緋弾のアリア〜勝手に大佐復活作品〜   作:ヨルムンガン

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行ったかと思ったよ
とんでもねぇ、待ってたんだ


第1弾 とんでもねぇ自己紹介

俺が2人の様子を見に校舎の方に歩いていると体育倉庫から人の話し声が聞こえてきた。この日は新学期で生徒は全員講堂に集められてるはずなのでこれはキンジ達に違いない。

そう思い近寄っていくと雰囲気の変わったキンジが愛銃であるベレッタをホルスターに戻してるところだった。周りには7台分のセグウェイの残骸が転がっていた。

てか、あいつあの小さな女の子でなったんだな。ロリコンか?

 

ガタゴト

 

音のした方を向くとさっきの女の子が跳び箱の中にいた。

 

「・・・お、恩になんか着ないわよ。あんなオモチャぐらい、あたし一人でも何とかできた。これは本当よ。本当の本当!」

 

おそらくは強がりを言いながら何やらゴソゴソしている。

どうしたんだ?

 

「そ、それに今のでさっきの件をうやむやにしようたってそうはいかないから!あれは強制猥褻!レッキとした犯罪よ!」

 

おいおい、いくらキンジが強襲科(アサルト)上がりの非常識野郎だからってそんなことは。

 

「アリア。それは悲しい誤解だ。あれは不可抗力ってやつだ。それと栄介は余計な事は言わなくていいからな。」

 

やっぱりばれてたか。気配も消そうともしなかったし当たり前っちゃ当たり前だが。

そんなことを言いつつキンジは自分のベルトを引き抜き、跳び箱の中へと投げ込んだ。

そして

 

「あれが不可抗力ですって!?」

 

女の子は跳び箱から飛び出しつつ

 

「ハ、ハッキリと・・・あんた・・・!」

 

ダンッ!

 

「あ・・・あたしが気絶しているスキに・・・ふ、服を脱がそうとしてたじゃない!そ、それに・・・む・・むむ」

 

ダンッダンッ

 

「胸見てたあぁあああ!!これは事実!猥褻の現行犯!あんた一体何するつもりだったのよ!!」

 

ダンッダンッダンッ

 

どうやらこの女の子はご立腹のようだ。・・・面白いしもう少し見とこ。

 

「せせせ・・・責任取んなさいよ!」

「よ・・よしアリア、冷静に考えよう。」

 

それにしてもこの子・・どっかで見た記憶があるな。それにアリアって名前も。

 

「俺は高校生―――しかも今日から2年生だ。中学生を脱がしたりするわけないだろう?」

「~~~~~~~~~~~~!あたしは中学生じゃない!!」

 

お、この展開はもしかして?

 

「わ、悪かったよ。インターンで入ってきた小学生だったんだな。助けられた時から。」

 

そこで唐突に思い出した。この髪形でこれぐらいの背丈の優秀な武偵を。

 

「こんな・・こんなヤツ・・・助けるんじゃなかった!!」

 

どうやらここからさらに面白くなるらしい。なぜならこの子は俺たちと同じ

 

バキュンッ

 

「うおっ!」

「あたしは高2だ!!」

「・・ま、待て!」

 

キンジがさらに発砲される前に女の子の両腕を抱える、がそんなことお構いなしに女の子は発砲を続ける。

 

ガガガガキンッキンッ!

 

どうやら弾が切れたらしいが・・・

 

「んっ、やあっ!」

 

お~、あんな小学生みたいな体型で高校生を、それもあの状態のキンジを投げ飛ばせるなんてな。さすがは近接格闘戦の申し子。二つ名は伊達じゃないみたいだ。

キンジは受け身を取りつつ外へ。

 

「逃げられないわよ!あたしは逃走する犯人を逃がしたことは一度もない!」

 

大見えを切ったはいいものの・・・

 

「あ・・あれ?・・・!」

 

そう探し物(マガジン)はさっき投げられるときにキンジが掏り取った。

しかしその行為が女の子をさらにヒートアップさせたらしい。

 

「もう許さない!」

 

言いつつ女の子は背中に手を突っ込み・・・

 

「ひざまづいて泣いて謝っても許さない!」

 

小太刀を二本取り出す。

さて、そろそろホームルームの時間だしキンジを連れていくか。

そう思い、手にナイフを握りしめて・・・

 

ガキンッ!

 

「キンジ~、助太刀しようか?」

 

俺は2人の間に割って入りながら問いかける。

 

「ちょっと、あんた!その猥褻男をかばう気!?」

「ん~そういう訳じゃないんだけどね。そろそろ不味いかなって!」

 

言葉の最後に気合を入れて女の子の刀を押し返す。

その隙に大きく後退して、右腕を大きく引いて刺突の構えをとる。

あるものを握りしめた左手を刃に添える。

その構えに警戒したのか女の子は突っ込んでこない。

ならばこの時を利用する!

そう思い()()を振り下ろす。

 

ボムッ

 

そんな気の抜けた音とともにモクモクモクと白い煙があたりに充満してゆく。

 

「んなぁ!」

「行くぞキンジ、出欠確認が始まっちまう。」

「ああ。」

 

これが俺、篠神栄介(しのがみえいすけ)

 

「待ちなさいっ!この猥褻男とその共犯者!でっかい風穴開けてやるんだから!!」

 

猪突猛進暴走女、神崎・H・アリアの出会い(ファーストコンタクト)だった。

 

 

 

その後、あの女の子の地団太を聞きながら自分たちの新しい教室への遁走に成功した。

 

「俺は高校生だ。小学生に変なことはしない(キリッ)」

「てめぇ・・・」

 

教室に入って直ぐに鬱に入ってるキンジを冷やかしにかかる。

マジで面白れぇ。

 

「いよーうキンジ!今年もこの武藤剛気さまが一緒のクラス・・・ってなんだぁ?朝から元気がねぇな。そんなに星伽さんと別のクラスになったのが悲しいのか?」

「・・・武藤、今の俺に女の話題を振るな。」

「いつものことだろ。」

 

挨拶ついでに冗談を言おうとした武藤と乗っかって冷やかした俺を人が殺せそうな目つきで睨む。

マジで怒ってんな。

 

こいつが鬱モードに入ってるのには訳がある。

こいつ(キンジ)には生まれつきの特異体質がある。

ヒステリア(Histeria)サヴァン(Savant)シンドローム(Syndrome)略してヒステリアモード。

これは一定量以上のβエンドルフィンに反応し普段の約30倍もの量の神経伝達物質を媒介し、中枢神経の活動を劇的に活発化させ、論理的思考能力、判断力さらには反射神経を飛躍的に向上する。

ここで問題が一つ。この能力が子孫を残すために存在するためにあるので、この状態の間は女にとって魅力的な男を演じる(キザな言動をする)、早い話が性的に興奮するとスーパーマンになれるというものだ。(俺はこの状態のキンジをスーパーキンジと呼んでいる。)のだが、キンジはこの事に耐えられないらしい。

まぁ、確かに思い出したら黒歴史ものだもんな。

さて、いじりすぎてもメンドくさくなるだけだからな。この辺で辞めてやるか。

 

「初日からお疲れ様。」

 

そう言ってあとは放置する。学校終わるころには立ち直ってるだろう。

 

 

 

ガラガラ

 

「はーい皆さん、2年生最初のHR(ホームルーム)始めますよー。席についてください。」

 

扉の開く音とともにほんわかとした雰囲気を纏った教師がHRの始まりを告げる。

この教師の名前は高天原ゆとり先生。

一昔前は血塗れゆとり(ブラッディーユトリ)の名で恐れられた傭兵だ。見た目だけは美人なのにもったいないよな。

 

「うふふっ、まずは~、去年の3学期に転入してきたカーワイイ子から自己紹介してもらいますよ♡」

 

と、俺が失礼な人物評価をしている間にドンドン話は進んでく。

なんか言ってたな。去年がどうのこうのって。

うーん、と頭を捻ってると先生が扉に手をかけた。

 

強襲科(アサルト)の神崎・H・アリアちゃんでーす。」

 

あぁ、キンジが机に突っ伏せた。

助けてくれ、と言わんばかりの視線でこっちを見てくるので良い笑顔で親指を立ててやった。頑張れキンジ。

そうしたらまた睨まれた。何でだよっ!今回ばかりは何も出来ないぞ。

 

「先生、あたしはアイツの隣に座りたい。」

 

あ~あ、可哀想にキンジ。

 

「な、なんでだよ!」

 

うん、その気持ちは分からなくはないぞ。ただ、今後のためにもその女嫌いを克服したらどうだ?

まぁ、横浜の時を知ってるからな。無理にとは言わんが。

 

「あとアイツも。」

 

何だか神崎が不穏なことを言った気がしたので顔を上げてみてみる。

そうすると、俺の方を指さしていた。

 

「なんでだよ!」

 

思わずキンジと同じ反応を返してしまう。

なんで俺にまで矢が飛んできた・・・あぁ、キンジを庇ったからか。

いろいろ諦めて自爆覚悟でキンジをいじりに行くか。

 

「よ・・・よかったなキンジ!お前にも春が来たようだぞ!先生!オレ、転入生さんと席変わります!」

 

お前が良かったのは恋のライバル(?)がいなくなることだろ、武藤?

武藤の隣の奴も無言で俺にサムズアップをしてから席を立った。何あの笑顔、超殴りたい。

 

「あらあら、最近の子は積極的ねぇ。それじゃあ二人とも席変わってあげて。」

 

先生、あなたも恋バナ好きですね。女子高生ですかっ!?あぁ、もうツッコミにはまわんねぇ。

 

「キンジ、これさっきのベルト。」

 

と神崎がキンジにベルトを投げてよこす。

 

「分かった!理子分かっちゃった!これフラグバッキバキに立っちゃってるよ!!」

 

今度は理子か・・・いや、乗ったらいじれるか?

峰 理子キンジ曰く探偵科(インケスタ)No.1のバカ女。

どうせ俺のことは考慮してないんだろうな。

 

「キーくんベルトしてない。そしてそのベルトをツインテールさんが持ってた!これ謎でしょ、謎でしょ!?でも理子には推理できちゃった!!」

 

あぁ、クラス中が固唾をのんで理子の続きを聞いてる。てか先生、あんたまで瞳をキラキラさせてどうすんだよ!

 

「キーくんは彼女の前でベルトをとるような何らかの行為をした!そして彼女の部屋にベルトを忘れていった!つまり二人は―――――――熱い熱い恋愛の真っ最中なんだよ!!」

 

うん、キンジの人物評価も当てになるもんだ。マジでアホだ、あの女。

俺は肉食獣のように場を引っ掻き回せるタイミングを計る。

理子の迷推理を聞いたクラスの奴らといえば・・・

 

「キ・・キンジがこんなにカワイイ子といつの間に!?」「影の薄い奴だと思ってたのにッ!」「チョット、夏に向けてペン入れしてたキンジ×栄介の薄い本が書き直しじゃない!!」「フケツッ!!」

 

オイッ!三番目チョット出てこい!なに本人達に許可とらずに書いてんだ!

ちらりと神崎の方を見ると俯いてプルプルしていた。

俺を巻き込もうとしたのかキンジが俺にも矢を放つ。

 

「おい理子。そしたらアイツが栄介も指定したのはどう説明すんだ?」

 

来ましたっ!飛んで火にいるなんとやら!!

残念だったなキンジよ。その返しは予想してたぞ!

さぁ、見よッ!俺のいっせいいち・・・

 

「キーくん、それはね3Pだよ!!」

 

そうそう3P・・って、え?

な、何を言ってんだこのバカ女は!

 

「3Pってそんな・・・」「あんな軽い奴にまで負けるなんて!」「キタコレッ!鬼畜男子と囚われの女子高生!これで夏は500部は堅いわねッ!」「栄介君もなんて、フケツッ!」

 

おい、夏のイベントに出す本の内容膨らましてる奴ちょっとこっち来い!俺と楽しいお話し合いをしようぜ!肉体言語でなッ!!

あぁ、これはとめらんねぇ。

諦めておとなしく席に座ろうとした瞬間・・・

 

ズキューン!ズキューン!

 

 

・・・・・チンッ!チン

 

二発の銃声と空薬莢の落ちる音が教室に響く。

 

「れ・・恋愛なんてくだらない!!全員覚えておきなさい!そういうバカなこと言うヤツには

 

 

             風穴開けるわよ!!!」




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