緋弾のアリア〜勝手に大佐復活作品〜   作:ヨルムンガン

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早くもサブタイトルがネタ切れ気味・・・
腰にロープなんて繋いでないし
とんでもないタイトル詐欺ですね


第3弾 腰にロープを繋いでの帰省

帰省と聞くと何を想像するだろうか。山間部の人里に住む祖父母の顔を見に行ったりだろうか。

まぁ、俺の場合は京都にある本家に顔を出すだけだがな。だが、それでも大変なのだ。一日で東京と京都を往復しなければいけない。移動時間だけでも約4時間は必要だ。

 

「なんで俺を呼び出すかな。本家にも使える駒はいるだろうに。」

 

始発の新幹線の中でそう愚痴らずにはいられない。

そう、事の発端はチャリジャックの日の朝に本家に報告を兼ねて電話をしていたら至急帰って来るように言い渡されたのだ。

 

「まぁ、理由を考えるだけ無駄だな。少し寝るか。」

 

早起きのせいで働かない頭を休める為に到着まで寝ることにする。

 

 

 

 

 

 

 

「んぁ・・・・・」

 

尿意を催したので起きる。トイレが有るはずの車輌に向かって歩いてゆく。

トイレのある通路にはガラの悪そうなニイちゃんがまるで歩哨のように立っていた。

 

(トイレを中心に前後二人、何を警戒してるんだ。)

 

トイレに近づいていくと近い方の奴がにこやかな笑顔を浮かべて話しかけてきた。

 

「ワルイなぁ、ぼく。ここはアニキが使っとんねん。」

「はぁ、そうですか。」

 

ヤの始まる人達と関わり合いになりたく無いのでさっさと背を向けて帰ろうとする。

その時、トイレの中からくぐもった女性の悲鳴が聞こえた。

 

「ちっ!」

 

舌打ちと共にポケットからナイフを振り抜いて突進してくる。動きに無駄が無い。素人相手なら十分な動きだが武偵相手には不十分だ。

 

(中で何が行われてるか考えたく無いが、目的は保護対象の救助(セーブ)!)

 

脳内を戦闘モードに切り替えて行動の順序を確立させてゆく。

相手のナイフを持った腕を左脇で挟み込む。勢いを利用し右手の掌底を相手のみぞおちに当てて・・・

 

「一式格闘術“双呀”!!」

 

捻りを加えながら思いっきり撃ち抜く。

腹を撃ち抜かれた奴はもう一人のやつに当たって動かなくなった。当たられた方も壁に頭を強打してたからすぐには動けないだろう。

それだけを確認してホルスターから愛銃(H&K USP)を抜いてトイレ内に突入する。

 

「武偵だ。強姦未遂で逮捕する!」

 

リーダーと思わしき男の頭に銃口を突きつけて宣言する。

女の子の服には縦に刃物で切られたような跡があったが、取り敢えず最悪の事態には間に合ったようだ。

男を女の子から剥がしてこっちに向かせると貧相なモノをぶら下げていたので蹴って気絶させる。気絶してる奴らを纏めて縛り上げて危険物は没収し、騒ぎに気づいて駆けつけた乗務員には武偵手帳を見せて事情を説明する。

後処理を任せて自分のシートに戻ろうとすると助けた女の子が後ろからついてきた。

 

「あのっ!・・助けてくださってありがとうございます!わっ・・私、とても怖くて。それで・・・うっ・・ぐすっ。」

 

襲われた時のことを思い出したのか泣きはじめた。彼女いない歴=年齢の俺はただオロオロするばかり。そこで、乗務員の人がヤレヤレって感じでヒントをくれる。

それに気づいた俺は防弾制服の一番上を脱いで彼女に手渡す。

 

「その、そんな格好じゃいろいろ困るだろうしコレでも着なよ。」

 

これを聞いて彼女はその顔に笑みを浮かべてくれたのであった。

 

 

 

乗務員の取り計らいで隣同士の席になった俺たちは話に花を咲かせていた。

彼女の名前は城崎 真理(しろさき まり)。高1で、どうやら親に呼ばれて遠路はるばる京都まで来たらしい。俺と同じだな。

 

『次は〜京都、京都です。お降りの際はお忘れ物の無きようお気を付け下さい。』

 

話し込んでいたら京都まで着いてしまった。目的地なのでホームに降りる。そしたら何故かメアド交換をせがまれてしまった。

 

「篠神先輩!メアド交換しましょうよ!お願いしますっ!」

「いいけど?」

 

そんなに気合入れて喋らなくても良いのに。

携帯の赤外線機能を起動してアドレスを交換する。

家の都合上あまり関係のない人間とのアドレス交換はタブーなのだが今更なので気にしない。

そのまま二人で改札まで歩いていきそこで別れる。

 

「それじゃ俺こっちだから。」

「あ、はい。お世話になりました。」

 

そう言って頭を下げる。手を降ってからパタパタと駆け出してゆく。

俺も見えなくなるまで手を振ってから反対側の出口へと歩いてゆく。タクシー乗り場でタクシーを捕まえて家の住所を告げる。

 

 

「銀閣寺とは、兄ちゃんも修学旅行か何かかい?」

「はは、そんなとこです。」

 

言えねぇ、ここが家ですとは言えねぇ。実際には入り口だけど。

俺は苦笑いを浮かべてタクシー代を払う。

そのまま入り口まで行ってここに駐屯している警察官にIDを見せる。

先導に一人警官がついて一般人は立ち入り禁止区域に入り込み、ある部屋の畳をおもむろに持ち上げる。

その中にあるのは地下へと続く隠し階段と長い隠し通路。

そこを歩くこと15分、地上へと上がれるハシゴが姿を現した。それを登りきると家の入り口の隅にある井戸から体をだす。そこで身だしなみを整えてから家の扉を叩く。

 

「おーい、トモダチが来たぜ〜。」

 

どこからか苦無(クナイ)が飛んできた。やり直しって事だろう。

 

「篠神が長男、只今戻りました。」

 

今度は扉が開く。一応誰が来たかは銀閣寺にいる警官から連絡が入ってるはずなのに、何でこんな面倒な事させるんだよ。

そんな事を考えていると脇からメイドさんが近寄って来た。いや、日本屋敷にメイドってのもなかなかシュールな光景なんだが。

 

「英介様。奥様が部屋でお呼びです。」

 

えー、めんどくさいんですけど。まぁ、行くけどね。

自分の親の部屋の前まで来て軽く深呼吸する。

 

「英介です。入ります。」

 

中から入りなさい、という声を聞いてから襖を開ける。

そこにいるのは無論俺の母親である。

 

「よく来ましたね。本日は大切な話があって呼びました。貴方も今年で17歳、この家の男子には17歳にあるしきたりが有るのですが知っていますか?」

 

何だろう?主だったのは特に無かったはずだが。

俺は心の中で首をひねる。

 

「その様子だと知らないようですね。まぁ、仕方ないでしょう。それほど重要なしきたりというわけでも無いですし。・・・入りなさい。」

 

この人が話の途中で人を招き入れるなんて。重要な人物か、この話に関係のある人物か。

そう思い入ってくる人物を見るとその人は予想外の人物だった。

 

「失礼します。・・・えっ、篠神先輩?あっ、篠神ってそういう・・・。」

「どうやら知り合いのようですね、なら話は早い。英介、城崎真理を貴方の護衛兼愛人に任命します。」

「はっ?」

 

いや、ナニを言ってんだこの人は。護衛は解る。正直今更いるとは思えないが。だが、愛人ってなんだ。

 

「母上殿、おっしゃる意味がわかりかねますが。」

「確かに愛人は今風の言い方ではありませんね。うーん。」

 

いや、そこじゃ無いし。何で愛人なのかを聞いてるのだが。

俺の母親はウンウン一人で悩んで何か思い付いたのかポンと手を叩いた。

 

「そうですね、では親からの彼女の押し売りです。もちろん手を出しても構いません。ですが、デキたら貴方が責任を取るのですよ。」

「そこじゃありませんし、手も出しません!」

「なら・・はっ!私ですか!でもわたしに「んなわけあるか!!ふざけんもの大概にしろ!」

「もぅ。女の子の冗談に付き合うのも男の子の甲斐性ですよ。」

 

はぁ?女の子?どっからどう見てもおばさ・・・

 

「なにか?」

 

あの構えはヤバイ。防げない。謝ろう。

 

「それでいいのです。詳しい話は城崎さんから聞きなさい。では、下がりなさい。」

「その前に一つお願いがあります。資料室への立ち入りを許可して欲しいのですが。」

「なぜですか?」

「それは・・・」

「宜しい、許可します。目的のものは第一階層と第四階層にあります。第四階層へは日向と共に行きなさい。」

「ありがとうございます。」

 

こうして二人揃って母親の部屋から退出する。

資料室に行くまでの間、城崎との雑談に興じる。

 

「で、護衛は分かるけど愛人ってなんだ。」

「篠神先輩は知らないんですか?私たち城崎家のことを。」

「悪いが知らないな。うちの分家かなんかか?」

「えぇ、今では分家という扱いですが昔はこの家に従属を誓った一族です。今でも従属の証に篠神家の長男には城崎家の長女が護衛兼愛人になります。」

「・・・イヤな歴史だな。」

「いえ、現在はもし思い人が出来て結婚するならお役目を御免出来るのでそうでもありません。」

「そんなもんなのか?まぁいい、護衛と言うからにはそこそこ戦えるんだよな?」

「いいえ、戦えませんよ。私は先代の隠し子ですので、戦闘訓練は受けてません。だから学びに行くんですよ。」

「学びに行くって・・どこに?」

「何処って、東京武偵校ですよ。せんぱい?・・・戦妹にして下さいね?」

「・・・・・・は?」

 

思わず立ち止まってしまう。

ナニを言ってるんだこの子は。

俺に爆弾発言をかました少女はスキップでさっさと奥に行ってしまう。我に返った俺は慌ててその背中を追いかけてゆく。

 

「おいっ!さっきのって・・・。」

「ふふふ、どういう意味でしょうね。・・っと着きましたよ先輩。」

 

そう言って大きな観音開きの扉の前で止まる。最低限の装飾がされた扉の前には武装したメイドさんが2名立っている。

この部屋の名前は資料

この家は代々古今東西様々な情報を扱って来た。その室。先代から名前が変わったので俺は昔の名前を知らない。ただ、この部屋にはこの家の全てとも言えるものが収められている。

それは情報だ。情報を操って日本の裏社会の一大勢力となったのだ。

武装メイドさんは俺の顔を確認し黙って扉を押し開く。

 

「城崎はここで待ってろ。」

 

先ずは第一階層で主な情報を集めてゆく。

第一階層には過去にこの家が請け負った様々な依頼の中間報告や最終報告さらにはその人物に関わる個人情報まで手に入る。

目的の人物のプロファイルを流し読みする。

 

「なるほど、だから第四階層へと立ち入りを許可したんだな。」

 

さらに奥に歩いて行きパスコードを入力して下の階層へ。

第二階層は表社会の流れたらマズイ情報などが集まる。ここからはチラチラと裏社会関係のも見え始める。

第二階層をスルーして奥に歩いて行くと刀を携えた女性が立っていた。

第三階層に入る為には篠神家の直系であり、尚且つ家の近衛立会いの元で無いと入ることは出来ない。

 

「お待ちしておりました、英介様。それでは参りましょう。」

 

今回の水先案内人は近衛隊長の日向。もちろんこの名前は本名では無い。どちらかと言うとあだ名に近い。近衛隊長になったものは任命された日より旧国名で呼ばれるのだ。自分で決めれるが当主より与えられることも有る。

指紋、網膜認証に加え別のパスコードを打ち込み第三階層に続く扉を開ける。ちなみにこの扉200mmのチタン鋼だ。

第三階層をそのままスルーし第四階層に続く扉の前まで来る。

指紋、静脈、声紋、網膜などの偏執的とも言えるセキュリティーをパスして中に入る。

 

「目的のものは此方です。」

 

そう言ってサクサクと歩いてゆく。まさか全ての位置を覚えているのか?

 

「ふぅ、疲れた。」

 

資料室の扉の前で律儀に待ってた城崎を引き連れて自室へと帰ってゆく。




いつもこの作品をお読み頂きありがとうございます
更新日時は書きあがり次第となっております
月1ぐらいで覗いて頂けましたら恐らく更新してると思います

誤字・脱字等のご指摘はいつでも受け付けております
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