一体、やつは今度はどんなマイクロバスを作ったんだ…!(すっとぼけ)
まったく関係ないのですが、AL作戦のE-1が突破できません。ボスケテ。
とある孤島の港湾施設にて、今。
夕張の艤装の背中側から大掛かりなアタッチメントで接続されているマイクロバスが。
「アクセルさん、準備はいい?」
「おうよー」
大海原へと、進出をしていた。
「マイクロバスって、一体何なんだったっけ……?」
「……少なくとも、海の上を走る代物ではないのぅ」
いつものお使いでやってきていた瑞鳳が乾いた笑いを浮かべて隣の初春へと問いかけ。
全てを諦めた瞳で空を仰ぎながら初春が答える。
「アクセルさーん、バランスはどうー?」
「良好だ、今のところ転覆しそうにねぇな!」
艦娘の脚部艤装を元に、ネジとタガが外れた妖精とともにアクセルが組み上げた新たなマイクロバスは。
なんということでしょう、水陸両用車両として生まれ変わってしまいました。
「よーし、それじゃ試し撃ちいくわよー!」
「程ほどになー」
我慢できない、とばかりに目の色を変えた夕張が額にかけてたバイザーを下ろし。
マイクロバスに搭載されている4連装16mm対空機銃、及び連撃18cm単装砲と自らの射撃管制をリンク。
「後で感想聞かせてね、アクセルさん!」
「おうよー」
ぐびり、と初春達がお土産に持ってきた缶コーヒーを一口飲みつつ運転席から状況をチェックするアクセル。
そして射撃による衝撃が車体を揺らす。
「……やっぱり地上に比べて結構ゆれるなこりゃ、武装の配置バランスとかからも考えて4つぐらいが無難かもな」
「えー、前アクセルさんが言ってた6つとか8つとか大砲積めないのー?」
細かく車内状況をチェックしてきた応急修理女神からの報告を聞きつつ、ため息とともにつぶやく。
そんな内容を聞いた夕張がブーたれるも。
「友鶴、だっけか? こっちであったらしい事件の再来したいなら俺は止めねぇよ」
「……や、やっぱりバランスは大事よね!」
今も桟橋から試験の様子を眺めてる初春から、バランスの大事さとともに再三言われた事をアクセルは口にし。
その内容に、夕張は即座に前言撤回。元気よく武装試験を再開する。
ちなみに、今このタイミングで初春が大きなくしゃみをし隣の瑞鳳に心配されたりしているが大勢に影響は特にない。
「ある程度リンク射撃も順調だな、それじゃ予定通り連結解除の後動作チェックに入るぞ」
「はーい!」
何発か連撃18cm単装砲や4連16mm対空機銃、スーパーハープーンの試験を終えた二人は。
アクセルの合図の元、夕張が少し難儀しながら背中に手を回してレバーを下ろすと。
大きな機械音とともに連結器が解除され、夕張が即座に横に退けば……。
「思った以上に速度がでねぇな……」
自らの動力で、マイクロバスが水上走行を始める。
とは言うものの、やはり思うようにいかず幾度も波が来るたびにせわしなくマイクロバスを制御する羽目になる。
「これじゃ、当初の予定のいざとなったら艦娘の援護ができる車両ってワケにはいかねぇなぁ」
四苦八苦しながら、夕張が見守る中マイクロバスの制御に難儀するアクセル。
「ま、そだな。コイツの結果を基にCユニットをなんとかすりゃいいか」
大きな波をなんとか捌きつつ、肩に座ってる応急修理女神にアクセルは答え。
「ほんじゃ、ちょっくら島の周りをぐるっと回るか」
「はーい!」
心配そうに見守りながらも、ワクワクを隠し切れない夕張に通信し。
返事を受け、ともに港湾施設から出港していく二人であった。
そんな、海原の向こうに消えていく二人を見つめていた初春らはというと。
「大丈夫かなぁ?」
「……心配といえば心配じゃが、留守番頼まれたしのう」
不安の種はつきないが、見守るしかないのであった。
しかし二人は、この時の選択を後々まで後悔する事となる。
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「アクセルさん! 左前方に駆逐艦2隻、右前方には重巡1隻いるよ!」
「よーし、そんじゃ夕張は駆逐艦を頼むぜ!」
「了解しましたぁ!」
港湾施設を出港した二人は、すぐに合計3隻の深海棲艦を発見。
二人そろって回避運動に難がある以上直接戦闘は危険と判断、先手必勝とばかりに攻撃を開始。
「スーパーハープーン、発射! 着弾……っ、ダメ! 1隻避けられた!」
「げ、マジかよ」
夕張から2発、マイクロバスから2発それぞれ射出された対艦ミサイルはそれぞれの目標へと着弾。
その容赦ない火力で重巡は轟沈せしめるも、偶然もう1隻が盾になった駆逐艦が二人に接近し……直角に曲がりながら魚雷を射出。
「きゃぁっ!」
そして、その魚雷は武装試験のみで戦闘経験に疎い夕張に直撃。
悲鳴と共に夕張は爆発と水蒸気に包まれ……。
「おい、大丈夫か!?」
「だ、だいじょ……!! 大丈夫だけど大丈夫じゃないです!」
思った以上に派手に直撃を受けた夕張の姿に思わずアクセルは声を荒げ……。
艤装をあちこちボロボロにし、顔を煤まみれにした夕張が返事をし何かに動転する。
それもそのはず、着用している服の前面が見事に丸裸のような格好にされた上にスカートも際どい所まで破け。
その慎ましい胸は辛うじて布切れで隠せてるという有様だったのだから。
「……恥ずかしがれる余裕があるなら大丈夫だな」
「ひ、ひどい?!」
反転運動し、こちら側に小口径砲を向けようとしてる駆逐艦イ級に連撃18cm単装砲を撃ち込みながら機銃掃射にてソレをアクセルは沈めると。
派手にあちこち吹き飛んでいるが肉体は無事な少女の姿に、中身が零れかけてたコーヒーを慌てて飲み干す。
「まだ一周回れてないが、ちょっと予想外だったな。とりあえず戻るべ」
「うぅ……ごめんなさい」
次は装甲タイル積んでいくか、と続けるアクセルに夕張が項垂れつつ謝り。
気にするな、とアクセルが答えたとき。
ソレは来た。
「?! 夕張! 中に飛び乗れ!!」
「? は、はいっ」
屋根に取り付けてる4連装16mm対空機銃を操作してる妖精が騒いでいる事にアクセルが気付き。
アクセルが指示を出す前に応急修理女神が、マイクロバスの側面に新たに取り付けられた大型扉を開くと。
鬼気迫るアクセルの言葉に言われるがまま、中へと夕張は飛び込んだ。次の瞬間。
「ぐぅっ!?」
「きゃぁぁっ!?」
対空機銃の妖精が何かを撃ち落そうと射撃を開始、しかし。
撃ち落しきれなかった何かがマイクロバスを攻撃し、それによって車内が大きく揺れる。
ついでに対空機銃も沈黙、スプラッタになる寸前に妖精は屋根側のハッチから車内に避難していた。
「クソッタレ……いったい、何が……うげ」
衝撃から立ち直り運転席から外を見るアクセル、そして絶句。
まず彼が目にしたのは、攻撃を終え戻っていくラジコンのような見覚えのある航空機。
そして、それを辿って見てみれば。
「今この瞬間に、お前かよ……」
思わずうめき声を上げるアクセル、それもそのはず。
その先にいたのは……。
かつて、彼を死の淵まで追い詰めた金色のオーラを身に纏ったフラグシップ空母ヲ級であったのだから。
嘘装備図鑑No.7
レアリティ:☆☆☆☆Sホロ
名称:牽引式大型水上車両
種別:牽引車両
射程:-
装備適正:重巡、戦艦、高戦、航戦、空母、軽母、揚陸(なお夕張MMは例外で搭載可能)
能力:回避-5、装備艦娘の速度が『低速』になる。
スロット一つ消費するも、新たにスロットが4つ追加される(差し引きスロット+3)
この装備は、装備艦娘が中波すると無効となる。
入手条件:遠征『孤島のメカニックと接触せよ!3』成功報酬
ぼくがかんがえた さいきょうのそうび そう言われてもしょうがないトンデモ装備。
……こんな装備あれば、AL作戦も突破できるだろうなぁ。
そんな愚痴はさておき、フラグシップヲ級ちゃんリベンジなお話。
果たして、夕張とアクセルはこの危機を乗り切ることができるか?!
次回『空母とタイマン』、お楽しみに!!