艦これMAX   作:ラッドローチ2

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本編が中々筆が進まないので、頭をからっぽにしてバカ話書いたら変なのが仕上がった件。


EX03 艦娘らの集まり 

 

 

 同型艦は、艦隊を組んで出撃する事が出来ない。

 

 コレはこの世界において変える事の出来ないルールであり、不変の理であった。

 

 この理由は未だにはっきりしていないが、それでも同じ戦場で戦ったりすれ違う程度は問題なかったりするのに、いざ連合艦隊を組もうとしたりすると阻まれる為一部の提督にとっては頭が痛い問題であったりもする。

 

 しかし……。

 

 決して、同型艦同士で交流がないわけではない。

 

 むしろ、重巡洋艦青葉が構築しているネットワークに代表されるように、艦娘によっては積極的に同型艦同士でコミュニケーションしているケースすら存在する。

 

 そして、ソレは……。

 

 

「夜戦?」

 

「万歳!」

 

「よし、入れ!」

 

 

 夜戦の申し子、夜戦バカ、夜の狩人(物理的意味で)、等々……。

 

 愉快な異名をつけられる事が多い、川内もまた同じであった。

 

 これは、北の海で勃発する大規模作戦が始まる前の、一時の平穏の合間にあった一幕の話である。

 

 

 

 

 

 

「これで全員揃ったかな?」

 

「うん、揃ったよー」

 

 

 とある鎮守府の使われてない倉庫の一角。

 

 その場にて、ずらりと同じ顔。同じ服装をした娘達が一堂に介していた。

 

 ……よく見ると、額に『兵』や『助』、『伊』等の札が貼られているのはきっと識別の為なのであろう。

 

 

「じゃあ、第……何回だっけ。まぁいいや、夜戦研究会定例会はーじめーるよー!」

 

「「「わーーー!!」」」

 

 

 『兵』の札を額にぺたりと張り付けた川内が勢いよく右腕を掲げると同時に宣言し、様々な文字の札を額に張り付けている川内がやんややんやと拍手しながら場を盛り上げる。

 

 なお、今の時間は駆逐艦な娘達が目をこすりつつお布団にもぐりこみ寝息を立て始めつつ、一部の戦艦並の眼光を持つ艦娘がせっせと自己鍛錬に励んでいる時間帯な程度には夜更けであったりもする。

 

 そんな時間であるにも関わらず眠気を感じさせないほどにハシャグ川内達、ある意味でサバトとも言うべき空間である。

 

 

「今日の明日の夜戦をより良い夜戦にするための議題は何かな!」

 

「んー、そうだねー。改良型Cユニット……夜戦バカ一代の進捗状況についてはどうかな?!」

 

「「「異議なーーし!!」」」

 

 

 額に『助』の札を張り付けた川内、略して助川内が目を輝かせながら議長である兵川内に挙手しつつ質問をする。

 

 なお、その際に提督の寵愛によってたわわに育ってしまっている助川内の豊満な胸部装甲がたゆんと揺れたりしたが、あまり体型にコンプレックスを持たない他の川内達は軽やかにスルーしつつ議長の提案を諸手を上げて受け入れた。

 

 

「最初に受け取ってから実践と改良重ねて、今現在バージョン27まで来てるんだけど。ちょっと問題が発生したよ!」

 

「問題?」「何々? 夜戦し辛くなっちゃったの?」

 

 

 兵川内が議長就任の切欠ともなった元試作型Cユニットの現状について、兵川内が口にした言葉に会議室に緊張感が走る。

 

 夜戦と言う川内の真骨頂の舞台を最高なモノへ彩る夢のような装備であり、世の川内達がまるでトランペットに憧れる少年のように目を輝かせて入手を心待ちにしているCユニット……その名は夜戦バカ一代。

 

 作った当の本人は夜戦のために作ったつもりは欠片も無かったのだが、なし崩し的に夜戦特化Cユニットとして世の艦娘と提督らに受け止められたその装備のバージョンアップ情報は、川内達にとって最新のファッション情報に等しい存在であった。

 

 なお、当のCユニットの名称についてはこの定例会によって定められたりしたのだが……その名称を決める際に、ちょっとしたバトルロイヤルが発生したのは定例会によって忌まわしい黒歴史である。

 

 

「いやねー、ちょっくらアクセルさんに無理言って夜戦時に戦意高揚する事で身体性能をハネ上げる機能搭載してもらったんだけどさー」

 

「何それ凄いじゃない、悪い事ないよね?」

 

 

 兵川内が後ろ手に両手を組み、椅子をギコギコ鳴らしつつ気まずそうに言葉を述べる。

 

 言っている内容がどこかおかしい筈なのだが、その事について突っ込みを入れる真っ当な感性を持つ艦娘などこの場にいるワケがなく。

 

 『八』の札を額に張り付けた川内に至っては、何か問題あるの? と言わんばかりの視線を兵川内へぶつける。

 

 

「……それがねー、副作用が出たのか。今度は昼戦がもーダルくてダルくて、やる気の欠片も出なかったんだよね」

 

「あー……ソレは確かに、まずいよね」

 

「でも、昼戦っていつもそうじゃない?」

 

 

 決まり悪そうに副作用を述べた兵川内の言葉に……。

 

 夜戦と同じくらい提督が好きという、川内基準で言えば色ボケ気味でありつつも比較的常識的な助川内がとんでもない副作用に口元を引きつらせる中、八川内はソレの何が問題かとばかりに首を傾げた。

 

 

 

 夜戦バカ一代バージョン27。

 

 夜戦においては比類なき力を装着者へ与える代償として、太陽の下に居る間は限界まで疲労しているのと大差ない状況へと追いやられてしまうとんでもない副作用を持った欠陥品であった。

 

 後に、犠牲者が出る前に早急に回収される事になるのだが……その時にもまた一騒動が起きる原因となる、が。

 

 今この場においては、ちょっとした問題点と言う事で普通にスルーされた。

 

 

「まぁ、コレについては私からアクセルさんに報告しとくよー。じゃあ次の議題はー……」

 

 

 やんややんやと、大盛り上がりの中川内達の定例会は進んでいく。

 

 より良い夜戦を楽しむ為に。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな、賑やかな川内達が定例会を開催している部屋の隣。

 

 誰も使っていないはずの部屋、しかし実はその部屋にも決して少なくない人影が集まっていた。

 

 

「……隣は、相変わらず賑やかだな」

 

「しょうがないさ、彼女達にとって夜戦は存在意義のようなものだからな」

 

 

 電気を点け、明るい部屋で定例会を開始している川内達とは違い……その部屋の中は暗く、明かりと言えるモノは『議長』と書かれたバッヂを胸につけた人物が持ってきたランプのみであった。

 

 更に、部屋の窓のカーテンは閉め切られており。人影達は普段のハキハキした声とは裏腹に声を潜め気味にして言葉を交わしていた。

 

 それもそのはず、提督らにすこぶる嫌な顔をされつつも部屋を使う申請を出した川内達とは違い……『彼女』達は申請を出さず集まり、この部屋を使用しているのだから。

 

 有体に言えば、非公式な集まり。ソレが彼女達の会合であった。

 

 

「……全員揃っているな?」

 

「ああ、問題ないぞ」

 

「ならば、始めよう……」

 

 

 議長バッヂをつけた女性が腕を組み、厳かに口を開いたその時。ランプの灯がゆらめき女性達の顔を照らす。

 

 照らされた女性の正体、ソレは栄えあるビッグ7であり……どの鎮守府においても主力を担いうる戦艦、長門型戦艦のネームドシップ。

 

 

「……長門型戦艦一番艦定例会、可愛いモノを愛でる会を」

 

 

 その凛々しい顔を引き締めた女性、長門は高らかに。声を潜めつつ定例会の開催を宣言した。

 

 

 

 

 『可愛いモノを愛でる会』

 

 ソレは、人の目を気にするあまり大手を振って可愛いモノを愛でる事が出来ない……素直じゃない長門達の非公式な集まりである。

 

 地味に、所属人数は結構な数になるとかならないとか。

 

 




川内達は、地味にしっかりと申請を出してましたが……長門達は青葉とかにすっぱ抜かれることを恐れコソコソと集まって会合を開いてます。

議題は、子猫写真の発表会とか自分が最高だと信じるモフモフの発表会とか、ファンシーで乙女チックだったりします。

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