山田晃助は授業を受けていた……居眠りという態度であるが。
彼は教室の窓側後ろから二番目の席で前には背の高い生徒が座っているため、教師からは見えにくい位置にいる。
彼の平素の授業態度はいつも[コレ]なせいもあり晃助の成績は平均点より下、もしくはギリギリ赤点回避だ。
そのため書類上の彼しか知らない人物は、彼をこぞって馬鹿にする。
だが、そんな彼のいいところは―――
「やれやれ、やっと授業終わったかい」
「ネボスケ次は体育でフットサルだぞ」
「寝てばっかりで体動かないんじゃない?」
クラスメイトの男女がからかいの声をかけてくるが、適当に手をヒラヒラ振ってあしらい、男子更衣室へ向かう。
今日のミニゲームの相手はサッカー部員が四人いるクラスだ、対してこちらのクラスは一人だけ、
三チームに分かれて合計点を競うがのだが。
「雄太! ゴール前に走れ!」
「健人! 左にいるぞ!」
晃助は声を張り上げて指示を出す、指示を受けた生徒はその通りに動くと、シュートチャンスがあったり、回り込んできた相手プレーヤーに気づき守備が間に合ったりした。
全てがうまくいくわけでないが、これによりサッカー部員四人を含む相手に対し一人しかいない晃助のクラスは 七―五で勝利している。
フィールドから[戻ってきた]選手と勝利を喜ぶ晃助がいた。
彼はフィールドにいないにも関わらず、自分が参加する試合はもちろん全ての試合で指示をだしクラスを勝利に導いたのである。
しかし、仲間からいくら褒められても、
「俺の声を聴いて動けた奴がすごいよ」
「またまた~謙遜しちゃって」
「まぁ、確かに地味だよね」
「「「 アハハハ 」」」
クラスが盛り上がる中で晃助は表面上笑いながらも、(開けたフィールドだから俺は気付けたんだ、どうすれば得点につながるか、味方ゴールを守れるかを、山や森で視界の聞かない戦場ならこうもいかない)と考えたところで気付いた、(戦場だと? アホか現代にそんな物は無い、我ながら戯けたことを考える)と自虐していた。
だが彼のいいところは周りを見てどうすれば目的に近づけるか・達成できるかを思いつくことだ。
だがこれには、暗い愉悦と安心がある、確かに彼は見えていれば気付くことがある、ならば自分がすればいいだろう、そんな状況があっても行動しない、失敗するのが怖いからだ、先に相手が成功すればそれでいいのだが、相手が失敗したら?
自分が尻拭いをする、それで成功したら相手から感謝され自分は優越感を感じてしまう。
尻拭いに失敗しても、相手は己が失敗した手前強く批判できない。
仲間から評価されている[指揮能力]に晃助は複雑な感情を持っていた。
部活も終わり、家で食事も済ませ自室で[織田信長公の野望]をしようとした時―――
「グゥ!?」
突然頭痛が晃助を襲った、
「っなんだ……っ血は」
彼は思わず頭を抱え出血を確認しようとした、昔このくらいの痛みを経験したが、路地裏の喧嘩に巻き込まれ壁に頭を叩きつけられた時のモノに近い。
彼は痛みを堪えられずに、ベットに倒れそのまま緩やかに意識をなくした。
長々と現代編流して申し訳ない、イメージや文がまとまりにくいです。
さすがに次回からようやく戦国時代です。