カンピオーネ!~風変わりな男(仮)   作:八雲さん

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なんだかんだで週一ペースを維持している。これを目標に頑張って行こうかな?

では、どうぞゆっくり読んでいってくださいな。


我が求むるはゴルゴネイオン

時に時雨は居候の身で外に出かけることはあるが、それはよほどのことがない限りありえない。昔と今では妖怪としては住みずらい世の中になってしまったのだ。

 

 ずぼらな時雨であるがそこまでふしだらな生活を送っているわけでない。太陽のない幽世では寝過ごすことはあるものの規則正しい生活を送っていればきっちり起きれるのだ。基本的には引きこもっているがそれはめんどくさいため外に家を作らないないからともいえる。

 

 昔知り合いの鬼たちに作ってもらったちょっとした家があったものの、自然とともに消え去ってしまった。放浪していたので必要なかったことからそのあとも家がない生活を続けていたのである。

 

 ここで、時雨の一日の生活を紹介しよう。

 

 まず朝に起きる。朝ごはんを自分の分を含めてここ幽世の住人の分を作って食べる。その後お茶を飲みながら昼くらいまでゆったりと過ごす。天照とが隣にいてふっついてくるのだがもうあきらめて放置している。

 

 昼ごはんのまた時雨が作って食べた後午後は、その日によってまちまちだが散歩をしたり、昼寝をしたり、道具を作ったり、運動をしたり、温泉に入りに行くために遠出をしたりなどだが、これらは常にwith天照である。さすがに温泉の時は一人で行くのだが。

 

 そうして夜になったら夜ご飯を食べ、酒をスサノオと飲み交わし、しかる後布団に入ってこようとする天照を縛って置いた後、寝る。

 

 というのが基本的なパターンである。ときとぎ昼夜が逆転したりがあるがほとんど変わらない。

 

 面白いことは常に探しいているのだがなかなか見つかることはない。古今東西ありとあらゆる場所に行った時雨だが今となっては自分から積極的に動くことは少なくなった。あくまでも昔と比べたらだが。

 

 ある日の夜のこと、暇である。最近時雨がお茶を飲みながら抱いた感想はこれであった。昔のように白昼堂々行動したらめんどくさいことになるので仕方がないのだが。

 

 「はぁ~まつろわぬ神とかが暴れてくれたならいいのになぁ~。天照お茶おかわり。」

 

 「ハイ~♡、でもあなた神が来ないなら自分で呼べばいいじゃないですか。余裕で倒せますよね。」 

 

 「なんだその、パンがなければお菓子を食べればいいじゃない的な感じは。・・・それも悪くはないけど、自分で呼ぶかとめんどくさいしな。パスで。」

 

 最近キレを増してきたスルースキルを発揮しつつ、地上の小高い静かな土地できれいな満月を見ながら言った。ここで月見酒をしないのは、単に酔っぱらった天照が怖いからだ。

 

 「それに、あるがままに身を任すのが面白いんだよ。この自然のようにな。」

 

 「まあ、私は構いませんが。ずっとここにいてもいいんですよ♡。」

 

 「それもいいかもねえ・・「え?」何時かは隠居でもするかな。でもあそこに行くには有名になりすぎたかな。」

 

 「あそこ、ですか。あなたが行くなら私もも行きます!」

 

 「まあ、大丈夫だろう。あいつにも話しておくさ。あいつら元気にしてるかねえ。」

 

 「あなたなら行こうと思えば行けるのでは?有言実行って前言ってましたよね。」

 

 「まあ、場所もわかってるし行く方法もわかってる。これは・そうだなけじめみたいなもんかな。軽々しくは行けないよ。迷惑も掛かるだろうし。」

 

 かれこれ五百年くらいは会ってないな・・・。いつでも来てくれていいとは言っていたが、今かの地はどうなっているのだろうか。

 

 「そんなことより、そろそろ帰って一緒に二人で愛を・・って置いてかないでくださーい。」

 

 さっさと帰って寝ますか・・・それにしてもいまどきの忍者ってすごいね。

 

 

 「逃げられましたか。 それにしてもなんでこんなことをしなければいけないんですかねぇ。時間外手当も出ませんし。さっさと報告しに帰りますか。」

 

 

 このあと、時雨はまた旅に出かけるのだった。何の目的も持たずにただ気の向くままにはるか昔と同じように、人と出会うまでの自分と同じように、自給自足の生活で、妖怪としての本来の姿へと戻って妖怪らしく。今までの自分を見つめ直しながら先のことは考えずに。

 

 この旅は知る者はいた、が内容を知る者はいなかった。 

 

 日本で再び発見されたのはそう遠くはなかったが。

 

 

この日々は長くは続かなかった。時雨の人生に比べれば短かったけれど長い時にも等しいほど濃い日々であっただろう。これからの時雨の人生に影響を与えたに違いない・・・かもしれない。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 草薙護堂が日本を立ちイタリアの首都ローマに着いたと同時に時雨もローマに来た。あの旅が終わったわけではないが、とある気配を感じてきたのであった。

 

 ただの呪力のこもった品やちょっとした神具では来なかっただろうが、かの品ならば仕方がない。まあ、今回も今回とて特に手を出すつもりはないが。

 

 人の姿へと戻らず妖怪の九尾の姿のままで、自身に認識疎外の術をかけただけで今回はいってみることにした。もう人の姿になることはないかもしれない。

 

 ただ、この世とのつながりはまだ絶てそうにはなかった。この世界にはまだやることがある。まだ楽しめれる出来事がある。まだ守るべきものがある。今はそんなような気がしたのだ。後で違えることになったとしても、それはそれでいいであろう。今を生きているのだから。

 

 こっそりと後を着ける探偵のように草薙護堂と途中で合流したエリカ・ブランデッリを尾行していった。

 

 「・・・ん?」

 

 「どうしたの護堂?」

 

 「いや、なんでもない。」

 

 草薙護堂には怪しまれたがばれずについて行った先は、コロッセオの近くの丘についた。さらに進み広い場所へ抜けそこにはお偉いさんの魔術師らしき人物が三人いた。特に興味はないので調べてはいないが。

 

 そして、エリカ・ブランデッリと草薙護堂との戦いが始まった。話を聞いたところゴルゴネオンを預けるに値する人物か見極めるために勝負をしているらしい。ここで奪ってしまうかとも考えたがやめた。メリットがない上にアテナの興を削ぐようなまねはできなかった。ここままうまく行けば草薙護堂とアテナの本気の戦いが見られるというほうが大きな理由であったが。  

 

 紅き悪魔と若きカンピオーネとの戦いは序盤こそエリカ・ブランデッリが攻め続け草薙護堂が避け続けるという展開だったが草薙護堂が権能を使い始めてからは一転した展開となった。彼は自称平和主義者と言っていたのだが彼もまた魔王であったわけだった。しまいには権能で呼び出した猪でコロッセオの一部を壊してまでも勝利をもぎ取るとは。むしろ一番たちが悪いんではなかろうか。彼が戦うときは毎回何かの建築物を壊しているし。

 

 まあ、とにもかくにも三人の魔術師たちに認められた彼はゴルゴネインを持って帰ることになったわけで、ということはつまり、おもしろくなりそうだ。

 

 いずれ日本で争うことになるだろが、せっかくだからここら辺を周ってから帰るか。と思ったのだが、

 

 「なあ、そこにいるあんたは誰だ?」

 

 草薙護堂がこちらに向かって話しかけてきた!なんで今・・・そうか戦いの中に身を投じたことで感覚がどぎ済まされたか。とはいってもそこに誰かがいるしか解っていないわけだが。気づいた彼を誉めるべきか気づかれた己を叱咤するべきか。

 

 「出てこないならこっちにも考えがあるぞ。」

 

 とにかく出ていきますか。遅かれ早かれいつかは会うのだから。認識疎外の術を解除した。

 

 「よく気付いたな少年。誉めてやろう。」

 

 草薙護堂以外の者たちは驚いているようだ。まあ、無理のないことだ。急に魔王たる彼が誰もいない方向に声をかけて、妖怪たる九尾が出てきたのだから。

 

 「護堂、あの姿って私も始めてみるのだけれど、知ってる?」

 

 「聞いたことはあるけど、九尾だろ。」

 

 「ええ、そうよ。細かい話は後にするけれど、あれはただの九尾ではないわ。」

 

 「ほう、よく気づいたなお嬢ちゃん。まあ今なんて九尾どころか妖怪すらほとんど見ないからわかるよな。時雨って名前聞いたことはある?」

 

 「「「!!!」」」

 

 「なんだよエリカ知ってるのか。」

 

 「話にしか聞いたことしかないけれど、九尾の妖怪時雨と言えば、少なくとも数百数千年は生き続けていて相当強いってって聞いたことはあるわ。」

 

 「間違ってはないね。」

 

 「な!!!まじかよ。」

 

 「なぜそんなあなたがここにいるのかしら。」

 

 「なぜって言えば・・・面白そうだから?まあまあ、そんなにかしこまらないで、今は何もするつもりはないから、しいて言うなら挨拶みたいなもんだし。すぐに帰るよ。じゃあね。」

 

 この辺で帰りますか。早くいかないとアテナ来そうだし。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 時雨が去った後。

 

 「結局なんだったんだアイツは。」

 

 「さあ、私も詳しく知らないから何とも言えないわね。とりあえずそれは忘れましょ。あなたにはやるべきことがあるんだから。」

 

 「あ、ああ。」

 

 この後無事に?護堂君はゴルゴネイオンを持って日本へ帰りましたとさ。

 

 

 さらにその後、

 

 ゴルゴネイオンは仇敵の手に渡ったようだ。この地に残るゴルゴネイオンと仇敵の余韻と!!この妖力はまさか時雨・・・。

 

 なぜここにいたのだ。なぜ妾に会いにこない・・・。

 

 いや、それよりも妾童は蛇を追わねばならぬ。きっとあやつのことだから、おそらく何らかの形でからんでくるはず。その時にとっちめればよい。

 

 「我が求むるはゴルゴネイオン。古の蛇よ、願わくば、まつろわぬ女王の旅路を導き給え。闇と大地と天井の叡智を、再び我に授け給え!」

 

 かくしてまつろわぬ女王は東方へと至る旅路をゆっくりと歩み始めたのであった。

 




いっぺんに書いたら目が痛くなってきた。

誤字脱字などありましたら是非活動報告またはメッセージにて。

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