沢芽喰種〜ザワメグール〜   作:神武音ミィタ

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千秋ちゃん覚醒回です。
アボカドって……野菜だっけ?フルーツだっけ?www
あ、でもサラダとかに入るし野菜?あれ?www


第13話 居場所

『碧神、亜門だ。悪いことは言わない。そこから戻ってこい。さもなくば、君は処罰を受けることになる。君の母上と父上がご立腹だ。早く戻りたまえ。』

 

携帯に入っていた留守電を聞き、削除。私…碧神 千秋は拳を固める。

 

「また、パパとママか……。」

 

こんなはずじゃなかった。私はただ、沢芽市に帰りたかっただけ。なのに、パパとママは……私を捜査官に…私の意思なんか無しに………。

沢芽市の喰種さえ倒せば、私はパパとママに説得できる。そして、私は自由になって、捜査官をやめて沢芽市でまた暮らせる。なのに……

 

「沢芽市はもう………」

 

私の知っている、私の大好きな沢芽市はもう無い。ビートライダースのランキングは無くなり、町にはインベスが蔓延り……ゴーストタウンだ。一緒に踊っていたメンバーも、いなくなっていた。

 

「………私に、居場所なんか無いのかな…。」

 

そうだ。今の私に居場所なんてない。

 

「私は………何のためにここにいるんだろ……?」

 

私は一人、沢芽市を彷徨う………。

飼い主を失い、野良犬の成り下がった犬のように、トボトボと……。

 

 

 

 

「ふぅ………。」

 

白鳩はいなくなったようだ。あらゆる場所を回ったが、いない。紘汰やザックにも探してもらい、そちらも大丈夫のようだ。良かった、これでインベス退治に専念できる。

とりあえず、まずはこの沢芽市のインベスの問題を解決しないと。白鳩とわかり合うのはそれからでも遅くない。

 

「少しでも恩返ししなきゃだしね、この町に。」

 

よし、コーヒー飲みたくなったな……。私はドルーパーズに向かった。

 

 

 

 

「はぁ………。」

 

荒廃し、人足の消えた街を一人歩く。もう溜息しか出てこない。

 

「はぁ………。」

 

「グゥウウウ………‼︎」

 

「ひっ⁉︎」

 

物陰から姿を現したのはインベス。私は腰を抜かしてしまった。慌てて戦極ドライバーを取り出そうとするも、手を滑らせてしまう。

ゆっくりと歩み寄ってくるインベス。

 

「あ…………あぁ………っ。」

 

これで死ぬのかな、私………。

 

「はっ‼︎」

 

インベスの前に飛び出してきたのは……チームバロンの駆紋 戒斗。

蹴りを喰らったインベスは怯む。

 

「貴様、何をしている?」

 

「え………?」

 

「力を持っておきながら、何故使わない?」

 

「グオオオオッ‼︎」

 

インベスが立ち上がる。

 

「力は使わなければ意味がない……力とは、こう使う‼︎」

 

駆紋 戒斗は見慣れないドライバーを装着。見慣れないロックシードを解錠した。

 

「変身。」

 

『レモンエナジー‼︎』

 

ロックシードをドライバーにセットして、ロック。レバーを押し込む。

 

『ロック、オン…‼︎』『ソーダ‼︎』

『レモンエナジーアームズ‼︎ファイトパワー‼︎ファイトパワー‼︎ファイファイファイファイファファファファファイト‼︎』

 

アーマードライダー…バロン?新しいアームズ?

 

「せいっ‼︎」

 

右手の弓でインベスを切り裂く。インベスは斬撃をくらい、怯む。

 

「流石はゲネシスドライバー……戦極ドライバーとは大違いだ‼︎」

 

バロンはドライバーのレバーを二回押し込む。

 

『レモンエナジースパーキング‼︎』

 

「てやぁああああっ‼︎」

 

バロンはインベスにキックを浴びせる。インベスは吹っ飛び、爆死した。

私は落とした戦極ドライバーを拾い、立ち上がる。バロンは変身を解除した。

 

「こんなところで何をしているんだ、貴様。」

 

「わ、私は…………」

 

私は彼に、この街に来てからここまでの経緯を話した。

 

「……ふん、居場所が無い…その程度で弱気になるとは………弱すぎる。」

 

その言葉は、私の心に突き刺さる。

 

「この世界は所詮、奪うか奪われるか……生きるか死ぬかだ。そうやっていつまでも怯えながら縮こまっているだけでは…奪われ、死ぬだけだ。」

 

駆紋 戒斗は吐き捨てるようにそう言い残し、去っていった。

 

「………生きるか、死ぬか……。」

 

私は、どうすればいいのか、何が正しいのか……わからなくなってきた。

再び、トボトボと歩き出した…。

 

 

 

「ふぅ………美味し。」

 

阪東さんのコーヒーはやっぱ美味しい。私は一人ドルーパーズに来ていた。

 

「いやぁ、それにしても良かったよ。捜査官とやら、どっか行ったんだろ?無事で良かった。」

 

阪東さんがカウンターから言う。

 

「ホントにね…。」

 

店のドアが開く。一人の少女が入店してきた。

 

「……‼︎ あんた……。」

 

眼鏡の少女……白鳩のアーマードライダー‼︎

私は警戒する。

しかし………。

 

「…………座ってもいい?」

 

私の向かいの席の椅子に触れ、私に尋ねる。虚ろな瞳で。

 

「……いいけど。」

 

少女は座った。

 

「……どうしたの、あんた。」

 

「…………ねぇ、あなたは居場所ってある?」

 

? 何を言ってる……?

 

「………今の私には、居場所はある。この街で、色んなことを教えてくれたこの街に恩返しするために……私は今、この街にいる。」

 

「そっか……素敵だね。」

 

少女は虚ろな瞳で言う。

 

「私には……居場所どころか存在している意味さえも無いや………。」

 

……相当病んでるわね。

 

「居場所ならあるでしょあんた。捜査官なんでしょ?だったら……」

 

「捜査官なんて……ホントはなりたくなかった。」

 

え……?どういうこと?

 

「私はビートライダースとして、ダンスがしたかった。けど、捜査官の両親は反対して、私は無理矢理捜査官にさせられた。喰種が沢芽市に現れたとき、沢芽市に帰れる、楽しい日々に戻れるって思った。けど、沢芽市はこの有様………。」

 

少女は……涙を流した。

 

「私………なんで生きてるのかな………っ。」

 

「…………あんた馬鹿でしょ。」

 

私は彼女を睨みつける。

 

「……生きてる理由なんざ、自分で探すもんよ。他人に聞いてどうにかなってるなら、今この世界成り立ってないわよ。」

 

「自分で……探す……」

 

「あんた、何がしたいの?」

 

少女は眼鏡を外し、涙を拭う。

 

「………この街で踊りたい…もう一度。捜査官なんてこと辞めて……沢芽市を元に戻したい……。」

 

「そのために、あんたが何を出来るか………まぁ、戦うしかないわね、インベス達と。」

 

「え………。」

 

その怯えた表情をした顔の頬をはたく。

 

「……言ったわよね?あんたみたいな卑怯な生き方は嫌いって。」

 

私は立ち上がり、レジにお金を置いた。

 

「この街を護りたい…元に戻したいなら、戦いな。正々堂々、死ぬ覚悟で、ね。」

 

私は店を出た。

 

 

 

 

「私は…………。」

 

死にたくない。

でも、街を元に戻したい。

 

「私は…………………。」

 

私は立ち上がり、店を出る。そして、電話をかける。

 

『なんだ、馬鹿娘。』

 

重い声に震えるも、私は話した。

 

「……パパ、私、捜査官辞めるから。」

 

『貴様、勝手なことを言うな。そもそもお前に拒否権など無いのだ。さっさと…』

 

「そ……そうやって拘束ばっかして‼︎ 私のことを考えてよっ‼︎」

 

『⁉︎ 貴様……どの口が言うかっ⁉︎』

 

怖くない………怖くない……っ‼︎

 

「い、今っ、この口が言ってるのっ‼︎ パパとママの考えなんか知らない‼︎ 私は私のやりたいことをやるの‼︎ 捜査官なんて辞めるのっ‼︎」

 

『おい待て…』

 

電話を切った。

切ってやった。

帰る場所なんかいらない。

この街が……私の帰る場所なんだ‼︎

 

「……っ‼︎」

 

私は走り出した。

 

 

 

河川敷にクラックが出たというザックからの連絡を受けたのはドルーパーズを出て5分ほどした後だった。飛び降りて自殺した男の死体を路地裏で食べていたところ、ザックから連絡が来たのだ。とりあえず内臓だけ引きずり出し、大急ぎで飲み込む。よし満腹。

服に血は……付いてない。オッケー。

私は河川敷に向かった。

 

「このっ‼︎ おらっ‼︎」

 

「せいっ‼︎ てやぁっ‼︎」

 

既にナックルと鎧武がインベスと交戦していた。私はドライバーを装着し、ロックシードを解錠。ドライバーにセットして、ロック。ブレードを倒す。

 

『ワイルドストロベリー‼︎』『ロック、オン‼︎』

 

「変身‼︎」

 

『ソイヤッ‼︎』

『ワイルドストロベリーアームズ‼︎惨劇・バーサーク‼︎』

 

「さぁ、満腹にもなったことだし、血祭りにしてあげる‼︎」

 

櫻音に変身し、インベスを薙ぎ倒していく……が、数が多い。

 

「おい‼︎ なんかめちゃくちゃ多くねぇか⁉︎」

 

ナックルがインベスを殴り飛ばしながら言う。

 

「この人数でも…だいぶキツイかもね……っ‼︎」

 

あと一人……誰かいればすっごい楽なんだけど、そう簡単にはいかない………?

 

「うわあああああああっ‼︎」

 

こちらに向かって走ってくるのは……あの眼鏡⁉︎

少女は戦極ドライバーを装着した。

 

「あいつは⁉︎」

 

「白鳩の⁉︎」

 

少女は走りながら、ロックシードを解錠。

 

「変身‼︎」

 

『アボカド‼︎』

 

ドライバーにロックシードをセットし、ロック。ブレードを倒す。

 

『ロック、オン‼︎』

『カモン‼︎』

『アボカドアームズ‼︎ミッション・オブ・シューティング‼︎』

 

少女はアーマードライダーに変身。武器のライフルでインベスを撃ち落とした。

 

「あんた………」

 

「私は……私のやりたいことをやるために、この街を取り戻すために…戦う‼︎」

 

アーマードライダーはライフルを放つ。威力は抜群だ。

 

「私は……アーマードライダー…エグゼスだ‼︎」

 

アーマードライダー…エグゼスはドライバーのブレードを倒した。

 

『カモン‼︎』

『アボカドスカッシュ‼︎』

 

「でやぁああああっ‼︎」

 

巨大なエネルギー弾が、インベスを一掃。

数が減り、クラックが閉じた。

 

「よし、片付けるぜ‼︎」

 

ナックルはスイカロックシードを取り出す。それに続き、鎧武はカチドキロックシード、私は赫子ロックシードを取り出した。

 

『スイカ‼︎』『カチドキ‼︎』『赫子‼︎』

 

『ロック、オン‼︎』『ソイヤッ‼︎』

 

『スイカアームズ‼︎大玉・ビッグバン‼︎』

『カチドキアームズ‼︎いざ、出陣‼︎エイエイオーッ‼︎』

『赫子アームズ‼︎血華乱舞・オン・サヴァイバル‼︎』

 

私たちはそれぞれアームズチェンジ。

 

「ここからは俺たちのステージだ‼︎」

 

「さぁ、宴を始めましょうか‼︎」

 

『ヨロイモード‼︎』

 

「っしゃあっ‼︎」

 

ナックルは飛翔し、インベスをパンチで一体ずつ薙ぎ倒す。

鎧武は火縄大橙DJ銃で、エグゼスはライフルで空中のインベスを撃ち落とす。

私は赫子を巧みに使い分け、地上のインベスを一掃しつつ、空中のインベスに羽赫を飛ばす。

 

「決めるぜ‼︎」

 

『スイカスカッシュ‼︎』

『ロックオン‼︎ 』

『カモン‼︎アボカドスカッシュ‼︎』

『羽赫‼︎』『ソイヤッ‼︎赫子スカッシュ‼︎』

 

「どぅらぁあああっ‼︎」

 

ナックルがスイカのエネルギー弾を放ち、インベスを拘束。

 

「セイハーッ‼︎」

「はぁっ‼︎」

 

そこへ鎧武のDJ銃とエグゼスのライフルが火を吹く。

 

「サァアアアアアイッ‼︎」

 

更に私の羽赫がそこに入り、インベスは全て爆発した。

 

爆炎が収まり、私たちは変身解除。眼鏡の少女は私に歩み寄る。

 

「…………私、ここにいてもいいかな?」

 

その顔は……明るかった。

 

「……いいんじゃない?」

 

私は彼女の肩に手を置いた。

 

「ここに、あんたのやるべきことがあるならさ。」

 

私も笑顔で返した。




次回はオーバーロードを出す予定です。
オーバーロード語、何とか覚えてみたいけど、中々難しい(ーー;)
グロンギ語より難しいかも……www

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