凛と凛   作:イオリス

8 / 12
久しぶりの投稿になりました。


今回は、序盤に真姫が、後半は希が活躍します。

タロットカードの占いって、結構手続きがいるんですね。


次回は、もう少し早く更新したいと思います。


第7話 タロットカード

凛と花陽が学校をサボった翌日、2人が登校すると

 

「2人とも、昨日は何でサボったのよ!?」

 

真姫が凛と花陽を問い詰める。

 

「そ、それは……」

 

花陽が口ごもる。本当の理由はなかなか言いにくいものだ。

 

「それは、青春の一ページ作りのためにゃ」

 

凛が茶目っ気たっぷりに言う。

 

「何ソレ!イミワカンナイ」

 

「いつも同じ日々に飽き、たまには気分を変えようとした、と言うわけ、ね、かよちん」

 

凛がドヤ顔で説明する。

 

「ワ、ワダジニフッジャウノォ!?」

 

振られた花陽が戸惑うのも無理はない。

 

「凛とかよちんの思い出作りと言うことでダメかにゃ?」

 

ゴンッ

 

真姫が凛の頭にチョップを食らわす。

 

「痛いよー」

 

「……全く、何が青春の一ページよ……、こんな説明できるわけないじゃない……」

 

真姫がため息をつく。

 

「それで花陽、本当の理由は何?」

 

真姫は花陽に振る。

 

「え、うん……、私が、今度のコラボイベントのことを考えていたら眠れなくなったの……。凛ちゃんにそれを話したら、そのうちに公園で寝て……休もうと言うことに……」

 

花陽がアイドル関連で眠れなかったと言うのは事実だ。

 

「凛も眠かったから、かよちんに付き合ったんだにゃ。起きたらお昼近くだったし、学校に行ってもしょうがないから秋葉原に言ったんだ」

 

凛が明るい口調で言う。

 

「凛……あなた、今日の部活は覚悟しておいた方がいいわよ。海未が猛特訓メニューを考えているらしいから」

 

真姫が冷たい表情で言う。

 

「ひぃ〜、海未ちゃんのはシャレにならないにゃー」

 

 

そして部活動。

 

「では、今日は凛と花陽を中心に特訓を組みます」

 

海未は、目以外を微笑ませながらメニューを告げた。 まずは、新曲『ユメノトビラ』の全体練習だ。

『ユメノトビラ』の振り付けは3つに分けられたユニットごとによる動きがメインとなる。

 

センターチームが穂乃果、ことり、花陽の3人でPrintempsチーム。

Printemps(プランタン)とは、フランス語で「春」と言う意味がある。

このチームのコンセプトは「王道乙女系ユニット」だったりする。

 

次に、BiBi。絵里、にこ、真姫の3人で構成されたユニット。気が強い3人を集めたキツいユニットだ。

このチームのコンセプトは「華やかモデル系ユニット」だったりする。

 

最後に、凛が所属する「lily white」。他に海未や希がいる。

このチームのコンセプトは「残りm……ではなく、「天然&元気系ユニット」である。

 

以上の3チームでの動きが中心になる。

 

 

「まずは、ウォーミングアップです」

 

海未のかけ声とともに、柔軟や腕立て伏せ、腹筋などを始める。

 

 

時間にして十数分のウォーミングアップの次は、ユニットごとのレッスンだ。

 

「凛ちゃんと花陽ちゃんはまずは振り付けを見てね」

 

振り付け担当のことりから、振り付けの手順が書いた紙を見る。

 

「最初は、穂乃果ちゃん達の周りを回るところから始まるんだにゃ」

 

「次に、ユニットごとにまとまるようにするんだね」

 

 

凛と花陽が動きを確認する。

 

 

「振り付けの確認は終わった?」

 

ことりの呼び掛けに二人がうなずくと

 

「じゃあ、それぞれのユニットに分かれて練習に入るわよ」

 

絵里の指示でチームごとに分かれる。

 

凛は海未、希と組む。

 

「それでは凛、さっそく振り付けの動作を確認しますか」

 

海未がやや厳しい顔になる。

 

(こ、怖……)

 

昨日サボったのが、海未のご機嫌を損ねたのは間違いないようだ。

 

 

こうして、練習を終えて6時近くになろうとする頃

 

 

「凛ちゃん、花陽ちゃん。ちょっと付き合わへんか?」

 

希が二人に声をかけた。

 

「希ちゃん?」

 

凛と花陽が首をかしげる。

 

「一緒にご飯を食べにいこう。今日はたくさんレッスンして疲れたはずや」

 

希は柔らかな笑顔を浮かべて誘う。

 

 

〜〜〜食堂〜〜〜

 

 

その食堂は入り口近くの水晶玉から始まり、風水や呪術的なものが店内に飾られていた。

 

 

「初めて来るお店だにゃー」

 

「そうだね」

 

「2人とも、こっちや」

 

凛と花陽が店内のオカルトぶりに不思議な感覚を抱いているのをヨソに、希は席を案内する。

 

「さ、座って」

 

希が2人を座らせた。

4人用のテーブルで、凛と花陽が入り口側に隣り合って、向かいに希がいる状態だ。

 

「す、すごい雰囲気のお店だね」

 

花陽は店の中を見回しながらも、オカルトな雰囲気に圧倒されていた。

 

 

「ウチのお気に入りの店なんや。さ、何頼む?」

 

希がメニューを渡す。

 

「メニューそのものは、普通だね」

 

メニューを見た凛がホッとした表情を浮かべる。

 

「スピリチュアルな裏メニューも見せようか?」

 

希が微笑みながら、凛に裏メニューを差し出す。

 

「え、遠慮します。普通のラーメンがいいにゃ」

 

凛は両手を横に振りながら拒否した。

 

「そう……、残念やな。花陽ちゃんは?」

 

「わ、私も……、普通のメニューでいいかな……」

 

さすがに初めて来る店で特殊なメニューに挑戦する気はないようだ。

凛は醤油ラーメン、花陽は野菜炒め定食(ご飯大盛)を選んだ。

 

 

「ウチは、この『運命の輪・焼肉ミソラーメンライス』にするわ」

 

希は裏メニューからすごい名前のメニューを選んだ。

ちなみに、『運命の輪』とはタロットカードの種類の一つで、正位置であれば、幸運・運命など良い意味になる。 逆位置だと反対に不幸・失敗・後退など悪い意味になる。

 

「……そう言えば、最近、花陽ちゃん元気ないようやな?」

 

「え……、そんなことは……」

 

希からの突っ込みに指を合わせてごまかす花陽。

 

(かよちん、それじゃバレちゃうよ)

 

 

「この間のアイドルとのコラボの話、どう考えてもにこっちと盛り上がりそうな花陽ちゃんが黙ったまんまやったし……、昨日はサボったやんか」

 

「うっ……」

 

(あーあ、やっぱり……)

 

凛が横目で花陽を見る。

 

 

「凛ちゃんもやで」

 

希が、凛の方にも目を向ける。

 

「えっ、凛も?」

 

突然話を振られた凛だった。

 

 

「もし花陽ちゃんだけが落ち込んでいるんなら、昨日は凛ちゃんが学校に連れてきたハズや。ウチの見た限り凛ちゃんはサボる子やないからな」

 

希が若干鋭い目で凛を見据える。

 

「うっ」

 

「中学校では3年間皆勤賞だったんじゃない?」

 

(スピリチュアルパワーって、本当にあるのかも……)

 

凛は、花陽以外は知りうるはずもない皆勤賞のことを希に触れられていた。

 

 

「やっぱりな……。そんな凛ちゃんがサボると言うことは何か重いことがあったんやな」

 

 

「の、希ちゃん……」

 

花陽が、希の方をチラッと見ながら聞いてくる。

 

「どうしたん?」

 

「……みんな、……このことに、気づいていたのかな?」

 

「多分、ウチと凛ちゃんとえりちの3人だけやね。真姫ちゃんはにこっちの方ばかり向いているし、2年生も集中してにこっちの話を聞いている様子やったわ」

 

絵里と希は、部員全体の様子を見ていたようだ。

 

「にこまきとはよく言ったものだね」

 

凛が思い出し笑いをする。

 

「えりちとも話し合った結果、ウチが話を聞こうと言うことになったんや」

 

「話せる範囲でいいから、話してみ?」

 

「実は……」

 

希の呼び掛けに、花陽はこれからアイドルを目指すべきかどうかについて話した。

 

一方、凛は

 

「凛は話すことはないにゃ♪」

 

いつもよりさらにハイテンションに解答する。

 

 

「わかった、なら花陽ちゃんのことをを占うよ」

 

希はタロットカードを出した。

次に、小綺麗な紫色のクロスを出す。

タロットカードをシャッフルした後、紫色のクロスの中央に、まとまった状態で置いた。

 

「さて、花陽ちゃん」

 

「は、はい……」

 

「まずはリラックスや……、肩の力を抜いて」

 

希の指示に、花陽は深呼吸しながらリラックスをする。

 

 

「リラックスできたら、このカードを触って」

 

花陽がカードを触ると

 

「そしたら目を閉じて、疑問に思っていることを心の中でカードに念じてみて」

 

花陽が言われた通りにする。これは、質問者がタロットカードに質問を送っているのだ。

 

しばらくすると

 

「カードから手を離して目を開けてええよ」

 

カードに花陽の念が行き渡ったようだ。

 

次に希がそのカードをシャッフルし、ひとつにまとめた後、紫のクロスの中央に戻す。

 

 

「結構、手間がかかる作業だにゃ」

 

「この手間が、未来を占う力になるんやで」

 

「それだけのパワーが込められていると言うことだね」

 

「花陽ちゃんの言う通りや、未来は簡単には教えてくれへん」

 

希は、次に『カット』と言う手順を行った。

『カット』とは、タロットカードを左手で三つの束に分ける作業だ。

 

(こうしてみるか)

 

希は、右の束を一番下にし、その上に左の束を、そして真ん中を一番上において、一つの束にして、クロスの中央に置いた。

 

次は『スプレット』と呼ばれる作業だ。タロットカードを一定の配置で並べる。 今回は、フォー・カード・リーディングと言う、横に四枚並べる方法だ。

 

「最後に花陽ちゃん。ウチ側と花陽ちゃん側、どちらをカードの上にする?」

 

希が花陽に聞いてくる。

 

「え?それって重要なの?」

 

「タロットカードは、逆さまかそうじゃないかでも意味は変わるんや。だから、決めて」

 

また、上下によって左右も変化するので、占いの意味も変わる重要なのだ。

 

 

「それじゃ、希ちゃん側を上の方にする」

 

花陽が上下をきめた。

 

「わかった。後はオープンしていけばわかるわ」

 

希がそう言うと、一枚目のカードに手をつけた。

 




タロットカードの結果は次回です。

と言うのも、正直長すぎるなあと思ったからです。

タロットカードの説明に文章をかけてしまいました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。