ノース校との友好デュエル当日、十代らはノース校の生徒たちを迎えるため港へと向かう。だが、到着になってもノース校の生徒らを乗せている船は一向に姿かたちを見せない。何かトラブルでもあったと考えたクロノスは携帯電話でノース校の先生方に電話をかけようとするが、相手が電波の届かない海上にいるせいか繋がることはなかった。
どうしようかと考えていると、港から大きな潜水艦が浮上してきた。潜水艦を間近で見る機会がそうそうないせいか男子生徒らは目をキラキラと輝かせている。そして、潜水艦のハッチが開かれると市ノ瀬が現れ、鮫島校長とバチバチと火花を散らかせながら握手する。友好と言っている割には二人の周りには険悪なムードが漂っているが、この友好デュエルはただのデュエルではないのだから仕方ないだろう。彼らは若いころからトメさんのキスを賭けて早食い・大食い対決、ロッククライミング対決やデュエルしており、今は友好デュエルの勝者を輩出した方がトメさんのキスをもらうという条件で賭けをしているのだ。ここ数年ではカイザーらに敗北し続け、鮫島校長が3年連続でキスをもらっている。そのため、市ノ瀬は男にプライドにかけてもこれ以上敗北するわけにはいかなかった。そのため、他校からの留学やデュエルのカリキュラムの見直しなどを積極的に行い、優秀な人材の育成に力を入れ続けてきた。
「俺の対戦相手って誰なんだ?」
「教えてやろう……それはこの俺だ!!」
十代が誰とデュエルするのかあたりをきょろきょろと見ていると、聞いた覚えがある声が聞こえる。その声の主の方を見ると、そこには黒いマントをはためかせたキング・万丈目サンダーの姿があった。十代と最後にデュエルした時とは違い人を見下したような態度が和らぎ、確固たる自信と熱き闘志がその目に宿っている。ノース校というデュエルがすべてを支配する極寒の環境に揉まれた万丈目は人としてもデュエリストとしても大きく成長していることが分かる。そんな万丈目を見たのか十代も万丈目とデュエルするのにより一層ワクワクしているのであった。
そんなとき、急に上空からヘリが降下してくる。そのヘリには大きく万と書かれており、万丈目グループ所有のものであることが分かる。そしてヘリから降りてきたのは万丈目の兄である長作と正司であった。
選手控室で万丈目は兄たちに何をしてきたのか尋ねる。すると、長作は手に持っていた大きなトランクを開ける。すると、トランクの中には多数のレアカードが所狭しと並んでいた。
「これは俺たちが金に物を言わせ買ってきたレアカードだ!」
「これらのカードを使えば、準のデッキはさらに強くなる!」
兄たちが言っていることは間違っていない。強いカードほど入手困難なレアカードとなっているのはデュエルモンスターズをやっていなくてもわかることだ。もし、強いカードがただのノーマルカードで手に入るような環境になるのであれば、デュエルモンスターズが終焉に向かっているに違いない。
そして、兄たちがここまで万丈目に力を入れるには理由がある。それは万丈目グループが政界・財界・カードゲーム界の覇者になるという大きな目的があるからだ。すでに正司は新進の経営者として有名であり、長作もこの前の総選挙で国会議員として名を連ねている。そして、万丈目もその期待を裏切ることなくジュニアの世界選手権で優勝を果たしており、同年代であれば知らないものはいないと言って過言ではないだろう。
兄たちからすれば万丈目がプロリーグに入り、DDのような無敗記録の一つでも作れば目的はほぼ達成したことになる。そのためにはデュエルアカデミアでトップの成績をとってもらわなければならない。だからこそ、兄たちはレアカードを集め万丈目に渡したのだ。十代らと会う前のかつての万丈目なら躊躇なくレアカードを手にしていただろう。
「だが断る」
「なぜだ!? レアカードを使えば、準!お前は最強!常勝!になれるんだぞ!」
「俺はアカデミアやノース校で色々なことを学んだ。どうすればデュエルで強くなれるのかを……
そして、俺は一つの答えを見つけたのかもしれない」
「答え? それは何だ?」
「それは……」
『おいらたちとの絆!』
「雑魚にも雑魚なりの使い道があるということだ!」
おジャマたちを無視し、万丈目は兄たちに答えの1つを告げる。昔では雑魚と呼ばれたカードもカードプールの増大とともに使い道が発見され、制限・禁止カードの仲間入りすることは多々ある。要は雑魚カードもレアカードも使い方次第なのだ。そのことを万丈目は兄たちに伝える。
(俺も一人で経営しているわけではない。役員や多数の従業員に支えられ、ここまでの地位にのし上がってきた)
(所属していた党に追い風が吹いたのも事実だが、後援者の力添えもあったのも事実か)
万丈目の言い分を聞くうちに、兄たちはこれまでの自分の行動を振り返る。そこには一人の力ではなしえなかった物語がある。彼らもまた|レアカード<<権力者>>だけでなく数多くの|雑魚カード<<ぶか>>を利用していたのだ。まさか万丈目にそのことを諭されるとは思いもしなかった兄たちはゆっくりと立ち去ろうとする。
「そのカードは準の好きなようにしろ。だが勝て」
「人の思いにこたえるには結果を出す……すなわち勝利するしかない!」
兄たちはそう言い残し、控え室から去って行った。一人残された万丈目はノース校の生徒、市ノ瀬校長、そして兄たちの思いを胸に秘め、最後のデッキ調整を行うのであった。
万丈目がデッキ調整を終え、デュエル場へと向かうと多数の生徒・教師が観客席を埋めている。そして目の前には観客席にいる友達に手を振っている十代の姿があった。万丈目に気づいたのか十代は振り向く。
「万丈目、楽しいデュエルしようぜ」
「さんだ!ノース校で鍛えられた俺とノース校全員の希望をのせたこのデッキで十代、お前に勝つ!」
「望むところだぜ、万丈目。俺も三沢たちの思いを無駄にするわけにはいかないからな」
互いに負けられない意地とプライドがある両者。デュエルの女神がほほ笑むのは万丈目か十代なのか……それは誰にもわからない。
「「デュエル!」」
万丈目LP4000
十代LP4000
-万丈目のターン-
「俺のターン、ドロー!
俺はモンスターを裏守備で召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」
大きなプレッシャーがかかる最初のターンで順調な滑り出しを見せる万丈目。少なくともプレッシャーのせいで負けるということはなさそうだ。
手札:4枚
場:裏守備モンスター
魔法・罠:伏せ1枚
-十代のターン-
「俺のターン、ドロー!
俺は融合を発動。手札のフォレストマンとバーストレディを融合。来い、E・HEROノヴァマスター!
ノヴァマスターで裏守備モンスターに攻撃!」
「ノヴァマスターが戦闘破壊に成功したことで1枚ドロー!」
「甘いな、十代!破壊されたおもちゃ箱の効果発動。デッキから攻撃力または守備力が0の異なる通常モンスターを2体特殊召喚する。俺はおジャマ・イエロー、おジャマ・グリーンを特殊召喚する」「一気に2体のモンスターを!?」
ノヴァマスターが炎を纏った拳で裏守備モンスターを殴ると、箱から2体のおジャマたちが飛び出してくる。厳しい縛りがあるとはいえ、レスキューキャットに匹敵するリクルート能力は脅威と言えよう。
「やるな万丈目。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」
手札:2枚
場:ノヴァマスター
魔法・罠:伏せ2枚
-万丈目のターン-
「俺のターン、ドロー!
俺は馬の骨の対価を発動。おジャマ・グリーンを墓地に送り、2枚ドロー!
おジャマ・イエローを生贄にアームド・ドラゴンLv5を召喚!」
手札を増強させ、キーカードを呼び込ませた万丈目はノース校に伝わるアームド・ドラゴンを召喚する。その名の通り全身にカッターやドリルなどの武装を施したドラゴンが敵である十代を睨めつける。
「強者の苦痛を発動。このカードの効果でお前のモンスターの攻撃力はレベル×100ポイント下降する。
アームド・ドラゴンLv5(ATK2400)でノヴァマスター(ATK2600→1800)に攻撃!アームド・バスター」
アームド・ドラゴンが巨大な爪でノヴァマスターを八つ裂きにする。
十代LP4000→3400
「罠発動、ヒーローシグナル!俺はデッキからエアーマンを守備表示で特殊召喚する。そしてエアーマンの効果でデッキからオーシャンを手札に加えるぜ」
十代もただおとなしくやられているわけではない。上空にHの文字が浮かび上がるとエアーマンが十代の場に駆けつけ、十代の手札を潤わせる。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド。そして戦闘破壊に成功したアームドドラゴンLv5はレベル7へと進化する」
手札:3枚
場:アームドLv7(ATK2800)
魔法・罠:苦痛
伏せ2枚
-十代のターン-
「俺のターン、ドロー!
融合回収を発動。墓地のフォレストマンと融合を手札に加える。
融合を発動。手札のフォレストマンとオーシャンを融合。行くぜ、万丈目。これが俺の切り札だ、E・HEROジ・アース!」
「来たか、ジ・アース!そのカードの召喚を許すわけにはいかない。罠発動、奈落の落とし穴!」
自分を敗北へと導いたジ・アースを苦々しく睨みつけ、強力な罠で除去しようとする。だが、落とし穴に落ちる前にジ・アースの姿が突如として消える。万丈目は何が起こったのかと十代の場を見ると1枚の罠カードが発動されていた。
「罠発動、パラドックス・フュージョン!このカードの効果でジ・アースを除外し、奈落の落とし穴を回避するぜ。そして2ターン後のエンドフェイズに、ジ・アースは戻る」
「ふん。それなら2ターン以内に決着をつければいいことだ」
「それは困るぜ。デュエルはこれからだろう。カードガンナーを守備表示で召喚。デッキからカードを3枚墓地に送る」
落ちたカード
ミラフォ
ネクロガードナー
フェザーマン
「カードを1枚伏せてターンエンド」
「ならばエンドフェイズにリミット・リバースを発動。俺が蘇生するのはおもちゃ箱だ」
十代がエンド宣言すると同時に万丈目はおもちゃ箱を再度召喚する。次のターンでリミット・リバースの自壊効果を使い、おもちゃ箱の効果を狙うつもりなのは自明であった。
手札:0枚
場:エアーマン
カードガンナー
魔法・罠:伏せ1枚
-万丈目のターン-
「俺のターン、ドロー!
俺はおもちゃ箱を守備表示に変更。この瞬間、リミットリバースの効果でおもちゃ箱が破壊される。おもちゃ箱の効果発動。デッキからおジャマ・ブラック、火炎木人18を特殊召喚する。
2体のモンスターを生贄にダーク・ホルス・ドラゴンを召喚!
アームド・ドラゴンLv7の効果発動。手札のアームドドラゴンLv10を捨て、攻撃力3000以下の相手のモンスターをすべて破壊する。ジェノサイド・カッター!」
アームド・ドラゴンの背中にあるカッターが青白く光りながらエアーマンたちを両断する。
「カードガンナーの効果で1枚ドロー!」
「ドローしたければいくらでもしろ。これで貴様の場にモンスターはいなくなった。俺はアームドドラゴンLv7、ダーク・ホルス・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「速攻魔法、クリボーを呼ぶ笛。このカードの効果でデッキからハネクリボーを特殊召喚するぜ」
「ならば、ハネクリボーを粉砕してくれるわ!」
アームド・ドラゴンがハネクリボーを粉砕するが、ハネクリボーの効果で十代にダメージを与えることができなくなった。これ以上することがない万丈目はターンを終える。
手札:2枚
場:アームドLv7
ダークホルス
魔法・罠:苦痛
-十代のターン-
「俺のターン、ドロー!
俺はバブルマン(アニメ効果)を召喚。バブルマンの効果で2枚ドロー!
マスクチェンジを発動。バブルマンを変身召喚!現れろ、M・HEROアシッド!
アシッドの効果発動。相手の魔法・罠をすべて破壊し、相手モンスターの攻撃力を300ポイント下げる。Acid rain」
アシッドの効果で強者の苦痛を破壊することで、ヒーロー本来の力を取り戻すことに成功するだけでなく、厄介な除去効果を持つアームド・ドラゴンが戦闘破壊可能になる。ダーク・ホルス・ドラゴンにはわずかに及ばないが、反撃の狼煙をあげたと言ってもよいだろう。
「アシッドでアームド・ドラゴンLv7に攻撃!Acid burret」
万丈目LP4000→3900
アシッドが放った弾丸がアームドドラゴンを貫き破壊する。そして十代はターンを終える。
手札:2枚
場:アシッド
魔法・罠:なし
-万丈目のターン-
「俺のターン、ドロー!
俺はダーク・ホルス・ドラゴン(ATK2700)でアシッドに攻撃!」
「俺は墓地のネクロ・ガードナーの効果発動。攻撃を無効にする」
ダーク・ホルス・ドラゴンが放った黒い火炎が半透明のネクロ・ガードナーによって防がれる。
「くっ……カードを1枚伏せてターンエンドだ」
手札:2枚
場:ダークホルス
魔法・罠:伏せ1枚
-十代のターン-
「俺のターン、ドロー!
俺は闇の誘惑を発動。2枚ドローし、ネクロダークマンを除外。闇の量産工場を発動。墓地のフェザーマンとバーストレディを手札に加える。融合を発動。現れろ、E・HEROフレイム・ウィングマン!
摩天楼-スカイスクレイパー-を発動。フレイム・ウィングマンでダーク・ホルス・ドラゴンに攻撃!スカイスクレイパー・シュート!」
摩天楼から飛び降りたフレイム・ウィングマンがダーク・ホルス・ドラゴンを殴りつけ破壊する。そして万丈目に向けて右手から火炎放射を放つ。
万丈目LP3900→3500→500
「アシッドでダイレクトアタック」
「罠発動、ガードブロック!戦闘ダメージを0にして1枚ドロー!」
「ターンエンドだ。そして、この瞬間ジ・アースが戻ってくるぜ」
万丈目はギリギリのところで耐えることに成功するが、十代の場には攻撃力2000越えのHEROが3体もいる。圧倒的に不利な状況に誰しもが万丈目の敗北を予感していた。万丈目がこのまま終わるようなデュエリストでないと思っている対戦相手の十代と逆転の手段があることを知っている万丈目自身を除いては……
手札:0枚
場:ジ・アース
フレイムウィングマン
アシッド
伏せ:なし
-万丈目のターン-
「俺のターン、ドロー!
ようやく来たか。俺はトライワイトゾーンを発動。墓地のおジャマ共を3体特殊召喚する。
おジャマ・デルタハリケーンを発動!お前のフィールドのカードをすべて破壊する」
「ええ、そんなのありかよ!?」
そのあまりにも強力な効果に十代は驚愕する。昔は発動条件があまりにも厳しいカードだったが、通常モンスターやローレベルのサポートカードが充実してきた今の環境においては比較的緩い条件ともいえる。フィールドを一掃された十代に自分を守る手段はない。だが、フィールドに攻撃力0のおジャマしかいない万丈目も攻撃することはできない。そんなことは万丈目も十分に承知だろう。十代はこの後、万丈目がどのような手段をとるのか楽しみでしょうがなかった。
「見せてやろう、こいつらにふさわしい舞台を!おジャマ・カントリーを発動」
おジャマたちが住む小さな家と風車が立ち並ぶのどかな田舎の風景へと変わる。
「おジャマ・カントリーの効果発動。俺のフィールドにおジャマがいるとき、モンスターの攻守は入れ替わる。おジャマどもでダイレクトアタックだ」
十代LP3400→400
一気に3000のライフを削られてしまう十代。もし、万丈目の手札に守備力400以上のモンスターが居ればこのターンで決着がついていただろう。間一髪で命拾いした十代を見ながら万丈目はターンを終えようとする。
「カードを1枚伏せてターンエンド」
手札:0枚
場:おジャマ
魔法・罠:伏せ1枚
-十代のターン-
「俺のターン、ドロー!
ホープ・オブ・フィフスを発動。墓地のジ・アース、フレイムウィングマン、ノヴァマスター、バブルマン、エアーマンをデッキに戻し、3枚ドロー!
ミラクル・フュージョンを発動!墓地のオーシャンとフォレストマンを除外し、ジ・アース再臨!
ジ・アース(ATK2000)でおジャマ(ATK1000)に攻撃!」
「お前が融合HEROで攻撃するのはわかっていた。罠発動、ジャスティブレイク!攻撃表示で存在する相手の通常モンスター以外のモンスターをすべて破壊する」
ジ・アースがおジャマたちが放った電撃によって破壊される。だが、これほど劣勢な状況においても十代にはあきらめた様子がない。
「カードを2枚伏せてターンエンド」
手札:0枚
場:なし
魔法・罠:伏せ2枚
-万丈目のターン-
「俺のターン、ドロー!
俺はおジャマ・イエローでダイレクトアタック」
「罠発動、攻撃の無力化!」
あと一歩が届かない万丈目と攻撃を防ぎながら逆転の機会を伺う十代。両者ともあと1撃を与えば勝利が確定する状況で膠着状態に陥ってしまう。はたしてどちらがこの膠着を抜け出し、決着をつけるのかハラハラする状況が続く。
「カードを1枚伏せてターンエンドだ」
-十代のターン-
「俺のターン、ドロー!
平行世界融合を発動!除外されているフォレストマンとオーシャンをデッキに戻し、E・HEROガイアを融合召喚!そしてガイアの効果発動。おジャマ・イエローの攻撃力を半分にし、その数値分ガイアの攻撃力を上昇させる。
ガイア(ATK2600→3100)でおジャマ・イエロー(ATK1000→500)に攻撃!コンチネンタル・ハンマー!」
「隷属の鱗粉を発動。攻撃してきたモンスターを守備表示にし、このカードを装備させる」
鱗粉によって惑わされたガイアは守備表示へと変わっていく。
「そう一筋縄ではいかないか。ターンエンドだ」
万丈目のターンへと移り、カードをドローしようとデッキに手を伸ばそうとする。だが、なぜか手を伸ばそうとしてもデッキに手が届かない。それどころかデッキからどんどん離れていくように感じる。万丈目は目をこすり、改めてデュエルディスクにセットされているデッキを見るが、デッキは間違いなくそこにある。
(俺が……カードをドローすることに臆しているとでも言うのか!?
あと1枚。あと1枚のカードを引けば逆転できるんだぞ!)
このターンであのカードを引くことができなければ、十代の攻撃を防ぐ手段はない。仮におジャマを守備表示にしてもメテオ・ストライクなどで貫通効果を持たされたら意味がない。そのため、万丈目はこのターンで決着をつけるしかなかった。そのプレッシャーが万丈目をおびえさせているのだろう。
そんあとき、万丈目のもとに多数の声援が聞こえてくる。万丈目の後ろにはノース校の生徒や
「これがラストターンだ!ドロォォォォォ!!
融合を発動。3体のおジャマを融合!おジャマキングを融合召喚!!」
銀色のムキムキ筋肉ボディのおジャマの王様が万丈目の場に現れる。このモンスターこそが万丈目のアームドドラゴンに続く第2のエースだ。
「隷属の鱗粉の効果で装備モンスターの攻守を変更する。
おジャマキング(ATK3000)でガイア(ATK2600)に攻撃!」
「罠発動、ヒーローバリア!」
(まだだ。俺の場には攻撃力3000のおジャマ・キングがいる。しかも隷属の鱗粉の効果でガイアは攻撃できない)
万丈目は惜しくも攻撃を防がれてしまう。だが、十代のデッキに守備力3000以上のモンスターがやすやすと入っているとは思えず、万丈目は少し余裕の表情を待たせながらターンを終える。
「俺のターン、ドロー!
俺は貪欲な壺を発動。墓地のカードガンナー、アシッド、ハネクリボー、ジ・アース、フェザーマンをデッキに戻し、2枚ドロー!
俺はガイアでおジャマ・キングに攻撃!」
「コンバットトリック狙いか。だが、隷属の鱗粉の効果発動。ガイアを守備表示に変更する」
「それにチェーンしてマスクチェンジを発動。ガイアを変身召喚!M・HEROダイアン」
「ちっ、相打ち狙いか」
守備力3000のダイアンが召喚されたことでおジャマキングが戦闘破壊されてしまう。だが、バトルフェイズ中なのでモンスターを召喚することはできない。つまり、1ターンの猶予が生まれるはずだと万丈目は考えていた。
「そいつはどうかな」
「なにぃ!?」
「万丈目がレベルアップモンスターを使うなら俺もレベルアップモンスターだ!チェーンが発生したことで俺は手札のハネクリボーLv9を特殊召喚する」
十代は賭けに、いや万丈目を信じていた。デュエルタクティクスが高い万丈目なら自爆ではなく突進のようなカードによるコンバットトリック狙いだと推測し、隷属の鱗粉の効果を使うと。
「ハネクリボーLv9の攻撃力・守備力は万丈目が使った魔法カードの数×500ポイントアップするぜ」
「俺が使ったのは馬の骨の対価、強者の苦痛、トライワイトゾーン、おジャマ・デルタハリケーン、融合の5枚……」
「よってハネクリボーの攻撃力は2500だ!ダイアンとハネクリボーLv9で攻撃!」
ダイアンと相打ちし倒れるおジャマキング。もう防御用のカードがない万丈目はハネクリボーの攻撃によって敗北するのであった。
万丈目LP500→0
十代は敗北して膝をついている万丈目に駆け寄る。
「楽しいデュエルだったぜ、万丈目」
「さんだ。今回のお前の勝利はたまたま運が良かっただけだ!」
普段ならともかく今回のデュエルはそう言われても仕方がない内容であるため、否定することができない十代。アカデミア側も同感なのかうんうんと頷くばかりである。そんなとき、万丈目は無言で去っていく兄たちを見かけ、後を追いかける。
「兄さん!」
「お前のデュエル見させてもらった。素人の俺たちからも素晴らしい内容だ。これからも精進しろよ、準」
「俺たちが世界一になるころにお前が落ちこぼれなんてことにならないようにな」
そういって兄たちはヘリに乗り込み、アカデミアを去って行った。万丈目は負けたにもかかわらず、兄たちに生まれて初めて励ましの言葉を掛けられたのだ。そして、次会うときとはより成長した姿をみせようと固く決心するのであった。
どっちに勝たせるか非常に迷いました。
色々と悩んだ結果、万丈目を成長させようとすることにしましたが、これでよかったのかは未だにわかりません。
次回からはセブンスターズ編に入りますが、すぴばるでコラボ話を作製するためこちらの投稿がかなり遅れます。
ご理解お願いします。