ふたりはヒーロー   作:かきねん

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他のやつも書いてるのについつい書いちゃった♡
ということでこちらもぼちぼち始めていこうかと思います。


プロローグ

ーーーバゲージシティ スタジアムーーー

 

上条の背後に突然現れた碧眼の魔神の少女が上条の頭を手刀で叩き割る。

 

上条の周辺には上条自身の脳漿が飛び散った。

 

「…なんだ、第三次大戦を終わらせたとかいう噂の幻想殺しは大したことないじゃないか。」

 

「…!余計なことをしてくれたね…! 」

 

同じく碧眼の金髪の青年が現れるとともに激昂する。

 

「なんだ?魔神のなり損ないが今更どうした。」

 

「ホントは幻想殺しを助けに来たんだけど…これはもう手遅れだったか…。」

 

「私の攻撃にさえ反応できない奴に何の価値がある?放っておけば良いじゃないか。」

 

「私の計画には必要な人材だったんだが…仕方ない、他の方法を探すとするよ。」

 

「おや、私を殺さなくても良いのか? 」

 

「戦っても永遠に平行線だからね、今はやめておくよ。」

 

「そうか。」

 

すると少女は褐色で銀髪の少女を連れて消えていった。

 

「絶対的な解析力と破壊力があれば…。」

 

「…悪いが、幻想殺しにはもう一度やり直してもらうとしよう。」

 

「"もう一人"の助っ人を連れてね。」

 

ーーー???ーーー

 

上条は猛烈な暑さで目覚めた。

 

背中はしっとりと汗で湿っている。

 

上条はあまりにも不快だったのでさっさと起き上がることにした。

 

(ここは?)

 

周りを見渡すと、海外に出てばかりでこの頃全く見ることが無かった自分の部屋であった。

 

(…確か…バゲージシティで…。)

 

(…あン?どこだここはァ?)

 

(…え?(あァ?))

 

「あ、一方通行!?」

 

(お前は…三下かァ?)

 

「お前はどこから喋りかけてんだよ…。」

 

(それはこっちのセリフだァ。)

 

「っていうかなんなんだよこの状況…。」

 

(さっぱりわかンねェ。それよりも打ち止めはどうしたンだァ?)

 

「俺だって聞きたいよ…ロシアに居たはずなのに気づいたら自分の部屋に居たんだぜ? 」

 

(ハッ、三下らしいなァ。)

 

「今のお前には言われたくねえよ…。」

 

もう一度部屋を見回すと、机の上に羊皮紙が置いてあるのが見えた。

 

「なんだこれ? 」

 

(見せてみろォ。)

 

「いや、お前どこに居るんだよ」

 

(どォやらお前と体を共有しているらしい。むしろそォとしか考えられねェ。)

 

「また面倒なことに…。」

 

手紙にはこう書かれていた。

 

ーーやあ、幻想殺し、それに一方通行。元気かな?

 

ーー先に言っておきたいことがある。幻想殺し、君は魔神オティヌスに殺された。

 

ーー頭を叩き割られていたから即死だろうな。

 

ーーま、そんなことは今はどうでもいいんだ。

 

ーー私は魔神オティヌスを止めるために君たちを過去に送らせてもらった。

 

ーー全力を出したせいで私も命を失ったが…そんなことはいい。

 

ーー君たちはきっと混乱しているだろう。お互いにどこからともなく声が聞こえるんだからな。

 

ーー今の君たちは二人で一人だ。つまり一つの体に二人分の魂を宿してある。

 

ーー能力についてはわからないが、おそらく幻想殺しは健在だろう。

 

ーーそこで本題だが…。

 

ーー魔神オティヌスを止めて欲しいんだ。

 

ーーおそらく彼女は世界を何度も滅ぼし何度も作り変えて来た。

 

ーー今君たちが居るのは、そして居たのはその世界の中の一つだ。

 

ーー今のオティヌスは魔神の力を失ってこそいるが、いずれまた力を取り戻して世界を作り直そうとするだろう。

 

ーーだから異能を解析する一方通行と異能を破壊する幻想殺しの君たちに任せるよ。

 

(魔神オティヌスだァ?)

 

「そういえばオッレルスがそんなことを言ってたような…。」

 

(…めンどくせェ…情報が少なすぎるぜェ。)

 

「…そうだな、とりあえず今日は何日か調べるか。」

 

(ンなもン携帯を見ればいいだけじゃねェか。)

 

「…すまん。」

 

そう言って充電されていた携帯を開くと、そこには7月20日A.M.7:22と表示されていた。

 

(本当に過去に戻ってやがるなァ。)

 

「…。」

 

上条が呆然としていると、小萌先生からの着信が来た。

 

「もっ、もしもし!? 」

 

『上条ちゃんはバカなので補修でーす。』

 

「…はい? 」

 

『今日は9時から始めますから早く来やがれなのですよー。』

 

「えっ!ちょ、ちょっと!! 」

 

上条の耳にはツーツーと通話終了を知らせる音が流れる。

 

「はあ…相変わらず不幸だ…。」

 

(…自業自得だろォが…。)

 

「…気分転換に布団でも干すか。」

 

皮肉にも、それは記憶喪失前と全く同じ行動であった。

 

布団をたたんでそれを持ち、地面に落ちてあった焼きそばパンを踏みながら足でベランダのドアを開ける。

 

すると、目の前には見覚えのある白シスターがベランダに干されていた。

 

「おなかすいた…。」

 

「…インデックス、そんなところで何やってんだ? 」

 

「なんで私の名前を知ってるのかな!? 」

 

「あ、やべ。」

 

思わずインデックスを名前で呼んでしまった上条。

 

(お前…あの白シスターとどンな出会い方してやがったンだ…。)

 

(…記憶喪失だったから覚えてねえや…。)

 

(…お前ってつくづくぶっとンでやがるなァ…。)

 

「ま、魔術師と昔戦ってたからな!お前みたいな白い修道服を着たインデックスっていう女の子が居るってのは知ってたんだ! 」

 

「そんなことよりも何か食べさせて欲しいんだよ…。」

 

(ご、誤魔化せた…のか?)

 

(明らかに無視されてンだろォ…。)

 

「ごはん、くれると嬉しいな!! 」

 

「…じゃあこれとか食べる? 」

 

上条はさっき踏んだ焼きそばパンをインデックスに差し出した。

 

「ありがたくいただくんだよ!! 」

 

そう言うとインデックスは上条の右手ごとラップに包まれた焼きそばパンにかぶりついた。

 

「んぎゃああああああああ!!!! 」

 

(痛ェ!!!!何しやがる!!!)

 

ーーー10分後ーーー

 

「うんまい!!うまいんだよ!! 」

 

「そ、そうか、それはよかった!! 」

 

上条は冷蔵庫が壊れたことによって全滅していた野菜で野菜炒めを作り、インデックスに振舞っていた。

 

「今日は暑いから夏バテでも食べられるように少しお酢を入れてくれたんだね?すっごくおいしいんだよ!! 」

 

「…なんかごめんな。」

 

腐った野菜の酸味をお酢の酸味であると勘違いしているインデックス。

 

(大食いシスターに傷んでた野菜を食わせるたァお前もなかなか悪党じゃねェか。三下にしてはやるなァ。)

 

(…俺は何も知らなーい。)

 

一方通行の小さすぎる悪党の美学とやらに触れて呆れている上条。

 

「ごちそうさま!!なんだよ!! 」

 

(いくらなンでも早すぎだろォが…。)

 

気がつくと酸っぱい野菜炒めを完食していたインデックス。

 

「だ、大丈夫か!?お腹痛くなったりしてないか!? 」

 

「??特に問題は無いんだよ!! 」

 

「そ、そうか…。」

 

「私がベランダに落ちてきた理由とか聞かないの?? 」

 

「…じゃあなんで落ちてきたんだ? 」

 

「ふふん、よくぞ聞いてくれたんだよ!! 」

 

解説したかったのかと誤解するほど自慢気に言うインデックス。

 

「実はね、私、魔術師に追いかけられてるんだ…。」

 

「…へぇ。」

 

急に真面目な雰囲気になる上条。

 

「名前とかどこの宗派に所属してるとかわかるか? 」

 

「学園都市に住んでる人にしては随分詳しいね? 」

 

「ここに来る前は魔術師と戦ったりしてたからな。」

 

嘘であるが嘘ではないことを言う上条。

 

(強ち嘘じゃねェのがシャクだなァ…。)

 

「で、でも相手はプロの魔術師なんだよ!!あなたじゃすぐに殺されちゃうんだよ!! 」

 

「お前に逃げられる程度の魔術師なんざプロじゃねえよ。それに、俺は困ってる人を助けるためならなんでもできるんだぞ? 」

 

実際に神の右席を三人ほど退けた実績がある上条。

 

「そ、それでも無関係のあなたに迷惑は…。」

 

「上条当麻。」

 

「え? 」

 

「俺の名前は上条当麻だ。これでお互いの名前を知ったから無関係じゃなくなったよな? 」

 

「ふ、ふえぇ…。」

 

結局泣き出してしまったインデックス。

 

(…こりゃァ次々と女がお前に惚れていくわけだァ…。)

 

ーーー上条家の前ーーー

 

「じゃあインデックス、一応合鍵を渡しておくから、ここに残るなら残れ。行くなら行け。でもどうしても大変だったらここに帰って来るんだぞ? 」

 

「う、うん。」

 

「じゃあ行ってきまーす! 」

 

そう言って上条はドアをしめ、施錠した。

 

(ったくよォ、お前はよくあンなに恥ずかしいこと言えンなァ…。)

 

上条は寮の階段を駆け降りる。

 

(うーん、別に恥ずかしいとは思ったこと無いしなあ…。)

 

(あーそォ…。)

 

現在8時25分、補修までは余裕がある。

 

上条はいつもの通学ルートを歩き出した。

 

(…オイ三下、お前ちょっと今から何も考えるなよ。)

 

(ん?何するんだ?)

 

(ちょっとした実験だァ。)

 

(まあいいけど…。)

 

すると、上条の体が唐突に猛スピードで駆け出した。

 

(うおああああああ!!!!と、止めてえええええ!!!)

 

「なンだァ?予想通りじゃねェか。」

 

上条の口から発せられた言葉は一方通行のものだった。

 

(な、何やったんだよお前!!体が動かねえじゃねえか!!)

 

「あァ、ちっとばかし体の主導権を俺が握らせてもらっただけだァ。体の一部だけだが何故かベクトル変換も使えるよォになったがなァ。」

 

(そんなことできるのか!?)

 

「現にできたンだからできるンだろォよ。」

 

体の主導権がある方が意識を弱める→意識しかない方が自分が大きくなったようなイメージをする。

 

このような方法で入れ替わることができるらしい。

 

また、上条が主導権を握っている場合は右手に幻想殺し、左手に反射のみ。

 

一方通行が主導権を握っている場合は右手に幻想殺し、右手以外の体の一部分(頭、左腕、胴体、両足のどれか一つ)に反射含むベクトル変換。

 

という風に使い分けることができるようだ。

 

幻想殺し以外はON、OFFを切り替えられるので常に反射してしまうようなことは無いらしい。

 

上条が左手に反射をイメージすれば反射できるし、何もイメージしなければ反射はOFFとなる。

 

「す、すげぇ、俺でも反射できるのか…!! 」

 

結局、体の主導権は上条に戻した。

 

(ま、ベクトルを収束させたりするのは無理だろォがな。)

 

「その時はお前が出てきてくれたらいいんじゃないのか? 」

 

(…仕方ねェな。打ち止めや妹達をなンとかすればやることもねェし、お前に手を貸してやるよォ。)

 

「ありがとな!!一方通行!! 」

 

(耳に響くから静かにしやがれェ…。それよりも、学校は大丈夫なのかァ?)

 

「…げっ。」

 

上条が携帯で時間を確認すると、そこにはA.M.8:50と表記されていた。

 

上条が調子に乗って右手で上に投げた石を左手で反射して遊んでいたから当然だろう。

 

「…一方通行、ベクトル変換でさっきみたいに高速移動できない? 」

 

(…仕方ねェな…。)

 

一方通行はそう言うと主導権を入れ替え、地面を蹴るとものすごい勢いで学校の方へ向かった。

 

「ギャハハハハハハ!!!時間制限が無いってのは最っ高だねェ!!! 」

 

(やっぱ怖いいいいいいいい!!!!)

 

ーーー???ーーー

 

「…魔神のなり損ないが。余計なことをしてくれたな。」

 

銀髪碧眼で男にも女にも、また老人にも子どもにも見える者が眉間に皺を寄せた。

 

ーーどうするんだ?彼を殺すのか?

 

「いや、そんなことはしないよ。」

 

「使えるものは全て使わないとな。それに、幻想殺しが現時点で強大な力を持っているというのは非常に好都合だ。場合によっては"プラン"の短縮に役立つだろう。」

 

ーーま、私は愉快であれば何でも良いのだがね。"アレイスター"。

 

「あなたの基準は未だによくわからないがね、"エイワス"。」

 

"ホルスの時代"に住む二人は裏で微笑む。




チートだって?
いえいえ決してそんなことはありません。
こんなのはインフレを起こしている禁書界の中では中の下ですからね、チートすぎる展開はありません(多分)

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