スミマセンでしたああああっ!タイトルからお分かりでしょうが、前後編に収まり切らず……3話構成とさせて頂きました……。
真を目立たすか士を目立たすか……みたいな感じで右往左往してた結果がこれだよ!後編でキッチリ収めないと、もう言い逃れはできませんね……。
あっ一応ですけど、注意事項……はいいか?お手数ですが、確認しておきたい方は前話をご覧いただければと。
それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。
「……見事に追い出されてしまいましたね」
「ま、当然の結果だな」
「士が真って子と戦わなければ、こうはならなかったんじゃ?」
取り調べを終えた3人は、正面玄関から大きくそびえたつ学園を眺めていた。だが、拘束されなかっただけで良い方だ。もしかすると千冬は、3人を泳がせるつもりなのかも知れない。
とすれば、監視の目があるかもだが……もし本当にそうしていれば、それはISのハイパーセンサーで遠方から行うはずだ。残念だが、3人が気付く事は無いだろう。
しかし……いつまでもここでこうしていたって、凄まじい時間の浪費だ。夏海の提案で、拠点である光写真館へ戻る運びになった。歩いて来た順路を戻ると、写真館の前に人影が見える。
「よう、待ってたぜ」
「君は……真くん、でしたよね?」
「良いのか、授業とか受けなくて」
「生憎、そんな事をしてる暇は無いんでね。アンタらには……一刻も早く出て行ってもらわなきゃならない」
写真館の前で待ち受けていたのは、先ほどの少年……加賀美 真だった。小さく欠伸を漏らす真は、待ちくたびれたとでも言いたそうだ。
あくまで棘のある物言いをする真に、夏海とユウスケの表情が少し陰る。その言葉の裏には、自分の身内を危険に晒したくないと言うだけで、士達を攻めようなんて気は一切ないのだが。
「……不器用な奴だ」
「なんか言ったか?」
「いや、何も。中に入ると良い。話があって来たんだろう」
「ああ、邪魔するぜ」
士がそう呟くという事は、真が単に素直でない男なのが解ったのかも知れない。士が真を写真館へと招き入れると、ズケズケと無遠慮に戸をまたぐ。
神妙の顔つきだった2人も、慌てて写真館へと入った。夏海はすぐさま真へコーヒーを淹れて、ユウスケは何かする事は無いかとオロオロ……。気を遣っていると察した真は、これまたキツい言葉で2人を制するのだった……。
**********
「て、テンセイシャ?転生者って……これで良いのか?」
「それで間違いねぇよ」
真はこちらの世界の人間にすら話していない事実を、士達に言って聞かせた。そうでもしないと、つじつまが合わなくて話が面倒になるからだろう。
ユウスケは何処から取り出したのか、大きめのスケッチブックにペンで『転生者』と漢字で書いた。それを真が肯定すると、ほへぇ~と感心した様子だ。
「ですが、私達の旅が多くの人に知られてるなんて……信じがたいですね」
「信じるしかないだろう。事実……真は俺達しか知りえない事まで知っている」
真は士になぜ自分を知っているか、そう問われたのだ。その際に真は、士達の旅が一種のドラマのような感じで放送されていた……と語る。
事細かに詳細を話されて、流石に信じる他ないだろう。士は鳴滝を疑ったりしていたのだが、見当違いも甚だしかった。とんだ濡れ衣だが……ユウスケの際には、鳴滝が要因で攻撃されたような物だから謝罪はしない。
「それじゃぁ……アレとかも知ってるのか?こう……光家秘伝!」
「勿論だ……。おっそろしい技だよなぁ……」
「本当に……アレは、凄いぞ。夏みかん、試しに撃ってやったらどうだ?」
「解りました。光家秘伝、笑いのツボ!」
ドスッ!
「ハ、ハハハハハハ!違……俺じゃな……ハハッ、ハハハハハハ!」
ユウスケが興味本位で真に聞くと、頬を引きつらせながら恐ろしい技だと称した。すると士が夏海をからかうかのように、真に実体験させてやれと言う。
少しカチンときた夏海は、士の首筋辺りを北〇神拳よろしくドスッと突いた。すると突然に士は、抱腹絶倒の様子で笑い始める。これぞ光家秘伝・笑いのツボ……相手を強制的に爆笑させるという割とえげつない技だ。
「それにしても……私達がここへ来たのは、真くんがガタックを扱う事と……何か関係があるのでしょうか?」
「あ、あぁ……多分な。俺のガタックはISだけど、元を正せばライダーがモデルな訳だ。ディケイドを知ってる俺って存在と、ガタックを知ってるアンタら……この2つの要因で、コネクトが出来てしまったのかも……だな」
「え、え~っと……つまりどういう事だ?」
「……つまり……俺って点とアンタって点が、線で繋がっちまったって事だよ」
未だ爆笑を続ける士を無視して、夏海は話を進める。その事に恐ろしさを感じた真だが、指摘をすれば明日は我が身と思ったのだろう。真も士を無視して、夏海の質問に答えた。
……が、説明が難しかったのかもしれない。夏海はなんとなく理解している様子だが、ユウスケはチンプンカンプンだった様で……。真は相当に話を噛み砕いて、再度説明を施した。
「……アンタらは、何処か違う世界に行く兆候は見えないのか?」
「無いな。なにせ……俺がするべき事は、まだ済んでいないのだから」
「だから……アンタのするべき事なんか!」
「それは、お前の決める事では無い……ましてや俺自身でも無い。誰が決める事では無い……違うか?」
笑いのツボの効果から復帰した士は、何事も無かったかのようにクールな様子だ。そんな士の言葉に、真は眉をひそめて声を荒げた。
続けて出てきた士の言葉を、真は肯定も否定もしなかった。ただただ……士を睨むのみ。泣く子も黙る様な表情の真だが、士の方は余裕だ。それを見守る2人は、かなりハラハラしている。
「チッ……!とにかくだ。アンタらは……これ以上この世界を引っ掻き回さないでくれ」
「待て、何処へ行くつもりだ」
「……アンタには、関係の無い話だ」
「あっ、真くん!」
忠告と同時に背を向けた真は、出入り口へと向かって歩を進めた。それを士が引き留めると、真は立ち止まりはしたが皆まで言わずに写真館を後にする。
夏海が追いかけようとしたが、学園を追い出された身だと思い出して大人しく椅子に戻った。同じく椅子に座った士は、先ほどと同じように同じ台詞を呟く。
「……不器用な奴だ」
**********
写真館を出た真は、IS学園へと戻っていた。ここで自身がするべき事は、士のもたらした事件を解決する事だ。とすれば……恐らくは、ワームが関係しているはず。
既に誰かが殺害されている可能性を考えなければならないとなると、またしても士への不満が過る。しかし……言っていても仕方の無い事だ。どうにかして、擬態されていないか調査せねば。
「加賀美……」
「あっ、織斑せんせ……いっ!?」
「堂々とサボるとは何事か」
「……そこは素直に謝りますけど、それどころじゃないんすよ」
取りあえず何をすべきか考えていると、背後から声をかけられた。振り返ってみると、そこにいたのは千冬だ。振り返ると同時に、千冬は真の頭を出席簿アタックで叩く。
「あの……用事って、それだけですかね?」
「いや、先ほどの取り調べの際に聞き忘れていた事を思い出してな」
「聞き忘れた事……?」
「生徒が3人ほど巻き込まれた……と言ったな?誰だったか、詳しく聞かせてほしい」
確かに教師としては、そこの把握は大事だろう。生憎だが、真は3人の内誰にも見覚えは無かった。口頭での説明は無理と判断したのか、ガタックゼクターを呼び寄せた。
背中から記録映像を投影する様に命じると、丁寧に3人をピックアップして映し出してくれる。その映像を見た千冬は、何故か訝しむ様な表情でそれを眺める。
「あの、織斑先生?」
「……襲われていたのは、確かにこの3人なのだな」
「ええ……はい。間違いないですけど」
「私の記憶違いだろうか……。こんな生徒、私も見覚えが無いぞ」
真はその言葉に、かなりの衝撃を覚えた。千冬が生徒の顔を覚えていないなんて事は、まずあり得ないと思って良い。だとすれば、あの生徒はIS学園の生徒ではないのだ。
それが何を意味するか、真は脳内で紐解いてゆく。導かれる答えは1つ。その答えを見いだした真は、千冬に目もくれず走り出す。呼び止めにも反応しない真の表情は、必死そのものだった……。
**********
「加減はどうかしら~……って、あれ?居ないわね」
千冬から保健室に急患という報告を受けて、保険医が自分の仕事場へと戻ってきた。しかし報告とは裏腹に、保健室には人っ子1人として居ない。
保険医は、千冬の報告に間違いはないだろうし……と、頭を悩ませる。一応だけれど、職員室へ連絡をしておこう。そう思って、デスクの電話へ手を伸ばした……その時だ。
ギリリ……!
「うっ……カハッ!?」
背後から……何者かに首を絞められてしまう。あまりに突然の事で、保険医は軽くパニックに陥ってしまう。このまま絞め殺されるのを待つしか……?保険医の意識は、段々と遠退いてゆく。
「どらぁ!」
ドガッ!
「ゲホッ……ゲホッ!か……がみくん……?」
「大丈夫ですか、先生!?」
「え、ええ……何とか」
保険医が諦めかけたその時、真が保健室へ乱入し犯人を蹴り飛ばした。開放されてその場に倒れ込んだ保険医は、朦朧とする意識の最中に真の姿を確認した。そして……もう1人の自分を。
「わ、わたし……?」
「やっぱりか……。俺達は、アンタらを助けに入った時点で……既に踊らされてたんだな」
「う~ん……惜しいわね。その女に成り代わるまでは、騙されていてくれると思ったのだけれど」
そう語る女の姿は、真達が救出した女生徒の3年生へと代わった。つまるところあの3人は、初めからワームだったのだ。保健室内に隠れていたのか、残りの2人も姿を現す。
「だから言ったのに、素直に適当な人間に擬態しようって」
「ま……良いじゃん。おかげで、もう1人釣れたんだし」
「テメェら、いったい誰に擬態した?」
「この姿?昔擬態した事がある……そこらの女の子かしら。どうせもう死んでるし」
ワームにも各々の考えがあるのか、1体は台無しだと肩をすくめ、1体は結果オーライだと真を見た。そして真の問いに答えたリーダー格と思わしきワームの言葉に、真は憤りを覚える。
「お前ら……裏で誰が糸を引いてる!」
「それ言って、私達に得ってあるかな?ま……あるお方とだけは言ってあげても……」
「私達は、はぐれワームってところだよ。そのあるお方のおかげで~……この世界を侵略する事にしました!」
「ちょっと……!」
「固いこと言わない!どうせ殺しちゃうんだから同じでしょう?」
一方のワームは頭が緩いのか、はたまたお気楽なのか……多くの事を語って聞かせる。そもそも自分達は、カブト本編にあたる世界から来たのだとか。
仮面ライダー達に駆逐されるのを待つばかりだった自分達の前に、そのあるお方とやらが接触して来たのだとか。あるお方は、次元に干渉する力を持っていた。
「それで元の世界から避難させて貰う代わりに、あの方に協力してるって訳」
「どうして、ここなんだ……?」
「それは知らないけど、やり易いからじゃ無いかしら」
「外界からの接触がほとんどないだろうしうえに、それなりの人数もいるしね」
ワームの言う通りに、IS学園は隔離空間に等しい。完全なる陸路と言えば、モノレールくらいしか無いのだから。確かにワームからすれば、格好の場所だろう。
「ねぇ……もう良いでしょ?とっとと擬態して殺そうよ」
「ハッ!残念だが、サナギ態ごときに殺られる俺じゃ無いんでね!変身!」
『―HENSHIN―』
「アッハハハハ!ねぇ、可笑しくない!?こいつもう勝った気でいるんですけど!」
「フフフ、もっと残念だったわね。あの方が次元に干渉できるって事は……こんなのも可能なのよ!」
「「「変身!」」」
『『『―HENSHIN―』』』
『『『―CHANGE BEETLE―』』』
「そ、そんな……」
ワームの口ぶりからして、サナギ態なのは目に見えていた。それこそ真は、1体のワームの指摘通りにほとんど勝ちも同然と、心の何処かで思って良いいたのかも知れない。
しかし真は、ワーム達の装着したブレスレットを見て……衝撃を受ける。次の瞬間には、飛来した金、銀、銅のカブトムシ型のゼクターが、ブレスレットと連結した。
そう……あれは劇場版カブトに登場したカブティックゼクターだ。そしてそれに対応するライダーと言えば、コーカサス、ヘラクス、ケタロスの3体である。
「さて、これでも……さっきと同じ態度でいれるかしら?」
「うっせぇ!どっちみちテメェらなんかに……負ける訳にはいかね……」
「ドーン!」
ドゴシャ!
「……せめて、最後まで言わせてあげれば?」
「え~。だってさっきからコイツ、ウザいじゃん。プチっと潰すと楽しそうかな~って」
頭の緩そうなワームが変身しているのは、銀色のライダーであるヘラクスだ。ヘラクスは真の頭を掴むと、全力で保健室の壁へと叩きつける。
脆くも保健室の壁は崩れ去り、そのまま地面へと頭を押さえつけられた状態となる。頭部のアーマーはメキメキと嫌な音を立てている……が、真はいつもの姿勢を崩さない。
「潰れんのは……お前らの方が得意だろうよ。なんつったって……クソムシだもんなぁ?」
「カッチーン……。ねぇ~え、ちょっち遊んで良い?」
「なるべく手短にね」
「はいは~い!カモン、同胞達!もう出てきなよ!」
ヘラクスが手招きする様な仕草を見せると、真の四方に灰色のオーロラが現れた。そこからはなんと、数え切れないワームが出てきたではないか。
恐らくヘラクスは、真を嬲り殺しにしてやろう……そんな気なのだろう。ノリは軽いが、なんとも恐ろしい発想の持ち主だ。流石の真も……絶対にこの数は相手に出来ない……。
「おらっ!」
「キャッ!?」
「関係ねぇつったのが解らねぇのかよ!俺は、やらなきゃなんねぇ……それだけだ!」
「……ほんっとムカつくんですけど。まぁ……せいぜい無様に死んで見せてよ!」
**********
『マスター、後ろです!』
『そうは言うけどなぁ……。前も後ろも右も左もだろ!』
「ほらほらぁ!遅いって……ば!」
ガギィン!
「ぐおぁっ!」
波状攻撃とは、まさにこの事だった。まるで波の様に、ワームやヘラクス達が襲いくる。今も前方からのワームの攻撃を防いだせいで、ヘラクスの背後からの攻撃に対応できない。
大きく吹き飛ばされた真は、飛んだ先でもワームの強襲を受ける。この通りに、休む暇すら無いのだ。倒れたままダブルカリバーでワームを斬りつけ、隙を見てなんとか立ち上がる。
「アバランチブレ~イクッ!」
「ぐああああっ!」
ヘラクスは、しつこいほどに真を追撃する。立ち上がった真に、ゼクトクナイガン アックスモードを振るった。しかもアバランチブレイクという必殺技級の攻撃だ。
真は先ほどとは比べ物にならないほどに吹き飛んで、ついには起き上がらない。そんな真の様子を、ヘラクスはケタケタと笑う。その仮面の下の表情は、まさに愉悦。
「おやおやぁ?もうギブアップですかぁ~?」
「だ……れが……!」
「無様~!プークスクス!良い気味だよねぇ!」
「……もう良いんじゃない?」
随分と先行してしまっていたのか、ヘラクスは遥か後方から声をかけてくるケタロスとコーカサスを不思議そうに眺めた。そしてしばらく考える様子を見せると、ケタロスの言葉に同意する。
「……そうだね。ってか、良く考えるとバカだよね~……この人間」
「いきなりどうしたの」
「だってさぁ~、協力してくれそうな奴……いっぱいいた訳じゃん?なのにツンケンして、その結果がコレとか爆笑もんでしょ!」
流石にそいつらが居たら、ヤバかったかもね。ヘラクスはそう付け加えて、そこらの小石を拾って真に投げつけた。すると小石はガタックの頭部へ命中……カツーンと、なんともマヌケな音を放つ。
「どちらにせよ……『お友達』は、沢山出来るでしょ」
「そうだねぇ、良かったねぇ。で、どうしよっか?」
「私達の内の誰かが擬態しましょう」
(クソ……がぁ!俺は……倒れる訳には……)
「いかねぇええええっ!」
「わっ!へぇ~……まだ立つんだ?立つだけ愚かだって解んないかな~」
地に伏せたままだった真は、残っている力を振り絞って立ち上がって見せた。このファインティングスピリットこそ、真が真たる証明とも言っていい。
しかしヘラクスは、そんな真を愚かだと言って見せた。残りの2体だってそうだ。立つだけ苦しいだけなのに、理解が及ばないと。付き合い切れなく感じたのか、ケタロスがゼクターに手をかけた時の事だった。
「確かに、そいつはとんでもない馬鹿だし愚か者だ」
「お前……何で来たんだよ!」
「ホラ、そいつもそう言ってるよ?よく協力する気になれるよねぇ」
「お前らなんぞには、絶対に解らないだろうな。なにせコイツは……俺達さえも巻き込ませまいとしていたのだからな」
士は真が素直な人間でないと解ってから、全て見通したのだ。妙に自分達との距離を置こうとするのは、自分1人で何とかしようと思っているから……。そう、真は……士達に非はないと完全に解っていたのだ。
むしろ何か起きれば、自分のせい……。ISの世界に置いても、仮面ライダーの世界に置いても……自分はイレギュラーなのだから。だから……どちらの世界の住人も、巻き込むわけにはいかなかった。
「だからこそ、俺は来た。なんでかって?気持ちは、お前と同じだからだよ」
「俺と……?」
「お前は、自分の仲間や……俺を助けたいと、そう思っているはずだ。俺だって同じだ。そして……お前の仲間もな」
ドシュン!
「なっ……!?」
士がそこで言葉を切ると、上空からレーザーが降り注いだ。レーザーは高火力で、数体のワームを纏めて射抜く。脆弱な防御力のワームは、緑色の炎を上げて爆ぜた。今のは……スターライトMk―Ⅲによる銃撃だ。
「お前ら……!」
「真、無事……じゃ無さそうだな。でも、もう大丈夫だぞ!」
「何で……何で俺を、放っておかないんだよ!」
「馬鹿言うな!お前が、俺達を放っておかないからだろ!それと同じだ!」
上空には、一夏を筆頭とした1年生専用機持ち7名が居た。自分の思惑とは真逆の事態に、真は声を荒げて問いただす。すると一夏は、士と似たような言葉で返した。
「わたくしは、引き続き射撃で援護いたしますわ!」
「僕も同じく!」
「私も……山嵐のミサイルが尽きるまでは……」
「よしっ、なら……残った俺達は地上戦だ!」
「標的は、取りあえず緑の虫でしぼるぞ」
「よりにとって……ああ、もう!気色悪いから、早めに終わらすわよ!」
「ああ!終わり次第に、金銀銅と戦うぞ!」
一夏が言い返したのを皮切りに、真は黙りこくってしまう。そうしている間に、一夏達はワームとの戦闘を始めた。あちらこちらで、ワームが次々と狩られていく。
「見たか?これが、コイツが必死で守ろうとしたものだ。もう1度言うぞ……。誰にも頼ろうとせずに、1人で背負い込んだコイツは、確かに馬鹿で愚か者だ」
「何が言いたいの……!」
「その言葉の意味を理解もせずに……大切な物を守ろうと立ち上がるコイツを、お前達に愚か者だと罵る権利など……何処にも無い!それを蔑むお前達の方が、よほど愚かなんだよ!」
「クッ!いったい何なのよ……アンタは!」
「通りすがりの仮面ライダーだ、良く覚えておけ!」
『KAMEN RIDE DECADE』
士はお決まりの台詞を言い切ると、ベルトへディケイドの顔面が描かれたカードを挿入する。すると9つの幻影が出現し、士へと重なる。最後に頭部へ数枚の黒いプレートが装着されると、士はディケイドへと変身完了した。
士が手をパンパンとはたく仕草を見せると、ヘラクスが動き始めた。手にはアックスが握られ、その鬼気迫る勢いは先ほどまではやはり遊びだったという事が伺える。
「させるかぁ!」
「きゃ!もう……今度は何!?」
「遅いぞ、ユウスケ」
「士が早いんだよ!変身!」
ヘラクスに飛びかかったのは、なんと生身のユウスケだった。ユウスケはヘラクスを投げ飛ばすと、その隙を見てクウガへと変身した。あのユウスケが、ここで真に手を貸さないはずがない。
ユウスケはヘラクスを引き連れると、少し奥の方へと行ってしまう。これを見て、次に動き始めたのはケタロスだ。ケタロスも2人に向かって走って来るが……。
ズガァン!
「次から次へと!」
「やぁ士。それに……真くん?」
「海東か。どういう風の吹き回しだ?」
「フフ……こんな物より、ずっと素晴らしい『お宝を』見せてもらったからね。特別に……力を貸してあげるよ!』
『KAMEN RIDE DIEND』
そう言った海東は、銃型の変身ツール『ディエンドライバー』の側面に、ディエンドの顔が描かれたカードを挿入する。そして銃身をスライドさせると、空へ向かってトリガーを引いた。
電子音声が鳴ると同時に、赤、青、緑色の幻影が海東へと重なる。そしてシアンカラーのボディースーツが形成されると、ディケイドと同じく頭部へ数枚のプレートが装着された。
「銅色の仮面ライダーは、僕に任せてくれたまえ!」
「…………」
「良いわ、行って」
「了解」
ケタロスは誘いに乗るかどうかを、アイコンタクトでコーカサスへ確認した。するとコーカサスは、首をクイッと動かして行ってこいとの命令を下した。
さて……これでこの場に残されたのは、真、士、そして……コーカサスだ。自分の思った通りに事が進まず、真は消沈していたが……どうやら開き直ったらしい。
「1つ……アンタに聞きたい事がある」
「……なんだ?」
「俺と一緒に……戦ってくれるか?」
「フッ……その言葉を待っていた。共にアイツを倒すぞ」
真は……士と共に戦う事を決めた。そう言う真に対して、士は当たり前の事を……とそんな感じで返した。そんな2人の様子を、コーカサスは腕組みしながら余裕綽々で見守る。
士もその余裕は、自信の現れだと理解している。残念だが、士が新に生まれた切り札が3枚……ライドブッカーに存在する事に気づくのは、もう少し後となる……。
なんとか説教っぽくなったでしょうか……?
あっ、劇場版ライダーに関して触れますが……これも一応リクエストです。コーカサス達が見たいとの事でしたので、チャンス的にはここかと。
え?海東が『リアル遺影フォーム』の件でコーカサスは使役してるだろって?まぁ……本当にそこだけ目をつぶって頂けないでしょうか(懇願)
ってな訳で、次回こそ……本当にシメにしますので!ええ、本当に!クウガVSヘラクス、ディエンドVSケタロス、ガタック&ディケイドVSコーカサスをお送りします。
それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。