凛と凛   作:イオリス

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まずは、小説を読み進めるにあたっての注意。
これは、メインは『ラブライブ!』です。

凛と言う名前の子は二人いますが、「凛」と表記された場合は、星空凛を指しますので、お間違えのないように、よろしくお願いします。

渋谷凛の場合は、「渋谷」か「しぶりん」で表記されます。

花陽の兄の小泉英一プロデューサーも、星空凛を「凛ちゃん」と呼び、渋谷凛は、「渋谷」と名字呼びをします。


また、小説中には、
「〜〜〜凛side in〜〜〜」「〜〜〜凛side out〜〜〜」のような、表記が出てきます。
これは、凛(ここでは、『ラブライブ!』の星空凛を指します。)の視点からの話になります。「in」はここから、「out」はここまでです。

こうしたものがない場合は、第三者視点と考えて下さい。

それでは、皆様に読んで頂ければ、幸いです。



最後になりますが、この話も、私がpixivに書いた話の加筆修正版です。pixiv版は、いずれ削除します。

※ 8/10 pixiv版の削除済報告をいたします。


第1話 2人の凛の出会い

ある晴天の祝日。星空家にて。

 

 

「今日はお休みだにゃ。遊びに行こうかな。」

 

凛が居間でうきうきしていると、そこに

 

「凛ちゃん、一緒にお買い物にいきましょう。」

 

凛の姉、恋(れん)が声をかけてきた。

 

「恋姉ちゃん!?いいよ、一緒に行こう。」

 

こうして、凛と恋が出かけることになった。

 

それから電車に乗り、渋谷駅に到着。

 

「今日は久しぶりに渋谷に来たにゃー。」

 

「ふふふ、凛ちゃんったら、大はしゃぎしちゃって。」

 

凛と恋は、通常通り、仲良し姉妹だった。

 

 

「じゃあ、さっそくお買い物にいきましょうよ。」

 

そうして、二人でブティックに行く。

 

 

〜〜〜ブティック〜〜〜

 

 

「凛ちゃん、これどう?」

 

恋は、凛にズボンを勧めてきた。

 

「う、うん・・・。」

 

 

こんな調子の買い物をしていた。

 

 

「買ったわね・・・。」

 

「うん・・・。」

 

やや顔が曇っている凛。

 

(やっぱり、凛って・・・。)

 

凛がそう思うのも無理はない。恋が凛にすすめる服は、どちらかと言うとボーイッシュなものばかりだからだ。 凛があまり自分が女の子らしくないと思う原因はこのへんにもあるのだろう。

 

 

「どうかしたの?元気ないわね。」

 

「え・・・。・・・ううん、何でもないにゃ。」

 

恋の呼び掛けに、凛が手を振りながら否定する。

 

「そう。・・・もしかして、疲れたの?」

 

「ああ・・・、ちょっと疲れたかな。」

 

凛は恋が勝手に納得してくれてホッとした。

 

 

「そう。日頃からスクールアイドルのトレーニングで疲れているものね。どこかでお昼にしましょうか。」

 

 

「うん!・・・あれ、・・・おーい、かよちーん!」

 

凛は偶然渋谷にいた花陽を見つけたようだ。

 

 

 

「え、・・・り、凛ちゃん。・・・どうしたの?」

 

こんな場所でも遭遇するほど、凛と花陽の縁は強いようだ。

 

「あら、花陽ちゃん。お久しぶりね。こんにちは。」

 

「恋お姉さん、お久しぶりです。」

 

 

そうしてしばらく会話していると

 

「それにしても・・・、恋さん。あの頃よりもさらに・・・きれいになりましたね。・・・凛ちゃんには、こんな素敵なお姉さんがいていいなあ。」

 

花陽が顔を赤らめる。

 

 

「まあ。花陽ちゃんったら。・・・実は、あなたのお兄さんからも口説かれてるわよ。アイドルやらないかって。」

恋が少し嬉しそうに笑いながら話す。

 

「ええ!?あ、兄が!・・・す、すみません、ぶしつけな兄で!」

 

花陽はいつものくせで謝る。

 

「あら、仕事熱心なお兄さんじゃない。アイドルのプロデューサーさんなんでしょ。」

 

恋の言うとおり、花陽の兄である英一はアイドルの総合プロデュースをするのが仕事である。

 

スクールアイドルフェスティバルで言うところだとμ'sのサポート役と言ったところだろうか。

 

 

「まあ、兄はまだ経験も浅いですけど・・・。」

 

「かよちんのお兄ちゃん、アイドルを作り出す人なんだ。かよちんの家族らしい、素敵な仕事じゃないの。」

 

花陽の父と母もアイドルが縁で結婚し、兄もアイドル好き、そして花陽もアイドルオタクだ。

 

「それに、かよちんのお兄ちゃん、頭が良くて、気が利く人じゃない。」

 

凛も、花陽の兄には何回か会ったことはあるので、それなりに人となりは知っている。

 

「まあ・・・、確かに気が利く人なんだろうけどね・・・。」

 

花陽は、兄に不満があるようだ。

 

 

「それなら花陽ちゃん。今日は凛ちゃんだけじゃなく、あなたのお姉さんになるわよ。」

 

「じゃあ、凛とかよちんも姉妹だね。」

 

「え、ホントですか!?・・・ねえ、凛ちゃん。・・・今だけ、凛お姉ちゃんって呼んでいい?」

 

「もちろんにゃ。いくらでも呼んでいいよ。」

 

末っ子の凛は、妹ができて大喜びだった。

 

 

昼食は3人で、凛の好きなラーメン屋に入る。

 

「ラーメン、美味しいにゃ。」

 

凛は醤油ラーメン、花陽は豚骨ラーメン、恋は味噌ラーメンを選んだ。 凛がラーメンに夢中になっていると、

 

「凛ちゃんがいると、ラーメン屋や牛丼屋もいきやすいわね。」

 

恋が凛に聞こえないように、花陽に話しかける。

 

「今のこと、凛ちゃんには言わないで下さいね。」

 

「もちろんよ。花陽を妹と見込んでの秘密よ。」

 

恋と花陽は、二人だけの秘密を持った。

 

 

〜〜〜凛side in〜〜〜

 

「今日はおじいちゃまの命日にお供えする花を買いにきたの。」

 

かよちんは、数年前に亡くなったおじいちゃんにお墓参りをするんだって。おじいちゃん孝行だにゃ。

 

「それなら確か、近くにいいお花屋さんがあったわよ。・・・ほら、あそこよ!」

 

恋お姉ちゃんが示した先には、「○×生花店」と言う看板があった。キレイなお花がいっぱい。

 

「かよちん、早く行こうよ。」

 

かよちんの手を取っちゃうにゃ。

 

 

「いらっしゃいませ!」

お店に入ると、店の人があいさつをしてきた。

 

 

凛達が店内を見ていると、お店の人が

 

「凛、ちょっと店番お願い!」

 

「にゃ?なんで凛が店番しなくちゃいけないの?」

 

「ちょ、凛ちゃん。」

 

だって恋お姉ちゃん。凛達お客さんだよ。

 

「あ、実は私どもの娘の名前が凛なんですよ。」

 

あれ?お店の人の娘さんのことなの?

 

「凛ちゃん……。」

 

かよちんが苦笑しているにゃ。

 

「お店の人が凛ちゃんの名前を知ってる訳ないじゃない……。」

恋お姉ちゃんは、凛に呆れていた。確かに、よく考えてみるとそうだ。

 

ちょっと時間が経ってから、店員の娘さんがやってきた。あまり縁の厚くないメガネをかけ、黒くてきれいな髪をまとめている。

 

 

「あ、あの子は・・・渋谷・・・凛さん?」

 

「えっ?」

 

あの女の子が、一瞬こっちを向いた。と言うことは、本当に……、あの渋谷凛なの?

 

 

「渋谷凛と言えば、アイドル界でも一番大所帯のシンデレラガールズグループで初のソロCDを出し、超人気ラジオの『デレラジ』のメインパーソナリティーをやり、さらに・・・」

 

かよちんにアイドルスイッチが入ったところで、渋谷凛と思われる娘が向かってきた。

 

「お客様。」

 

渋谷さんは声をかけるけど、かよちんの耳には入ってないよ。

 

「・・・『お願いシンデレラ!』、『Nation Blue』や、カバー曲の『蒼穹』なんかもオリコン1位に輝いたんだよ。さらに・・・」

 

 

渋谷さんったら、とうとうかよちんの肩を軽く揺すり出したが、それじゃ止まらないにゃ。

 

 

「・・・シンデレラガールズ総選挙は第1回17位、第2回5位、そして最近行われた第3回では・・・」

 

 

「ちょっとすみません、お客様。」

 

しびれを切らしたのか、渋谷さんが大声でかよちんの肩をやや強く揺さぶりながら呼ぶ。

 

「うわう・・・、はっ。ジブヤリンジャン!」

 

かよちん、やっと正気に戻ったにゃ。お姉ちゃんもあぜんとした様子だった。

 

 

「お話し中のところ申し訳ありませんが、店内ではお静かに願えませんか?」

 

渋谷さんは、かよちんが花陽が正気に戻ったのを見計らって、手慣れたようにに注意するにゃ。

 

 

「は、はい・・・。・・・すみません・・・。」

 

かよちんは顔を赤くし、一気にしょぼんとしちゃった。

 

 

「まあまあ、かよちん、凛お姉ちゃんはさっきのかよちんも好きだよ。あまり落ち込まないで。」

 

凛は肩を優しく叩きながらかよちんをフォローし、

 

 

「ゴメンナサイね、店員さん。お詫びと言ってはなんだけど、私もお花を買わせてもらうわ。」

 

恋お姉ちゃんがお店の人詫びる。星空姉妹の連携プレーにゃ。

 

 

そうして花屋での買い物を終えると、

 

「恋お姉さん、凛お姉ちゃん!本当にごめんなさい!」

 

かよちんは深々と頭を下げるにゃ。そんなに気にしなくていいよ。

 

「恋お姉ちゃん、かよちんのこと許してあげて。こんなに謝っているんだから。」

 

凛もフォローを忘れてはいけない。本当は止めるべきだったかもしれないし。

「ええ、それはもういいわ。顔をあげて、花陽ちゃん。」

 

よかったね、かよちん。

 

「ありがとうございます!」

 

かよちん、また頭を下げるにゃ。

 

 

「それにしても花陽ちゃん。よくあの子があの渋谷凛だって考えられたわね。感心しちゃうわ。」

 

恋お姉ちゃんの言うとおり、さすがは、超アイドルマニアのかよちん。

 

 

「はい!名前の通り、あの凛とした雰囲気、クールに輝く瞳、背が高くてスレンダーな体型。あれは、渋谷凛さんに他なりません!」

 

かよちんはまたスイッチが入った。ホントにアイドルが好きなんだね。

「すごいわね、花陽ちゃん。花陽ちゃんは将来、芸能関係のお仕事につくの?」

 

恋が興味津々に聞いてくる。さっきのが余程印象に残ったようだ。

 

「それはまだ・・・。」

 

かよちんなら、現実のアイドルもいけそうだと思うなあ。

 

「凛は、かよちんがどんな道に進もうとも応援してるよ。忘れないでね。」

 

「凛ちゃん・・・。」

 

(私、凛ちゃんに背中を押されてばかりだな・・・。)

 

かよちん、凛はずっとかよちんの味方だよ。

 

 

〜〜〜凛side out〜〜〜

 

 

その頃、○×生花店で、凛は店番を続けていた。

 

(すごいお客さんだったな・・・。私が渋谷凛と見抜いただけじゃなく、私の経歴までスラスラと・・・。)

 

「ま、あの性格じゃもう来ることはないね。」

 

 

しぶりんは、彼女らと何度も出会うとは、この時はまだ思わなかった。

 




まずは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品は、最終的に『ラブライブ!』2期5話の「新しいわたし」につながるように書きます。

ちなみに、この作品は、マルチエンディングにしていく予定です。『ラブライブ!』のような話から、一番のハッピーエンディング、あるいはバッドエンディング(ワーストエンディングと言ってもいいようなものもあります。)も用意いたします。


それでは、次回をお楽しみに。

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