この間ですが、某動画サイトで仮面ライダーカブトの一挙放送をやってました。いやぁ~……やっぱ、良いですね!カブト……。
好きな作品だけに、食い入るように見てました。それに、タイミング的にも完璧!ダブトと劇場版ライダーを除いた5名を登場させたタイミングとピッタシです。
やっぱり改めて見てみると、カブトとガタック以外は結構忘れてる部分も多いな~……と思った今日この頃でした。
それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。
「このっ!」
『――――――――』
シュバルツェア・レーゲンのレーザー手刀を、ラウラはザビーの顔面目がけて水平に振った。しかしザビーは、背中を丸めつつ頭を左右に滑らすような動作を見せる。
これは、ボクシングにおけるヘッドスリップと呼ばれる防御法だ。頭を左右に振り軸をぶらす事によって、相手の攻撃を当てさせない。ザビーのそれはプロでも真似できないような正確さである。
それこそ機械であるからだろう。レーザー手刀は掠りすらもせずに、ザビーの頭の上を通り過ぎて行った。その後は流れるような動きで攻撃へ転化。
地面を抉りつつ軽快なステップを踏み、ラウラに半歩ほど詰め寄る。そのまま懐へと飛び込むと、ズン!と地を踏みしめつつ体を縮め腕を真上に突出しながら一気に体をピンと張った。
ゴォッ!
「くぅっ!」
本来は頭の下がった所を、掬い上げるように撃つパンチであるが……強烈なアッパーカットがラウラの顎へと入った。絶対防御が無かった時の事など、考えたくも無い。
ラウラは空中へと打ち上げられるが、途中でスラスターを用いてクルリと反転し少し下がった。その後方には、既にシャルロットが援護射撃の体勢に入っている。
「これはどうかな!」
ガガガガガガ!
『――――――――』
リヴァイヴのアサルトライフルが火を噴き、ザビーを襲う。しかしザビーは、全く回避の動作を見せようとしない。……が、どうやら防御の体勢に入っているようだ。
ザビーは両腕で頭から胸部にかけてを隠すように構え、両足は大股にドッシリと、それでいてバランスの取りよい様に内股気味で微動だにしない。
チュィン!チュィン!チュィン!
動かないから、当然に全弾命中だ。しかし……とても効いている様には見えない。跳弾する耳障りな音と、弾丸が当たった腕部から上がる白煙のシュ~……と言う音……それのみがアリーナに響いた。
白煙が消えてみると、ザビーのマスクドアーマーはワックスをかけた後の様にピカピカである。ラウラは仕様はガタックと同じと考えていたが、すぐさま訂正を入れた。
「シャルロット、豆鉄砲では相手にならんかも知れん」
「えぇ!僕の存在価値が問われるよ、それ!?」
「あの装甲……どうやらガタックのよりも堅牢らしい」
「あ、ねぇ……ちょっと、無視しないでよ……」
ラウラの見解は、正解である。ザビーは特に武装を持ち合わせておらず、徒手空拳のみ。むしろそれが、武装と言い換えても良いのかもしれない。
しかしだ……何も武装が無い故の防御力である。殴る蹴るをしなければならないのならば、相手に接近するのは必然。それなのに、並の防御力では割に合わないのだ。
それは理にかなっているが、ある物を犠牲にしているとラウラは読んだ。それは……機動力。ザビーの動作に鋭さは有れども、何処か愚鈍である。
「……という訳だ。わざわざ奴の土俵でやってやる言われも無い」
「そうだね。でも……距離が空くと更に威力が……」
と言いつつ二人は、空中へと跳びあがった。何気にザビーの防御力が想定外なのか、シャルロットは少し落ち込んでいるようにも見える。
そんな事は気にせずラウラはグングンと高度を上げていく。そしてハイパーセンサーで、どう出て来るかとザビーの様子を確認した。
『――――――――』
(何……?それはそれで、好都合だが……)
予想外な事に、追って来る様子すら見せない。一応は視認しているつもりなのか、上空を見上げていた。しばらくそんな感じだったが、ある動作を取ったのをラウラは見逃さなかった。
ザビーは、バッ!と右腕を上げる。すると……それと同時に、10数のジョウントが発生し、そこからサナギ態のワームが出現した。
「み、岬さん!?ジョウントは大丈夫なんじゃ……!」
『あ~……ゴメンなさい。流石に2桁同時妨害は……ちょっと……』
「出てきたものは仕方が無い……やるぞ!」
ラウラは気になる事でもあったのか、ワームが出現してもザビーの監視は怠らない。するとザビーは、右腕を上げっぱなしの様だった。
そこから人差し指を突き出すと、クルクルとその場で回転させて見せる。するとワームが二人を取り囲んで、輪のようになる。そのままグルリと旋回を始めたのだった。
「これは、奴の指示らしいな……」
「そうなの?」
これまたラウラの考えは、大正解であった。右腕を上げたと同時にワームが出現し、動きを見せたらワームも行動を開始した。これは疑いようも無く、ザビーの仕業だろう。
わざわざハンドサイン式にしているのは、恐らく人が使っても同じく指示が出せるようにするためだろう。そして、ザビーが手を開きグッと閉じた瞬間……ワームが攻撃を開始した。
ドドドドドド!
「くっ!」
「キャッ!」
取り囲まれた状態から、ワームの鉤爪の合間に搭載されているレーザーガンが一斉に射撃を開始する。ワーム達が旋回しているせいか、四方八方から命中してしまう。
見れば、その隙にザビーも接近を試みているようだった。流石にまずいと思ったのか、シャルロットは適当でも良いから前方へ向かって射撃する。
「お願い……何でも良いから当たって!」
ガガガガガガ!
シャルロットの射撃に合わせて、またもやザビーはバッ!バッ!と腕を動かす。すると今度は、それまで旋回を続けていたワーム達が、瞬時にばらけた。
3体ずつで一つのチームを作り、それぞれが射撃や近接などの役割をこなす。この的確に統率のとれた妨害のせいか、二人は思い通りの動きが出来ない。
「っ!?来ているぞ、シャルロット!」
「え……?」
『――――――――』
ゴッ!
ついにザビーの接近を許してしまった……と思った時にはもう遅い。その重い図体から繰り出されたのは、コークスクリュー・ブローだ。
簡単に言えば、パンチが当たる瞬間に肩、肘、手首を連動させて内側に捻じり込む事で威力の増大を図る技だ。もっと言えば、空手における正拳突きが同様の原理である。
そんな破壊力抜群であるパンチが、シャルロットの腹部へと深く入った。思わずシャルロットは息を思い切り吐き出し、苦しみ喘ぐ。
「おのれ!」
ドゴォ!
いい加減に我慢の限界と見える。ラウラにしては珍しく、とにかくガムシャラにリボルバーカノンを乱射した。狙いはもちろんザビーだったが……。
ワーム数体が、自らを盾とし身を呈してザビーを守った。恐らくこれもザビーによる指示だろうが、結果オーライとも言える。これでワームの数も減らせた訳だ。
しかしザビーは、ワームが撃墜された爆炎に隠れて『ある動作』を行っていた。ザビーゼクターの羽にあたる部分を、正位置から真逆の方向へ倒す。
すると、ザビーのマスクドアーマーが身体から若干浮いた状態となる。更にそこから、ザビーゼクターを180度ターンさせると、アーマーが一斉に弾け飛んだ。
『―CAST OFF―』
『―CANGE WASP―』
(来たか!?)
ガタックと同性能であれば、キャストオフはしてくるだろう。問題は、アーマーが飛んでどう性能が変化するかである。ガタックの場合は、近遠の切り替えだが……。
アーマーが弾け飛んだ影響で、ワームの爆炎も一緒に吹き荒ぶ。そして、そこから姿を現したのは、かなり細身の雀蜂のようなデザインをした機体であった。相も変わらず、ボクシングのフォームで構えている。
『――――――――』
「はっ、速い!?」
ザビーは、先ほどとは比べ物にならない速度でシャルロットへと接近をしてきた。これはマスクドフォームとは真逆の現象と言えよう。
防御力を捨て、代わりに速さを手に入れたのだ。つまりは、ザビーの装甲は薄っぺらい。攻撃を当てられれば、かなり勝利は近付くだろう。
『――――――――』
ゴッ!ガッ!ドガッ!
「うわっ!」
やはりザビーの動きは、よりスピーディーとなっている。マスクドフォームではパワー寄りのファイトスタイルだったが、今は素早いワン・ツーパンチからのフィニッシュブローをシャルロットへ見舞った。
それでいて、かなりのインファイターであろう。シャルロットを吹き飛ばしたと思ったら、すぐさま距離を詰めた。だが、シャルロットもやられているだけじゃない。
「このぉ!」
『――――――――』
ガギン!
「う……嘘!?」
シャルロットがアサルトカノンを構えた途端に、ザビーはそれを思い切り上からペシン!と叩き落とす。これはボクシングのパリングと呼ばれる動作だ。
単に、相手のパンチを弾く動作だと認識してもらえれば十分だ。構えていた銃を弾かれたため、シャルロットはまた隙だらけとなる。
『――――――――』
するとザビーは、ゼクターの背の部分に触れるような仕草を見せる。すると、ザビーの左腕部に黄緑色の電撃が走り始めた。二人ともに、見覚えがある光景だ。
ガタックと……真と戦った時に何度も見たイオンエネルギーだ。これが何らかの必殺技の予備動作である事を、二人は本能的に察知した。
「させん!」
ここでラウラは、ピンチでありつつチャンスだと判断した。ザビーの狙いはシャルロットである事は明白。自分が眼中にないのであれば、AICに全てを賭けるしかない。
そうやってラウラが、右腕を前方に突き出した途端の事だ。残存したワームが、シュバルツェア・レーゲンに物理的に張り付いた。そう……既に、ザビーは指示を降していたのだった。そして……。
『―RIDER STING―』
ガギィィィィ!!
「キャアアアア!」
「シャルロット!」
ザビーの深く、それでいて手前までノビのあるフックパンチに乗せて、ザビーゼクターの針部分がシャルロットの右脇腹へと命中した。
これぞ、一撃必殺の一刺しである……ライダースティング。イオンエネルギーを針の先端に一点集中させることによって、凄まじい貫通力を誇る技だ。
シャルロットのリヴァイヴは、まだエネルギーを残しているものの解除されてしまう。当たり所が悪かったのか、それともザビーが狙ったのか……。
「貴様ら……邪魔だああああ!」
ラウラは見てるしかできなかった悔しさをぶつけるかのように、ワームを振り払った。そのままザビーなどには目もくれずに、落ちていくシャルロットを追いかける。
が、ザビーはそれも想定済みだった。ラウラが空中でシャルロットをキャッチしたタイミングを見計らって、一斉掃射の指示を出す。そうなれば……ラウラはシャルロットを守らねばならない。
ドドドドドドドド!
(くっ……!まさか……マトモな傷一つ付けられんとは!)
レーザーの雨からシャルロットを守りつつ、ラウラは心底から悔しそうにザビーを睨む。対してザビーは、ただ落ちていく二人の様子を、冷徹な様子で眺めていた……。
**********
ビュー……
第二アリーナに、一陣の風が吹いた。それを感じ取った鈴は、その風がドレイクを中心としているような……そんな錯覚を覚えてしまう。
銃を持ってこちらを待ち受けている様は、さながら西部劇のワンシーンのようにも見える。そんなイメージを鈴は、すぐさま取り払った。
(アイツ中心とか、笑えないわよね……。この場の主役は、アタシくらいって思わなきゃ!)
そんなイメージが沸き上がるのは、なんとなく呑まれている証拠だと鈴は考えたのだ。俄然スピードを上げて前へ出ると、ドレイク目がけて双天牙月を振り下ろす。
「でやぁ!」
『――――――――』
ドン!ドン!ドン!
「うわっ!?ちょっ……待ちなさいよアンタ!」
鈴が何を喚いているのかと言うと、ドレイクの射撃精度に関してだろう。ドレイクは、鈴の現在とっている体勢から何処を撃てばバランスを崩すかを瞬時に判断し、そこを確実に射抜いたのだ。
おかげで鈴は、空中で姿勢を保てない。そして体制が倒れた鈴に対しては、とにかくトリガーを引き続ける事によって、乱射を浴びせた。
ドドドドドド!
「キャッ……!も、本当……まっ……怒るわよ!?」
乱射が数瞬途切れたのを見計らって、鈴は急いで離脱した。地面に着地したと同時に、いつものようにウガー!と不満をぶつける。
そして、今の乱射を受けただけでも……相当なダメージを貰っていた。それもそのはず……ドレイクゼクターから発射されているのは、単にレーザーでは無く……イオンエネルギーを集約させたものだ。
つまりは、ガタックのライダーキックやカッティングの際に発生している電撃と同じエネルギーである。かなり圧縮されているために、燃費のほどはかなり良さそうだ。
「鈴さん、無理はなさらずに!以前の様にわたくしの後に続いて下さいませ!」
「了解!頼んだわよ!」
鈴の頭上を、ブルー・ティアーズが飛び越えて行った。セシリアはドレイクを舐めているつもりでも何でもないが、もしこの場にソルが居たならこう言うだろう。
『以前のようにはいくと思うな』……と。そんな事は知る由も無く、セシリアは残った3基のBTでドレイクに対して一斉射撃を行う。
「喰らいなさい!」
『――――――――』
それまで地上に居たドレイクだったが、流石に宙へと跳びあがった。それと同時に、愚鈍なマスクドフォームでいるのは得策でないと思ったのかもしれない。
ドレイクゼクターの尻尾部分のヒッチスロットルと呼ばれるパーツを軽く引っ張った。すると、ドレイクのマスクドアーマーが、勢いよく弾け飛ぶ。
『―CAST OFF―』
『―CHANGE DRAGONFLY―』
ライダーフォームとなったドレイクは、蜻蛉のデザインを各所にあしらっていた。コンパウンドアイには4枚の羽根。左肩には蜻蛉の頭部がそのまま着いたようになっていて、胸部にはこれまた左から右へ流れるように羽のパーツが着いていた。
「くっ……目くらましのつもりですか?!」
このタイミングのキャストオフとなると、もちろんその意味も込められているだろう。しかし……代表候補生は伊達じゃない!と言わんばかりに、強引に射撃を続ける。
BTのレーザーがドレイクを襲うが、なんとも華麗な動きで躱されてしまう。それこそ、鈴が抱いた似た印象をセシリアは持つ。風……まるで、風に向かって攻撃した気分となる。
『――――――――』
ドドドド!
「なっ、何ですの……!?」
避けられたならば反撃が来ると、それくらいはセシリアにもわかっていた。セシリアに向けてドレイクゼクターを何度か連射してくるが……弾道が普通では考えられない。
そう……それこそ蜻蛉の様な動きだ。レーザーが空中で急に止まったり、角度を変えて再び動き出したりを繰り返しつつセシリアへと迫る。
「そんなの……ズルいです!」
そう言いたくなるのも無理はない……。こんなのは、反則級だ。とりあえず狙われているのは自分……とにかく良く見て避けなくては!……と、そう思った瞬間の事だ。
セシリアにレーザーが接近した途端に、カクンと気でも変わったかのようにBTの方へと向きを変えた。あまりに突然の事に対処が効かず……レーザーBT4基は早くも全滅してしまう。
ドォン!ドォン!ドォン!
「そんな……!?」
「……って、もう一発アタシ!?舐めてんでしょ……アイツ!」
残ったもう一発のレーザーは、普通にセシリアを素通りして鈴へと向かって行った。何故近場のセシリアよりも自分を……と思いながらフンヌ!と双天牙月を振って、レーザーを防ぐ。
これで更に向きを変えていれば、鈴は完全に激怒していた事だろう。それほどに、余りに不規則で気まぐれな軌道を描いていたのだ。
もしかするとロックして撃った後は、完全にランダムである可能性も高いが……。それよりも、なぜ急にこんな動きへ変貌したのか?セシリアは、それが疑問だった。
(もしや、キャストオフの影響……?)
もしマスクドフォームでも可能ならば、最初からやっているだろう。それがこうして、ライダーフォームになった途端の事なのだから……その可能性は高い。
それでいてキャストオフの恩恵は、それだけで無いはずだとセシリアは警戒を強める。とにかく自分にはスターライトMk-ⅢとミサイルBTしか残されていない。鈴には申し訳なかったが、セシリアは更に距離を置いた。
「鈴さん……わたくし……」
「良いのよ、気にしなくても。今度は油断しないから!」
謝罪を述べようとするセシリアの言葉を、鈴は元気な様子で遮った。返事を待つ前に鈴が突っ込んでいってしまったので、慌ててスターライトMk―Ⅲを構える。
勢いのまま身を任せたせいか、鈴には大した策があるわけではない。いや……それはいつもの事かと自身で否定した。考えるな、感じろ。感じた結果、衝撃砲が発射される。
「これならどうよ!」
『――――――――』
確かに、これならば射撃で逸らされる事はまずない。事実ドレイクも回避に専念するしかない様子だ。ここで鈴は調子に乗らずに、あくまで甲龍の得意な中距離を保った。
ドン!ドン!
『―――――――!』
「!? セシリア!」
「おまかせあれ!」
ズドォン!
何発か衝撃砲を連射していると、当たりはしなかったが、ドレイクは風圧に巻かれて体勢を崩した。ここぞと言わんばかりにセシリアの名を呼ぶと、期待に応えるかの様にスターライトMk―Ⅲを撃つ。
狙いタイミング共に完璧である。高火力のレーザーは、ドレイクの胸部へとクリーンヒットした。しかしドレイクも、転んではタダで起きない。次なる一手は、既に打った後だった。
(……?何これ?)
心の中で何かと問いたが、どこからどうみたってレーザーだ。ドレイクの攻撃なのだろうが、先ほどまでとはまるで様子が違った。
ピストルの弾丸。さっきまでのレーザーを例えばその程度だろう。しかし鈴の付近に浮いているのは、球状をしていてその場に留まったままだ。
(…………)
鈴は迷ってしまった。秒数にするならば、コンマを切るくらいのほんの一瞬だ。攻めを続けるか、はたまた一旦退くべきか……。それを判断しようとしたのだ。
だがその一瞬こそが、致命的であった。浮いていた球状のレーザーは突然に弾けて拡散し、一斉に鈴を襲う。驚いたのも束の間……今度は先ほどまでと同じように、カクカクと角度を変えて進んでいく。
ドドドドドド!
「キャッ!?」
「鈴さん!くっ……!」
レーザーの大半が鈴に直撃し、しなかったかものはセシリアの方へと進路を変えた。援護しようにも、レーザーの妨害で上手くはいかず……。
その間にもドレイクは、次々と拡散式のレーザーを空中へと設置している。まさに波状攻撃といったところか、反撃の隙はなくこの前とはまるで逆の状況だ。
(このままじゃ……!)
(マズイですわ……!)
二人は共通の認識を抱いていたが、打開策は見えない。どころか、ドレイクはこの隙にまた新たな動きを見せている。しかし未だに攻撃は止まず……見ている事しか出来ない。
ドレイクは、どうやら蜻蛉型ゼクターの羽を垂直になるよう折り曲げ、そこから更にコンパクトになるよう畳んだようだ。更にヒッチスロットルを引くと、腕からゼクターにイオンエネルギーが流れる。
『―RIDER SHOOTING―』
ドゴォン!!!!
「「!?」」
電子音と共に、高密度のイオンエネルギーがツインバレルの前方へと集約される。その大きさは、さっきの球体とは比べ物にならないほど大きい。
しかし不自然な事に、ドレイクはそれをセシリアと鈴……いずれの方向とも違う場所に撃った。斜め45度と言った所か、高密度のエネルギーボールはアリーナの中心部あたりで動きを止める。
「!? わああああっ!!」
「り、鈴さん!?」
鈴はその動きを見て、野生の感が働いたらしい。アレはヤバイ!もう既に止められない!そう思うと、鈴は自分でも知らず知らずのうちにセシリアを庇いに向かっていた。
甲龍は双天牙月を盾として使えるが、ブルー・ティアーズにそれらしいものは無い。とにかく危機感が募るのか、鈴は絶叫しつつセシリアの元へとたどり着いた。
ドシュウ!ドシュウ!ドシュウ!ドシュウ!
「な……何ですの!?」
「見たら解るでしょ!?良いから、なるべく身体を小さくしてなさい!」
セシリアと鈴が合流したのと同時ほどか。空中で漂っていたライダーシューティングは、拡散レーザーと同様に散らばり襲い掛かって来た。
しかし先ほどまでの直角移動とは違って、流線型の軌道を描いている。その様はまさに……水色に輝く流星群と言った所か。だが美しくとも威力は殺人的だ。鈴は双天牙月を両手に持ち、クロスさせて頭の上に構えた。
ズドドドドドドドド!
「クッ……うぅ……!な、なんのぉ……!」
「お、お止めなさい!わたくしを、身を呈して守るなど……!」
「は……はんっ……。うっさいわね……アンタお嬢様でしょ?黙って……アタシに守られてなさいよ……!」
小柄な体躯にドデカイ根性……それこそが、鳳 鈴音である。そんな事は、セシリアだって良く解かっているつもりだ。しかし……自分を守るために死の流星群を一手に引き受ける鈴を、セシリアは見ていられなかった。
耐えればいつかは、終わりが来る。鈴は、そんな淡い希望を抱いていたのだ。しかし……現実とは、あまりにも非情……。ドレイクは既に、再びゼクターの羽を開いていた。
『―RIDER SHOOTING―』
『―RIDER SHOOTING―』
ドゴォン!!!!ドゴォン!!!!
エネルギーの限界まで使用し、止めを刺すつもりなのか……ドレイクは連続で更に2発のライダーシューティングを撃った。それも……一発目の拡散式ではない……。
ドレイクゼクターのツインバレルは、確かにセシリアと鈴を捉えていた……。足止めしつつの高火力攻撃とか、考えたじゃん……と、鈴は何処か虚しそうな目で考える。
「…………。ゴメンね、セシリア……無理だわ……コレ」
「いいえ……高貴な振る舞いには、高貴な行いで返せ……ですわ!」
「え……?アンタ、まさか……」
「敵、お任せします。どうか御無事で」
バチィイ!
セシリアは、零距離……銃口を鈴の胸部へと押し当て、スターライトMk―Ⅲの引き金を引いた。高火力のレーザーが鈴の胸部を射抜くと共に、大きく吹き飛ばされる。
それすなわち……鈴は、危険域を離脱したと言う事だ。吹き飛ばされている鈴は、頭が真っ白になり背が地に着くまで呆然としたままだった。そして、急いで起き上がった鈴が見たものは……。
「フフッ……御機嫌よう!」
ドガアアアアアアアアン!!!!
「へ……?うそ……嘘……?セシ……リア……!?セシリアアアアアアアアッ!!」
満面の笑みで、ライダーシューティング2発の直撃を受けるセシリアだった。すさまじい土煙が舞った方向に、鈴は大きく手を伸ばす。そんな事をしなくても、分かってしまう……ハイパーセンサーに、ブルーティアーズの反応は無い。
そんな土煙をかき分けて、ドレイクが歩行で鈴へと迫る。それを見てニヤリと笑った鈴は、ゆっくり……ゆっくりと立ち上がる。さっきまでの笑顔が嘘のように、顔つきを強張らせた。
「殺してやる……!」
そもそも生きていない事など、もはや鈴にはどうでも良い事だった。しかし……そう言わずにはいられなかったのだ。鬼の形相で双天牙月を構え、鈴はドレイクとの戦闘を続けた……。
割としっちゃかめっちゃか感が満載(他人事)
ザビーは、どうだろ……。個人的には矢車の『統率』って部分とか、影山の『ボクシング』って部分を推して書いたつもりですけど……。
まぁ……影山もあそこまでボクシングはしてませんが。私個人的にですが、戦闘『のみ』見ると影山の戦い方が好きです。でも……シャドウを完璧に率いてる矢車もかっこいいんですよね……そこは矢車の圧勝ですね。
ドレイクは、もう別人と思って下さい(切実)そもそも風間だとしたら、女性って時点で戦おうとしないでしょうし……。
あと、戦闘に関しては……『仮面ライダーマッハ』がインストールされてます。『シグナルマガール』と『シグナルカクサーン』ですね。
いやね、原作に近いドレイクだと地味の極みでね……うん……。キャラ、ライダーと共に最近お気に入りな剛くんが、射撃武器を使う事を思い出しまして……。
ま、まぁ……そんなこんなで、次回は箒VSサソード、楯無VS地獄兄弟でお送りしようと思います。
それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。