少し設定に関しては表現や情報が抜けているかもしれませんが、温かくご指摘いただけると嬉しいです。
「ビートライダーズを切り捨てるか……ま、それも計画のうちだからね、仕方がない。」
ユグドラシルタワーの研究所で、戦極 凌馬とシドは話していた。
「ガキ共も今頃、困惑しているだろうよ。町で発生した病気の原因が自分たちだなんて言われりゃな。」
「私としては十分にデータが取れればそれでいいがね。」
凌馬はモニターを一目見た。
「……おや、ヘルヘイムに迷える少女が。」
モニターには……1人彷徨う少女の姿が映っていた。
「亜種の保有者か……丁度いい。見てみようか。」
「じゃ、俺は貴虎に呼ばれてるんでね……また。」
シドは研究所を出た。
「何だここは……?」
路地裏の裂け目の向こうは…怪しげな雰囲気の森だった。奇妙な木の実が実っており、空も不気味な色をしている。
「!」
木の陰に隠れる。視線の先には…インベスがいた。
奇妙な木の実を食べている。
「これは……インベスの食べ物……という訳か。」
私は一つ実を千切った。
「キェエーッ‼︎」
「⁉︎」
背後からインベスが襲いかかってきた。私は躱す。4体のインベスが身構える。私は実をポケットに入れ、戦極ドライバーを装着した。
「変身。」
『ワイルドストロベリー‼︎』
ドライバーにロックシードをセットし、ロック。ブレードを倒す。
『ロック、オン‼︎』
『ソイヤッ‼︎ワイルドストロベリーアームズ‼︎惨劇・バーサーク‼︎』
私は櫻音に変身し、乱丸でインベスを斬りつける。初級インベスばかりだったお陰か、かなり簡単に倒せた。私はブレードを一回倒す。
『ソイヤッ‼︎ワイルドストロベリースカッシュ‼︎』
「はっ‼︎」
乱丸を回転しながら振るい、インベスを一掃した。私は変身を解除した。
「ふぅ………⁉︎」
私はポケットの実を取り出した。それは……ロックシードになっていた。インベスゲームではありふれた、ヒマワリのロックシード。
「この木の実が……ロックシードの元?」
私は木の実を再び千切る。今度は……紫色の、少し特殊な形状のロックシードになった。私はそれを解錠した。それは……スミレの花をイメージしたフロントを持つ、バイクに変わった。
「こんなものもあるのか……。」
しかし、ここで使うのは危ないな。またインベスに出会うのも厄介だ。私はバイクをロックシードに戻し、懐に入れ、歩き出した。
「亜種のロックビークルまで……彼女は一体……?」
研究所のモニターを眺める戦極 凌馬。そこへ……ユグドラシルの計画の主任、呉島 貴虎が現れた。
「凌馬……何をしている?」
「ヘルヘイムに侵入者だが、非常に興味深い実験体になりそうでね……少し観察をしている。」
「そうか……」
凌馬は貴虎の方を向いて、立ち上がった。
「貴虎、少し頼みがあるんだが……」
その手には……ゲネシスドライバーが握られていた。
「この森は一体………?」
かなり奥まで入ってきた気がする。私は川沿いに歩いていた。ここはどうやらインベスの住処……というのは間違いない。しかし、この木の実…いや、植物は一体何なのだろう…?
林を抜け、崖まで来た。
「⁉︎」
私の目の前には……遺跡のような集落が広がっていた。錆びれた街のような集落……それが、目の前に。
「これは一体……?」
私は崖をゆっくりとおり、遺跡に足を踏み入れた。
その中には、かつて人が住んでいたような形跡があった。ここにも人類が栄えていた……というの?だとすれば、この世界は一体……?
「ウウウ……‼︎」
背後から呻き声……青銅色の龍のインベスが背後に現れた。
私はロックシードを取り出した…が、しかし。
「ゴォッ‼︎」
インベスが口から火球を放った。足元に着弾し爆発。私は爆発で吹っ飛ばされ、ロックシードを落としてしまった。インベスが襲いかかる。
「グオオッ‼︎」
私は避け、インベスに蹴りを入れるがビクともせず、突き飛ばされた。私は柱に叩きつけられる。
「かはっ……‼︎」
私は跪いた。インベスが足を進める。
「く……調子に………乗るなっ‼︎」
私は自身の赫子……尾赫を出し、インベスにそれを叩きつけた。インベスは吹っ飛ぶ。私はそこへ追い打ちをかけるように、尾赫をインベスに突き刺し、地面に叩きつけた。インベスは悲鳴を上げ、動かなくなった。
「はぁ……はぁ………っ。」
私は尾赫を収め、ロックシードを拾った。
「いやいや驚いた。まさか生身でインベスを葬るとは…」
拍手とともに物陰から現れたのは…白衣にジーンズという奇抜な格好をした男だった。
「……あんた、誰?」
「私は戦極 凌馬……ユグドラシルの科学者だ。君の持っているその戦極ドライバー、及びそのシステムは私の作ったものだ。」
「……何か用?」
「勿論だ、君には沢山聞きたいことがある……ここではなんだ。私の研究所に案内しよう……来たまえ。」
戦極 凌馬と名乗る男は歩き出した。私はそれに着いて歩く。
道中、私は彼に話しかけた。
「ねぇ、あんたユグドラシルの人間なんでしょ? この森もユグドラシルが管理しているの?」
「うーん、そうだねぇ……なんとも言えないな。まぁ、我々がこの森を研究している…というのは確かだね。」
「………この森は何なの?」
「ここはヘルヘイムの森……まぁ、我々の住んでいる地球とは別の世界にある森だね。」
「……インベスはこの森を住処にしている…という認識でいいの?」
戦極は振り返り、笑顔を見せる。
「察しがいいね。そう、インベスはこの森の住民……と言っても過言ではない。だが……君はあの集落を見たかい?」
「………ええ。」
「ならば……何か疑問に思わなかったかい?」
疑問……か。
「……あそこにはかつて、何かの文明が栄えていて、滅びた……のでは無いか。」
「正解だ……君、中々頭が切れるねぇ…‼︎」
戦極 凌馬は……巨大な裂け目に入る。私はそれに続き、入る。その先には……多くの研究者の様な者達が、多くいた。私は裂け目の方に振り返る。
「これは………」
恐らく、人工的にこの裂け目を維持しているのだろう。
「これはクラック。この世界とヘルヘイムを繋ぐ裂け目さ。これがクラックの第1号。貴重だからね…こうして人工的に維持しているわけさ。」
戦極 凌馬が解説する。私は彼に再び着いて歩く。そして、広い部屋に着いた。戦極 凌馬はパソコンの前に座る。
「それで?他に私に聞きたいことは?」
私は戦極ドライバーを外した。
「……あんたらは何を企んでいるの?」
戦極 凌馬は不敵に笑み、答えた。
「人類救済プロジェクト……とでも言っておくよ。戦極ドライバーはその為にある。」
「これが……?」
「この地球は恐らくあと数年程でヘルヘイムに侵食される。そうなったときに人類が生き残る手段がそれだ。戦極ドライバーにロックシードを装着すれば、その栄養分を果実を食べることなく摂取出来る。それを量産化すれば、人類はヘルヘイムで生きてゆける……というわけさ。」
「ふぅん。ビートライダーズはその実験台だったわけ…か。」
「君たちには感謝しているよ。お陰で新たなシステムを生み出すためのいいデータが取れたからね。」
凌馬はパソコンをいじりながら話す。
「では、私から君に質問だ、紅宮 深雪くん。君は一体何者だい?あの戦い方からするに……君は人間では無いだろう…?」
私は顔を上げた。
「……人間じゃない…と言ったら?」
「少し身体を調べることになるだろうさ。命を奪うようなことはしないさ。安心したまえ。」
私は問いに答えた。
「……私は…喰種だ。」
戦極 凌馬は顔を上げ、私に歩み寄る。
「喰種………?」
「……人を食べないと生きていけない、亜人種。」
「人を……⁉︎」
戦極 凌馬は目を見開く。
「普通の人間と同じ食事をすると、吐き気を催す。人間の肉を食べないと…栄養が摂取できない。」
「そんなことが……っ‼︎」
戦極 凌馬は頭に手を当て、笑い出した。
「フハハハハ……ッ‼︎ 実に面白いよ……紅宮 深雪くん…っ‼︎」
「?」
こいつ……頭おかしいのか?
「……ふぅ。紅宮くん。是非、ユグドラシルに協力して欲しい……。シドから聞いたよ……君は己の存在意義のため戦っているのだろう?それなら、その存在意義をここで見つけて欲しい……‼︎」
戦極 凌馬は私に顔を近づける。
「………あんたに従えと?」
「私はただ、君に力とそれを試す相手を与えるだけさ。私が欲しいのはあくまでもデータだからね。君は新しい力を思う存分使え、私は素晴らしいデータを得る。またそのデータから新しい力を生み出す………どうだい?悪くない話だろう?」
「………ふぅん。」
……まぁ、ビートライダーズは自分がモルモットにされていることに気づいていない訳で、そんな奴らと一緒にされるのも馬鹿馬鹿しいな。
だったら、この男の言うことが正しいかもしれない……か。
「分かった……。」
私は椅子に座った。
「あんたの仲間になる。」
ユグドラシルに加わりました深雪さん。
ちなみに作者のお気に入りのアーマードライダーはデュークです。
かっこいいですデューク(^_^)