沢芽喰種〜ザワメグール〜   作:神武音ミィタ

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白鳩乱入です。
この2人の名前は特に決まってません(笑)
モブ白鳩A、Bとでもいったところです(笑)


第7話 逃走

「喰種対策局……白鳩が⁉︎」

 

戦極に呼ばれるや否や、とんでもない報告を聞いてしまった。

 

「2人しか来ていないところを見ると、現地調査がメインのようだ。何とかはぐらかしておいたが、バレてしまうのは時間の問題だねぇ…。」

 

白鳩……私達喰種は、対策局のことをそう呼んでいる。通報を受けた白鳩は喰種を駆逐すべく出動する。白鳩に捕まれば、生きて帰るのは非常に厳しい。

 

「ここで君たちを匿っても構わないが、君たちの食糧が問題だ……だからと言って外に逃がすのも………危険だ。あぁ、どうしよう…どうしよう湊くん。」

 

「ふざけてる場合じゃない‼︎何かないの⁉︎奴らがこの町から出て行くまで、何とか凌ぎ切る方法は‼︎」

 

私は声を張り上げる。戦極は肩を竦める。

 

「無いことは無いが………一つだけ、その場凌ぎなら何とかなる方法がある。」

 

そして、人差し指を立てた。

 

 

 

 

「この二人だな。この町に迷い込んだ喰種ってのは。」

 

シドはスーツの男に写真を見せる。深雪と春奈の写真だ。

 

「ふん、顔さえ分かれば朝飯前だ。行くぞ。」

 

スーツの男はその場を後にした。それと入れ違いに、呉島 光実がそこにやってくる。

 

「まさか、シドさんが通報するとはね。」

 

「プロフェッサーが気に入っているが、いつ殺られるか心配でね。禁断の果実を手に入れるにしても、あの喰種の嬢ちゃんは邪魔にしかならないしなぁ…。」

 

「一応、ビートライダースの皆にも伝えたよ。喰種を発見次第殲滅……ってさ。」

 

「流石は、皆のミッチくんだな…。さて、あとはあの喰種対策局とやらに任せますか。」

 

シドはスーツケースを引きながら歩き出した。

 

「喰種が舞さんに襲いかかることだってあり得る。そんな危険な存在……野放しにするわけにはいかない。」

 

 

 

 

「………ホントに安全なのかな…?」

 

私と春奈はヘルヘイムの森に隠れることにした。ここなら通常の人間が入ることは不可能。やりすごせるだろう。仮に外のクラックから白鳩が入り込んでも、ロックビークルで逃げ出すことが可能らしい。

 

「大丈夫。何かあっても、私が守ってあげるから、安心して。」

 

「う、うん……。」

 

辺りは静かだ。この辺りはインベスが少ないのだろうか?

 

「………‼︎」

 

クラックが現れた。私達は木陰に隠れた。私は戦極にトランシーバーで通信を送る。

 

「戦極、クラックが現れた。」

 

『あぁ、分かっているよ。今場所を特定している……といきたいところだが申し訳ない…招かれざる客だ。』

 

「⁉︎」

 

クラックから出て来たのは……トランクケースに胸のあの胸章……‼︎

 

「白鳩…………‼︎」

 

 

 

ユグドラシルタワーのモニター室。そこに戦極はいた。

 

「マズイな……トルーパー隊に伝達。現在出現しているクラックから侵入者を確認。早急に送還させよ。」

 

トルーパー隊に伝達したあと、再び深雪に通信を送る。

 

「紅宮くん、たった今トルーパー隊を向かわせた。彼らが到着し、あの2人の男と交戦になり次第、ロックビークルでヘルヘイムから脱出したまえ。」

 

『分かった。』

 

 

 

木の陰で白鳩の2人が通り過ぎるのを待ちながら、右手のロックビークル…ヴァイオレットチェイサーを握りしめる。

春奈は私の肩を掴み、震えている。私は安心させるように、その手を握る。

 

「止まれ‼︎」

 

黒影トルーパーの部隊が到着した。十数人のトルーパーが白鳩の2人を囲む。

 

「ここから先は進入禁止だ。早急に立ち去れば、命の保障はする。」

 

「やはり匿っていたか、ユグドラシル。」

 

「ならば…力尽くで‼︎」

 

2人がアタッシュケースを展開…クインケを展開した。

 

「突撃‼︎」

 

トルーパー隊と白鳩が交戦になる。私はすかさずロックビークルを展開する。

 

「春奈‼︎」

 

春奈を後ろに乗せ、アクセルを踏む。そして、スミレの花弁に包まれ、私達はヘルヘイムから脱出した。

脱出すると、そこは廃工場だった。私はヴァイオレットチェイサーから降り、ロックモードに戻した。

 

「これからどうするの、深雪…。」

 

「奴らが私達の情報を握っているのは確かだ…ビートライダースも信用できない…とにかく逃げるよ‼︎」

 

私達は駆け出した。

 

 

 

 

「ぐあああああっ‼︎」

 

トルーパー隊は圧倒された。2人のクインケがアーマーに損傷を負わせ、再起不能にまで追いやったのだ。2人はユグドラシルタワーの人工クラックを潜った。そこには戦極 凌馬がいた。

 

「まさか…トルーパーをいとも簡単に、しかも生身で倒すとは……その武器、喰種の赫子に近い構造のようですね。」

 

「やけに詳しいな?」

 

「喰種を研究してみたものでね……?」

 

戦極は両手を上げ、降参のサインをした。白鳩の2人は写真を見せる。

 

「貴様が匿ったのはこの2人か?」

 

「えぇ、しかしここにはいませんよ?逃げてしまいましてね、ハハ……」

 

一人の男が、クインケを戦極に突きつける。

 

「申し訳ない申し訳ない……何でも言うことを聞きましょう、命だけはどうか……。」

 

もう片方の男は戦極に問う。

 

「あの兵士のシステム…喰種にも対応できるか?」

 

「あのシステムでは少し無理かと……あぁ、そうだ。対喰種用にチューニングした別のシステムならありますよ、えぇ、あります……湊くん?」

 

戦極が呼ぶと、湊は二つのアタッシュケースを手にやってきた。そして、アタッシュケースが開かれる。

 

「これは……」

 

そこにあったのは、ゲネシスドライバーとマツボックリエナジーロックシードだった。

 

「本来は量産型の力ですが、喰種相手なら効率良く駆逐出来ますでしょう……」

 

「……ふん、まぁいい。貰っておく。」

 

クインケを収納し、男2人はそれぞれ、ドライバーとロックシードを手に、タワーを後にした。

 

 

 

「プロフェッサー、よろしかったのですか?」

 

湊は戦極に問う。

 

「問題無いさ。あの状況は従うしかなかったからね、命が第一だ…私が死んだら元も子もない。」

 

戦極はコーヒーを口にする。

 

「興味深いデータを手放すのはやはり、私にしては出来ない事だ……。」

 

 

 

 

 

辺りが暗くなる。私達は海岸の砂浜で火を焚いていた。路地裏は危険だ。人目のつかない場所が1番と判断し、今晩は野宿することにした。

 

「ごめんね春奈……こんなことになっちゃって…。」

 

「うぅん、大丈夫。深雪……ありがと。」

 

「礼なんていいよ。当然だし。」

 

深雪は砂浜に座り込み、火に当たる。私は自販機で買った缶コーヒーを深雪に手渡す。

 

「ありがと。」

 

2人でコーヒーを飲む。

 

「あんた……‼︎」

 

横から声。私は立ち上がる。そこにいたのは……葛葉 紘汰。

 

「……何の用⁉︎」

 

私はドライバーを取り出した。

 

「わああ、ちょっと待てって‼︎今日は戦うつもりはない。あんたと、話がしたい。」

 

「話……?」

 

葛葉は頷く。

 

「他の仲間から喰種のことを聞いた……あんたは、その、喰種ってやつなのか?」

 

「……だったら何?」

 

「戒斗の仲間を殺したのもお前なのか?」

 

「……人の肉食べてるとこ見られたら、噂になっちゃ困るしね。」

 

葛葉の表情は……悲しげだった。

 

「……あんた、存在意義を探してるんだよな?」

 

「………見つかったよ。私の存在意義。」

 

「え?」

 

私はドライバーを収める。

 

「私は……この子の夢を守ることにした。人間と喰種が分かり合える世界を作る……その夢を守る。それが今の私の存在意義。」

 

「深雪……‼︎」

 

春奈が微笑む。

 

「……あんた、変わったな。」

 

「半分はあんたのお陰かも。葛葉 紘汰。」

 

「俺の?」

 

「強いも弱いも関係なく、守りたいものは守る……だったっけ?」

 

葛葉は笑顔を見せた。

 

「……あぁ‼︎」

 

葛葉が握手を求める。私はそれに応じた。

 

「…よし。ビートライダースの皆に知らせないとな。あんたらが悪者じゃないこと。あと、戒斗には俺が大事にはならないように説得しとくよ。」

 

「助かる。」

 

「じゃ、気をつけろよ‼︎」

 

葛葉はその場を後にした。

 

「いい人だね。」

 

「……そうかも。」

 

久々に、まともな人間に、信じられる奴に出会えた気がするかも。

 

「葛葉 紘汰……。」

 

 




恐らく、次の次くらいで新アームズ出します。
かなり悩んだ結果、思いつきました‼︎www
ただ、やっちまった感ありそうな感じ…構うもんかやったれ‼︎www

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