正直、凛があそこまでショックを受けるには、他にもエピソードがあったのではないかと思い、追加のエピソードを書いてみました。
なかったら、凛のメンタルが豆腐すぎますからね。
なお、これは削除した『りんぱなの憂鬱』のうち、凛の部分だけを拾ったものです。
花陽を元気づけた凛は、その日の夜、夢を見ていた。
凛達が小学校4年生の頃の悪夢のような出来事を。
〜〜〜凛の夢 in〜〜〜
「わぁ〜かわいい。凛ちゃんスカートすごくよく似合ってるよ!」
幼馴染みの同級生にして一番の友人である花陽が、産まれて初めてスカートをはいた凛の姿を絶賛した。
「え、そうかなー?えへへへへ……。」
凛もまんざらでもなさそうだ。
凛の服装は、水色のカバン、緑と白い上着に黄色いスカートだった。
だが、そこに男子3人が凛達の後ろから走ってきた。3人とも黒いカバンで、2人はハーフパンツ、1人はズボンだった。
「あーっ、スカートだ!」
「いっつもズボンなのに」
「スカート持ってたんだ」
3人がそれぞれ感想を言う。
「さあ、校門まで競争だー」
そして、3人の男子生徒は走り去った。
そんな男子生徒達を花陽が呆然と見ていると
「やっぱり、凛には似合わないよね……、ちょっと着替えてくるね」
凛は走り去っていった。
(あっ……)
花陽は、凛に言葉をかけようとしたが、何も言えなかった。
それから十数分後、凛がいつものズボン姿に戻った。
「お待たせー、さあ、学校にいくにゃ」
凛は無理に明るい笑顔をし、学校に進む。
しかし、この日はそれでは終わらなかった。
凛と花陽がクラスに入ると
「あれ、星空スカートはいてないじゃん」
別の男子が凛の服装を見た。
「ホントだ、いつものズボンだ」
「お前ら、ウソ教えんな」
凛のスカート姿を直接見ていない男子が文句を言う。
「ウソじゃないよ、ボク達が登校していた時にはスカートだったよ」
ハーフパンツの男子が弁解する。
「あの後着替えてきたんだよ、きっと」
ズボンの男子は、3人の中では比較的頭が良いので、正解をあてる。
「全く、まぎらわしいことしやがって」
もう1人のハーフパンツの男子が凛を見ながら言う。
「かよちん、座ろう」
凛が花陽を席に引っ張っていった。
(凛ちゃん……)
花陽は、凛の目に涙が浮かんでいたのを見逃さなかった。
この日は凛がスカートをはいてきたことで、花陽以外の全クラスメートが凛を好奇の目で見るようになっていった。
〜〜〜凛の夢 out〜〜〜
「……はっ」
凛が飛び起きた。
「夢か……。イヤな夢だったにゃ」
凛は涙目になる。
「中学校時代もそうだったにゃ、好きだった同級生の月島君から、あんな陰口を叩かれて……。」
〜〜〜回想〜〜〜
それは寒くなって起きるのが辛くなる12月頃だった。
当時、凛は中学校2年生であった。
3年生が実質学校関係から完全に引退する秋が過ぎ、2年生が学校のリーダーとして活動することに慣れる頃、つまり一番調子に乗りやすい時期だ。
そんな日の夕方、凛が校舎内を歩いていると
「……でさー……」
(この声は……)
凛は、自分が好きな月島とその友人の男女数人とが会話しているのが聞こえた。友人を男子A、男子B、女子Aとしよう。
凛は、つい聞いてしまう。
「……そういえば、お前、星空のことどう思う?」
男子Aが、凛について聞く。
「星空か……、彼女は明るくていい子だと思うよ」
月島が、その整った容姿で微笑む。
「じゃあさあ、あの子は恋人としてはどう思う?」
今度は、内心月島に思いを寄せている女子Aが聞いてくる。
「恋人か……、友達ならいいけど、恋人ならイヤかな」
何かの歌の歌詞のような言い方で返事をする月島。
(そんな……)
凛の失恋が確定した瞬間だ。
「へー、あんなにかわいいのに、どうしてだい?」
凛のことを好きな男子Bが、少し嬉しそうな顔を浮かべながら質問する。
「だって、星空って男みたいじゃん。顔もそうだし、俺達に話しかける馴れ馴れしさもだし、家庭科とか見ていても女子力は皆無だし」
月島が笑いながら語る。もちろん、彼に凛を傷付ける意図はない。
凛は体育は得意で音楽も割合できるが、他の科目はほとんど苦手で、中でも英語と家庭科は苦手中の苦手だった。
「そ、そうだよね。凛って男みたいだよね。月島君にふさわしくないよ」
女子Aがあからさまに凛を男子みたいだとアピールする。
これは、対男子には有効だ。女子にやると嫌われるが。
「星空も男だったら良かったのにな。男子みんなそう思ってるよ」
男子Aがさらに凛に追い討ちをかける。
「ええ〜、あのボーイッシュなところがかわいいのになぁ」
男子Bはフォローしているつもりだが、当の凛にとっては止めを刺されたようなものだ。
(……。)
凛は、自分が女の子らしくないと言う声を聞き、目に涙を浮かべながら走り去っていった。
この日は部活も休み、家で泣いていた。
〜〜〜回想out〜〜〜
「結局、月島君はあの子と付き合って、一緒にUTX学院に行っちゃったもんね」
あの子とは、さっきの回想中に出てきた女子Aのことであるのは言うまでもない。
ちなみに、男子Bは凛に告白して見事玉砕した。
「音ノ木坂学院が凛でも入れる女子校で良かったにゃ」
凛は、この件のせいで軽い男性不信に陥っていた。
音ノ木坂学院の入試の難易度については、九九もできず、ひたすら赤点を避けるのに一生懸命だった穂乃果が入れる時点で、お察し下さいと言ったところだろう。
「やっぱり、凛には女の子らしい格好は無理だよね」
凛は、ベットで横になりながらつぶやいた。
「ラブライブ!」の1期4話で、スカートをはいた凛が男子にバカにされる、と言うシーンを見ましたが、
「あれがトラウマになるほどなの!?」
と言うのが正直な感想です。
凛推しのラブライバーさんが、「(スカートをはいてきた)凛をバカにした小学生、許さない!」みたいな内容の書き込みをしているらしいのですが、常軌を逸しているとしか思えません。
むしろ、あの程度の内容でここまで引きずる凛の精神に問題があるんじゃないの?
と言いたくなりましたね。
もっと、酷いことを言わせれば納得したのになあ、と思いました。
例えば
「男がスカートはいてる!」
とか
「これがおネエか!」
とか
「似合ってない!」
とか
「鏡をキチンと見ろ、バーカ」
みたいなものなら納得したのですがね。