戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

私がこの二次創作の投稿を始めて、1年が経過いたしました!2日過ぎてますけど!いや~……あっという間でした。

初期の頃からお付き合いして下さってる読者様、ありがとうございます!1話でも目を通してくれた読者様もありがとうございます!

ええい……とにかく、少しでも触れてくれた全ての読者様……本当にありがとうございます!物語は佳境ですが、これからも謙虚な姿勢で頑張っていきますので、応援よろしくお願いします!

それでは皆さん、今回も……いや、これからもよろしくお願いします。


宿命の二人(後編)ですが何か?

 ここからが本当の殺し合い……パーフェクトゼクターを真に突きつけながらソルは言う。それに対して真は、ハイパーカリバーを構える。が、やはり様々な考えが頭を過った。

 

 パーフェクトゼクターがあると言う事は、他の6人が相手をしているのは……?ザビー、ドレイク、サソード……この3体は、確実にいるだろう。

 

(落ち着け……皆なら大丈夫だ)

 

 皆は、カッシスワームにも勝った。それならばライダー達でもきっと勝てるはずだと、真は嫌な考えを取り払う。そして意識をソルへと集中させた。

 

「行くぞ」

 

「来い!」

 

 二人はほんの短いやり取りを交わすと、お互いに突っ込んでいく。ソルはパーフェクトゼクターを思い切り振りあげる仕草を見せた。これを見た真は、しめた!と少し目を見開く。

 

 パーフェクトゼクターは大剣で、そのぶん振りの速度も遅くなっている。それならば、その隙は自分の餌だ。そう考えた真は、寸前でハイパーカリバーを止め最小限の動きで横へと躱す。

 

「無駄だ」

 

ゴォッ!

 

「何!?ぐおっ……!!」

 

 真は回避に成功し、パーフェクトゼクターは見事に空振りだった。しかしその数瞬後……すさまじい風圧が真を襲う。もちろんそれはただの風で、ダメージは全くない。

 

 それでもソルは、ただ単に大剣を振っただけだ。特に何をするでも無く、剣を扱う物なら誰しもが行う振ると言う動作……。単なるソレに、凄まじい何かを真は感じた。

 

「……変に避けようとしない方をオススメする」

 

「説得力あるな……。んで、何したよ?」

 

「何もしていない。ただオレは、剣を振っただけだ」

 

 片手武器を好んで使うソルだが、ありとあらゆる武器のプロフェッショナルである。細身の長剣やパーフェクトゼクターの様な大剣も並の使い手よりはよほどの腕前だろう。

 

 ソルにしてみれば、久々に振る長物であった。しかし……勘は十分と言った所か。つまるところ……さっき発生した風は、単なる剣の振りによるものだ。

 

「だったら……!」

 

(来たか……)

 

 避けるのがダメなら……受け流せばいい。そう考えた真は、ハイパーカリバーを1本に繋げてロングカリバー形態へと移行させる。これを見たソルは、ピクリと眉を動かす。

 

 やはりロングカリバーに対して、なす術なく敗北したと言う苦い過去が蘇るのだろう。しかし……その対策の為のパーフェクトゼクターでもある。ソルは、躊躇いなく真へと突っ込んで行った。

 

「はぁっ!」

 

「……っし!」

 

ガキィン!

 

「なっ……!?」

 

 ソルの足元を狙うような切り払いに、ソルはしっかりマイナスカリバーを合わせた。しかし……受け流しを開始する前に、思い切りロングカリバーごと弾かれてしまう。

 

 真は慌てて、弾かれたロングカリバーを一回転させ手中に戻す。だが時すでに遅し……ソルはまたパーフェクトゼクターを、頭上高くに振り上げていた。

 

「フンっ!」

 

ガギィ!ギャリリリリ!

 

「ぐあああっ!」

 

 ソルは真の肩に思い切りパーフェクトゼクターを叩きつけた。そこから更に刃を滑らせ、斜めにハイパーガタックの装甲を斬りつける。

 

 やはりクナイやアックスを受けたのでは、比で無いダメージがハイパーガタックを襲った。それだけで無く、真の焦りも大きい。回避も受け流しも……自分の得意分野を潰されたのだから無理もない。

 

「……そんなものではないはずだ」

 

「あん……?」

 

「オレを倒した貴様は、もっと輝いていた」

 

「…………」

 

 突然のソルの言葉に、真は目を丸くする。アドバイスのつもりなのか、なんなのか……。とにかく、もっと戦いを楽しみたいという事は伝わった。

 

 真は、フッと自嘲じみた笑いを溢す。敵に塩を送られたからだろう。テメェに言われるまでもねぇ!と、無言ではあるが力強くロングカリバーを構え直す。

 

「…………。おおっ!」

 

ガギィ!

 

「あらよっ!」

 

「むっ……?なるほど、そう来たか」

 

 ソルが振り回したパーフェクトゼクターを、真はまたしても受けた。しかし……先ほどとは違い単に受けただけでは無い。では、受け流した?それともまた違う。

 

 真は弾かれたロングカリバーを、勢いそのまま回転させて手の甲に収めている。グルングルンと、バトンの様にロングカリバーを回しつつ真はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「ある武闘家曰く――――」

 

「…………」

 

「激流に身を任せ同化する……ってな!」

 

 真は、ロングカリバーを回しながらソルへと突っ込む。これに何の意図があるのか、ソルはもちろん理解している。……が、攻撃しないことに価値は無い。

 

 回転を続けるロングカリバーを、横一閃で弾く……が、真は右腕から背中を伝うようにして、左腕へとロングカリバーを渡らせる。その間ももちろん回転は継続中だ。

 

 これでは追撃に転じれない……どころか、パーフェクトカリバーを振り切っているためソルはがら空き状態だ。真はついにロングカリバーを掴むと、イオンブレードを纏わせる。

 

「どおらぁっ!」

 

ズバァッ!

 

「ぐうっ!」

 

 さっきのお返しだ!とでも言いたげに、真はソルの肩から胴体にかけてを斜めに切り裂いた。ダメージを思い切り喰らったソルだが、やはりその口元は何処か楽しげだ。

 

 とりあえずは離脱を図るために、パーフェクトゼクターを柄から90度折り曲げガンモードへと変形させる。後退しながら引き金を引くが、真は神経を研ぎ澄ましこれを回避。

 

「……お前……ヒント寄越したろ?」

 

「肯定するが……普通はすぐさま対策など建てれるものでは無い」

 

「…………」

 

「オレが知りたいのは、貴様の奥底に眠る『何か』……。どうやらまだエンジンがかかっていないらしい」

 

 そう言われて真は、酷く困惑していた。なぜなら……そんな物は全く身に覚えがないからだ。だからソルの言葉に、否定も肯定も出来ない。

 

 だがそれを指摘しては、ソルの面子を潰すような気がしたので……とりあえずは空気を読む事にしたようだ。なんとなくそれっぽい事を絞り出して、口を開く。

 

「ハッ!だったらテメェが、俺をトップギアにしてみなよ!」

 

「言われずとも……!」

 

ガッ!ガギン!

 

 これを皮切りに、二人は切った張ったのやり取りを繰り返す。しかしそれに比例して、何故だか二人の口数も少なくなってしまっている。それは、二人がタイミングを見計らっているからだ。

 

 ハイパークロックアップ……。この世の理を根本からひっくり返し、まさに速度や時間と言う概念を支配するに等しいその能力をだ。ただし、それなりのリスクは付きまとうが。

 

 つまり二人が無口なのは、互いにタイミングを見計らうと同時に、警戒をしているからである。当然だろう……上手い事に発動させてしまえば、この二人でさえ勝負は決する。

 

(必要なのは、奴をいかように出し抜くか……)

 

(無理に出し抜く必要はねぇ……合わせて発動する事だけを考えろ……)

 

((……と、奴はそう考えているハズだ!))

 

 この二人……ドンピシャで互いの考えを見抜いていた。だからこその膠着状態でもあるが、やはり違う育ち方をしても通ずるところがある証拠だろうか。

 

 さて……半分は本人同士によるこの読みあい……終着地点は、一体どこになるのやら。この読み合いにて勝負が決まる可能性があるとなれば、流石に二人とも慎重そのものだ。

 

(逆を言えば、オレの考えも読めているだろう。だとすれば……)

 

(俺が使うべきタイミングは……)

 

((自分が『ここだ』と思った時しかない!))

 

 この時点で、この読み合いは意味を成さなくなった同然だが……。この両者でなければ、もっと違う結果になったのかもしれない。

 

 もう二人がそう決心した時点で、タイミングは完璧に同じだと賭けても良い。なぜなら……それこそ二人は、本人同然の存在なのだから。

 

「「ハイパークロックアップ!!!!」

 

『―HYPER CLOCK UP―』』

 

 両者がハイパーゼクターのクラップスイッチを押すと同時に、ハイパーフォームの装甲が展開を始める。最後に金と銀の翼が輝くと、ハイパークロックアップ完了だ。

 

 断っておくが、今のはどちらも合わせに言ったわけでは無く『完全に同じタイミング』だったのだ。その事を本人達が一番よく理解しているのか、ソルが珍しい姿を見せた。

 

「フッ……ククク……!ハハハハハハ!」

 

「あぁ……?何笑ってんだ」

 

「いや、何……互いに色々と思考を巡らせて、結局は同じタイミングかと思うと……ハハハハ……!」

 

 以前のように真を馬鹿にするような感じでは無く、清々しい様子でソルは笑った。それだけ、この状況がおかしくて仕方が無いのだろう。

 

 それはもう……抱腹絶倒という表現が似つかわしい程に。そうやってソルはひとしきり笑うと、肩にパーフェクトゼクターを乗せる。その途端に、真は何か嫌な予感を感じた。

 

「まぁ……こうして発動してしまった訳だ。このまま逃げ切れば、オレの勝ちとも言える……」

 

「…………」

 

「しかしだ……それでは納得がいかん。正面から貴様を……殺す……!」

 

 ソルの言う通りに、ハイパークロックアップ終了まで逃げ切られると真は負ける。終了後に襲い来るリスクは、ソルにとっては関係のない話だからだ。

 

 ソルは施術により痛覚を断っている。それ故に発動するリスクも真よりは相当に軽く感じるのだ。しかしそんな勝ち方を、ソルは全面否定した。

 

 パーフェクトゼクターを天高く掲げると、3色に光る球のような物がジョウントから放たれ集まった。切っ先にザビーゼクター、柄付近にドレイクゼクター、その裏側にサソードゼクターが装着されている。

 

『!? マスター!あの剣……コアが使われている様です!』

 

『何ッ!?何のために……?』

 

 ここに来て、真は休日にソルと遭遇した時の事を思い出した。自分たちの能力である第三フェーズ……シンクロ。その話題を出した途端に、ソルは何やらメモを取り始めたのだ。

 

 点と線が、繋がってしまった。剣にもコアを使う事で、シンクロの能力を使い全てのゼクターのエネルギーを剣へと送る……。そのヒントを、真が与えてしまったのだ。

 

「今の俺ではカブト、ハイパー合わせても6つのコアシンクロが限界だが……威力はお墨付きだ」

 

(ああ、知ってるよ……んなこたぁ!)

 

 そう言うとソルは、パーフェクトゼクターを再びガンモードへ変形させる。そして柄に着いているスイッチを赤、黄、青、紫の順に次々と押していく。

 

『―KABUTO POWER―』

 

『―THE―BEE POWER―』

 

『―DRAKE POWER―』

 

『―SASWORD POWER―』

 

『―All ZECTER COMBINE―』

 

『コレは……!?高密度のエネルギー反応を感知!チャージの状態で……想定できる範囲を超えています!』

 

 青子が焦ってそう言うと同時に、ハイパーセンサーに危険であることを知らせる警告がいくつも表示される。真は、何か考えていた……『アレ』に対抗しうる手段を。

 

 マキシマムライダーパワーを使うのは、まず当然。しかし……ハイパーキックは論外で、マキシマムハイパーハリケーンは、明らかにリーチが足りない。

 

「どうすれば……!!」

 

『おとーさん!なんかね、なんかね!ビビッと来たよ!』

 

『月子!?ええい……何でも良いから言ってみな!』

 

 正直あまり期待はできなかったが、真は藁をも掴むつもりで月子の提案を聞いた。すると月子は真の脳内で、エッヘンと言いつつ続ける。

 

『前はね、鋏でマキシマムしたでしょう?だからね……』

 

『……そうか!?ロングカリバーでマキシマムすれば……』

 

 この一言で、真も閃いた。マキシマムハイパーハリケーンは、カブトで言うタイフーンと同格の必殺技……つまりは近距離用だ。それならば、遠距離用……サイクロンと同格の必殺技も存在するはず!

 

 パーフェクトゼクターでソード、ガンに必殺技があるように……。ハイパーカリバーにも2種類の必殺技がある!そう確信した真は、急いでハイパーカリバーを分離して、ハイパーゼクターの顎を倒す。

 

『―MAXIMUM RIDER POWER―』

 

「これで……どうだっ!?」

 

ガギン!バリリリリリリリリ!!!!

 

『これは……向こうと同等のエネルギーが……!?月子、良くやりました!』

 

『えへへ~……お姉ちゃんに褒められた!』

 

『いや、待て月子!ここからどうすれば?!』

 

 何やら当たりの様な雰囲気ではあったが、ここからどうやって遠距離用必殺技を放てば良いか真には分からない。確かにイオンブレードを飛ばせるのは、ハイパーカリバー形態でしか不可能だが。

 

『う、う~ん……何かイメージが流れ来たよ……。えっと、グルグルって回す……』

 

『グ、グルグル!?こうか……?』

 

 真はそう言われて、ロングカリバーの中心部……どちらもグリップになっている部分から回転させる。真的なイメージからすると『Xライダー』の『ライドル風車』の様な感じだろうか。

 

 するとどうだろうか、何だかだんだんと電撃の迸りが加速していき……いかにも発射準備前ですと言いたげな様子となった。これにはソルも意外そうな声を上げる。

 

「驚いた……そんな隠し玉まで持っていたとはな」

 

「へ、へンっ!お、おお奥の手は……取っとくモンだからな!」

 

『あ、それとね……技名は~――――みたいだよ!』

 

 真はいかにも(震え声)とでも付きそうな感じで、虚勢を張った。幸いにソルには、何やら動揺が見える……程度にしか取られなかったが。

 

 とにかく、いまだ未知数の必殺技を『アレ』にぶつけなければならないとなると、恐怖も大きいだろう。しかし……不思議と真は、気分が高揚するのを感じる。

 

 そのワクワクは、どこか特撮を見ているときの様な……そんな感じだった。やがて二人は押し黙り、ロングカリバーが回転する音だけが鳴り響く。そして……その時は訪れた。

 

「マキシマムハイパーサイクロン!!!!」

 

「マキシマムハイパーテンペスト!!!!」

 

『―MAXIMUM HYPER CYCLONE―』

 

『―MAXIMUM HYPER TEMPEST―』

 

 ソルがパーフェクトゼクターの引き金をひいた途端、真が必殺技名を叫んだ瞬間の事だ。それぞれ赤と青の凄まじいエネルギー波動が飛び出た。

 

 マキシマムハイパーサイクロンはご存知の通り……嵐の様なエネルギー波動だ。一方……マキシマムハイパーテンペストは、こちらも嵐といったどころか。

 

 真横に飛び出る嵐といった感じで、それはエネルギー波動と言うより……斬撃だ。超巨大で、大量のイオンブレードが、嵐を作り出したと表現すれば良いだろうか。

 

ズガガガガガガガガ!!!!

 

「ぬ……おおおおっっっっ!」

 

「ど……らああああっっっっ!」

 

 互いにぶつかる波動と斬撃は、凄まじい光りと音を立てつつ押し引きを繰り返す。しかし……徐々にマキシマムハイパーテンペストが押され始める。

 

 やはりコア6つのシンクロだ……対してガタックは2つ、そのパワーの差は歴然らしい。これを見たソルは、更にコア同士のシンクロを高める。

 

「消えて無くなれ……加賀美ぃぃぃぃ!」

 

(クソッ……なんて威力だよ!?だけど!)

 

 絶望が色濃い中でも真は決して諦めてはいなかった 。まだ押し返すチャンスはある。そうやって自分を奮い立たせ、青子と月子に呼び掛けた。

 

『オラ、気合い入れろ2人とも!あんな節操のねぇシンクロに、俺らの絆が負ける訳がねぇ!』

 

『…………。そうですね、彼は安直です。コアが多ければ良いという訳ではありません』

 

『量より質ってやつだよね!それなら、おとーさんは負けないよ!』

 

『あたぼうよ!俺には……お前らが着いてるからな!』

 

 真がロングカリバーの回転速度を上げると、マキシマムハイパーテンペストの威力も息を吹き替えした。すぐそこまで迫っていた波動も初期の位置へと戻る。

 

 押し返されて焦るかと思いきやソルは、口元をグニャリと歪めた。そうだ……これだ!これを待っていた!ソルとしては待ちかねた……歓喜の時である。

 

(確実に、オレが有利だった……しかし!お前はこうして、食らい付いてくる!)

 

 真に眠る『何か』……正体は未だに見えないが、ソルには『何か』の発動を肌で感じていた。『今』の真を打ち倒してこそ……意味があるとソルは考える。

 

「今……確信した。全力の貴様を殺した先に、最終フェーズへたどり着けると!」

 

「ハッ!だとすりゃ残念……。テメェは最終フェーズへ行けねぇぜ!俺は、死なん!」

 

バリリリリリリリリ!!!!

 

「「おおおおおおおお!!!!」」

 

 二人が雄叫びを上げると同時に、またしても威力が上昇した。臨界点など等に過ぎ去り、ついには怪しい音まで鳴り出した。だが二人とも……一歩も引かない。

 

 しかし……この意地の張り合いもそう長くは持たなかった。互いが全く譲らなかった結果……2つのエネルギーは相殺し、大爆発を巻き起こす。

 

ドゴォォォォオオオオン!!

 

『『―HYPER CLOCK OVER―』』

 

 大爆発と同時に、ハイパークロックアップの効力も消えた。それと同時に、思い出したかのように周囲へ衝撃波が走る。近くに居たら……確実に吹き飛ばされるレベルの威力だ。

 

 そして、忘れてはいけないのが……襲い来る筋肉痛と心臓の痛み……エトセトラである。真は激痛を堪えながら、青子へと指示を出した。

 

『青……子……!残ったエネルギー……プラスカリバーへ回せ!』

 

『……了解しました。ご武運を』

 

 真は吐血を堪えながらも、元気に『おうよ』と答えて見せた。そして、プラスカリバーの方へイオンブレードを纏わせる。いつもは分割してマイナスカリバーの方にも生成するためか、相当な長さとなっている。

 

 そして未だに爆発の煙が立ち込める中へと、迷いなく突っ込んで行った。煙を突き抜けると、そこに立ちはだかっていたのは……同じくエネルギーの刃を纏ったパーフェクトゼクターを構えたソルだ。

 

「うおらああああ!」

 

「はああああっ!」

 

ガギィ!ガギン!

 

 二人はすれ違うようにして、互いの持てるすべてを込めた刃を振るった。そして……訪れるのは沈黙……。まるでそれは、決着がついた事を暗示させるような静けさだ。

 

「……ごふっ!ぐっ……ガハッ!ゼェー……ゼェー……!」

 

『マスター!?』

 

『おとーさん!?』

 

「…………」

 

 真は、突然に吐血を始めた。ガタックの頭部装甲内に血が飛び散って、視界を悪くする。良く見れば、腹部に焼け焦げたような跡が……。もしや、パーフェクトゼクターに斬られて……?

 

 これには青子と月子は、必死な様子で真を呼んだ。だが真は喘息の様に息を漏らして、一向に問いかけには答えない。そして真は……更に痛みに耐え口を開いた。

 

「どういう……了見だ……あぁ?ソルゥ!」

 

「…………」

 

「どうしてあの一瞬……刃を止めた!?答えろ……答えろよッ!!」

 

「…………」

 

 そう……あの擦れ違いの最中に、ソルはピタリとパーフェクトゼクターを止めた。ガタックの腹部に傷があるのは、真が当たりに行く形となったからだ。

 

 対してカブトの腹部は、焼け焦げるどころか……酷くえぐれて、今にもソルの生身が見えそうなほどだ。ロングカリバーのイオンブレードが、クリーンヒットした証である。

 

 真はこれを『手を抜いたものだ』と判断した。なぜならソルは、リスクによる痛みを伴わない……。とすれば、それ以外に考えられなかったのだ。

 

 こちらに振り向きもしないソルに、憤りをぶつける真は……もはや痛みも忘れるほどにキレていた。真剣勝負の最中に手を抜かれたとなると、真の怒りも頷ける。しかし……ソルが手を止めた理由は、他に合ったのだ。

 

「どういう事だ……。話が違うぞ、スコールっ!!!!」

 

 真と同様に、なぜかソルも怒っていた。それもわざわざ口で言うほどに、冷静さを失っているらしい。ソルの叫び声が木霊するが、それはすぐ風にかき消された。果たして、この戦闘の行きつく先とは……?

 

 

 




中途半端ですが、今回はここまでです。

ちなみにですが、途中のマキシマムハイパーサイクロンのアレは、演出的なモノです。初登場だったので差し込みましたが、2回目以降は簡略化すると思います。

あと……マキシマムハイパーテンペストの描写は、伝わりましたかね……?つまりはアレですよ、『仮面ライダーW CJX』のキックで、『ダブルエクストリーム』ってあるじゃないですか。

その予備動作で起こる突風を、さらに超巨大化して……風が斬撃みたいになってる……。と、補足しておきます。これでもダメなら……本当にごめんなさい!

1年やっても成長しねぇ……。はっ!?じ、次回はですね、なぜソルが刃を止めたのか……というシーンからスタートです。恐らく、九章の最終話になるかと。

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。

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