ペルソナァ!って無性に叫びたくなるよね え?ならないですかそうですか 作:みもざ
幕間『"本来"の主人公と"今回"の主人公』
八十稲羽市を恐怖と霧で包む筈だった、連続殺人事件は神の思惑とは違い一人も死者を出すことなく終わりを告げた。
故に、神は己の敵は強大だと愉悦に股を濡らし、
そして、八十稲羽市市民を始め
これから起こる物語は鳴海 裕也と、彼が恋い焦がれ淡い約束を結んだ少女と、彼を慕う数人の少年少女の青春活劇である。
これは、有ったかもしれない世界。
山野が生田目ときっちり話し合いをし、小西がジュネスのガッカリ王子と淡いラブロマンスを繰り広げ、
そんな、事件にかかわらなかった少年少女+αの有ったかもしれない物語。
ただ一人、裕也だけがクマとの約束を果たすためにテレビの世界の謎を探す物語である。
◇◆ ◆◇
「あーおっほん! あーあー、みんな知っていると思うがー、えーと……なんだっけ……あっそうそう! 三月いっぱいでぇ、こいつが転校しますっ! はい拍手!」
「……………………」
「おいおいぃ、ノリ悪いぞぉ? そんなにしんみりすんなよぉ。二度と会えねぇって訳じゃねぇんだからよぉ」
「……短い間でしたが……ありがとうございました」
「……なぁ、おめぇ空気読めないって言われない?」
「…………」
「無視は辛いぜぇ」
◇
四月十一日。月曜日。八十稲羽駅。
「ん? おーい! こっちだ、こっち」
今日、一人の
腰まで届く程の灰色の髪をストレートに降ろし、不安そうな表情をした少女の名前は鳴上 悠、ではなく鳴上 悠子。前の学校での渾名は『鋼のスケ番長』。男より男らし過ぎるのが玉に瑕の華も恥じらう乙女である。
「おう。写真で見るより美人じゃねーか」
悠子に声をかけたのは、ジャケットを肩にかけ無精髭を生やしたナイスミドル。
「お前を一年間預かることになってる
男──堂島 遼太郎は右手を差し出す。
「ようこそ、稲羽市へ」
「…………」
悠子は遼太郎の右手をおずおずと握り返す。人見知りをしない悠子であるが、遼太郎の迫力に少し怯んでいたりする。
「ハハッ、緊張してんのか?
おっと、こっちは娘の菜々子だ。ほれ挨拶しろ」
「えっと……堂島 菜々子です。よろしくおねがいします……お姉ちゃん」
「……ハッ!?(ずきゅーーーーん)」
ここに一人のナナコンが誕生した。
「まぁ、取り敢えず車に乗るか」
「はい」
遼太郎達が乗った車は途中ガソリンスタンドに寄った後、無事堂島宅に到着することができた。車内で悠子達は完全に打ち解け、菜々子も悠子を本当の姉のように接するようになった。悠子も菜々子を自分の娘の如く溺愛した。
「……ハッ……ハハ……」
遼太郎は覇気の無い笑を漏らしていた。その背中は疲れきった父親のそれだった。
◆
アレからの話をしよう。
真由美を救ってしまった裕也は、現在──
「おい、新人! 早く皿洗え! 何時迄掛かってる!」
「……すいません」
「汚れ残ってるぞ! しっかりしろよ!」
「……申し訳ない」
「お兄さん……頑張れ!」
「おう……」
「喋ってる暇あったら手ェ動かせ!」
「……はい」
「早く結婚しろよ!」
「……ごめんなさ……え?」
天城屋でアルバイトをしていた。
現在無職である裕也が天城屋旅館で暮らすには住み込みで働くしか選択肢が無かった為、雪子の強い勧めもあり、とんとん拍子に話は進んだ。何故か従業員の方々からは婿殿と呼ばれる始末。雪子は顔を赤らめるだけて否定をしない処を見ると満更では無いらしい。裕也は気づいていないが。
「うーし、婿殿休憩入っていいぞー」
「……はい」
◇
はぁー、なんなんだよ全く……。天城屋に住み込みでバイト出来ないか? と雪子に尋ねてみれば次の日からさっそく皿洗いを任され、従業員の方々からは婿殿と呼ばれる始末……本当、なんなんだよ。雪子は恥ずかしがり屋だから、そう言う話は得意じゃ無いのに目の前で言うもんだから雪子も言葉を失っていたし。
「うーし、婿殿休憩入っていいぞー」
やっと休憩だ……、丸一日働き通しだったし、足と腰がバキバキだぁ。指も赤切れして居たいし、春先とは言え、皿を洗う水の冷たいこと冷たいこと。と言うかなんで一日中洗い続ける程皿が有るんだよ……。
「……はい」
なんか疲れすぎて腹減ってないし、賄いは食べないで部屋に帰って寝よう。
俺は前掛けをロッカーに片して、廊下をだるそうに進む。
「あ……」
ふと前を向くと、こちらを見て固まっている雪子と目が合った。
雪子は顔を赤くしてアタフタとして居る。その様は可愛い少女のソレだが、だからと言って何時迄も眺めている訳にもいかない。何か俺に話があるから、わざわざ俺を探して居たのだろうから。
「どうかしたか?」
「あっ……えっと……お、お弁当、創ってみたんだ……そ、その」
確かによく見ると雪子は重箱を抱えている、アレがお弁当だろう。
女の子の手作り弁当。あぁ、なんて甘味な響だろう。灰色の青春を過ごしてきた俺には縁の無い話だと思って居たが……。しかし、ここで飛びつくのは間違いだろう。ガッツいているように思われるし、何より……
「えっと……食べてくれる?」
雪子が抱えている重箱から、紫色の蛸のようなモノが飛び出しているからだ。
俺は確信した。『あ……雪子ちゃんはメシマズなんだぁ』と。
ど、どうしよう。雪子は俺の恩人──就職先的な意味で──だ、無下に出来ない。しかし、あの謎の物体Xは食べたくない……どうすれば穏便にコレを対処できる!?
あ、彼処を歩いているのは! 先日正式に生田目と別れ完全に縁を切って、現在フリーであり、尚且つアナウンサーを辞めてこの稲羽市で生活を始めた山野 真由美さんではないか!? て、なんで俺は説明口調? まあ、いいや、ちょうどいい。彼女を
「ま、真由美!」
「あ……ゆ、裕也君……」
な、なんで頬を赤らめるんでせう? しかも嬉しそうに微笑みやがって! くそっ可愛い……はっ!?
な、なんだこの
「お兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが名前で呼んだお兄さんが私以外の女を名前で呼んだお兄さんが私以外の女を名前で呼んだお兄さんが私以外の女を名前で呼んだお兄さんが──」
ふと、殺気を感じる方に視線を向ければ、光の無い瞳をカッと見開いてブツブツとつぶやく雪子さんの姿が……。
「…………」
「……裕也君?」
>そっとしておこう。
雪子も、真由美も、弁当も、謎の物体Xも全部知らない振りして俺は部屋まで泣きながら走った。
「…………裕也君?」
残された真由美は、雪子の現状と裕也の行動が理解出来ず、暫くそこで立ち尽くしていた。
──オマケ──Wikipedia風主人公設定──
鳴海 裕也(なるみ ゆうや)
声 - 谷山紀章
■ アルカナ - ???
■ ペルソナ - イザナミ?
■ 固有武器 - 片手剣
■ 男性 / 生年月日 - 1990年4月29日 / 星座 - 牡牛座 / 身長 - 179cm / 体重 - 60kg / 血液型 - O型
容姿は女神異聞録ペルソナの主人公(ピアス)
左耳だけにピアスをつけており、やや長めの癖っ毛。淀んだ泥のような目をしているが、別に心に深い傷を負ったわけではない。
寡黙で大半のことは卒なくこなす。得意料理は卵かけご飯。片手で卵が割れることが密かな自慢。クールでダークなイメージを抱くが実は少し抜けて居て天然が入っている。
勘違いをよくするため、周りと自分とで空気がたまに違う。
現在、天城屋では裕也婿殿計画進行中。
裕也のペルソナ
ペルソナのイザナミは裕也の言うことを全く聞かず、裕也の意思とは別に勝手に出て来て勝手に帰って行くので戦力にならない。しかし、良い処で出て来て全てを掻っ攫って行く。たまに訳の解らない詩(ポエム)を書いた紙を落として行く。
その見た目から、某ポエマー記憶喪失少女を彷彿とさせるが関連性は不明である。