凛と凛   作:イオリス

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やっと、渋谷凛にりんぱなの名前を覚えさせることに成功しました。

名前を覚えさせないと書きにくいし、わかりにくいですからね。


第9話 判明

○×生花店で手伝いをする凛に、会いに来た花陽達。

花陽は自分達がスクールアイドルをやっているため、あいさつに来たのだ。

 

〜〜〜渋谷凛 side in〜〜〜

 

 

わざわざスクールアイドルが自分にあいさつに来ると言うことは、恐らくコラボイベントの関係でだろう。

そうでなければ、アイドル同士の接点なんかないし。

 

「あの……」

 

「待って!」

 

私に無理やり話を遮られた黄緑色の髪の少女は、やや怯えているようだ。

 

 

「ここでは何ですから、時間を決めて落ち着いて話ができる場所に行きませんか?」

 

この場所では、私が渋谷凛であるとバレやすいし、そうでなくても商売に支障をきたす。

また、この少女に下手にしゃべるのを許すと、後々厄介になりそうだった。

 

 

「そうしよう。時間と場所は渋谷さんが決めてくれるん?」

 

紫色の髪をした大人っぽい女性が、フォローをしてくれる。

豊満な肉体もだが、精神的にも大人のようだ。

 

「わかりました。それでは……」

 

助かった。私はこの女性に感謝しながら、近くの喫茶店に4時半に来てもらうことにした。

 

 

「わかったわ、ここは一旦出よ」

 

私がこの女性の方を見ると、女性は私の方を見て微笑む。 いいお姉さんだなあ。あんな姉ならほしい。

 

 

〜〜〜渋谷凛 side out〜〜〜

 

 

一方、店の外に出て、花陽、凛、希は路地の片隅にいた。

 

 

〜〜〜凛 side in〜〜〜

 

 

渋谷さんとようやく会う約束を交わした。長かったぁ。

 

「お疲れ様、かよちん」

 

「ねえ、凛ちゃん……。あれで良かったのかなあ」

 

かよちんが不安そうにする。心配しなくていいと思うけどね。

 

 

「カードがそう告げたんやから、しょうがないやろ」

 

笑顔で言う希ちゃんが、かよちんの背中を軽く叩いている。

 

「うん……」

 

かよちんの不安はまだ消えていないようだ。

 

「かよちん、今さらクヨクヨしてもしょうがないよ」

 

「うん……」

 

かよちんったら、もう!

 

 

「だったら、こうや!」

 

ワシッ

 

「ヒャッ!」

 

希ちゃんが、かよちんの胸をわしづかみにした。にワシワシを始める。

 

「ほらほら、どうや!」

 

希ちゃんは邪悪な笑みを浮かべながら、かよちんの大きな胸を揉んでいく。

 

「……ん、……や、やめて……」

 

かよちんが辛うじて声をあげている。

 

思い出すなあ。一期末の試験期間のある日の昼休みのこと。 その日の凛は、穂乃果ちゃんとにこちゃんと3人で屋上に行っていた。

 

 

〜〜〜回想〜〜〜

 

 

「はぁーっ、いい天気だね!」

 

「解放された気分だにゃ」

 

「大体、こんな日に勉強勉強なんておかしいのよ!」

 

穂乃果ちゃん、凛、にこちゃんは解放感を味わっていた。

 

いくら期末試験が近いからって、お昼休みまで勉強はないにゃ。

 

「青春だにゃ」

 

ガラッ

 

ドアが開くと

 

「何やっとるんや〜?」

 

邪悪な笑みを浮かべたドm……じゃなくて、希ちゃんがいたにゃ。しかも、あのワシワシのポーズをしながら。

 

「昼休みは勉強やって言ったやろ」

 

「「「ヒッ……、ヒィッ!」」」

 

その後、凛達は立ち上がれなくなるほど胸をワシづかみされた。

 

 

〜〜〜回想終了〜〜〜

 

 

かよちんはやっとワシワシから解放されたみたい。

 

「でも、渋谷さんホントに来てくれるかな」

 

凛の不安な気持ちが思わず口から出た。

 

「心配せんでええ。来んかったら……」

 

「ワシワシ?」

 

「……もええんやけど、ネットに渋谷凛ちゃんの悪口や、家に◯×生花店の名前を書く方が効果的やな。」

 

「怖っ」

 

「まあ、本家のアイドルが悪評を気にせず行動することはありえんから大丈夫や」

 

「その辺りを売れっ子アイドルの渋谷さんが見落とすなんてあり得ないよ。そもそもアイドルと言うのはね……」

 

かよちんにスイッチが入り始めたようだ。

 

 

「とにかく、時間まで渋谷をお散歩しような」

 

スイッチの入ったかよちんをあっさり止めて、3人で渋谷を散策することになったよ。

 

 

〜〜〜凛side out〜〜〜

 

 

◯×生花店で手伝いをしていた凛。

 

「4時か……、そろそろ準備をしないと。」

 

時計を確認した渋谷は、キリの良いところで手伝いを終えた。

 

「お母さん、友達と会う用事で抜けるから、残りの手伝いは後でね」

 

渋谷は、母に伝え、部屋に戻ると

 

「あ、もしもし……」

 

誰かに電話をかけた。

 

「じゃあ、5時にあの喫茶店で」

 

数十秒のムダのない会話だった。

 

 

〜〜〜渋谷凛 side in〜〜〜

 

 

私は、20分前に約束の喫茶店に着き、目立たない席を確保した。

 

今の私は目立つと困る。問題は、向こうがそれを理解してくれるかだ。

 

 

10分くらい経った頃だろうか

 

「着いたにゃー」

 

待ち人の3人組のうち、オレンジ色のショートヘアの子が大きな声をだす。不安が的中。

 

「おーい、渋谷さん」

 

ちょっと、声が大きいよ!

 

 

「……、り、凛ちゃん……」

 

(渋谷さん、にらんでいるよ)

 

 

黄緑色の髪の少女がようやく制してくれたようだ。

 

 

「こっちに来るにゃ」

 

向こうが呼びかけていたが、無視して私から向こうが来るように手招きをした。

 

「こ、怖い……」

 

「あっちに行こう」

 

紫色の髪の人が、私の方に来るように促してくれた。

 

 

それから、待ち人の3人が座る。

 

 

「改めまして、こんにちは。音ノ木坂学院の皆さんですね」

「……え、……あ、はい」

 

黄緑色の髪の少女が驚いたようだ。

 

「どうしてわかったにゃ」

 

 

「先週、そちらの2人は私の家でやっている店に来ましたね」

 

私の呼びかけにうなずくオレンジ色の髪の少女と黄緑色の髪の少女。私は、オレンジ色の髪の少女を見て

 

「その中で、あなたは、私の母が『りん』と呼んだのを自分達のことだと勘違いしましたね」

 

「だから、あなた達のどちらかが、『りん』と言う名前の人と考えました」

 

続けて、コラボイベントで参加するスクールアイドルの名簿から、それに該当するのが音ノ木坂学院の『星空凛』と言う人物であることを知った。

 

「スクールアイドルの話で来た以上、他の学校の生徒が混じっている可能性は低いと判断しました」

 

「二人の行動をよく見ているなあ」

 

紫色の髪の人が、感心したようだ。

 

「ありがとうございます」

 

私は紫色の髪の人に少し微笑みながら会釈をした。まあ、二つの情報だけで判断したから、大した推理じゃないけどね。

 

「それで、星空凛さんってどの人ですか?」

 

「私が星空凛だにゃ」

 

オレンジ色の髪の子が、星空凛か……。自分のことを名前で呼ぶのか……。何か、前川みくに似ているなあ。

 

「じゃあ、ウチらも自己紹介しようか、ウチは東條希。高校3年生や」

東條さんって言うのか。高校3年生なら大人っぽいよね。

 

「……わ、私は小泉花陽と言います。高校1年生です……」

 

はなよ?どんな字を書くんだろ。

 

「星空凛だにゃ、高校1年生だよ」

 

小泉さんも星空さんも同学年なのか。みた感じ、中学生っぽいけどね。

 

「そう言えば、この間、神谷さんにも会ったよ」

 

星空さんが、奈緒と秋葉原で会ったことを話してくれた。

私は、昨日奈緒からその二人組について話を聞いていた。

 

 

〜〜〜回想in〜〜〜

 

「今日はとんでもない目にあったぜ、ヤレヤレ」

 

奈緒が事務所に帰ってきた。

 

「どうしたの、奈緒」

 

加蓮が、ネイルをいじる手を止めた。

 

「凛、お前が先週の土曜日に会ったと言っていた二人組に遭遇してな」

 

続けて奈緒が言った二人組の特徴は、間違いなくあの二人だった。

 

「それにしても、あのオレンジ色の髪の少女のこと、頭がゆるいと言っていたじゃないか」

 

「直接そうは言っていないけど……。何かあったの?」

 

「足も速いけど、変に頭の回転が速くて言い逃れができなかったよ」

 

奈緒は逃げようとして失敗したことについて話してくれた。

 

「ウチでは、そうは見えなかったけどね。面白そうな子だね」

 

「そうだね」

 

加蓮が笑いながら私達の話を聞いている。

 

 

「面白くないよ、こっちは大変だったんだぞ」

 

奈緒がそっぽを向いている。

 

「私も、そのおもしろシーンに居合わせたかったな」

 

「加蓮、いい加減にしろ!」

 

奈緒がムキになっているが、怖くはない。

 

「おおっ、怖っ」

 

「はいはい、これ以上ジャレ合わないの」

 

収集がつかなくなりそうなので、止めることにした。

 

 

〜〜〜回想終了〜〜〜

 

 

星空さんの意外な一面を見て、私は小泉さんだけじゃなく、彼女にも興味を持った。

 

 

「そう言えば、小泉さん」

 

「は、はい……」

 

「そんなにかしこまらなくていいよ」

 

「はい……」

 

「突然だけど、あなた、年の離れたお兄さんとかいたりしない?」

 

「え……?いますけど……」

 

いきなり聞かれれば、戸惑うよね。

 

「お兄さんも、アイドルに興味があったりする?」

 

「は、はい。兄もそういう仕事をしています」

 

なるほど……、なら私の疑問は解消された。

 

 

ガラッ

 

その瞬間、喫茶店のドアが開いた。

 

もう1人の待ち人……と思ったら、赤い髪の子を連れて登場した。

誰よ、その子。

 

 

〜〜〜渋谷凛side out〜〜〜

 




もう一段あった、と言うことです。

さて、渋谷凛が呼び出した人間の正体は?
赤い髪の少女とは?

正体は、そのうち!(マテ

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