艦これMAX   作:ラッドローチ2

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めっさお待たせしました。申し訳ありません……。
書いてはけし書いてはけしをする事数回、もうやりたいように書く方向で脳内議論がFAとなりました。

なお、通常兵器と深海棲艦について若干書いてますが。ねつ造です。

後、冒頭にて某スピンオフの提督と超兵器が頑張ってます。


5月31日、感想にて指摘されていた高雄さん増殖バグ対応という名の改稿しました。
ついでに、出番が忘れられてたヲ級ちゃんを追加しつつ。嘘武装図鑑を追加です。


40 地獄は満員(高雄増殖バグ対応)

 

 

 深海棲艦によって人類が海から締め出され、艦娘の誕生によって反撃が始まり。

 

 ようやく状況が好転してきた時に出現し始めた機怪群により、この世界の海は混迷を極めていた。

 

 通常兵器が通用する機怪群に対しては各国の海軍もなんとか対抗でき、現状上陸を許すことなく迎撃できているものの……。

 

 それでも、海上の戦いにおいては機怪群と連携してくる深海棲艦に通常兵器で立ち向かう事は厳しく、自然と艦娘らに強い負担を強いる状況が続いていたのだが……

 

 今、この戦場においては男達もまた艦娘らと肩を並べ、海上にて激戦を繰り広げていた。

 

 

 

「超巨大戦艦型機怪群、超軍艦竜接近!」

 

「35.6cm砲全門叩き込んでやれ! 摩耶達の状況は?!」

 

「半数が中破! 大和、そして大鳳が大破……っ!?」

 

 

 今現在海軍が保有している中でも、頭一つ性能が抜きん出ている事から旗艦として運用されている、アクセルが持つ技術を惜しみなく投入された超戦艦ヴィルベルヴィント改。

 

 その艦橋で、上春少将は矢継ぎ早に艦と艦娘らへ指示を下し……副長に自らの傘下にいる艦娘の状況を確認。

 

 副長もまた指示と報告を行いながら、決して楽とは言えない状況にある事を報告した瞬間。

 

 一際強い揺れが、ヴィルベルヴィント改を揺らし……艦橋に立つ上春をよろめかせる。

 

 

「っ……! 何があった!?」

 

「敵の増援を確認! 先ほどのB2マンタレイ3匹による爆撃を受けた模様! 高角砲とVLSの半数が沈黙!」

 

「ここに来て、更にか……!」

 

 

 終わりの見えない機怪群らの攻勢に、拳を握りしめながら上春は思わず呻いてしまう。

 が、しかし……。

 

 

「最大船速を維持のまま迎撃を続けろ!俺達が沈んだら次は艦娘達の番だぞ!!」

 

 

 それでも、艦長から機関士、そして通信士らに至るまで誰一人として退く事を考えるモノは居なかった。

 

 

「数少ない、レディのお尻に隠れなくてもいい我々の晴れ舞台ですからな!」

 

「そういう事だ!気合入れていくぞ!!」

 

 

 海の漢の誇りと勇気、ただソレだけを胸に漢達は絶望の群へと立ち向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 上春達……本隊が激戦に次ぐ激戦を繰り広げている頃。

 

 アクセル達もまた……敵の大攻勢に晒されていた。

 

 

「きゃぁっ!」

 

「しょ、翔鶴姉。大丈夫!?

 

「修理するわ! 翔鶴、下がって! ヲ級、フォローお願い!」

 

「任セロ」

 

 

 不幸にも、前線で縦横無尽に駆け巡っている雪風らを狙ったはずの水上死神戦車の流れ砲弾が翔鶴に直撃し爆発炎上。

 

 その沁み一つない素肌は無事だったものの、翔鶴の体を覆っていた衣服という名の装甲が剥ぎ取られてしまい……その様子に、修理可能な艦載機であるメカニバードですかさず瑞鳳が修理作業へと入り、手薄となった航空戦力をカバーすべく体のあちこちに煤をつけたヲ級がフォローに入る。

 

 少し前線から引いた、空母部隊でこの有様であり……最前線に至っては。

 

 

「夕張、補給……いいかしら?」

 

「もう使い切っちゃったの?! 雪風、初春。少しだけ前線をお願い!」

 

「しょうがないのぅ」

 

「雪風にお任せ下さい!」

 

 

 次々と襲い掛かってくる水上死神戦車に戦艦タ級、更には飛び魚型大型機怪群……。

 

 ソレらを片っ端から迎撃し、木端微塵に粉砕していた扶桑が何度目ともしれない弾切れを起こし……辛うじて残弾が残っている連撃砲で牽制しながら夕張に申し訳なさそうに声をかけ、その早すぎる弾切れにマイクロバスを牽引している夕張は悲鳴じみた声をあげながら扶桑へ近づき補給作業を開始。

 

 無防備になる瞬間を出来る限り減らすべく、夕張は初春と雪風へ前線の維持を頼み……頼まれた二人の歴戦の駆逐艦は躊躇うことなくソレを了承し、身軽な体を翻しながら最前線へ飛び込んでいく。

 

 

「アクセルさん!アクセルさーん!こっちもう辛いですよー!?」

 

「泣き言叫べるならまだ大丈夫だ!」

 

 

 そんな状況に、戦線維持の要である扶桑に補給しながら夕張は半泣き入った叫びを上げるも。真紅の水上戦車を操り、超兵器とも言える兵装で敵を薙ぎ払うのに忙しいアクセルは夕張の泣き言を通信機越しに一刀両断し……。

 

 海原が広がる戦場において、とにかく目立つ真紅の戦車はこれでもかという物量の攻撃を一手に引き受けていて、図らずも耐久力に難がある艦が多いチームにとって重要な盾と化していた。

 

 

 しかしソレでも、戦艦クラスの攻撃を受け続けるには『戦車』ではあまりに貧弱であるのも事実で……。

 

 

「げ、またサンバーンXXがひしゃげやがった?! 木曽、少しだけ頼む!」

 

「ああ、任せておけ!」

 

 

 戦艦ル級の砲撃が、装甲タイルが剥げ始めたレッドウルフの砲塔に搭載されている。強力な熱線を放射する特殊兵器、サンバーンXXに直撃し……破滅の音を立てながらひしゃげ沈黙し。

 

 戦車に搭載されているCユニットに大破、と表示されたソレに悪態を吐きながらアクセルは随伴している他艦隊からの応援人員である木曽に一時的な護衛を依頼しながら戦車から飛び出、時折その生身の体に機銃や砲弾の破片を受けながらも修理を始める。

 

 

「……アイツ、本当に人間なのかね」

 

「気にしたら負けだよ、キソー」

 

 

 銃弾を食らい「いてぇ?!」とか叫ぶだけで済んでいる、逸般人とも言うべきアクセルを見ながら木曽はぼんやりと呟き。

 

 そんな末妹の肩をポム、と叩きつつ……前回の浮島棲姫撃破作戦でも同行したことがある北上がニヘラ、と笑いながら仕事人とも言える精度で魚雷を発射。攻撃目標の戦艦ル級の下半身を砕き海の藻屑へと変えていく。

 

 

「まぁ、それもそうだな……っとぉ!」

 

 

 そんな北上の言葉に、木曽は口元に不敵な笑みを浮かべ。

 

 今この瞬間、自らにとびかかろうとしてきた駆逐イ級をその手に持った、巨大な鉄板と見紛う刀剣。斬車刀で両断すると同時に海面を蹴って飛び上がり。

 

 今この時も必死にレッドウルフのあちこちを修理しているアクセルを狙っている、重巡リ級へ左手に持った18cmスパルク砲の照準を合わせ、空中からの砲撃と言う不安定すぎる姿勢での射撃でありながら、その狙いはズレることなく重巡リ級の頭部に直撃すると同時に上半身を爆散。

 

 海底へ沈んでいくリ級の残骸を木曽は足蹴にしながら着水し、そのままの勢いで海面を滑りながら敵が密集している地点へ接近。そして。

 

 

「これでも、くらいなぁ!」

 

 

 薙ぎ払うように振るった斬車刀の背に18cmスパルク砲の砲口を当て、敵の集団に剣先が当たる瞬間に砲撃。

 

 その、文字通り爆発的衝撃によって加速された巨大な刀身は、一匹残らず目標を真っ二つに両断していく。

 

 そして、レッドウルフを狙っていた敵達が海へ沈んでいくのとほぼ同時にレッドウルフの修理も完了し。アクセルはすかさずその中へ飛び込み……。

 

 

「しかしよー、本当は手薄だった敵の側面を突く予定だったのに。どうしてこうなった……」

 

 

 思わず、愚痴を吐くアクセル。そんな彼の愚痴は通信機ごしに夕張にも届いているので……。

 

 

「案外、カリョストロ辺りはソレを見越して布陣してたのかもしれませんね……」

 

「……アイツ、ダークカナルで水門操作して。無理やり戦車で襲い掛かった事未だに根に持ってやがるな。ケツの穴の小さい野郎め」

 

 

 アクセルの愚痴に、もしかして。と呟きつつ夕張は推論を述べ、その内容にアクセルは同意しつつ溜息を吐いた。

 

 実際はその事よりも、かつての彼の戦友と共に徹底的に袋叩きにした挙句死んだふりをしていたカリョストロを更に袋叩きにし、尻に緋牡丹のドスをねじ込もうとした事を根に持たれているだけなのだが、そんな事彼らが知る由もなかった。

 

 

「よし!扶桑、補給終わったわよ!」

 

「ありがとう夕張……」

 

 

 そうしている内に、時折流れ弾に夕張が悲鳴を上げつつも扶桑への補給が完了し……。

 

 その儚げな美貌に確かな戦意を漲らせた扶桑が、何度目ともしれない全武装の稼働を開始。それと同時に最前線を跳ねまわり引っ掻き回していた初春と雪風が夕張達の傍まで即座に退避を完了させる。

 

 そして。

 

 

「……アクセルさんに改造してもらって得た、新たな扶桑型の力……見せてあげる!」

 

 

 扶桑の眼前にいる、深海棲艦と機怪群が入り混じった群れへ。咆哮とも言える扶桑の叫びと共に戦艦単体、としてはありえないほどに暴力的な火力を叩き付け始め。

 

 逃げ遅れた機怪群、自らの装甲で受けきろうとした戦艦型深海棲艦。ついでに右往左往と逃げ惑っていた駆逐イ級。

 

 それらすべては、扶桑が放った火力は根こそぎスクラップへ変え……水底へ沈んでいくだけの骸へと変貌させた。

 

 

「はふぅ……」

 

「……アクセルさんアクセルさん、なんか扶桑が戦うたびにキラキラしていくんだけど!?」

 

「別にいいんじゃね?」

 

 

 圧倒的なすべてを焼き尽くす暴力を振るい、恍惚とも言える溜息をもらす扶桑。

 

 そんな儚げな美女の危険な吐息に、思わず夕張は通信機越しにアクセルに助けを求め。テンションが下がるのに比べたらマシだとばかりにアクセルは言葉を返した。

 

 

 

 ただひたすら押し寄せる敵を蹴散らし突き進む。

 

 単純でありつつももっとも難しいソレを実行していく彼らの行動により、少しずつであるがカリョストロが布陣させた部隊は磨り潰され……数を減らしていく。

 

 

 彼女が現れたのは、そんな瞬間であった。

 

 

「さすが、司令を一度地獄に叩き込んだ男だ。有象無象じゃ止められるわけもなかったかな」

 

 

 異形の艤装に身を包んだ、元艦娘の磯風……磯風・怪とも言える存在がどこか賞賛を込めた呟きと共に、配下を従えアクセル達の前に立ち塞がる。

 

 

「磯風……さん」

 

 

 かつて守れなかった戦友が、自らの前に立ち塞がってきた事に雪風は茫然と呟き。

 

 そんな雪風の様子に、磯風・怪はどこか寂しそうな笑みを浮かべ……武装の固まりと化した右腕を雪風へ向け……ソレに応じるかのように、磯風・怪の配下の戦艦レ級が獰猛な笑みを浮かべて武装を展開し、その他の深海棲艦。そして機怪群もまた戦闘態勢を整える。

 

 

「雪風、辛いなら下がってろ。俺たちが何とかする」

 

「……いえ、大丈夫ですアクセルさん。雪風は……雪風が」

 

 

 先ほどまで蹴散らしていた連中とは、纏う空気が違う存在にアクセルは若干冷や汗をかきつつも。雪風を気遣い……。

 

 雪風は、アクセルの言葉に首を横に振り、確かな戦意を顔に浮かべて艤装を磯風・怪へ向け。

 

 

「雪風が、今度は磯風さんを救います!」

 

 

 自分をすり減らし続け戦ってきた少女、雪風は確かな決意と共に。咆えた。

 

 




嘘装備図鑑No.18
レアリティ:☆☆☆ホロ
名称:斬車刀
種別:艦娘用白兵装備
射程:近
装備適正:特殊
能力:火力+10
 但し中破、大破、状態になると効力無効。
 また、搭載した艦娘は搭載武装に関わらず攻撃タイミングが最後になる。
入手条件:超希少金属(マップクリア報酬or課金アイテム)と交換。

嘘装備図鑑No.19
レアリティ:☆☆☆ホロ
名称:18cmスパルク砲
種別:中口径主砲
射程:近
装備適正:軽巡、重巡、戦艦、航戦
能力:火力+12
入手条件:水上機怪戦車残骸B(多め)と交換で入手可能。


地味に、あちこちから応援人員を送ってもらってたアクセル達。
敵の数も質も洒落になってないけど、こっちの錬度と装備も洒落になってない一大決戦状態です。
本隊は本隊で鋼鉄の咆哮ってるので、どっちもどっちかもしれない!

久しぶり過ぎて高雄さんを37話で出してたことうっかり忘れてたので、キソーにベルセルクやらせることにしました。
なんか、もっと酷い事になってるけどきっと気のせい。

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