緋弾のアリア〜勝手に大佐復活作品〜   作:ヨルムンガン

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知らない間にコッチがメインになりそう

・・・一応書いてはいるんだよ?


第2弾 奴隷だぁ?寝言言ってんじゃねぇ

昼休み、クラスメイトどもに囲まれると予想した俺は授業が終わったと同時に窓へと近づいて窓枠に手をかける。

 

「ここにいたらメシが食えなさそうなんで逃げますね~。事情はキンジにでも聞いてください。」

 

まぁ、無理だろう。キンジの奴さっきコソコソと教室から逃げてたから。

それじゃ、と言って窓枠から飛び降りる。

3階から飛び降りたら普通は死ぬ。ただ俺もそこまで考えなしじゃないのですぐにベルトのバックルに手をかける。

射出!

確かな手ごたえと共にバックルから射出されたワイヤーが木の枝に突き刺さる。

 

「さすがは平賀文謹製のワイヤー射出機構。使い勝手はいいんだけど突き刺したら整備が必要なのがな。先端部分高いし。」

 

そんなことを愚痴りながらグラウンドに着地。逃走を開始する。

上からは、逃げたぞ追え!なんて声が聞こえてくる。

まぁ、捕まんないけど。

 

(どっか静かに食べれる場所ないかな~)

 

そんなことを考えつつフラフラと目的もなく歩いてると面白い奴を発見した。

ピンク髪のツインテール、神崎だ。

どこに行くのか興味が湧いたので見ていると教務課(マスターズ)に入って行くのが見えた。真っ当な理由以外で入るには勇気のいる場所だ。

あそこに潜入するのは今の俺でも厳しいな。いつかはやって見たいけど。ん?にしても神崎はあんなところに何の用なんだ?

 

 

ガチャ

 

「ただいま〜」

「あれっ?英介、今日は自分の寮に帰るんじゃ無かったのか?」

「いや〜、何かルームメイトが拷問してたから帰れねぇんだよな。」

「・・・お前の寮は諜報科(レザド)だよな。何で拷問なんだ?拷問科(ダギュラ)の仕事だろ?」

「?俺は出来るぞ?」

 

キンジに溜息をつかれた。なんでだ?

まぁ、いいや。ゲームの用意でもしよう。

 

「エースなコンバットでいいか?」

「いや、今日はエイリアンの駆逐にしよう。」

「ほいよ。」

 

そう言われたのでPS3を起動する。ソフトはCoDでエイリアンモードを選択する。

そのまま二人でサクサクと進めていく。

 

「おいっ、グレネード行くぞ!」

「中央の敵を頼む!」

「リロード!カバー!」

「ふざけんなっ!少しは自分で働け!」

 

キンジを酷使してたら怒られた。まぁ、当たり前だな。

ドローンを買って戦わせる。

ふと、思いついたことをキンジに尋ねる。

 

「なぁ、今朝のアレはなんだと思う?」

「アレって爆弾か?」

「それ以外何がある。」

「手口は武偵殺しと同じだな。ただ、犯人は逮捕されたって報道があったから模倣犯か愉快犯じゃないか?」

「仮に模倣犯だとしてどこでC4なんて手に入れる?それに何で武偵なんだ?私を捕まえて下さいって言ってるようなもんだぞ?」

「んなもん俺が知るか!」

 

ピーンポーン

 

「しかし悪戯にしちゃ悪質だったな。」

「ありゃ悪戯ってもんじゃねぇって!確実に俺たちを殺す気だったろ。」

 

ピンポーンピンポーンピンポーン

 

「殺す気ならあのセグウェイの破壊がスイッチでも良かったろうに?」

「犯罪者の思考回路なんて知るかよ。」

お前探偵科(インケスタ)だろうに。授業があるんじゃ無いのかよ?

 

ピピピピピピピピピーンポーン

 

「・・お前が出ろよ。」

 

ゲームを中断してキンジを玄関の方に向かわせる。

そもそもあんなところにパラグライダーを用意した神崎がいるのがおかしいのだ。

助けを呼ぼうとしたら止められたしな。

そしたら神崎がこの件に関わってる可能性があるな。少し調べてみるか。

 

「遅い!!」

 

神崎の声が聞こえた瞬間に自分の部屋(仮)へと退避する。

何であいつがここに来るんだよ。男子寮だぞここは。

現実逃避気味にスマホアプリのゲームを開始する。

 

「あんたあたしの奴隷になりなさいっ!」

 

うわ〜、マジかよ。人格破綻者?イギリスでは奴隷制度は1833年ですでに廃止だろ?

 

「ねぇ、この部屋あんた一人なの?」

「いや、今はもう一人いるけど基本的には一人だ。」

「ふぅん。まぁ、どうでもいいけど。」

 

じゃあ聞くなよ。

足音が近づいてきて俺のいる部屋の扉の前で止まった。

・・まさか!?

 

「ここかしら?」

 

バンッ!と扉が開け放たれる。

 

「なんで一発でわかるんだよ!!」

「直感かしら?アンタにも話があるの。」

 

ここで神崎はクルッと振り返りキンジを指さして

 

「ほらさっさと飲み物くらい出しなさい!無礼なヤツね!エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ!砂糖はカンナ!一分以内!」

 

この(あま)俺の前で泥水(コーヒー)の名前を口にしやがって、泣かしたろか?

まぁ、さすがに初対面の人間にそんなことはしないが。俺は人間(ひと)ができてるからな。

キンジに聞かれたら、どこが?と返されそうだけど。

キンジの奴は・・・インスタントコーヒーでも入れたか?

 

「・・・・・・これホントにコーヒー?」

 

神崎は訝しみながら匂いを嗅いでいる。

どうやらインスタントコーヒーも知らないようだ。イギリスにもインスタントコーヒー程度あったはずだ。それを知らないとなると裕福層の生まれか?

 

「俺にはそれが精一杯だから有り難く飲めよ。」

「・・・変な味、ギリシャコーヒーにちょっと似てるけど違う。」

 

そりゃインスタントにギリシャもアメリカンもあるかよ。

神崎は慣れたのかコーヒーをすすってく。

 

「味なんてどうでもいいだろ。それよりもだ、今朝助けてくれたことには感謝してる。それに、お前を怒らすようなことを言ったことについては謝る。だが、だからってなんで部屋にまで押しかけてくる?」

「分かんないの?」

「分かるかよ。」

「アンタならとっくの昔に分かってると思ったのに・・・まあいいわ、そのうち思い当たるでしょ。」

 

こういうタイプか・・・キンジも面倒なのに目をつけられたな。

神崎はソファーにしなだれながら

 

「ねぇ、お腹すいた。なんか食べ物ない?」

 

全く関係のないことをのたまった。

あれか、自己中で飽き性なのか?キンジも可哀想に。

取り敢えずキンジに1000円渡してコンビニに行かせる。あいつ万年金欠だからな。

 

「で、話ってなんだ?神崎。」

「アリアでいいわ。アンタあたしの奴隷になりなさい!」

「はぁ?寝言は寝てから言え。」

「んなぁっ!・・・」

 

怒りの為かアリアがプルプルする。まるで爆発寸前の火山みたいだな。

 

「まずお前、俺の専科知ってんのか?」

「あたりまえでしょ!篠崎英介、諜報科2年Eランク武偵。ただし、このランクは学年末ランク考査試験を無断欠席した為である。1年入学時はSランク。教務課のレポートにはこう書いてあったわ。」

「内容覚えたのかよ・・。まぁいい、俺は諜報科だ。強襲科のお前が欲しがる駒とは思えない。それこそキンジでも誘っとけ。」

「バカね、あたしが強襲科だからじゃない。強襲科は諜報科に弱い、これは常識よ。その為にもアンタが必要なの。」

 

こいつ、個人じゃ無くてチームとしてのことを語ってるな。となると、恐らく奴隷という言葉の意味は・・・。

なら、この話に乗ってみるのもいいな。

 

「分かった、その話乗ってやってもいい。」

「そうなのっ!じゃあ「但し、模擬戦でお前が俺に勝ってからだ。実力の分からない相手にお互い背中を預けたく無いしな。」

「へぇ、アタシを試そうっての?良いわね、分かりやすくてアタシ好みよ。」

 

アリアがネコのように目を細める。俺も久々の強者との戦いで興奮している。と、ここで明日は用事があることを思い出した。

 

「明日にでも、といきたいんだが少し用事があってな。明後日まで待ってくれないか?」

「嫌よ!アタシには時間が無いの!」

「クエストなんだ、諦めてくれ。」

 

こいつは何でこんなに焦ってんだ?明日は家に顔を出す日だし少し探ってみるか。

不機嫌になったがクエストと言われて諦めがついたのだろう。

 

「分かったわ。ただし!逃げたら承知しないわよ!」

「誰が逃げるかよ。お前こそ逃げんなよ。」

 

こうして、俺たちの模擬戦が決定した。

そうこうしているうちにキンジがコンビニから帰ってきた。

飯を買って来たのはいいんだが・・・

 

「何でももまんなるものがこんなに大量にあるんだ?」

「お前こんなのが好きじゃなかったっけ?」

 

ちげーよ、俺が好きなのはわけの分からないやつだよ!こんなただのまんじゅうを食いたいんじゃないの!ガリガリ君のカレー味とかを食べたいの!

と言った内容をキンジに聞かせたら何故か引かれた。おかしいだろ。

ももまんはアリアに押し付けて俺は牛すじ弁を腹に収める。女の子は甘いものが大好きって言うしな。

 

「・・ていうかな、奴隷って何なんだよ。」

 

ここで本題をぶち込むとか流石キンジ。俺に出来ないことを平然とやってのける、そこにシビれる憧れる!

ももまんを食べていたアリアが顔をあげてキンジをみる。

 

「アサルトでアタシのパーティーに入りなさい。そこで一緒に武偵活動をするのよ。」

「何言ってんだ。俺は強襲科(アサルト)が嫌で武偵校で一番マシな探偵科(インケスタ)に転科したんだ。それにこの学校からも、一般高に転校しようと思ってる。武偵自体辞めるつもりなんだよ。それによりによってあんなトチ狂ったところに戻るなんて無理だ。」

 

おいキンジよ。お前も去年までそのトチ狂った場所にいただろ?忘れたのかよ。

 

「アタシには嫌いな言葉が3つあるわ。」

「聞けよ人の話を。」

「『無理』『疲れた』『めんどくさい』この3つは人間の持つ無限の可能性を押しとどめる良くない言葉。アタシの前では二度と使わないこと。」

 

アリアは手についた餡を舐めた。

 

「アンタはそうね・・・アタシと同じ前衛(フロント)がいいわ。」

 

おい、フロントっていえば武偵のパーティーの中で最前衛の位置じゃねぇかよ。しかもケガの確率もダントツの場所だ。

 

「よくない!そもそもなんで俺なんだ!栄介でもいいだろ!」

 

残念だったなキンジ。俺はもう取引済みだ。

 

「太陽はなぜ昇る?月はなぜ輝く?」

 

話がいきなりとんだな。会話のキャッチボールがうまくできない子か?蘭豹の方がまだ話が通じるぞ。

 

「キンジは質問ばっかの子供みたい。仮にも武偵なら情報を集めて推理しなさいよね。」

「キンジ〜、推測できるだけの情報売ってやろうか?」

 

そう言って指を三本立てる。

 

「三万か?情報料にしては高すぎやしないか?」

「はぁ?30万だよ。俺がそんな端金で動くと思うなよ。」

「てめぇはもう少し価格設定を考えやがれ!」

 

やれやれ、俺の情報量と精度はお前も知ってるだろうに。まぁ払わないなら働かないけどな。

 

「で、キンジあんたどうすんのよ。」

「どうするも何も入らないって言っただろ!」

「そう。なら、外で頭冷やして来なさいっ!!」

 

そう言ってキンジが部屋の外に蹴り出されてゆく。

あいつの部屋なのに可哀想に。そんな事を思って見ていたら俺まで叩き出された。何でだ。

叩き出された所で携帯を見る。

 

「お互い災難だったな、キンジ。俺は自分の部屋に帰るよ。」

「・・・尋問中じゃ無いのかよ。」

「終わったってメール来たし大丈夫だろ。」

 

そうキンジに別れを告げて自分の部屋がある諜報科の寮へと帰ってゆく。




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