戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

そんなこんなで、番外編1本目です。

時間軸は本編で言う七章と八章の間で、もしも真が本音を選んでいたら……なシチュエーションでお送りします。

注意事項としては、本編の事は1度お忘れ下さい。本編とは別次元……あくまでも『もしも』な世界ですので。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


~番外編&IFストーリー集~
IFなお話・本音ルート


「あっ、おはよ~加賀美くん」

 

「ん?おう」

 

「今日も1日の始まりは、アレかな?お熱いね~」

 

「止めい……そういうの。まぁいいや、本当の事だしな」

 

 俺はとある理由から、朝一番に向かう場所は1つに絞られていた。そのためにとある一室に向かってるんだが、すれ違う女子達にはいちいちからかわれる。

 

 別に目的地に向かうのは苦じゃないんだけど、この女子達のからかいさえなければもっと良いと言っておこう。さて……目的地に着いた。いつも通りに部屋の扉をノック……と。

 

ガチャ!

 

「あ~……おはよ~まこり~ん……」

 

「お早う、本音。……って、なんだ?また随分と眠そうだな」

 

「えへへ~……ちょっと夜更か……すぴ~……」

 

「話してる最中に、立ったまま寝た!?」

 

 俺の日課とは、晴れて彼女となったこの子……布仏 本音を起こしに来る事である。なんでも、朝一番に俺の顔を見たいんだと……。べらんめぇ!んな可愛い事言われりゃ……来るしかねぇじゃん。

 

 ちなみに俺のあだ名が『かがみん』から『まこりん』へと昇華した。理由としては、かがみんだとあくまで苗字だからという事らしい。そんで……まこりんってのは『まこと』+『ダーリン』の造語なんだってさ。

 

「器用な事を……。おい、本音……起きろって」

 

「む~……まこり~ん。おはよ~のちゅ~……」

 

「は、はい……?」

 

「してくれたら~、目が覚めると思うんだよね~」

 

 こ、この天然小悪魔は……相も変わらず俺の理性をガリガリと削ってくれるぜ……。本音は俺に向かって、ガバ~ッと大きく手を広げていた。

 

 いやいや……普通に人通りがだな……。そうだ……部屋には……よし、同室の奴は居ない様だ。俺は手早く部屋の中へ入ると、本音を引っ張り込んで扉を閉める。

 

「お~……壁ドンって奴だ~。むしろ扉ドン~?」

 

「……もう良いから、黙って目……閉じてな」

 

「は~い」

 

 本音とキスくらいはしたことあるけど……なんか、シチュエーションのせいかドキドキするな……。だ、だからこそ早く済ませてしまおう……うん。

 

 俺が本音の頬に手を添えると、本音は俺の首へと腕を回した。そして俺も目を閉じて、自分の唇を本音の唇へ重ねた。うむ、何度やっても……本音の唇は柔らかい。

 

(ま、こんなもんで良いだろ……)

 

 朝っぱらから、濃いのをしたって仕方が無い。唇を重ねるだけのキスにしておこう……と、思った瞬間の事である!あろう事か、本音の舌が俺の口内へ潜り込んで来た。

 

 驚いた俺は、思わず飛びのきそうになるが……本音の腕にロックされていて、それはままならない。だが足元はふらついてしまったために、俺は本音に押し倒される形になる。

 

 それでも本音の舌は、俺の口内を蹂躙し続けた。そこからむ~む~と唸りながら、どれくらい時間がたったろうか?されるがままだった俺は、ようやく解放された。

 

「むふ~♪ね~ね~、まこり~ん」

 

「な、なんでございましょうか……?」

 

「今のも~、朝の日課にしよっか~?」

 

「無理無理無理無理!勘弁してくれ!絶対にいろいろもたねぇから!」

 

 俺に馬乗りになったままの本音は、随分と楽しそうにそう言った。その言葉にゴフッ!?と吹き出してから、片手を大きく左右へと振った。

 

 今だって……余りの気持ちよさに俺の息子がフルスロットル寸前だったんだから!これ毎日とか……いつか絶対に我慢できなくなるに決まってる。

 

「いろいろ~?いろいろって~、何かな~?」

 

「う、うわぁ……ちょっ、ちょっ……!マ、マジで洒落になんないって……!」

 

「まこりんさえ良ければ~……私はいつでもイエス枕だよ~」

 

(煩悩よ……消えろ!いや、むしろくたばれ煩悩!)

 

 本音はそのワガママボディを俺に押し付けて、とんでもない事を口走った。俺はそれを打ち消すかのように、頭の中で除夜の鐘を鳴らす。

 

 オ、オーケー……だいぶ落ち着いてきた。俺は本音を優しく押すと、馬乗り状態から脱出に成功。そしてわざとらしく咳払いをしてから、何事も無かったかの様に振る舞う。

 

「あ、朝飯行こうぜ……」

 

「そうだね~。今日も元気にがんばろ~」

 

 強引な形の話題変更となったが、特に本音も気にした様子は見られない。本当に……どこまで本気なのか解り辛い子だ。その名が示す通りに、全部が全部本気……?

 

 ……まぁ良いや。俺も照れのせいで困惑はするが、決して嫌という事ではない。ただ……流されない様には気を付けておこう。学園内で行為に及ぶ様な、そういう若気の至りは避けなければ。

 

「じゃ、行くか。忘れ物とか……」

 

「ん~……だいじょぶ~。行こっか~、まこり~ん」

 

「お、おう……」

 

 本音はそう言いながら、ギュッと強く俺の右腕に抱きついた。……早速だけど、決意が揺らいでしまいそうです。これはあれだ……遅かれ早かれ学園外だと、そういう事になりそうだ。

 

 男としての覚悟は決めつつ、本音とは外出せねばならないかも知れん。とにかく今は、学園内である。難しく考えずに、本音とのんびりとした日常を過ごせれば良い。とりあえず俺達は、食堂へと歩を進める。

**********

「ねぇねぇまこり~ん」

 

「ん~……?どうかしたか?」

 

「平和だね~」

 

「そうだな~」

 

 日課と言えば、昼休みにこうして膝枕をしてもらうのもそうかも知れない。いつもこうやって、何気ない話をしているのだ。今日の本音は、いきなりそんな事を言い出した。

 

 最近はトラブルも発生しないし……平和そのものだ。特に本音とこうしていると、倍以上は平和に感じられる気がする。時間もゆっくり流れるしなぁ……。

 

「でもなんか……いきなりじゃないか?」

 

「う~ん。何となくかな~」

 

「…………」

 

 そう言いつつ……きっと本音は、心配なんだろう。これから先は、いったい何が起こるか解ったものでは無い。それを俺に悟られまいと、わざわざそんな聞き方をしたに違いない。

 

 本音は……自分が戦えない事を、俺に申し訳ないと思っている節がある。そんな事は思う必要は、全く無いんだけどな……。でもそれを今指摘してもなぁ……。

 

「あっ……そうだ」

 

「まこり~ん?」

 

「本音。次の休みに、何処か出掛けないか」

 

「ほんと~?わ~い、まこりんとデート~」

 

 唐突に良い案が浮かんだ俺は、本音をデートに誘ってみる。すると本音は、とても嬉しそうな表情を見せてくれた。そうそう……それで良いんだって。

 

 前にも言った気がするけど、本音が俺に出来る事は何もない…… なんて事は、絶対に無いんだ。それを今回のデートで、精一杯伝わる様に頑張ってみよう。

**********

「えへへ~」

 

「上機嫌だな」

 

「だって~、まこりんとデートは~久々だも~ん」

 

 そんな訳で、デート当日となった。本音を連れて来たのは、オーソドックスに遊園地である。ゲートを潜ると同時に、本音はまるで天使の様な微笑みを見せる。

 

 思わず本音に問いかけると、これまた嬉しい言葉が返ってきた。でも本音の言う通りに、こうして遠出するのはかなり久々だ。……俺が失踪したりしたしね。

 

「まこりん!何処から回る~?」

 

「……悪いんだけどな。俺、こういう場所の定番って解らねぇんだよ」

 

「…………。あ~……そっか~、そうだろうね~」

 

 遊園地とか、正直なとこヒーローショー以外どうでも良い。今回は本音と一緒だからどうでも良くは無いが……。それでも他の同世代よりかは、確実に経験則が足りない。

 

 俺が遠回しにそう言うと、本音は何かを察した。何も否定はできんが、『そうだろうね』と言われるのは……どこか悲しいものがあるな。

 

「だから、本音がしたい通りにしてくれ。俺はしっかりそれに合わせっからさ」

 

「おっけ~!それじゃ~レッツゴ~」

 

「うおっと……。まぁそう慌てんなって」

 

 リードが出来ない事を盾にするつもりではないが、今日は本音のしたい様にさせるつもりだった。時には黙って着いて行くのも大事なのではないだろうか。

 

 本音は俺の腕に抱きつくと、バッと右手を天高く突き上げ歩き出す。俺はそれに引っ張られる形となるが、何も動じない。口ではそう言ったが……本音が慌てたところで、たかが知れてるし。

 

 そうして本音と並んで歩いていると、1つ目の目的地へと着いたらしい。というか……一目瞭然だな。絶叫マシンの代名詞とも言えようジェットコースターだ。

 

「こういうの……平気なのか?」

 

「むしろ好きな方だよ~!まこりんは~?」

 

「さぁ……乗った事ねぇし。けど、ほぼ毎日……コレより高い所は飛んでるしなぁ」

 

「それとこれと~、話は別だと思うな~。ま~試せば解るよ~」

 

 本音の言う事も一理あるが、鈍足で有名なガタックもジェットコースターよりは速度が出る。それこそ高機動換装エクステンダーの操作練習なんてしてたんだから……怖いって事は無いと思う。

 

 かといって、つまらない……って事もなさそうだな。うむ……結局のとこ物は試しか。それでは早速列に並びまして……っと、大人しく本音と順番を待つことに。

**********

「あ……案外やるな……絶叫マシンって……」

 

「やっぱり違ったでしょ~?」

 

 やっぱりISとじゃ『怖い』のベクトルが全然違ぇや……。ISってのは乗るってよりは、纏うの方が表現的には近い。やはり自分の身に纏うとなれば、それだけ安心感もある。

 

 更に言えば、ISを展開してさえいれば転落死ってのはまずありえない。だけどジェットコースターはそうはいかない……まぁ……結論から言えば……苦手だ。

 

「じゃ~次に行ってみよ~」

 

「お、おう……。次はどれだ?」

 

「う~ん……あっ、アレとか良いかも~」

 

「あ、あぁ……フリーフォールってヤツな。ハ、ハハハ……オーケー、行くか」

 

 本音が指差したのは、此処からでもよく見える……天高くそびえ立つ鉄塔……フリーフォールだ。なるほどねぇ……今日は絶叫マシン巡りと来たか。

 

 ……今までの人生……特に苦手という事を知らずに生きてきた。しかしまさか……絶叫マシンとは、たまげたなぁ。……悟られて居ないだろうね?嫌だよ俺……男として、なんかダサいし……。

 

「まこり~ん、考え事~?」

 

「んぁ!?い、いや……何でも無い!」

 

 自分でも知らず知らずのうちに尻込みしているのか、それとも単に考え事か……。俺の足はいつの間にか止まり、本音との距離はかなり離れてしまっていた。

 

 駆け足で本音の横まで追いつくと、ペカッと花丸満点の笑顔で俺を見る。ああっ……もう!可愛いなコンチクショウめ!ますます……ますます後に引けねぇぇぇぇ……!

 

 クソぉぉぉぉ……やってやろうじゃねぇか!苦手と分かったんなら、今日中に克服してやらぁ!フリーフォールに空中ブランコなんでもかかって来いや!

 

 そんな感じで、勢いに身を任せる事に決めた俺だが……やはり今日中の克服は無理そうだ。だが何とか……何とか本音には悟られずに済んでる……と思う。

 

「ふふ~ん……ねぇまこり~ん?確か~絶叫マシーンって~、どれも初めて乗るんだよね~?」

 

「あ、ああ……。マジで全部初見だ」

 

「そっか~、それなら~……よっぽど気に入ったみたいだね~!」

 

 そっちかああああい!アレだよ、苦手なのがバレたのかと思ったよ!?でも実際は、真逆だった。それはそれでどうなんですか……俺はどうすれば良いんですか!?

 

 もうこの際だから、いっそ見抜いてくれた方が有難い気さえするや……。真逆の勘違いとか、コレって何処のギャグマンガだよ。

 

「ほ、本音と一緒なおかげでな……ハハハ……」

 

「えへへ~、嬉しいな~。それじゃ~ドンドン行ってみよ~!」

 

「お、お~……!」

 

 意気揚々と進んで行く本音に合わせて、小さくガッツポーズをしつつ着いて歩いた。それからという物……絶叫マシンのラッシュ、ラッシュ、ラッシュ……。

 

 何ココ?絶叫マシン多くね?嫌がらせ?新手の嫌がらせですかい?……次から……遊園地は出来る限り避けよう。密かにそう思う俺に対して、本音は凄く楽しそうだ……。

 

 うん……本音が楽しければ、俺はそれで良い。そうだな……それじゃあ本音が来たいって時には、必ず連れて来よう。そうすれば、俺の弱点を晒さずに済むはずだ。

 

「いや~遊んだね~。もうそろそろ~最後にしないと~」

 

「そうだなぁ……。余裕を持って学園に帰らないとだな……」

 

「じゃあ最後に~……アレに乗ろうか~」

 

「む……?アレ……か」

**********

「お~……絶景かな絶景かな~」

 

「夕暮れのおかげで、良い感じの景色になってんな」

 

 本音が最後に乗りたいと言ったのは、観覧者だった。女子と遊園地のラストに観覧者とか……都市伝説かと思っていたぜ。まさかこうして、自身で再現する事になるとはな。

 

 う~む……しかし、いつもはこれより高い所を飛んでるのに……良い眺めだな。まぁIS乗ってる時は、高度が高すぎるし景色なんて気にしてる暇はねぇモンな……戦闘中の場合が居多いんだもの。

 

 ボーッと頬杖をつきながら景色を眺めていると、いつの間にやら本音はジッとこちらを見ていた。よく解らんが……ちゃんと座り直して、正面から本音を捉える。

 

「今日は~、楽しかったね~」

 

「ん、そうだな」

 

「……疲れてない~?」

 

「そりゃ……それなりに疲れてはいるけどさ。……どうして、んな事を聞くんだよ」

 

 いろいろと言いはしたけど、結果としては本音と一緒で楽しかったし……。無理を推していたのがバレたのかと思ったが、どうやら本音の様子からすればまた別の話に見える。

 

 夕日がそうさせるのか、本音は少しだけしんみりとしている。……これは、真面目に本音の話の真意を探る必要がありそうだ。俺は、本音が口を開くのを待った。

 

「なんかね~、まこりんの事~振り回しちゃったかな~って~……」

 

「それ!それだ本音!良く解ってるじゃん」

 

「う、うぇ~!?そんなに~ハッキリ言わなくても~……」

 

「あ、違うぞ?迷惑だったって意味じゃない。本音は、それで良いんだって事だよ」

 

 本音が口にした言葉が、何となく俺の言いたかった事と被っていた。だから俺は、興奮しつつ『それだ』と肯定したのだ。だがその内容は、全くもって本音が思っている事とは違う。

 

 前置きはしたが、勘違いさせたのは悪かったな……。だけど、ここから取り戻せば良いか。俺は脳内で言葉を選びつつ、しっかり考えを纏めて口を開く。

 

「ほら、俺のお袋も……自由奔放な人だったみたいでさ。そんで親父が言ってたんだ……振り回されるのは、楽しかったって」

 

「振り回されるのが~?」

 

「ああ。俺もさ、その時は大変そうだなって思いながら聞いてた。けど……今なら解る。俺は、本音に振り回されるのが楽しいんだよ」

 

「まこり~ん……」

 

 本音はまたお袋とベクトルは違うが、まぁ良くも悪くも唯我独尊だろう。しかしだ……俺は、そんな本音が一番だと思ってる。いつも元気で、笑顔の本音の背中を見守っているのが。

 

 きっと親父も同じ様な気持ちで、お袋と一緒にいたハズだ。やはり似ていない親子ながら……根は同じなのかも知れないな。ま……俺は、それだけではないけれど。

 

「俺の世界の中心は、本音なんだよ」

 

「私~?」

 

「そう。だから……これからも思いっきり振り回してくれ。そうすりゃ、俺の世界は回ってく」

 

 本音と付き合う様になってから、それを思い知らされた。これまでの俺は、間違いなく本音のために戦ってきたのだから。この姿勢は、きっと何時までも変わらない。

 

 だって本音は……何時も俺を応援してくれる。俺を……待っていてくれる。だからこそ俺は、もっと強くあろうと思える。そう……全ては、本音のために。

 

「戦ってる時も……俺の心には何時も本音がいる。それってさ……一緒に戦ってると思うんだ」

 

「…………」

 

「だから……本音。気にやむ事は無いんだよ。俺はお前が笑ってくれてたら……それで良い」

 

「…………」

 

 俺がそう言うと、本音は顔を紅くしてプルプルと小刻みに震える。唇も噛みしめているところを見れば、どうやら涙を堪えている様だ。

 

 笑ってくれとは言ったが、いつもかつもと言いたい訳でもない。泣きたい時には、泣いて欲しい。怒りたい時には、怒って欲しい。それが……人らしい生き方だろ?俺がそれを本音に伝えると、我慢は限界らしい。

 

「ひっく……まこり~ん……」

 

「嬉しいんなら、なおさら泣いて欲しい気もするけどな」

 

「ふぇ~ん…………」

 

 俺は席を本音の隣に移して、肩にそっと本音の頭を抱き込んだ。すると本音は俺の肩へと顔を埋めて、静かながらに泣き声を漏らす。俺はよしよしと、頭を撫で続けた。

 

 いつしか本音は泣くのを止めた……が、この状態を居心地良く思ってくれている様だ。それならば、まだしばらくはこうしていよう。観覧車が下に降りるまで、まだ時間はある。

 

「私……ね~。まこりんが戦ってるのに~……見てるだけしかできなくて~……」

 

「うん……」

 

「それは~……すっごく辛かったけど~。まこりんがそう言ってくれるなら~、私は~、精一杯まこりんを応援するよ~」

 

「ああ、本当に頼む。じゃないと俺は、口だけ達者な半人前だからな」

 

 だが、本音が応援してくれるのなら……話は別だ。亡国だろうが何だろうが、皆まとめて消し飛ばしてやる。そしてまた世界を回す……俺と本音の世界を。

 

「本音……」

 

「わ~、今日のまこりんは積極的だ~」

 

「いつもは、やられっぱなしだからな」

 

 本音に求められてからのパターンが多いが、俺は自ら動いて本音の唇を奪う。緊張でぎこちなくなっている気もするが、本音の口内へと舌を潜り込ませる。

 

 一方の本音は、いつにも増して積極的な気がする……。おかげで俺達のキスは、互いを貪るような……激しいキスとなった。悪くは無いが、心臓にはあまりよくない。

 

「えへへ~、まこりん真っ赤~」

 

「なっ……赤くもなるっての」

 

「いつも~あのくらい遠慮しなくたって良いんだよ~?」

 

「……次からそうするよ」

 

 近づけていた顔を離した途端に、本音は俺の頬を突きながらからかう様に言う。だけど自分でも、顔が赤くなっているのが解る。だから顔を逸らしながら、座り直した。

 

 すると本音も座り直して、俺の肩にコテンと頭を預ける。そこから観覧者が降り切るまでは無言だった俺達だが、まぁ……たまにはこういうのも悪くは無いんじゃないだろうか。

 

 俺の伝いたい事もキチンと言えたし……今日は良い1日になった。ただ……俺のプロフィールに苦手な物が刻まれた1日でもある訳だが。

 

 本音は帰り際に、また来よう……なんて言ってたしバレるのも時間の問題か……?うん……俺は俺のイメージを保っていたい。次までには、完全に絶叫マシンを克服しておこう……。

 

 

 

 




浮気じゃないよ、パラレルだよ←ココ重要

ってな訳で、彼女の状態である本音とデートでした。告白シーンも入れようとしたんですけど、尺が足りず……。

ちなみにですが、簪を振った場合の真は……楯無によってギッタギッタにされると言う運命が待ち受けます。そのシーンも書きたかった気がしなくも……。

さて、次回はですね……もう1本IFのお話で。皆様からのリクエスト消化は、そこから番外編を挟んでからにしたいと思いますので、しばし猶予を……。

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。

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