戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、おはようございます。こんにちは。こんばんわ!

早速で悪いのですが皆さんに聞きたいことが……今回の話は真が帰省した土曜日を飛ばして日曜日の話なんですね。

真が帰省した話……見たいですか?ええ、皆さんが見たいと仰るなら私は喜んで真と新ののんびり?した休日の話はいくらでも書きますよ。

ただ皆さんが蛇足だと思うなら、書かないです。正直そろそろ学年別トーナメントの方に進みたいんですよねぇ……。

まぁ何か感想とかに返事を頂けたら助かります。真のオカンな姿が見たいという方は遠慮無くぜひ!

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします!


一夏とシャルルの来訪(関係修復)ですが何か?

(あ~……平和だ……)

 

 屋上で寝転びながら青空を見上げていると、どうにも年より臭いセリフが頭をよぎった。平和であることには越したことはない……こうやって休日をゆっくり過ごせるのは久しぶりだ。

 

 今日は日曜日。言わずもがな日曜日朝のスーパーヒーロータイムが終わってしまえばする事なんて思いつかなかった。簪も仮面ライダーが終わったらとっとと整備室に向かってしまったし。

 

 す る こ と が 無 い !まぁそれ故の日向ぼっこでもあるのだけれど、これではあまりにも暇だ。かといって、どこかに出かける気も起きないというなんとも我儘な俺である。

 

 学園の休日を有意義に過ごすとすれば、俺に関しては寝るくらいしか思いつかない。単に時間をつぶすという目的であれば、ISの訓練や座学というのも手だな……。

 

 そういえば……簪の整備を見てから少し興味は沸いてきてるんだよなぁ、ISをいじる事。ガタックはこの学園に整備できる人間が居ないだろうし、応急処置くらいは自分でできるようになった方が良いかもしれない。

 

 思い立ったが吉日、というし……少し休んだら図書室に行ってみよう。ISの本なんてそれこそわんさかおいてあるはずだし、まずは基礎的な部分が学べる本から探せばいいか。

 

 実際にいじるようになるには……それなりに時間がかかるだろうが、どうしても行き詰ったら岬さんにでも相談して、それから……。

 

(フワァ~ぁ……)

 

 はぁ……この陽気の中で思考を巡らせていたら、かなり眠たくなってきた。このまま寝落ちして目が覚めたら夕方……とかでなければいいがな、そんじゃ……お休み~……。

 

ガタガタガタ……

 

「?」

 

 どうにも屋上の入り口付近が騒がしい。体を起こして注視してみると、人の気配が感じられる。それだけなら別にかまわないのだが、どうにも解せない。

 

 まるで屋上に入るのをためらっているかのような様子だ。……別に俺に関係なければそれでいいのだが、何かとてつもなく嫌な予感がする。

 

「…………」

 

 俺は完全に立ち上がり、睨めつけるように入口を眺める。すると、ほどなくして入口は元気よく開かれた。現れた人物を見て、改めて再確認する事になった事実が一つ。

 

(俺の嫌な予感は当たる……な、本当に)

 

「やっぱりここにいたんだ……。ね?だから言ったでしょ、一夏」

 

「あ、あぁ……そうだな」

 

 現れたのは織斑 一夏およびシャルル・デュノアの両名。織斑に至っては席が前後にもかかわらず、姿をまともに正面でとらえたのは数日ぶりな気がする。

 

「どういうつもりだ?」

 

「え?」

 

 俺の開口一番の言葉にデュノアは「え?」と反応。いやさ、え?じゃないだろうがアホが、アレですよ俺の前にわざわざ現れる意図が見えないんすよ。

 

「そのままの意味に決まっているだろう。アンタならわかっているはずだ、お互いに不可侵……そういう意味であの言葉を放ったつもりだがな?」

 

「うん……もちろん分かってるよ。君が言ったセリフは「自分はお前の正体について言及はしない。だからお前は自分に接触するな」って意味だよね」

 

「そこまで分かっているならなぜ、俺の目の前に現れた。そこの凡骨も一緒の理由も教えてもらおうか」

 

「ボンッ……!」

 

「ま、まぁまぁ……落ち着いてよ一夏……」

 

 俺が凡骨と言ったのが引き金になったのか、織斑は俺に詰め寄ろうとするがデュノアに窘められた。ぐぬぬ……と悔しそうな表情を浮かべる織斑をハンッと鼻で笑ってやると、デュノアの話に耳を傾ける。

 

「えっと……その前に、君はどこまで把握できてるのか教えてくれる?その……僕の事についてだけど」

 

「デュノア社からのスパイ。目的は俺や織斑のISデータの収集。だからより近づきやすい男子に扮して潜入してきた……。」

 

「そこまでバレちゃってるんだね……。流石はZECTの情報網ってところかな?」

 

「いや、別に今回はZECTに頼ってないが?てか、そんなん普通に考えたらわかるだろ。というかむしろお前は女子にしか見えん。俺から言わせりゃ気付かん方がおかしいわ」

 

「えぇ!?」

 

「嘘だろ……!?」

 

 そこは驚く所でもないと思う。特に織斑、お前のその驚きようはマジでおかしい。本気でやってるのかギャグでやってるのかどうかを疑ってしまう。

 

「僕そんなに変装できてないかな……?」

 

「それで変装している気があるのか?と聞きたくなるね」

 

「俺にはこうしてると男子にしか見えないけどなぁ」

 

 っと、話が脱線してなんだかほのぼのとした雰囲気になってしまった。俺も余計な事を言わなくても良いんだっての、さて……話の続きといこう。

 

「で?アンタが俺に会いに来た目的は?」

 

「ああ、うん……えっと、誤解を解きたいんだ」

 

「誤解……?」

 

「うん。僕はもうスパイをする気はないんだ。もちろん!初めはそういう気だったよ?だけど、もう一夏にもバレちゃってるし……」

 

「ああ、それはなんとなく前後の会話で察してはいるが……。どうやったらバレるような状況が出来上がる?」

 

 俺が不思議そうにそう問いかけると、織斑とデュノアは顔を見合わせた後すぐに逸らし、なんだかバツが悪そうにもじもじしている。ハハッ、オーケー状況は飲めた。

 

「お前マジでラッキースケベも大概にしやがれ!女の敵がッッッ!」

 

「いでででででで!な、なんでわかった!?」

 

「一夏……それバラしてるよ……」

 

 やっぱりか、このクソ虫が!さっきの様子でどうせそうだろうなって思ったらビンゴだコンニャロー!!!俺は織斑にコブラツイストをかけているわけだが……このまま怪我をさせても構いませんよね!?

 

「あの……話が進まないから離してあげてよ……ね?」

 

 あざと!?何コイツ、今の天然でやってたらそうとうな悪女だぞ。こう……言葉に一拍つけて小首を傾げながらの「ね?」とか……ああ、あざといな。

 

「チッ……!」

 

「痛い……とか言うとまた痛くしてるから当然だろ、とか言われるんだろうなぁ……うん、分かってるさ」

 

 俺が離した途端、織斑は所謂OTZの体勢で何かブツブツ呟いていた。体勢のせいかもしれないが、心なしか淀んだオーラが見える気がする。

 

「はぁ……それなら何か?わざわざもう警戒する必要はないって言いに来たのか?」

 

「そういう事になるかな。僕だって君とはなるべく仲良くやりたいし……君も、僕がスパイをする気が無いって分かってくれたら警戒しないでくれるよね?」

 

「そりゃあ……まぁな。アンタの口からその言葉が聞けた、なら俺がアンタを警戒する理由は無くなる」

 

「そっか……よかったぁ~……」

 

 とはいえ、スパイ「未遂」は残るけど、俺もそこをいちいち追求するほど鬼ではない。理由は聞かないが、俺と仲良くしたいという発言からするに、デュノア自身もスパイ行為を良しとはしていなかったのだろう。

 

 ならば、もうそれで良い。これ以上は俺が言うべきことは何もないのだ。すべてが丸く収まる、とは当然言えないが、以前とは比べるまでも無く事は解決したに限りなく近い。

 

「良かったな、シャルル!」

 

「待たんかアホ。結局お前は何しに来たんだっての」

 

 何を一人で全部片付いたみたいな顔をしてるのかね、織斑君よ。ここまでは完全にデュノア一人で事足りているし、全く織斑がついてきた意図が見えない。

 

「え、え~っと……それは……」

 

「一夏は、加賀美君に謝りに来たんだよ」

 

「あぁ?謝りにだぁ?」

 

 もしかすると顔面を殴った事をだろうか?別に俺は殴られて当然な事を言ったつもりだし……謝られるほど気にして……なかったことも無いな、あの日は織斑の事思い出してイライラしてたし。

 

「僕の正体がバレたときね、君の話も出てきたんだよ。僕の事に気づいていたから、僕を遠ざけてたんだろうねって。だけど、君は背負ってる物が大きすぎるし……僕を遠ざけるのも、今となっては当たり前だよ」

 

「まぁ、ZECTの情報をおいそれと他企業にやることはできんかんらな。必要以上に遠ざけさせてもらった」

 

 ZECTはまだIS産業に乗り出したばかり、俺の安直な行動のせいで爺ちゃんを始め全てのZECT職員の方々に迷惑をかけるような事はできん。

 

「あ~……その~……。悪かった!この通りだ!」

 

「別に……。怒っては無いし、謝ってもらおうとも思ってねぇよ。前に行ったろうが、初めからテメェらの事なんかには興味無いんだよ」

 

 目の前で両手をパンと合わせて深々と頭を下げる織斑。対して俺は言った通りに興味もわかないので織斑の横を通り過ぎ、この場を離れることにした。

 

「ねぇ」

 

「……んだよ、用事は済んだろうが」

 

「どうして君はそこまで他人を拒絶するの?」

 

 デュノアのストレートな物言いは、俺が一番触れてほしくない部分だった。頭では冷静にいられるようにしていたが、努力は及ばず……俺は気が付けばデュノアを視線だけで射殺せそうな目で見ていた。

 

 が、そんな俺に怯むことなく、デュノアは真っ直ぐ俺の目を見ていた。……正直言って感心するよ、俺にこれだけ睨まれて怯まない奴は男にだってそうそういないのにさ……。

 

「……他人と群れを成して、いったいなんになる?周りの顔色うかがって、何が楽しい……。そんなものは俺の周囲に必要ない」

 

「でも、君は布仏さんと仲がいいじゃないか。すごく……中途半端だよ、そんなの。君だって周りの顔色をうかがってる……だからこそ、そういう物言いなんだよね?」

 

「…………」

 

 デュノアの言葉には特に反論することなく、俺は二人に向かって背を向けた。歩き出そうと思ったが、どうにも……やっぱ言い返しておくことが一つある。

 

「中途半端……な……ハッ……。そんな事、俺が一番よく分かってるよ」

 

「え……?」

 

「それと、今のアンタに中途半端ってのは言われたくねぇな。アンタ……自分が誰だかわからないって思ってるだろ?」

 

「…………」

 

 今度はデュノアが俺の問いかけに応えない。沈黙からして多分、肯定だろう。そうでなくとも宙ぶらりんな状態なんだ。俺なんかよりよっぽど中途半端だろ……。

 

「アンタなりに、何をどうしたいのか考えろ、それで答えを出せ。そしたら俺も、さっきの件……まぁ、少しは考えてやらんことも無い」

 

 今度こそ歩き出そうとしたら、織斑が俺の名を呼びとめた。いつまでたっても歩が進められないことに若干うんざりしながら、溜息を吐きまた立ち止まった。

 

「俺さ、お前がシャルルに酷いこと言った時……なんて奴なんだって思ったよ」

 

「…………」

 

「今まで助けてくれたのに……良い奴だったのは俺の勘違いだったのかって思ったらさ、なんか……真に騙されてるような気がして、それで……」

 

「…………」

 

「でも実際は違った。単純にシャルルに酷い事を言ったんじゃなくて、真が所属してる会社のために必要な事だったんだって分かったら、俺……すごく後悔したよ」

 

「……後悔、先に立たずだ」

 

「あぁ、真の言う通りだ。だから俺は……真の事を信じることにした!」

 

「……はぁ?」

 

 とんでもない事を言い出した織斑に対し、振り返って究極の呆れ顔を見せつけた。織斑の話を聞いてる間は顔を見せる気はなかったってのに……。

 

「後悔しないように、真の事を信じて疑わない!だってお前は俺の……友達だからな!」

 

「お前……自分が本末転倒なこと言ってんの分かってんのか?俺が期待を裏切って、それがショックで殴ったんだよな?だったらお前が今言ってる事……結局のとこ何も解決にはなってないだろ」

 

「いや、解決してるぞ。もう疑わないからな」

 

「馬鹿だ……俺はお前がここまで馬鹿だとは思わなかった……。それと、俺とお前は友達じゃねぇ」

 

「ああ、真はそう思ってて構わないよ。俺が勝手に思う事にしただけだから」

 

 あ~~~~~っもう!コイツなんなん!?いや……なんなん!?どこからツッコんでいいのか分かんねぇよ!真剣な目をしている織斑に、どう返そうか迷っていると……?

 

「プッ……アハハハ!一夏……言ってる事メチャクチャだよ?」

 

「なっ……笑うなよ。俺だって真面目に考えたんだぞ!?」

 

「だ、だって……フフフッ……!」

 

 織斑のトンデモ発言についに堪え切れなくなったのか、デュノアは吹き出した。それを見て織斑は反論をしているようだが、どうやら軽くあしらわれているらしい。はぁ……なんかもういいや、付き合いきれん。

 

「もう勝手にしろよ……。ただし、今度俺に落胆するような事があってももう知らんからな」

 

「大丈夫だよ、真はそんなやつじゃないって信じてるからな」

 

「あ~はいはい……そうですか……」

 

「真」

 

「なんだよ!」

 

「また明日な!」

 

「……おう」

 

 とだけ答えて逃げるように屋上から去った。馬鹿だね~アイツ……俺みたいなのに期待したってどうせ、何も変わらないさ。そうだ……何も、変わる訳がない。

 

(変わらないのは……俺が変わろうとしないからだろうがな……)

 

 デュノアの中途半端という俺に対しての評価は、この上なく正確だ。あぁ、本当に……そんな事は言われなくても俺が一番よく分かってる。

 

 あの場で、本気であの二人を突っぱねることだって出来たはずだ。だが俺はそれをしようとはしなかった。友達なんていらない……と言いながら。

 

 本音と簪のみ友好な関係を保っているのだって同じだ。俺が本気で友達はいらない……と思っているのなら、あの二人とも仲良くしていないはずだしな。

 

(堂々巡り……とはこの事か)

 

 フッと思わず自嘲するような笑みがこぼれた。俺は、どうしたいんだろうな……。デュノアに偉そうなことを言ったんだ、俺もいずれ答えを出さなくてはならないだろう……。

 

(迷ったなら、馬鹿になれ。だな)

 

 いつもの通り考え過ぎてしまっている。今は、考えることはせずに大いに悩み迷おうじゃないか。若いんだから、いずれ俺にも見えて来るさ。

 

 そうやって肯定的な考えをしていると、気分は少しだけ楽になった。案外、親父がくれたこの言葉は俺にとって救いになっているようだ。

 

 さて、それじゃあ今はこの事について考えるのは止めだ。いずれ見えて来ると信じて、今は自分がやろうとしてきたことを実行しよう。俺は当初の目的である図書室に、口笛を鳴らしながら歩いて行くのだった。

 

 

 




真、真剣に他人との関わりについて考え始める。一歩前進。

という訳で、仲直りを果たした真と一夏でした。

ようやくここまで来た!真が本気で他人との関わりを考え始めました!

学年別トーナメント篇は、真が人間的成長をし始める大事なワンクッションと決めていたので、やりたいことができて嬉しいです。

真もね、決して他人を本気で拒絶しているわけではないんですよ?それこそ一夏とか。真の本心が完全に露わになるまで、もうすぐだ!それまで駆け抜けていくので、どうか応援よろしくです!

それでは皆さん、また次回でお会いしましょう!

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