ハリー・ポッター -Harry Must Die- 作:リョース
ハリーは寮に戻ってドレスを脱ぐと、下着姿でベッドに倒れ込んだ。
隣には驚いた顔のアリシア・スピネットがいる。だが今は気にする余裕はない。
失恋してしまった。しかもその後、ドラコ相手に愚痴って泣いた。
恥ずべき汚点だ! ハリーは枕に顔を埋めて両足をばたばた動かして悶えた。
「うおおお死にてえええ」
「女の子出す声じゃないわよそれ」
呆れたジニーの声が聞こえる。
ここはグリフィンドールの女子寮、五人部屋だ。
ハリーが三年間を過ごした四人部屋ではない。ジニー・ウィーズリー、アリシア・スピネット、アンジェリーナ・ジョンソン、ケイティ・ベルの部屋だ。残るベッドは何があったのか知らないが、魔法修復が効かないほどに破壊されて部屋の隅に放置されている。
ハーマイオニーとハリーはいま相当険悪な状態にあるため、周囲の精神的な健康を慮ってジニーと部屋を交換してもらい、ハリーはこの部屋で寝泊まりしているのだ。
アンジェリーナはまだ帰ってきていない。というか、たぶん今夜は帰ってこない。アリシアとケイティがにやにやしながらも羨ましそうにしていることから、お察しである。
「あー、私も彼氏欲しいなあ」
「ハンサムな人がいいなぁ」
「ロンがよかったぁー」
「「未練たらたらじゃないの」」
「ジョークさ」
ドラコの慰めは、あれはあれでハリーにとっていい刺激だったらしい。
ロンとのことをジョークで笑い飛ばせるくらいには、精神的に回復したのだ。……問題は明日以降、どう接すればいいのかだ。アリシア曰く、疎遠になりたくないならば一言謝って水に流してもらう。ケイティ曰く、アタックし続けてもいいんじゃないとのこと。
ケイティの意見は論外だ。面白がっているだけである。それにロンはハーマイオニーを好いていると言っているのに、アタックし続けても余計に関係がこじれるだけだ。
素直にアリシアの案を取るべきか。悪いことはしていないのに謝るのも変なため、そこはちょっと変える必要はある。ハリーとしては勢いとはいえファーストキスを捧げるほどの想いがあったのだ、その気持ちを嘘にしたくはない。
「でもさぁ、ハリー。悪意はないってことを前提で聞きたいんだけど」
「なぁにアリシア」
「今回、なんでハーマイオニーに見せつけるようなことをしたの? そんなことしたら下手すると絶交モノだってわかってるでしょう?」
「ああ、それね」
ハーマイオニーは、ああ見えてプライドが高い。
ロンがダンスパーティに誘ってくれるまで自分からは決して誘わなかったことからも、それが窺える。
今回のロンとハーマイオニーの喧嘩は、ロンだけに非があるわけではないとハリーは考えている。むしろロンが他人からの好意に鈍感であることを知りながら、期待が外れたということで他の男の誘いに乗るという報復を行ったハーマイオニーの方に非があると感じたのだ。
「まぁ、確かに当て付けにしちゃーやりすぎだわね」
「しかもお相手はクラムでしょ? 他の
そう、相手も問題なのだ。
ビクトール・クラム。プロのクィディッチ選手であり、ロンの憧れる男。
自分より完全に上に立つ者が恋敵であるというのは、男のみならず女でも絶望を味わうには十分だろう。特にロンはいささかメンタルが脆い。たぶん、今日のことはトラウマになっているはずだ。
「あと美味しい役目だし」
「おどけたのか本気なのか判断に苦しむわね」
「でも同時に一番損な役回りじゃないの。ハリー、あなた結局、二人の仲を取り持とうとしたんでしょ?」
その通りである。
ハーマイオニーがロンに対してしたことと同じことを行い、彼女の嫉妬と焦燥を煽る。
そうすることでハリーは、ハーマイオニーに伝えたかったのだ
誰もロンを狙っていないというわけではない。決してお前のものだと決まっているわけではない。ぞんざいに扱っていると知らないうちに取られるぞ、と。
ハリーは薄々、自分に勝ち目がないことを悟っていたのだ。いつも一緒にいる、異性として好きな男の子。その言動や行動を見て、自分に気があるかどうかくらいはわかる。
まあ、ロンのファーストキスを貰ったのは、ささやかな報酬ということにしておこう。
この話を聞いたジニーならば「押し倒してソッチも貰っちゃえばよかったのに」と言ってきそうだが、ハリーは立派に純潔だ。そんなぶっ飛んだことまで出来るはずがない。というか、ジニーが耳年増で早熟すぎるだけだ。
そんなジニーは、ダンスパートナーにネビルを選んだ。いまごろ楽しく踊っていることだろうが、下手をしたらネビルと共に大人の階段をヒャッホウしているかもしれないのだ。
もしそんなことになれば、ロンの胃に穴が開くだろう。
好きな女の子が自分より優れた年上の男と一晩中踊って過ごし、妹のように想っていた親友に告白されファーストキスを奪われ捧げられた翌日に、ルームメイトが一足先に大人の階段をアセンディオ、更には愛する妹が一晩でオトナの女にアニメーガス。血を吐いてブッ倒れてもまったく不思議ではない。
「……今回の一番の被害者ってロンじゃないかしら」
「……」
「…………」
何も言えん。
話を切り替えようとしたのか、ケイティが慌ててハリーのベットに座って口を開いた。
「と、ところでハリー。鍵については何か分かった?」
「あー、いいや、全く。競技はもうすぐだってのに、全く分からなかった」
ごろりと仰向けになれば、圧迫されていた胸が解放される。
ケイティが揺れるそれを見てごくりと喉を鳴らしたが、無視した。そんなお下品なジョークに付き合ってやる義理はない。
「じゃあぶっつけ本番ってこと? 結構キツくないかしらそれ」
「割とキツいかな……。でもまあ、何とかなるだろう」
「楽観的ねえ」
毎年死ぬような目に遭う際に、事前準備などほとんどない。
それを思えばたかだか人が組んだ対抗試合である。
そう考えないと、やっていけないのだ。
*
選手たちが揃って廊下を歩く。
ローズマリーがうきうきしながら歩き、その後ろをハリーがついていく。
彼女の機嫌がいいのはわかるが、隣のセドリックがどうも少し落ち込んでいるのが気になる。よもやロンとのアレを見られたかな? いや、流石にないだろう。
以前ドラゴンと戦った競技場は綺麗さっぱり片付けられており、まるでローマのコロッセオを彷彿とさせるフィールドへと変わっていた。魔法って便利。
「しかし、コロッセオときたか。第二の試練もキツそうだな」
「殺せ? なにを物騒なこと言ってんだハリー」
「コロッセオ。古代マグルの作った施設だよローズ」
「へぇ。知らね」
「おおっとぉ、僕らの古く美しい歴史に美少女達が興味を持ってくれるなんていやあ光栄だなぁどうだい今晩ベッドの上に僕らの熱く激しい歴史を綴ろうじゃないか」
「「『エクスペリアームス』!」」
「ぐわあー」
吹き飛んでいったブレオを横目に、選手たちはそれぞれの控室へと案内される。
何やら奇妙な待機テントだった。
奇妙に巨大で、真っ直ぐ細い道を通っていけば、円形になった中央の部屋からそれぞれの控え室に通されるのだ。上から見れば、まるでスライスしたオレンジのようになっているに違いない。
あまりにも突拍子もないイベントは勘弁してほしいものだ。
『さぁ、始まります! 代表選手たちへ降り注ぐ数々の苦難も今回で第二回目! 伝統の三校対抗試合では試練も合わせて三つだったので、今年度はそれじゃあつまらない! 司会の私も全部で何回あるのか、聞かされておりません! まあ、今回が二回目ってことは間違いないんですけどね!』
「マジかよ」
一人控え室に居る中、ハリーは唸った。
というか競技回数くらいは選手たちに教えてもいいんじゃないかな。
それを探ることすら優れた魔法使いとしての課題とでもいうつもりだろうか。
そんなものは情報戦のタツジンであるニンジャや、英国一のスパイであるミスター・ボンドにでも任せておけばいい。
「う、ワッ」
リラックスするために適当な思考に身を埋めていたハリーは、突如地面が揺れたことで思わず驚いた。すわ敵襲かと思いきや、そうではないようだ。あまりにも横揺れが大きすぎるし、床や壁を視てみれば随分と大規模な《浮遊呪文》をかけられている。
このテントの構造に、浮遊呪文。そしてコロッセオ。
嫌な予感がする。
「……着地したか」
酷い揺れと共に、浮遊感が消える。もう少し優しく扱ってほしいものだ。
ハリーは懐から杖を抜くと、右手に持って構える。
そろそろそうした方がいいかなと思ったのだが、それはきっと正解だろう。
『さあ、第二試練の始まりだ! 選手たちへの説明は一切なし、突発的な状況に対応できるかを見せてもらいます! ではではいっせいにコロッセオまで来てくれよう!』
司会者のテンションが高まるにつれて、会場のボルテージも上がっているようだ。
余計なことをしないでほしい。魔法生物と戦ったりするとしたら、その歓声で刺激してしまい、ただでさえ凶悪なモノがより狂暴化するのだから、殺し合う側としてはたまったものではない。
『テン……ナイン……ええい、まどろっこしい! スリーツーワン! はい始めッ!』
投げやりなカウントダウンが終わると同時、テントの入り口がざあっと開いた。
杖を構えたまま飛び出したハリーは、テントの出口をくぐる際にひどく蒸し暑い感触を味わって、一瞬だけ肝が冷えた。魔法式を視る余裕がなかったことに舌打ちする。
そして周囲を見たとき、ハリーはひどく面食らった。
「うわっ、なんだこれ?」
ローズマリーの声を聞けば、彼女も困惑しているらしい。
彼女の格好を見ればよくわかる。青いオーラが彼女の全身から立ち上っていたからだ。例えるなら熱いお風呂に入って、それから寒い脱衣所に出てきたときのような感覚。
他のみんなも、それぞれ色は違えど似たようなオーラに覆われている。
赤いオーラを立ち上らせたまま、ハリーは聞こえてきた司会者の声に耳を傾ける。
『さぁ第二試練の始まりです。実況は危険な蜂野郎、バグマンのおじさんが行います。実況はこちら、ホグワーツ魔法薬学教授のスネイプ先生』
『なぜ我輩が……』
『はいよろしくお願いしますね先生。さて、今回の競技を説明しましょう!』
ぎしゃー、という鳴き声が聞こえる。
慌てて出所を確認してみれば、なにやら布で隠された大きな檻がハリーたちの上空に浮かんでいた。なにが入っているのか分からないが、まずろくでもないものだろう。
今回の競技も血生臭いものになりそうだ、とセドリックが苦笑いした。
『何十年も前のウィザーズ・トーナメントで採用されていた競技がただいま復活! 名づけて《チキチキチキンお料理競争》だ!』
「猛レースじゃないのか……」
ソウジローがなにやら呟いていたが無視した。
『この競争の内容は至って簡単! 襲い来る魔法生物を多く倒せば倒すほど点数が加算されるというものです! フィールドは見ての通り円形のコロッセオのみ、上空にあがって爆撃とかは禁止です。地に足付けてくださいね』
ウィットを含んだ説明に、観客席から笑いが起きる。
だがハリーとしては笑えない。
またか、また魔法生物と戦うのか。
いや悪くはない。凶暴な魔法生物にも勝てないようでは、ヴォルデモートをぶっ倒すなど夢のまた夢だろう。ならばこそ戦闘経験を積む必要がある。
だがこのワンパターンっぷりはなんなのか。
試練や課題というからには、何かしら知的な試練もないものなのだろうか。
『それではご紹介しましょう、今回の愛すべきやられ役たち! カモォン、コカトリス!』
上空の檻が突如消え去ったかと思えば、そこには何十匹もの巨大鶏が居た。
地面へと落下し、その強靭な脚で着地すると地響きのような音が鳴り渡る。
見た目は真ん丸になるほど太った鶏。だが尾はドラゴンのそれに酷似しており、羽根は羽毛に覆われてはいるもののドラゴンのそれと大した違いはないように見える。そして大きさはなんと二メートルはある。デカい、デカすぎる。
立派な鶏冠を揺らして、コカトリスたちはハリーらを睨みつけた。
あれだけ乱暴に叩き落されたのだ、八つ当たりのひとつくらいは許されるだろう。
『コカトリスが全滅した時点で競技は終了! では、くれぐれも死なないように!』
バグマンの声がそう打ち切られると同時、コカトリスたちはけたたましく吼えた。
甲高い不快なそれに耳をふさぎたくなるが、両手を開けるほど愚かな選択はしない。
コカトリスの一番近くにいたフラー・デラクールが杖を振って盾の呪文を展開するものの、コカトリスの容赦ない蹴りが彼女の華奢な身体を襲った。盾の呪文が破れることはなかったものの、あまりの威力に盾ごと吹き飛ばされたデラクールはコロッセオの石タイルの上を転がり、外周の壁に叩き付けられた。
どうやら頭を打ったのか、気を失ったらしい。そのまま倒れ込んだ彼女を見て、観客たちが悲鳴をあげた。
それでも試合中断や救護班が乱入してきたりはしないらしい。
獲物と見做したのかコカトリスの一匹が、デラクールを啄もうと近寄っていくのを見てハリーは行動を起こした。
「「『フリペンド』!」」
それは奇しくもローズマリーと同時。
異口同音に放たれた射撃呪文は、二人の魔力反応光が一つにまじりあってコカトリスに着弾。
ハリーが組んだ着弾後に魔力反応光が拡散するプログラムと、ローズが組んだ高火力プログラムが見事に融合。まるで至近距離からショットガンで撃ち抜いたかのように、コカトリスの巨体を真っ赤に染め上げて吹き飛ばす結果となった。
「えげつねえ射撃魔法使うんだな、ハリー!」
「ローズこそ。あの魔法式じゃ威力過多だ!」
互いの魔法を褒め称えながら、ハリーとローズはこちらへ向かってくるコカトリスをまた吹き飛ばした。あちらこちらで怒り狂ったコカトリスがコケーと怒声を上げている。
そしてよく視てみれば、どうやらこのコカトリスたちは魔法で複製しているらしい。その証拠に翼や腹を裂かれても血が舞い、内臓が飛び散るようなことにならない。なにより魔法式が雄弁に物語っている。
絶命したことを示すように、銃撃されたコカトリスの遺骸は淡い光の粒となって虚空に消えていった。
一羽一羽は雑魚同然でも、ここまで多いとどうにも手を焼かされる。
甲高い奇声をあげてこちらに飛び掛かってきたコカトリスをフッ飛ばした直後、ハリーは自分の腹に何かが衝突してきたことに一瞬心臓が口から飛び出しそうになった。
なにかと思い視線をやれば、なんと、ブレオだ。
ヒトの着てるシャツの裾から顔を突っ込んで頬擦りしていやがる。
「ひぅっ!? んなっ、な、ななな……」
「ああ、僕のハリエット! 君のお腹はどうしてこんなにもすべすべで素敵なんだろう! あっ、お尻も柔らかい! 揉み心地最高ゥ! んー、気持ちいい!」
「ぎゃああああああああ! やめろ変態! 離れろ、離れろォォォオオオオッ!」
容赦なく鳩尾に膝打ちを叩きこんでも、脳天に肘打ちを突き刺しても、ブレオはやめる様子がない。むしろだんだん鼻息が荒くなってゆく。
コカトリスに魅了系の魔眼でもあったのだろうか?
ハリーが疑問に思いながら非力な腕でブレオを引き剥がそうとしているとき、スネイプから解説が入った。
『スネイプ先生、あれは? コカトリスの魔眼にやられちゃったんでしょうかね?』
『いや、それは迷信ですな。コカトリスには魔眼などありませんな。この競技は選手同士の妨害を禁じられていないからして、ポッターめを潰す作戦に出たものと思われる』
『はー、なるほど。ブレオ選手の貴重な繁殖シーンですか。発情期ですかね』
『……我輩は何も言いませんぞ』
冷静に解説してないでこの変態をどうにかしてくれないと、貞操が危ない。
貞操どころかコカトリスが二羽もやってきて命が危ない。そのうち一羽が応戦しようとしたローズのユニフォームを咥えたかと思うと、ぽいっと放り投げてしまった。甲高い悲鳴をあげながら遠ざかるローズからの助けは期待できないようだ。
尻を捏ね繰り回していたブレオの手が、今度はハリーの胸へ伸びたその瞬間。
彼女はブレオを殺す覚悟を決めた。
「『アニムス』ッ!」
「おうわ!? ハリエットたんったら力持ちィ! 小柄な女の子に持ち上げられるのってなんかこれはこれで快感に目覚めそうななんなんなぅぉあああああああ」
何やら変態的な言葉を垂れ流す変態を無視して、ハリーはブレオの両腕を引き剥がして突き飛ばすと、その両足を持って振り回し始めた。
いわゆるジャイアントスイングである。観客席の男の子たちがロマンあふれる光景に興奮して、野太い雄たけびを上げた。
わざわざ地面にブレオの頭を擦るように振り回してから、ハリーはこちらへ迫ってきたコカトリス目掛けて彼の身体を投擲した。
流れ星のように射出されたブレオは、なにやら感極まったかのような悲鳴をあげながらコカトリスの胸に突き刺さった。苦しげな声と胃液を漏らすだけでは済まず、コカトリスがばらばらになって光の粒と消える。
そこまで強く投げたつもりはなかったが、どうやらブレオは自身に強力な防護魔法をかけていたらしい。変態のくせに技量の高い奴だ。あまりダメージを与えられなかったことにハリーは舌打ちをした。
なんだか身体を汚された気がしたので『清掃呪文』を自分にかけてから、ハリーはコカトリスへと杖を向け、
そして咄嗟の判断で地に倒れ伏すように身を屈めた。
「あっ!?」
「ぐっ、うう!?」
果たして勘に従った行動は正解だった。
デラクールとセドリックのくぐもった声が聞こえる。
ちらと見れば、上下真っ二つになったデラクールと、右腕を失ったセドリックの姿があった。ぎょっとしたハリーは思わず凍りつき、そしてデラクールが光の粒となって消えたことで更に仰天した。
「な……ッ!?」
『フラー・デラクール選手、死亡判定によってリタイア! 今やられたのは魔力体のみです、ご本人様は傷一つなくテントに送還されましたのでご安心を!』
ハリーはそれでなるほど、と思った。
身体全体に、コロッセオ中に散見されるものと似た魔法式が走っている。あまりにも複雑に魔法文字が羅列しているので詳しくは判別できないが、どうやら肉体が「存在しながらも存在していない」状態になっているらしい。ハリーの知識量ではまだ理解できないが、恐らくはコロッセオ内限定で世界を騙す類いの魔法なのだと思う。ゆえにここをいじって何とかするのは難しそうだ。
そして問題は魔法式の構造などではない。
デラクールとセドリックを切断せしめた下手人を見遣れば、他とは一線を画す大きさのコカトリスが居た。他の個体と比べて驚くほど大きく立派な鶏冠を有し、取り巻きなのか手下なのか、妙にへーコラした個体を引きつれていることから見てボスとかそのあたりの存在なのだろう。
肩などないのに、風を切るように肩(?)をいからせて歩む様には風格すらある。
「『フリペンド・ランケア』ッ!」
「『ラミナ・オーテンタ』!」
しかしいくらボスとはいえ、修羅の前には無意味である。
ハリーの放った紅い投槍の穿撃と、ソウジローの放った真っ白い刀の斬撃。
それらはボスコカトリスの首から上を吹き飛ばし、残った胴体を細切れに変え光粒と消した。残った子分どもはその余波を受けて錐もみ回転しながらコロッセオの壁に叩き付けられ、血の染みと化す前に光になって去る。
観客席からの歓声を浴びながら、ハリーとソウジローは視線を交わして互いに口角を吊り上げるのみで済ませる。
ローズマリーが近くで「サムライ……」と呟いたのが聞こえる。ちょっとうれしい。
余韻に浸る間もなく、続いてコカトリスたちが襲ってきた。ローズマリーが例の乱射魔法を行使して、所構わず魔力反応光をばらまき始める。
他選手の妨害も兼ねてのことだろう、それは見事に功を奏した。杖腕を失って四苦八苦していたセドリックがまず射線から避けきれず、消滅してリタイア。
次にコカトリスと殴り合っていたブレオが、コカトリスごと吹き飛ばされる。またしても何らかの防御魔法を用いたのか、派手に吹き飛びこそすれど無傷のようだ。
ハリーもローズマリーの放った弾丸をまともに受けて、五メートルほど吹き飛ばされてしまう。身体強化していたからこそ「痛い」で済んだが、もし通常状態ならば下半身が吹き飛んでリタイアしていたことだろう。
「クヒャハハハハハ! 踊れチキンどもェア! あー楽しい! やっべめっちゃ楽しい! イェェェ――ァァア――ッ! フゥゥウ――ッ、ハッハァ――――ッ!」
テンションが上がってスラング混じりに絶叫するローズマリーは、まさに災害だった。
このままでは代表選手ごとコカトリスを全部持って行かれてしまう。
そう判断したハリーは、吹き飛ばされた先で地に伏せたまま、杖をローズマリーに向ける。狙撃は二年生の頃に経験しているが、位置がバレているためローズマリーから反応光の暴風を向けられれば逃げなければならない。こんなことなら、ハワードに狙撃の極意を学んでおくんだった。
そう思って土煙を杖で払い、ローズマリーを見たとき。
「……えっ? ちょ、ハァ!?」
ハリーは思わず驚愕の声を漏らした。
ソウジローがローズマリーに向かって駆け寄っていくのだ。彼女が乱射する魔力反応光を身を低くして掻い潜り、時には杖で弾き、走る速度を全く緩めずにローズマリーの元へ近づいていくその姿は、悪鬼か何かのようだ。
ローズマリーも驚いているのか、先ほどまでの笑顔が引きつって汗を流している。
残り三メートルほどまで近寄ったとき、ソウジローは地を蹴って空中へと躍り出た。チャンスと見たのか、ローズマリーは杖を振るって自身の両脇に球状の魔力反応光を出現させる。赤黒いそれは一瞬で姿を変えると、クィディッチでよく使われるブラッジャーへと変化した。
まるで大砲のようなブラッジャーは、追尾する
慌ててローズマリーが振り返ろうとしたところ、杖を逆手に持ち替えたソウジローが、背中越しに彼女の心臓を突き刺した。驚きの表情のままローズマリーの身体が光と化して消えてゆく。
「……『まともじゃない』な」
残る代表選手はハリー、クラム、ソウジロー、ブレオ。
もはや妨害どころか直接的に排除にかかっている者もいる中、現在コカトリスを最も多く狩っていたのはローズマリーだった。だが彼女が脱落した以上、次点で狩っているのはソウジローかハリーのどちらかだろう。
ゆえにクラムとブレオは狙いを定めたのか、コカトリスを排除しながらも一斉にソウジローに向かって魔力反応光を放つ。
「『プロテゴ・イワト』!」
何やら日本語交じりの魔法式を展開したソウジローは、二人が放った魔力反応光を防ぎきる。驚いたクラムの隙を狙ったコカトリスに彼が放り投げられたのを尻目に、ブレオは極端な前傾姿勢のままソウジロー目掛けて駆け出した。
ハリーも加勢しようとしたが、先ほどのボスには劣るもののそれでも十分に巨躯のコカトリスがハリー目掛けてくちばしを突き出してきたので、まずそちらの排除に動く。
まるで箒に乗っているかのように舞うブレオに対し、緩急をつけて素早く動くソウジロー。コカトリスなど放っておいて二人で一騎打ちを始めてしまったようだ。
ブレオが『爆破呪文』と『武装解除』が混じったような魔法式を内包する魔力反応光を放つと同時、ソウジローが『切断』の意を込めた魔力反応光を放つ。二つの魔力反応光がぶつかりあい、ブレオのそれが真っ二つに裂かれたその時。
ブレオはにやりと笑った。
「『バースト』!」
かつてハリーも使った簡易的な呪文。
ソウジローに割られた魔力反応光が、その場で爆発したように光り輝く。
散り散りになった魔力反応光があちこちに飛び散り、ソウジローが相変わらずの落ち着いた顔に汗を浮かべながら全速力で飛び退く。しかしいつの間に背後へ回ったのか、ブレオが彼の右のふくらはぎに『爆破呪文』を直撃させて吹き飛ばした。
結果として前のめりに倒れ込んだソウジローは魔力反応光のシャワーの中に飛び込む羽目になり、その手から杖が弾き飛ばされてしまう。
それを手に取ったブレオが、満面の笑みで決め台詞を叫ぶ。
「僕は美女には滅法弱いが、代わりに男にゃ負けなッハァァアアアン!?」
決め台詞は不発であった。
理由としては単純なもので、ハリーによる不意打ちだ。
いわゆる漁夫の利というやつである。
ブレオの名誉のため、攻撃された瞬間に会場の男性諸君が目を背けて呻いた。
両手で股座を抑えて尻を天に突き出し、地に顔を突っ伏してびくんびくんと痙攣していたブレオの身体がひときわ大きく震えると、光となって消えていった。ハリーがトドメに『刺突魔法』を刺したのだ。尻に。
倒れたままそれを見ていたソウジローは、片足がないため立つことも逃げることもできない。
「じゃあネ、ソウジロー君」
「……出来れば優しく」
ハリーはソウジローの身体を杖で浮かばせ、コカトリス目掛けて彼の身体を射出する。
無表情で無言のまま弾丸と化したソウジローはコカトリスの顔面に突き刺さり、両者ともに光となって消えていった。汚い花火である。
満足げに鼻を鳴らしたハリーが、さてコカトリスの掃除に戻ろうと杖を構えたその時。
『コカトリス全滅! 終了です!』
そんなアナウンスと共に、歓声がとどろいた。
杖を構えた体勢のまま固まったハリーが見たのは、勝ち誇った顔をしたクラムだ。
そういえば途中から姿が見えなかったから、てっきりコカトリスに吹き飛ばされたときにリタイアしたと思っていた。だが事実は違う。強者たちが潰し合っている最中にも、彼はコカトリスを倒し続けていたのだ。
この競技の目的は、コカトリスを多く倒したものが勝ちというもの。
ハリーは一気に汗が噴き出したのを感じる。
そういえば途中から、ソウジロー達と戦うのに夢中でコカトリスのことを忘れていた。
「……ありかよこんなん」
*
総合順位でハリーは四位だった。
下から順番にデラクール、ブレオ、セドリック、ハリー、ローズマリー、ソウジロー、クラム。あれだけ発奮して挑んだものの、結果はド真ん中と芳しくない。情けない話である。
特にローズマリーは今回の大量討伐によって順位をひっくり返されてしまった。にやにやしながら肩を組まれたのは実に腹が立った。
しかし今はローズマリーに関する話題において重要なのは、そこではない。
ハリーは目元を覆って天を仰いているユーコの隣で、逃げ続けるソウジローと追いかけ回しているローズマリーを眺めていた。
「なにあれ」
「ラブコメ」
「……どういうことさ」
「……ああいうことさ」
首を傾げ続けるハリーを見て、ユーコはようやく説明を添えることにした。
ジンベーなる和服を着て髪をポニーテールにしているユーコは、盛大に溜め息を吐きながら一冊の本を取り出した。
「……《俺の魔法学校が可愛い子だらけで股間の杖が暴発間近》? 何だコレ?」
「大衆小説。いわゆるライトノベル」
「時代が乱れてる気がするしそのタイトルはギャグか何かかい?」
「大真面目さ」
ソウジローはモテる。阿呆かってほどモテる。
不知火魔法学校に在籍する者の四割は男女問わず彼に惚れていると言ってもいい。
学業面では常に上位五人以内をキープ、運動神経はプロクィディッチ選手であるからして言わずもがな、武道については不知火最強で国内十指に入る程の猛者。
寡黙で真面目、だが少しむっつりで照れ屋のシャイボーイ。
受けた恩は返す義理堅い性格で、特に誰かを助ける事柄にはほぼ十割の成功率を誇る。
不知火のみならず、日本の魔法学校において彼に憧れる少女たちは多いのだという。
「彼氏自慢か? ごちそうさま」
「なんかハリー荒んでない? そうじゃないよ、っていうかこの立場も意外に危ういんだよ」
「……どゆこと?」
以前聞いた通り、土御門家と藤原家との間でソウジローとユーコは婚約している。
そうなると、ユーコがソウジローの本妻になる確率は非常に高いのだ。
そう、本妻。
つまり日本魔法界は、一夫多妻制を採用しているということなのだ。
「つまり……どういうこと?」
「まあ、あれよ。彼と本気で添い遂げたいと思った子が居て、なおかつソウジローが認めちゃったら二人きりの新婚生活が三人四人と増えてしまうってことよ」
それは、なんというか。
「キツいね」
「ちょっとね」
ハーレムで喜ぶのは男だけだ。
女からしてみれば何を馬鹿なことを、とも思うが、まぁ、うん。
特異なケースもあることだし、ハリーとしては口を出せない。
だが少なくともユーコは、あまりいい気はしないようだ。
「確かに日本において異能関係における名家の血はもうほとんど居ないから、ソウジローの優秀な血を残すという意味合いでは一夫多妻制も理解できなくはないのよね」
「……いいの? 好きな人の愛情って独り占めしたくない?」
「したいさ。したいけど、……こればかりは仕方ないよ」
片や異性としてすら見られず、片や数居る異性のうちの一人。
なんともはや、恋愛とは難しいものである。
しかし意外なのがローズマリーだ。
まさかまさか、ソウジローにあそこまで惚れ込むとは思わなかった。
「勝負しろ勝負! 今度こそあたしが勝ってお前を叩き伏せてやる!」
「勘弁してくれ!」
たぶん、いま彼女はあの感情をライバル心だとか対抗心だとか言い訳をして勘違いしているのだろう。燃えるような恋をしたことはないと言っていたから、きっとそのはずだ。
その感情の正体に気付いた時が、彼女の歩む乙女ロードの始まりである。
不知火の男子生徒が呆れたような顔をしてそれを見守っているあたり、もしかしたら不知火魔法学校ではよく見られる光景なのかもしれない。
「にしても美少女を二人も捕まえて、男冥利に尽きるんじゃないかなソウジロー君は」
「たぶん、あの子は六人目だから」
「……何かのネタかい?」
「分からないなら無理にツッコまないで、恥ずかしい。幼馴染にして婚約者の私、そしてカウガールのアメリカ人美少女のローズマリー。あと四人、合計六人の女性が本気でソウジローの隣を狙ってるってわけ」
「そしてその席に座ったのがユーコだ、と」
「そゆこと」
「もうあいつが主人公でいいんじゃないかな」
冗談で口にしたものの、彼を主人公にした作品は日本魔法界で既にあるらしい。
あまりにも酷いソウジローの状況に、ハリーは苦笑いを浮かべることしかできなかった。何かのアイドルだろうかと思うも、クィディッチ選手はこんなものかもしれない。
いつか日本に行った際には買ってみよう。そして本人の目の前で読んでみよう。
「お正月は親戚回りってやつをするんでしょ?」
「そうそう。日本はどっちかというと、クリスマスよりお正月を重視してるからね。未だにちょっと時代錯誤な日本魔法界だと尚更重要。本家に分家の人たちが集まってお酒飲んだりお年玉掻っ攫ったりするのよ」
「おとしだま?」
「一年に一度のお小遣いだよ」
「いいなぁ」
ユーコがなにやら取り出したビー玉を地面に落として満足げな顔を向けてきたが、ちょっと意味が分からないので曖昧に笑っておく。顔を抑えて悶えはじめたユーコを放置して、ハリーはローズマリーにとっ捕まったソウジローを眺める。
実に平和だ。
ロンとはまだ話ができていないし、ハーマイオニーとは仲違いしたまま。
しかし聞いた話では、ハーマイオニーがロンに歩み寄ろうとしたもののクラムに対する嫉妬心からまた口喧嘩をしてしまったようだ。ハリー自身、恩着せがましくとった行動ではないにせよ、こうまで自分の犠牲が無駄になると実に腹立たしい。
十一歳になるまで男の子みたいに育ってきたものだから、女性の気持ちが分かっていないのだろうか? 好きな人にファーストキスをあげたいとか、恋人にするなら好きな人がいいとか、そういう気持ちはおかしいのだろうか?
ラッキースケベをやらかしたソウジローが、今度はローズマリーとユーコに追いかけられているのを眺めながらハリーは思う。
『魔法式を書き換える魔法』やら、『命数禍患の呪い』についての謎、ハリー自身の謎、ヴォルデモートに対する対抗術、考えるべきことはいっぱいある。解決できそうにないものだってある。
だけど今ハリーが直面している、人と人との問題が一番面倒くさい。
「訳が分からん」
はあ、と吐いた溜め息は白い霧となって空に消える。
雪が降る。
ハリーの心を覆うように雪が降る。
黒髪の上についた雪を払う手に気が付き、ハリーは後ろを振り返る。
今回あまりいいところがなかったハンサムボーイ、セドリックだ。
「やあ、ハリー。元気かい」
「よっすセドリック。うーん、あまり元気じゃないかなあ、四位だったし」
「それじゃあ僕はもっと元気じゃないな」
「おっとごめんよ、次はどん底まで叩き落としておく」
「それはこっちの台詞さ」
にっ、と歯を見せて笑うハリーに、柔和に微笑むセドリック。
やはりハンサムだ。ハリーの適当なジョークにも付き合ってくれるあたり性格も完璧。
もしハリーが彼の告白を受け入れていれば、きっとかなり幸せだったのだろうと思わされてしまう。もしこれが狙ってやっているとしたら、なんとも恐ろしい男だ。
「そういやセドリック、鍵は試してみた?」
「いや、まだだ。結局あの鍵はなんだったんだい?」
「なんだか錠に魔法式が表示されてさ、一定の深さまで情報を開示できるみたい」
「なるほど。第二の試練の成績次第で、得られる情報量が変わるってことか」
だとすると、第三の試練は事前に情報を得ておかないと立ち行かない類いのものかもしれない。それこそ、専用の呪文が必要になるようなフィールドであれば、カンニングしないとそのまま敗北につながる可能性すらあるのだ。
特に、ハリーは他の代表選手と違ってたったの十四歳。
戦闘技術こそ並みの魔法使いならば五秒もあれば黙らせることができる程に有しているが、しかし知識面においては、はっきり言って代表選手七人の中で一番劣っていると断言できる。
彼らは少なくとも十七歳を越えた成人達だ。そのために必要な知識を魔法学校で学び、そのスポンジのような脳みそにたっぷり蓄えている。
ローズマリーもソウジローも、いいところのお嬢様お坊ちゃまであることは確かだ。しかしどうだろう、現在トップをひた走っているクラムは一般家庭の出だ。世界最速のシーカーであり、クィディッチにおける最高のヒーロー。更には戦闘性能も光るモノを持っている。
それはひとえに、彼が天才だからという理由だけではない。彼が努力を重ねたからだ。
才能が無意味などということは決してなく、それは強固な土台としてクラムという塔を支えている。しかしそのままではただの塔に過ぎず、知識や経験といった努力の石材を以ってして組み上げられたのが、ビクトール・クラムという王の城なのだ。
ハリーにも才能という原石はある。
そうでなければ、この年齢まで生き残れていないだろう。類い稀なる戦闘センス、魔法に関する応用の発想、咄嗟の機転に正しい状況分析。そして憎悪と憤怒という、冷静さを奪う感情を根底に持ちながらも、冷え切った氷のように冷徹になれる心。
そういった輝く才能の欠片をその細腕に抱え込んでいるハリーは、しかしそれを磨くための経験がない。圧倒的に不足している。研磨されなければ、いくら美しい宝石だろうがその辺の炉端に転がる石ころと変わりはない。
故にハリーは、知識という布で己を磨く必要がある。
「がんばるしか、ないか」
「ああ。気持ちのいい試合にしよう」
「そうだねえ……」
セドリックの微笑みは朗らかで、柔らかいものだ。
きっとあれには感情が乗っているからに違いない。ハリーに向けた、感情が。
そう考えると、彼と隣り合って座っているのはなかなかに恥ずかしい気がしてくる。
ほんのり赤くなった頬を隠すように、ハリーは空を見上げた。
どんよりとした曇天は、上空の方は風が強いのか奇妙な形に渦巻いている。
どうしたものか。
ロンとの接し方もいまだにわからず、ハーマイオニーとの喧嘩は終わっていない。
おまけにセドリックに対する返事もしていない。
やることが山積みで、どれから手を付けたらいいものやら。
ハリーが吐いた溜め息は、白い霧となって吸い込まれて消えた。
【変更点】
・試練数の増加
・とにかくコカトリスをいじめる試練。
・ロンハーと疎遠な代わりに、セドリックとの確執がない。
【オリジナルスペル】
「ラミナ・オーテンタ、白刃よ」(初出・43話)
・刃物限定の召喚魔法。使用者の登録した太刀筋を召喚し、再現する。
日本魔法界にある呪文。威力は本人の刀の腕によって左右される。
「プロテゴ・イワト、闇の扉」(初出・43話)
・盾の呪文の派生形。視界に見えたもの全てを防げる、特殊な盾の呪文。
日本魔法界にある呪文。防御範囲は広いが、強い衝撃に対しては脆い。
大変難産でした。
が、もうラストに向けて走りださねばならない頃合い。
ソウジローは日本男子です、ならハーレムになって当然ですよ。単純な戦闘力ならばハリーは代表選手七人の中でも一、二を争うレベルですが、ルールに従った競技ならばしかたのないこと。
十四歳にもなれば、恋愛事には興味を示してしまうもの。だけどそれがうまくいくとは限らないし、いい思い出になるとも限らない。という感じの年です。
次回は水着回です。喜べ!