凛と凛   作:イオリス

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今回は、読みやすさも考え、字の文とセリフを一行以上開けるようにしました。

ガラケー投稿なので、結構大変でした。

今回は、プロのアイドルとスクールアイドルのコラボのお話です。
その中の、シンデレラガールズ回です。次回作がラブライブ回になります。


前回は、星空凛の姉である恋(れん)が出てきましたので、今回は、小泉花陽の兄である英一が出てきます。


8/12追記 なお、UTX学院は共学と言う設定にさせていただきます。

UTX学院は、女子校であることにこだわりを持つイメージが湧きませんので。


ユメノトビラ編
第2話 コラボレーション


○×生花店での出来事があった翌日の夕方。

 

渋谷凛は所属するプロダクションの事務室で、担当プロデューサーの小泉英一から仕事の話をされる。

 

 

 

〜〜〜渋谷凛side in〜〜〜

 

 

「スクールアイドル?」

 

レッスン後に、小泉プロデューサーから、その聞きなれない言葉を聞いた。

 

「初めて聞く言葉だったかい。」

 

「小耳に挟んだことがある程度かな・・・。でも、学校が関係したアイドルってイメージはつくよ。」

 

その後、プロデューサーが、スクールアイドルが学校単位でのアイドル活動のことだと補足説明してくれた。

「私達アイドルと、スクールアイドル達のコラボ企画があるんだね」

 

「そう。今回コラボするスクールアイドルは2校あるんだ。一つは、秋葉原にあるUTX学院のA-RISE。名前は聞いたことあるよな。俺の出身校だし。」

 

まあ、有名な学校だしね。

 

「A-RISEと言うのも聞いたことがあるよ。確か、プロ顔負けの集団があると言うことで」

 

彼女らがスクールアイドルと言うことは知らなかったけどね。

 

 

「そうだな。もちろん、君達は彼女らにひけを取らないだろうけどね。フフッ。」

 

私達はプロだからね。

 

 

 

「もう一校は・・・先にアイドルグループ名から言うよ。・・・μ'sってわかるか?」

 

川島さんじゃあるまいし、わからないよ。

 

 

「なお、28歳のオバサンは思い出さなくていいからな」

 

「そういっちゃ、失礼だよ」

 

プロデューサーだって思いだしてるじゃない。

 

 

「ところでμ'sって、石鹸のこと?」

 

『ミューズ』と言ったら、そういうのが一般的だろう。私のアイドル仲間の島村卯月じゃなくても、そう考える。

 

 

「さあ?他にも意味はありそうだけど?・・・ちなみに渋谷君、高校で物理はやってる?」

 

突然、物理の話!?

 

 

「『物理基礎』と言う科目ではやったけど・・・。全員必修だし」

 

中身はそれほど詳しくは覚えていない。難しいし。

 

 

「そこの中の摩擦に関する項目の中に、μ(ミュー)とかμ'(ミューダッシュ)って出てこなかった?こんなの」

 

プロデューサーが紙に『μ』と『μ'』の記号を書いて渡した。

 

 

「見たことはあるよ」

 

中身は忘れたけど。今度の試験の範囲かも知れない。

 

 

「これはな、摩擦の力を数値や式で表す時に必要な数なんだ」

プロデューサーが話題にしてくれたおかげで少し思い出した。

 

「ふーん。・・・って、プロデューサーはまさかこれがμ'sの名前の由来だと言いたいの?」

 

こんなの物理に詳しくないとわからない由来じゃない。

 

 

「そういう可能性もあるだろ?『世の中の摩擦に負けずに動き、進み続ける私達』みたいな。『μ'』は動摩擦係数だし」

 

「何かうまいこと言おうとしているみたいだけど、わからないよ!」

 

『どうまさつけいすう』なんてスラスラ出てくる時点で普通じゃないよ。それとも、大人はみんなそうなの?

 

 

「脱線し過ぎたな」

 

プロデューサーのせいだよ!

 

 

「気を取り直して、このμ'sが所属する学校は、音ノ木坂学院高校と言う。聞いたことは・・・あるか?」

 

聞いたことのない学校だった。私が首を横に振ると

 

「そうだろうな。何でも、小規模で廃校になりかけている学校だそうだ」

 

「ふーん、そうなんだ」

 

プロデューサーは、この学校に対して良くない思い入れがあるのか、やや苦い表情になっているようだ。

 

 

「・・・おっと。それで、学校を廃校から救うために、スクールアイドルグループのμ'sを結成したみたいだ。」

 

プロデューサーが表情を圧し殺して淡々と説明してくれた。それがかえって、音ノ木坂学院に対するネガティブなイメージを持っていることがうかがえた。

 

 

「まあ、そんな学校だ。もちろん、渋谷なら気を抜かないと思うから言うが、張り詰めすぎるなよ」

 

今度は、私を気遣うような優しい笑顔になって説明してくれた。

 

 

「話は以上だ。あとの2人にも話しておくから、今日は、鋭気を養うためにも休んでくれ。」

 

「わかった。また明日。」

 

とりあえず今は、休もう。余計なことは後で考えればいい。その後、ちひろさんにもあいさつして、帰った。

 

 

〜〜〜渋谷凛side out〜〜〜

 

 

 

その後仕事を終えた英一。

 

(音ノ木坂学院か…。)

 

音ノ木坂学院は英一の妹である花陽が通う学校であったが、正直なところ、英一はいい印象は持っていない。

 

(将来を考えれば、あんな潰れかけの学校を選べないよ。)

 

「……そりゃあ、凛ちゃんはかわいくていい子なのは事実だけど……。」

 

英一は、本音が口から出ていることに気がつかなかった。

 

 

「あら、凛ちゃんにベタぼれのようですね。」

 

事務員の千川ちひろが、クスクスと笑みをこぼす。

 

「え?」

 

「凛ちゃんはかわいくていい子だ、って、口に出ていましたよ。」

 

ちひろがさっきの英一の言葉を反すうした。

 

 

「うわ、そ、それは渋谷凛のことではなくてですね……。」

 

 

英一は大あわてで説明する。

 

 

「……妹さんのご友人の凛ちゃんですか……。まぎらわしいですね。」

 

ちひろがクスクスと笑う。

 

(ムダにかわいい笑顔をしやがって!)

 

ちひろの笑顔が英一の気に障ったようだ。

 

「そういうことです。元気でかわいい子なのに、なぜか自分のかわいらしさに自信が持てないんですよ。」

 

英一が悲しそうな顔をしながら説明する。

それをちひろは真剣に聞いていた。

 

 

「大体、俺が渋谷君を『凛ちゃん』なんて、呼ぶわけないじゃないですか」

 

「あら、どうしてですか?」

 

ようやくちひろが口をはさむ。

 

「渋谷君のキャラに合う呼び方じゃないからですよ。」

 

「そうですか?」

 

「そうです!クール系アイドルのイメージが台無しですよ」

 

英一が熱弁を振るう。

 

 

(それも思い込みなんじゃないんですか?)

 

ちひろは心の中ではそう思ったが、英一が決めることには基本的に口をはさまないようにしていたので、これ以上は言わなかった。

 




今回は、本当は次回作とセットで一話にしようかと思いましたが、シンデレラガールズ回とラブライブ回に分けた方が、話がわかりやすいと思い、分けました。

パソコンで読んでいらっしゃる方には、いささか短すぎるように感じると思います。

ガラケーで読むと、結構長く感じますよ。

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