戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

私もようやく、夏休みに入った感じです。しかも今年は連休が長かったり。こんな感じで、更新スピードを上げていきたいですね。

あぁ……夏休みか……。ドライブとニンニンジャーの映画を見に行かないと……。夏休みですんで、親戚の子を連れて行ってあげよう!

親戚の子の好感度も挙げられて、ついでに私も楽しめる……一石二鳥。全国のチビッ子達よ、これが現実だ!

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


最終章 ~限りない未来へ~
偽りの決戦、明けて(急転)ですが何か?


「それで?言い訳を聞こうか……スコール」

 

「…………」

 

 マンションの一室に戻ったソルは、未だにハイパーカブトを身に纏っていた。ソファに座っているスコールへと向けて、パーフェクトゼクターを突きつける。

 

 しかしスコールは、ソルの方へ見向きもしない。これにソルは、苛立ちを募らせた。決して短気な性格ではないのだが、今回の件に関しては仕方が無い事も多いだろう。

 

ゴシャア!

 

「スコール……殺されたいのか?」

 

「はぁ……近所迷惑よ。それにこのソファ、いくらしたと思ってるの?」

 

 ソルは何の容赦も無く、スコールが座っている右スレスレにパーフェクトゼクターを振り下ろした。当てる気が無いのは分かっているとはいえ、ピクリとも動かないスコールは流石である。

 

 さぞかし高級品であろうソファの末路は、粗大ゴミ一直線と言った所か。ソルは、貴様も真っ二つにされたいか?と、そう言うつもりで叩き切ったのかもしれない。

 

「下らん質問で返すな!オレは、貴様の操り人形では無い!」

 

「その割には、聞き分けが良くて助かってるけれどね」

 

「このっ……!」

 

「とにかく、話してほしいなら落ち着いて頂戴」

 

 冷静さを欠いているのは、スコールの指摘通りではある。しかしこれでは、またオータムの言葉通りの動きを取る事となってしまう。ソルは歯を食いしばりながらもカブトを解除した。

 

 これを見たスコールが、良い子ねなんて言う……。これは完全に、煽りとしか感じられなかった。しかし自分がしたい事は、話を聞く事だとソルは自分に言い聞かせる。

 

「結局……あの作戦は、ジョウントを繋げるまでが目的か?」

 

「そうね」

 

「……端から……決着など視野に入れて無いと?」

 

「全く……と言う事では無いわよ。時間内に決着がつけられれば儲けもの……って感じかしら」

 

 端的に言えば、チンタラやっていたソルが悪いと言いたいらしい。だがソルはスコールから宣言時間付きの作戦などとは、全く聞いてはいなかった。

 

 それさえ聞いていれば、もう少しやりようもあったハズ。やはり……このスコールは、どこかおかしい。これほどまでに、傍若無人な振る舞いでは無かったはずだ……。

 

 スコールに対する相当な不信感……もっと言えば、疑念がソルの中で湧き出始めた。それを本人に指摘した所で、何が変わると言う事も無いだろうとソルは口を閉ざした。

 

「カエルム・スカラム……。アレは、何の為にある物だ?」

 

「フフ……世界を掌握する為の物よ」

 

「つまりは、アレとオレに関連は大いにあるのだな」

 

「ええ、勿論。ソル……貴方はあそこで、最終フェーズを迎えることになるでしょう」

 

 スコールの言葉に、またもやソルは訝しむような表情を向ける。あの要塞に、一体何の秘密が隠されているのか。それでいて、スコールの言葉の真意とは……?

 

「分かるように言え」

 

「貴方、あの子と戦って勝つことが進化の鍵だ……って言ったでしょう?それ、あながち間違いじゃないと思うのよ」

 

「つまり……あそこで決着を着けろと?」

 

「そういう事。今回じゃダメだったのか、とかは受け付けないわよ。理由があるからそう言ってるんだから」

 

 ソルは黙りこみつつ考えを巡らせた。カエルム・スカラムが、自分と密接な関係がある事は肯定だった。しかし……あの要塞内で戦えとなると、理由は見えない。

 

 だがもはや……自分にとっては、そんなことどうでも良い事だとソルは思考を止める。優先すべきは、真との一対一。それ以外は、何も望まない。

 

「今度こそ、偽ってみろ。その時は……本当に貴様を殺す」

 

「大丈夫よ、今度こそは本当だから。ゴメンなさいね、私も悪かったわ」

 

「『も』ではなく、『が』ならば……完璧だがな」

 

 やはりどことなく、責任は自分だけに無いとでも言いたげだ。それだけ聞くとスコールは、自室の扉を乱暴に開いた。そして大きな溜息を吐きながらベッドへ横たわる。

 

 疲労感はあるが、しばらくはボーッとしていたい気分だった。自分の腕を枕代わりに使って、何も考えずにただ天井のみを見つめ続ける。

 

ガチャッ……

 

 すると不意に、自室の扉が開く音がする。自分の部屋に立ち入る人物など、マドカしかいない。寝っころがったままチラリと見てから、ソルはベッドから立ち上がる。

 

「ノックぐらいしたらどうだ?」

 

「…………」

 

「…………。さっさと用件を言え……」

 

「…………」

 

 一応はソルなりの冗談のつもりだったのだが、マドカは黙ってばかりで何も答えない。部屋に尋ねて来た時点で、様子がおかしい事は分かっていたが……。

 

 見た限りでは、重傷のようだ。俯いたまま小刻みに震えるマドカなど、ソルからすれば別人が如く映る。こんなマドカを見るのは初なだけに、どう続けてよいか困惑した。だがやがて、マドカの方が口を開く。

 

「あいつが……私の名を、名を……!」

 

「…………」

 

「待っているとも……こちらに、手を差し伸べて……!」

 

 現在のマドカは、ジレンマに襲われているらしい。織斑姉弟に恨みを抱くと同時に、織斑姉弟の元へ行きたいという気持ちもあるようだ。

 

 それでいて、亡国機業にはソルが居る。ソルに抱く恋慕が頭にあり、離ればなれになる事など考えられなかった。だから……どうしていいか分からずに、こうしてソルの元を訪れたのだろう。

 

「惑わされるな」

 

「ソル……」

 

「奴らの言葉に、耳を傾けなくていい。不安になるなら……オレの声のみを聴き、オレの事だけ見ていればいい」

 

 相当な身長差を埋めるために、ソルはしゃがんでマドカへそう告げた。半ば告白とも取れるようなセリフを平気で言うあたりは、ソルの美点でもあり欠点でもあるだろう。

 

 だがソルは、マドカの言葉にほんの少し苛立ちを感じていた。自分では分かっていないようだが恐らく、自分以外の人間がマドカの心へ入り込もうとしているから……つまるところ嫉妬だ。

 

「……どうした?」

 

「……私の名を……呼んでくれ」

 

「……マドカ」

 

「そんなのでは、足りん……」

 

 マドカはしゃがんだソルに抱き着きながらそう言った。要求通りにソルがマドカと呼ぶと、心が温かくなるのを感じる。しかし……言葉通りに、足りてはいない。

 

 心をソルで満たすためには、そんな事では足りない。どうするべきかと色々考えるソルだが、とりあえず立ち上がってマドカを抱きかかえる。

 

「何を……」

 

「続きは、ベッドの上でな」

 

「なっ……!?」

 

 ソルの遠まわしな言葉は、マドカにも一応理解できる。テロ組織に属しているとは言え年頃の娘なマドカは、顔を真っ赤になった。いつもは、暴れるが今日はとても大人しい。

 

 ソルはその事を、了承であると捉えた。マドカを自身のベッドに放り投げて、部屋のカーテンを閉める。その日は長い間……マドカの嬌声がソルの室内に響き渡った……。

**********

「直ってたって……それ、本当か!?」

 

「うん……何事も無かったみたいに……」

 

 亡国との戦いから一夜明けた。俺が屋上にて佇んでいると、現れたのは簪だ。どうやら、今回の件に関しての事後報告やら諸々をしに来てくれたらしい。

 

 それで直っていたと言うのは、ガタック含めた全ての専用機の事だ。今回ISが被害を受けたのは、ZECTに責任がある。と言う事で、ウチで一旦預かり完全に修理してから返す……手筈だったのだが。

 

 朝確認してみたら、綺麗さっぱり直っていたんだそうな。不思議な事もある物だが、一人だけそんな芸当が可能な人物を知っている。多分だけど、篠ノ之博士がやったのだろう。

 

「すぐに……返せるらしいよ……」

 

「そうか……なら良かった。各国に色々と言われたみてぇだしな……」

 

 そりゃあ勿論……ISの被害報告は各国に知らせた。特に大破したブルー・ティアーズに関しちゃ……爺ちゃんはイギリスから文句を言われたそうな。

 

 まぁそこは、ZECT会長としてキチンと対応したらしいが……。セシリアをはじめとした各国代表候補生の力は、今後借りられないかもしれないと言っていた。

 

 確かに、そうだよな……。いくら所属がIS学園だとは言え……勝手に駆り出して、相当な無茶をさせたのだから。今回の件に関しては、言い訳のしようも無い。

 

「そうだ……例のあの女は?」

 

「案外……ピンピンしてるって……」

 

「……それって、肉体的にか?精神的にか?」

 

「……両方」

 

 あの女ってのは、オータムの事だ。破壊されたアラクネのコアは没収して、本人は更識の息のかかった病院にて監視体制を敷きつつ尋問をしているらしいのだが……。

 

 裏切られた上に、マキシマムハイパータイフーンを喰らっていたし……少し心配だったのだが。あの女……タフだねぇ……。もしかすると、大暴れしてるかもしれないな。

 

「ま、なら問題ねぇな」

 

「真は……大丈夫……?」

 

「リスクの事か?ああ、前と変わらなかったし……酷くなる事は無いんじゃねぇかな」

 

「本当に……?そう……良かった……」

 

 今度は、俺が質問される番だった。ハイパークロックアップのリスクに関して問われたが、俺は包み隠さずに話す。筋肉断裂、心臓痛、吐血とどれも初使用との違いは感じられなかった。

 

 まぁ……どれも大事なんだけどな。酷くならなかったからと言って、やっぱり多用は良くなさそうだ。あの後は、誤魔化すのが大変だったなぁ……。

 

「それじゃ……私は行くね……」

 

「え……?もう行くのか……」

 

「うん……他に用事……」

 

「…………。解った……また後でな」

 

 そう言いながら俺は、簪の前髪を上げて額にキスを落した。すると簪は、顔を真っ赤にして逃げるように屋上から去っていく。あ~……可愛いなぁ……。

 

 しかし……我ながら子供っぽい事を言い出すところだったな。その用事って、俺より大事か……ってのが、喉の所まで来ていた。そんな自分に呆れながら屋上の柵にもたれかかる。

 

「…………」

 

 俺の目線の先にあるのは、未だ閉じる気配のない超巨大ジョウントだ。アレの存在は、一夜にして世界中に広がる事となった。そりゃ……宇宙に突然あんな要塞が現れりゃな……。

 

 アレに関しての今後の所在は、無干渉である事が伝えられた。珍しく日本政府と、IS委員会の見解が合致したそうな。つまりは、俺達もアレには手を出せない。

 

 アレに手を出すと言う事は、国に逆らうも同然……。それでなくても現在は、日本への批判が集中していると言うのに。まぁ……大半は俺らのせいでもあるのだが。

 

 と言うか、国家関がギスギスしてしまっている。責任のなすりつけ合いと言うか、何と言うか。あの要塞はアメリカやらロシアあたりの物ではないか、とか……根拠のない責め合いをしていたり……。

 

 挙句の果てには、そもそもISが無ければこんな事には……とか、ズレた事を言い出す国もあったりする。その発言の影響か、今度は各国問わずに女性が反発……と。

 

 とにかく今は、国家みたいな大きい存在から身近な男女関係が、微妙にピリピリした状態と言える。それも恐らくは、亡国の狙いの一つだろう……。

 

ピリリリリ……

 

「んおっと……非通知だぁ?」

 

 ふと携帯が鳴ったので誰からの着信か確認すると、非通知の設定が成されていた。……怪しい……すこぶる怪しい。とは思いつつも……無視するのはなんだか……。

 

 とりあえず出てみて、ロクでもなさそうならばすぐ切る事にするか。俺は自身の携帯をまじまじと見つめながら通話開始の表示をタップする。

 

「もしもし?」

 

『はろーはろー!皆のアイドル束さんだよー!』

 

「はぁ!?おい、色々待てや!なんでアンタ、俺の番号知ってんだ?!」

 

『やだなぁ~そんなの調べるのは余裕に決まってるじゃん!』

 

 ま、まぁ確かに、そうだよな……。なんせISを造ったってか……完成させたってか、とにかく天才である事には違いない。しかし……国際指名手配されてる人間が、こんな簡単に電話をかけて来るって……。

 

 って言うか、この女……俺にいったい何の用事だ?やっぱアレか?本当は亡国側で、宣戦布告に?いや、それだったらISを直してくれるはずも無いし……とにかく、本人に聞いてみる事にしよう。

 

「はぁ……何の用事だ?」

 

『アレの正体とかさ、気になってるんじゃないかと思ってね』

 

「それもそうだが、アンタ……俺らに協力してくれるのか?」

 

『なんで私が、君を殺そうとしてたか忘れちゃった?世界平和だよ、世界平和』

 

 随分とやり方は手荒だったが、俺さえ死ねばソルも進化する事は無かった訳だ。それこそ、こんな事態にはならなかったのかもしれない。ただ一つ……俺には許せない事があった。

 

 それは、皆を巻き込んだ事だ。専用機持ちタッグマッチの際なんかは、やりようによっては俺だけを狙えたハズ。切羽詰っていたと言うのは分かるが、納得はできない。

 

「そりゃご立派で、だが……どうして皆を巻き込んだ?」

 

『そうするしかなかった……としか言いようがないかな。まぁホラ……罪悪感くらいはあるよ、だからこうやってせめてもの罪滅ぼしっていうかさ』

 

「それも大事だが、詫びれば良いだろ」

 

『謝っちゃってハイ、お終いじゃあ……都合よすぎるでしょ?とにかく全部終わらないと皆の士気を下げるだけだよ。許されて良いとは思ってないし』

 

 む……確かに、それも一理ある。まぁとにかく、悪いと思っている事だけは解ったし今はそれで十分だろう。とすれば、アレの件に関しちゃ礼を言っとかなくては。

 

 ガタックも……結構ボロボロだったしな。ブルー・ティアーズが一番酷かった訳だが、まぁとにかく助かった事に変わりはない。

 

「IS……直してくれてありがとな」

 

『おややっ、流石のツンデレっぷり!束さん、ちょっと萌えたかも』

 

「誰がツンデレか!」

 

 礼言って損したぞ、コンチクショウめ!久々にツンデレって言われたわ!だが確かに……責めるような事を言った後に、礼を言ったからな……。

 

 俺がツンデレ言われるのは、順序やタイミングが悪いからだと……無理矢理そう思っておくことにしておこう。さもなきゃ、やっとられんわ。

 

「……いい加減によ、本題に入ろうぜ」

 

『おおっと、そうだったね!え~っと……カエルム・スカラムの事だよね~……っと』

 

ガサゴソ……

 

「資料くらい纏めときなって……」

 

『アッハハハハ……う~んなかなかねぇ物が多くってさ~……見っけ!』

 

 受話器越しに、何かを探すような音が聞こえた。どころか、なんか鳴ってはいけないような音も聞こえたり。いったい向こうは、どんな世紀末になっているのやら……。

 

 物が多いからこそ、纏めておく必要があるんだよ。そんなんだから必要な時に見つからん……って、説教したくなってしまいそうだ。

 

『えっとね、アレ多分だけど……大きなIS』

 

「……………………。マジ……?」

 

『マジもマジ、大マジだよ。徹夜で色々頑張ったんだけど、それはもう467じゃ済まないくらいのコア反応だったし』

 

「……全っ然笑えねぇ。なんだ……変形でもすんのかよ?」

 

『う~ん……可能性としては、大きいよね。私は逆に笑えちゃう感じだよ』

 

 いや、確かに突拍子もなさ過ぎて笑える気もするが……。もしそれが本当だとして、やはりあの超巨大ジョウントはカエルム・スカラムを地球へ寄越すためのモノらしい。

 

 アレを地球に寄越して、ソルが動かす……?しかしそれでは、変だよな。コアシンクロは6つで限界だーなんて言ってたし。もしかして、最終フェーズは……アレを動かせる何かなのか?

 

「どうすりゃ良いんだ……?」

 

『ま、潰すしか無いよねぇ』

 

「奴らが仕掛けてくる前に、何とかしねぇとな……」

 

『そうだけど、そんなに焦らなくても大丈夫っぽいよ?なんか向こうもさ、手間取ってるみたいだしね』

 

 手間取ってる……?アレを、動かすためにか?まぁ……そもそもソルが、第三フェーズな時点でおかしな話ではあけど……。どうにも釈然としないな、なんでこのタイミングだったんだ?

 

 それに関しては、篠ノ之博士も違和感を感じているようだった。しかしいくら天才とは言えど、向こうの心理までは図る事が出来ないらしく歯痒いようだ。

 

『少なく見積もっても、冬休みくらいは楽しめるんじゃない?』

 

「随分と、学生に優しい悪の組織な事で……」

 

『完全な偶然だけどね。って言うか、君ら終業式っていつなの?』

 

「ああ……明日だよ」

 

 本来ならば、あと数日残っているのだけれど……。あんな穴が、こんな近くにあいたような状態だ。流石にこのまま数日待つよりも、ついでに冬休みにしてしまう事になったらしい。

 

 だけどそれを聞いてしまえば、あまり意味は無さそうだな……。冬休みが明けてもジョウントは残ったままになると言う事が、今判明してしまった。

 

『そっか……本当、楽しんでおきなよ』

 

「ああ、多分……次が、本当に最後になるだろうな」

 

『まさかとは思うけど、一人でどうこうしようとは思ってないよね?』

 

「ハッ……一人で敵う戦力差じゃねぇだろ。背負う事はしないさ、けど……力が貸してもらえねぇんなら……そんときゃ、俺一人でも戦う」

 

 さっきも言ったが、これ以上は各国候補生の手は借りられないのかもしれない。無所属ではあるが、一夏や箒だって同じな場合だってある。簪は……ZECT所属だが、もしそうなれば……。

 

 ……どうするべきなんだろうな。正直な話……そんな絶望的な戦いに首を突っ込ませたくはないが、そんな事を言えば簪はきっと怒るに違いない。だけど、それでも……俺は……。

 

『そっか、それなら良いや』

 

「……アンタも、一人で抱え込もうとするなよ。だいぶ危ない橋を渡ってるみてぇだしな」

 

『ふっふ~ん、そんな事を言っていいのかなぁ?好きになっちゃうよ?』

 

「冗談……。どこぞのフラグメーカーじゃあるまいし」

 

 この言い方からして、冗談である事はすぐに察知できた。ま……年上のお姉さんからそう言われるのは悪くねぇが、生憎俺の両手はいっぱいいっぱいだ。

 

 ってか……それぐらいの度量ってか、器量があったら苦労はしてない。THE・不器用なのが加賀美家男子の血統だ。爺ちゃんもなんとなく不器用だし、親父は言わずもがな……。

 

『どうだろ、案外本気かもね。それじゃあま~くん、動きがあればお伝えする故……束さんはドロンするよ!』

 

「おう、気ぃつけてな」

 

ツー……ツー……

 

 無視したけど、ま~くんって俺の事か?何だか、メジャーリーグで大活躍しそうなアダ名なこった。だがまぁ……気に入られてるなら、それで良しとしよう。

 

 さて……時間は、あまり無いな……このままでは授業に間に合わなくなってしまいそうだ。簪……用事ってのは済んだのか?遅刻しなきゃいいが……。って簪も心配だけど、今はとにかく急ごう。

 

 俺は今一度目を細めてジョウントを眺めてから、今度こそ振り返った。足早に屋上を去ると、ギリギリ次の授業へと間に合う。しかし……俺の表情は、それで晴れる事は無かったとだけ言っておく。

 

 

 




あぁ……最終章に入っちまったぁ……。

別に早く終わらしたいとか、そういう事では無いんですけどね……。何と言うか、とりあえずこの作品を、最後まで頑張ろうって思ってます。

んまぁ……最終章とか言いつつ、次回から3話くらい冬休みの話を書こうと思ってます。四章は丸々と夏休みでしたけど、今回は引っ付ける事に致しました。

べっ、別にネタが思いつかなかっただけじゃないんだからね!まぁ……はい……。上手くまとまれば、3話で済むと思います。

という訳で次回は、真と簪のクリスマスをお送りしたいと思います。現実と季節が真逆で、少し混乱中ですが頑張ります。

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。

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