。

 

 そうして雑談をしている間に俺もだんだんこの状況に慣れたというか、気にならなくなってきたというか。決して恥ずかしくないわけでは無いが「何の問題も無いね」と言えるほどの精神状態だ。

 

 しゃんとする事が出来たところで、結局なにを買いに行くかという話が出てくる。日用品はかさばるから最後、この意見は速攻で固まった。

 

「日用品をスルーするとして、他に必要な物ってありそうか?」

 

「ん~……やっぱり海だし~水着とかかな~」

 

「み、水着……」

 

「水着……か、だったら2階だったな。行ってみよう」

 

 目的は決まったので、俺達は水着売り場まで歩き出した。それにしても、水着なぁ。別に新調する必要も無い訳だが、手元にある訳でもないし、今から親父に送ってもらっても絶対間に合わんわな。

 

 余計な出費になるが仕方ない……。この際だから俺も新しい水着を買う事にしよう。学校指定用ってのも味気が無いし。

 

 で、件の水着売り場だがシーズン真っ只中なせいかどこもかしこも大々的に水着の売り出しをかけている。中でも巨大なウィンドウを構える店が嫌でも目に付いた。

 

「どうせ買うなら、品ぞろえの多い方が良いんじゃねぇ?」

 

「わ~、あのお店おっきいね~」

 

 俺が指差した店に本音は駆け寄っていき、俺と簪は顔を見合わせた後に本音を追いかける。しかし、近寄って見てある事に気が付く。どうやらこの店は女性用しか取り扱っていないらしい。

 

「こういうのを見てると、女尊男卑ってのを思い知らされるな……。仕方ない、俺は他の所に行ってくるから、2人はここで……」

 

「あ、あの……!」

 

 別行動もやむなしと、俺が発言する。簪はそれを途中で遮り、俺の方に前のめりになって少しだけ大きな声を出した。それを俺は驚いた顔で眺めると、簪は続ける。

 

「水着……真に選んでほしいな……」

 

「お~!かんちゃんナイスアイデア~」

 

「……美的センスには自信がないぞ?」

 

「それでも良いの……。真が選んでくれることに意味があるから……」

 

 恥ずかしがってるようだったが、原因はそのせいだったんだな……。あ~……本当は抵抗があるんだが……こうも必死そうな顔でお願いされると断り辛い。

 

「分かった……」

 

「いぇ~い。そうと決まれば突撃~」

 

「のわっ!?お、押すなって!まだ心の準備がぁ!」

 

「突撃~……」

 

「簪まで!」

 

 俺の了承の言葉を聞いた途端2人は背後に回って俺の背中をグイグイと押す。どうでも良いが、抑揚のない簪の口調で「突撃」ってのもなかなかシュールかもしれない。

 

 店に足を踏み入れると、店員のいらっしゃいませ~という声が俺を出迎えた。男が来るのも珍しい事ではないのだろうか?しかし、実際目の当たりにすると……なかなか種類が豊富なものだな。

 

「わ~、これ可愛い~」

 

 トテトテと本音が近寄って行ったのは、なんというか一言でいうなら「水着?」とクエスチョンマークがついてしまいそうなデザインだ。というより、どっちかって言うと着ぐるみじゃないのか?

 

「なんかどこかで見た事のあるようなデザインが多いような気がするが……」

 

「き、きっとコラボレーションだよ……」

 

 そうは言いますけどね、簪さん。某電気ネズミっぽいのもあれば、某猫の地縛霊のようなものまである。子供は喜びそうなもんだが……。

 

「かがみんは~こっちとそっちどっちが可愛いと思う~」

 

「あのさ、本音。そもそも可愛いのベクトルが違うだろ」

 

 この水着の「可愛さ」はいわゆるマスコット的な可愛さであって、女性の水着としての可愛さではない気がする。でもまぁ本音が可愛いってんなら別にそれでも構わんが……。

 

「……とりあえず保留。もっと見て回った方が良いだろ、この品揃えだし」

 

「それもそうだね~。それじゃ~ほりゅ~」

 

 そう言って本音は二択用として手元に持ってきていた2着を元の場所まで戻しに行った。だが、見て回った方が良いと言ったが、着ぐるみ水着コーナーからは動かない。あくまでそこから1着選ぶのは確定なのね……。

 

「真……」

 

「どうした?簪」

 

「真は……どういうのが好き?」

 

「お、俺の趣味に合わせようとしなくていいからな」

 

 まぁせっかくだし真面目に考えてみることにしよう。そうだなぁ……俺の趣味ってより、簪に似合いそうなのを選ぶ方が良いだろうな。そもそも、そんな事は考えたことも無かったし。

 

「……あまり派手すぎないのが良いと思う」

 

「それは……色の話?それとも……露出?」

 

「前者だ……。後者に限っては簪に任せる……」

 

「そう……でも……あまり自信ないから……」

 

 簪は露出を控えめにしようと考えているのか、胸のあたりをペタペタ……。俺はそんな簪を見て、思わず特大の爆弾を投下してしまう。

 

「え?別に小さくなかったろ」

 

「…………」

 

「……ハッ!?いや、簪……違うんだよ。今のは思わず口が滑ったというか……」

 

 この間の「アレ」のおかげで、だいたい簪の胸の大きさは把握していた。それで「自信がない」とか言い出したから、別に小さくは無かった。と、返してしまう……ええ、思った以上の搭載量でしたとも。

 

「……スミマセンでした」

 

「ううん……気にしてないから」

 

 誠心誠意の心構えで深々と頭を下げると、慈悲深い事に簪は首を横に振った。軽くセクハラな発言だったために怒られても仕方が無い。それでも簪は、愚かなる俺を許してくれる。

 

「ありがとう……。それと、悪かった」

 

「本当に気にしてないよ……。私も……もう少し見て回るね」

 

「おう……」

 

 自ら地雷を踏みに行ってしまった事に自己嫌悪していると、簪も奥の方に消えて行った。2人とも最終決断を俺に任せるつもりなのだろうか?そっちの方が楽でいいけどな。

 

「そこのあなた。この水着、片づけておきなさい」

 

「手が届かないから無理っすね」

 

 ぼーっと突っ立ってたら、一発で女尊男卑主義者だと分かる女に話しかけられた。それに対して俺はいつも通りの対応。あ、でもまだ崩れた敬語を使ってるからマシだね。米粒くらいの差だろうけど。

 

「あなた……自分の立場が分かってるのかしら?」

 

「さぁ?俺の立場っつったら水着売り場だろ?それ以外になんかある?」

 

 座布団でも貰いたいくらいに上手い返しが出来た。だって俺、今水着売り場に立ってるし。当然の事ながら、俺の態度に女は目元をヒクつかせた。

 

「それならそれで、考えがあるわよ」

 

「あっ、言っとくが警備員なら呼ばない方が良いぞ。アンタが恥かくだけだから」

 

 どうやら女は俺が今になって焦りだしたのかと思ったのか、なんのためらいも無く警備員を呼び寄せる。あ~あ……やっちゃった。俺知~らね~っと。

 

「どうかなさいましたか?」

 

「そこの男が私に暴力を振るったの。拘束して頂戴」

 

「君……それは本当かい?見たところ学生のようだけど……何か身分を証明できるものは?」

 

「あ~身分っすか~生憎コレしか持ち合わせがないなぁ~」

 

 俺がそう言って財布から取り出したのは、ZECTの社員証だ。なぜ、警備員にZECTの社員証が有効かというと、この警備会社はZECTグループの一角だからだ。

 

 田所さんにいろいろ話を伺ったところ、どうやら警備会社のトップ的な部分に田所さんの所属している部署があるらしい。その部署に関しては詳しく教えてくれなかったが、つまりこの警備員はかな~り遠巻きに田所さんの部下という事になる。

 

「こっ、コレは、ZECT本社の社員証!?しかもごく一部の幹部しか持てないブラックメンバーズカード……」

 

 え?何それ初耳……。この黒色なのがデフォかと思ったら、爺ちゃん何気に恐ろしいもんを持たせてやがったか。あ、良く見ると社員のIDがゼロだ……多分爺ちゃんが1だろうからかなり特別なんだな、コレ。

 

「それに加賀美……あなた……もしや……」

 

「いつも爺ちゃんが世話になってます」

 

「やはり会長のお孫様でしたか!?しっ、失礼いたしました!」

 

 社員証の加賀美という苗字が決定打になったのか、警備員は俺が爺ちゃんの孫だという事に気が付く。すると突然ビシッと綺麗な敬礼を俺に見せた。

 

「ちょっと!何をしているの!?早くそのガキを捕まえなさいよ!」

 

「いえ……事情が変わりました。これ以上この御方に暴言を吐かれるのなら、自分は貴方を拘束せざるを得なくなります」

 

「フンッ!出来ない事をいうものじゃないわよ、男のクセに。ほら、できるのならやって見なさい!」

 

「了解しました。一時的にあなたの身柄を拘束します」

 

ガチャ!

 

「へ?ちょっ……ちょっと、何……やってるの……?」

 

 挑発をする女に警備員は容赦無く手錠をかけた。女はまさか本当にこうなるとは思ってもみなかったのか、自分の手にかけられてる手錠を呆然と見ている。

 

「あの……」

 

「はっ!なんでしょうか?」

 

「これ、俺の連絡先ですから。もし、警備員さんに不利な事があるようなら連絡ください。俺から爺ちゃんに話しておきますから。警備員さんを辞めさせるようなことは絶対にさせません。安心してください。」

 

「お孫様直々にそう言っていただけるときが楽です。お気遣いありがとうございます!では、自分は職務を全うさせていただきます」

 

「ええ、頑張って下さい」

 

 俺がそういうと、警備員は女を引っ張ってどこかへ連行していく。女はここで事態が飲み込めたのか、今になってギャーギャー喚きだす。そんな女に向かって俺は一言。

 

「次からは水着くらい自分で片づけろよ」

 

 遠くなっていく女の顔に浮かぶのは、後悔の念といったところか。水着を自分で片づけなかったことに対してか、はたまた俺に話しかけた事か……。ま、俺はちゃんと忠告はしたし?そもそも悪い事はしてないですし。……でも、権力を振りかざしたのは感心されないだろうな。

 

 なるべくこの手は俺に完全に非が無い事、かつ最終手段という事にしておこう。さもないと、そうポンポンとこういう形でZECTに頼るのは人間的に小さい奴になってしまいそうだ。

 

「かがみ~ん、騒がしかったけど~何かあった~?」

 

「ん?ああ……なんか痴話喧嘩みたいだったな。余所でやれってんだよ」

 

 戻ってきた本音は幸いさっきの騒ぎの内容までは分かっていないらしい。俺が面倒事に巻き込まれた……って言っても心配させるだけだし、ばれてないなら誤魔化すのが正解だろ。

 

「それより、だいたい決まったのか?」

 

「そうだよ~。さぁ~かがみ~ん、れっつちょ~いす」

 

 そう言いながら2つの水着を掲げる。一方はやはり選んでくると思ったが、電気ネズミのデザイン。もう一方の水着は某出っ歯で緑色をした恐竜のデザインか……。

 

 ふむ……俺は出っ歯の恐竜の方が好きだが、こういう時って女の子はある程度自分の中で「こっちがいい」というのを決めてて、そのうえで男にそちらを言い当ててほしい……的な事をトーク番組で聞いたことがある気がする。

 

 本音は俺が選んだ方を快く承諾してくれるだろうけども……もし俺の情報通りならキチンと本音が良いと思っている方を選んでやりたい所だ。

 

「…………電気ネズミの方でどうだ?」

 

「かがみんもそう思う~?私もこっちの方がいいな~って」

 

 っしゃぁ!大正解だうおらぁ!本音自身の口からこちらが良いと思っていたという言葉が聞け、俺は心の中で大きくにガッツポーズをした。

 

 ……ってか最初から候補が決まってんならそっちにしとけよとか思うけど、そういうのを気にしないのが男の甲斐性って奴なのだろうか?あ~……でも織斑は気にしなさそうだしなぁ……アイツがモテる理由がなんとなくわかった気がする。

 

「まっ、真……」

 

「おっ、簪も決まったのか」

 

「うん……えっと、どっちが良いと思う……?」

 

 さぁ来ましたよ「どっちが良いと思う?」が……。簪が選んでいるのは、白と水色のストライプ柄をしたビキニタイプの水着と、水玉模様のタンキニ……細かく分けるとキャミソールタイプのタンキニだ。

 

 これは……迷うな、どちらを着たって完璧に似合いそうなものだが……。簪の場合は自分でも本気でどちらが良いとか思って無さそうな気がする。それならば、俺の好みで良いだろう。

 

「ストライプ」

 

「そ、そっか……頑張るね……」

 

 何をさ?露出が高めだけど頑張るって意味だろうか?頑張らなくってもスタイル良いんだから自信を持てば良いものを……。だがもう何も言わんぞ、これ以上地雷を踏んでたまるものか。

 

 という訳で、会計も済んで無事に2人の水着選びも終わった……のだが、ここで一つ問題が発生。店から出たところで、かなり遠目ではあるが織斑を発見する。簪がいるし、奴と遭遇するのはあまりよくない。とりあえず簪が織斑を見ないように目隠しをしておく。

 

「ホイ、ちょっとゴメンな」

 

「え……!?ちょっ……ちょっと、真……?」

 

(本音、あっち見ろ)

 

(あ~……おりむ~がいるんだね~。りょ~か~い、合わせるよ~)

 

 簪に聞こえないくらいの声で本音にそう言うと、このままではよくない事を察してくれた。流石は空気の読める女、布仏 本音……この子の右に出る者はそうそういないはず。

 

「次は~かがみんの水着を見なきゃだね~」

 

「無視……?」

 

「ああ、せっかくだから俺も2人に選んでもらう事にするかな」

 

「2人とも……なんか変……」

 

 どうやら様子がおかしい事は察知しているらしい。流石にいきなりこんなことしたんじゃ何を疑われてもおかしくないっていうのは分かっているが、たぶん目隠しが最善だよ……な?と、とにかく後は早くこの場を去らなくては。

 

「それじゃ、行くか」

 

「え……?このままいくの……?」

 

「歩くよ~かんちゃん。は~いワ~ンツ~ワ~ンツ~」

 

「まっ、待ってってば……。危ないから……」

 

 本音は簪の両手を取り、ゆっくりと後ろに後退していく。それに合わせて簪もゆっくりと前に進み始めた。俺はそのまま目隠しをキープ。

 

 何とか織斑と簪の遭遇は避けれたらしい。簪の心の整理がつかない間は、織斑には会わせないほうがいい。だってアイツ、簪が避けてるって分かったら逆にグイグイと無遠慮に仲良くしようとし始めそうだし……。

 

とにかく、簪が会うと決めるまで、織斑との遭遇はNGという事で。そのまま別の売り場を目指して進んでゆく。どうやら、なんとか見つからずに済みそうだ。

 

 その後は予定通り俺の水着を見たり、喫茶店に入ってみたり学生の休日らしい休日を過ごした。いろいろあったが楽しかったものだ。それはきっとこの2人のおかげだろう。

 

 またいずれ、機会があれば遊びに出てみることにしよう。IS学園に来てからは出不精気味だったからな……。今度はどこに行こうかと思案する俺であった。

 

 

 

 

 




ようやく書きたかった話が書けました。やっぱり前回は途中で切って正解でしたね、今回の話の長い事長い事……。

本音は原作でも着てた水着?を採用したから良いものの、原作では臨海学校に参加してない簪の水着は私の趣味全開ですね。でも……縞々って、良いよね?

次回はもう臨海学校に突入といったところでしょうか、別にこれ以上挟まなきゃならない話もなさそうですし。

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。

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