艦これMAX   作:ラッドローチ2

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とある場所からやってきたラッドローチ2と申します。
艦これとメタルマックスのクロス、我慢できずにやっちまいました。



01話 混ぜるな危険

『そいつら』が現れたのは、本当に唐突なことであった。

 

急降下爆撃を仕掛けてくるアホウドリ、海面をすべり銃弾をこれでもかと叩き込んでくるアメンボ。

 

そして、海に潜っては顔を出してを繰り返し砲撃を加えてくる巨大な鮫。

 

なぜか深海棲艦には攻撃を仕掛けないソレらは、提督にとっては新たな厄介者であった。

 

 

 

 

メタルこれくしょん 第一話

【混ぜるな危険】

 

 

 

 

 とある海域の無人島。

 

 そこはかつて、前線で戦う艦娘達の補給基地として運用されていたのだが……。

 

 謎の新勢力、暫定名『機怪群』により補給が縮減の末放棄された島。

 

 そんな島の砂浜に、一人の男が倒れていた。

 

 

「ぐっ…げほっ、げほっ」

 

 

 打ち寄せる波音に身をよじり、ふらつく頭を手で押さえ大きく咳き込む青年。

 

 そして。

 

 

「ケン! ミシカ! ポチ! 大丈夫か?!」

 

 

 長年苦楽を共にし、死線を潜り抜けた2人と1匹の名を青年が叫ぶ。が。

 

 返事が帰ってくる事はなく、波の音だけが響く。

 

 

「……まぁ、あいつらはほっといても死ぬ事はねぇか」

 

 

 死んだら死んだで新鮮なうちにミンチのじじいに見せるか再生カプセル飲ませればいいしな、などと呟き。

 

 落ち着いて周囲を見回す。

 

 

「しっかしどこだここ? ……BSコントローラがあればまだ良かったんだが」

 

 

 チームのリーダーだったでこっぱちの少年の持ち物を惜しみつつ。

 

 周囲の安全を軽く見回して確認し、着込んでいたCVCスーツを脱ぎ手持ちの装備を青年は点検し始める。

 

 

「スーツの方は大丈夫にしても……ヴードゥーバレルもビームブリザードも、挙句にソニックスパナまでダメくせぇなこりゃ……」

 

 

 激戦に継ぐ激戦の末に臨終した装備に重いため息を吐き、どうすんべと空を仰ぎ。

 

 とりあえず、最近バッグの底に仕舞いっぱなしだったブーメランスパナを取り出して。

 

 まだ湿ったままのCVCスーツを装着し、島の探索に歩き出そうとして。

 

 

「ま、なんであれ…………んん?」

 

 

 荷物にしかならない、臨終した装備らをまとめてどけようとしたその時。

 

 青年の手のひらに乗っかるくらいの人型の何かが、装備にわらわらと群がっていた。

 

 

「…………」

 

 

 装備に手を触れずゆっくりと後ずさる青年。

 

 しかし小さい人型の何か、よく見ると2頭身の少女と思しきそれらは興味深そうに何かわいわいと言葉を交わしながら装備をいじくり回していた。

 

 

(こいつら……俺を認識した上で装備の方行った、のか?)

 

 

 チラチラと青年に視線を向けつつも、装備をとても楽しそうに弄り続ける小型の何かを観察する。

 

 今までの経験からすれば、人や一部の犬を除き…こちらを認識した瞬間襲い掛かってくるモノしか知らなかったのだからやむをえなくもある。

 

 

(どうする? 先制で攻撃を仕掛けてみるか?)

 

 

 判断に迷いつつもこの場から動けない青年。

 

 結局、この微妙な膠着状態は装備を理解できねぇとばかりに一斉に小型の何かがお手上げするまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 結論から先に言えば。

 

 小型の何かは『妖精さん』であり、人類の味方であることを青年は理解した。

 

 その理解に至るまで、天辺にあった太陽が水平線に接するまでかかったのは致し方ないことであろう。

 

 

「……しかしやべぇな、寝床確保できてねぇ」

 

 

 砂浜に図面を書いたり何やりをしたりで、技術屋の性か相互理解という名の第一回技術交換会を終えた青年がぼやく。

 

 そんな青年の様子に妖精達は顔を見合わせ話し合い、一斉に頷くと。

 

 一人の、半被を纏い頭にねじり鉢巻を巻いた妖精がひとっとびで青年の肩に乗っかる。

 

 

「ん? なんだぁ?」

 

 

 いきなりの衝撃に愛用のサングラスをずらしつつ、肩に乗っかってきた妖精に青年は声をかけ。

 

 その言葉に、妖精は島の奥を指差すと先導するように妖精達がわらわらと島の奥へ向かって歩き始める。

 

 何人かは、技術交換会の勢いで分解された廃棄装備の部品を協力して持って行ってるのは抜け目ないところか。

 

 

「まぁ、階段に擬態した化け物に向かわせようとしたり戦車で待ち伏せしてねぇのなら俺は何にも言わねぇけどよ」

 

 

 やれやれ、とため息をはく青年。

 

 そんな青年の言葉に、そんなことするか!と抗議のつもりかぺしぺしと小さな手で妖精さんが青年の頬を叩いていたが気にせず歩みを進めて。

 

 無論、そんな愉快なハプニングが起こることもなく。

 

 島の奥、鬱蒼とした森の中にあった建物へと案内された。

 

 建物には蔦が生い茂り、おどろおどろしい雰囲気を醸し出していたが……。

 

 

「なんだ、なかなかに良い場所じゃねぇか」

 

 

 建物の様子に素直に心に浮かんだ言葉を青年は口にする。

 

 その言葉に驚愕するのは妖精達である、正直廃墟寸前だから文句の一つも言われる覚悟はあったのだ。

 

 しかし、青年が住んでいた場所では崩壊したビルに無理やり住む事など当たり前であったし。

 

 目に付く範囲ではあるが割れているガラスもなく、崩壊している場所もない建物など上等の部類に入るのである。

 

 

(それにここまで来るのにモンスター共にも会わなかったしな)

 

 

 口に出すことなく満足げに頷く青年。

 

 ここでこの不思議な小人と生活しつつ、仲間と合流して帰るのも悪くねぇな。などと青年は考えていた。

 

 そう、仲間と合流できると思っていたのだ……この時は。

  

 

 

 

 

 青年が状況を理解するきっかけとなったのは当日の夜。

 

 第二回技術交換会という名の現状認識のための情報収集を妖精と行っていたときのことである。

 

 

「……は? 艦娘? 戦艦の精的なサムシングだぁ?」

 

 

 妖精がエヘン、と胸をはりそうだ。とばかりに頷く。

 

 事の発端は、そもそも妖精はいったい何をしているんだと問い合わせたときの事で。

 

 

「深海棲艦とやらが海から攻めてきてて、ソレの対抗戦力として戦っている……戦車じゃダメなのか?」

 

 

 陸からの砲撃じゃ効果は薄い、と青年の言葉に妖精は答える。

 

 

「何言ってんだよ、戦車の主砲……が仮に豆鉄砲だとしてもだ。船の甲板にSE山積みした戦車で集中砲火すりゃいいだろ?」

 

 

 青年が何言ってるんだよ、と言葉を告げれば。

 

 同じ言葉を妖精からそっくりそのまま返されて。

 

 

「……オウケイ、少し情報整理しよう。 グラップラー、お尋ね者、ハンターオフィス、回復カプセル……この言葉に聞き覚えはあるか?」

 

 

 大きく深呼吸し、一つ一つ指を立てながら……恐る恐る妖精へと青年は問いかける。

 

 返答は……。

 

 

「……オーライ。グラップラーってのは闘士のことじゃない、人間狩りしてた組織だ。ソレに聞き覚えは……無いよなぁ」

 

 

 人間狩り言葉にぶるぶると首を横に振る妖精達に、青年は重いため息を吐く。

 

 返答は、全ての単語に聞き覚えはないという返答だった。

 

 

「おかしいとは思ったんだよなぁ……簡単な整備施設こそあれど、どれもクルマの整備を前提としていなかったし」

 

「……挙句に、あんなに状態のよいマイクロバスが放置されていたらなぁ」

 

 

 建物を妖精と一緒に歩いていた時にいくつか見た施設、そして何かの送迎に使われていたらしい状態の良いマイクロバス。

 

 どれも、青年がいた場所からしたらシックリ来ないものばかりであった。

 

 

「どーしたもんかねぇ」

 

 

 思わず天井を青年は見上げて。

 

 妖精が心配そうに見守る中、思考へと没頭する。

 

 

(グラップラーとの戦いの結果が見られねぇのは心残りだし、ケンを取り巻く修羅場も傍観できず、親父と姉ちゃんも置き去り……か)

 

 

 前いた場所の事を思い……。

 

 

「ま、来てしまったもんはしょうがねぇか」

 

 

 割とあっけらかんに現状を受け入れ、妖精達を一斉にずっこけさせた。

 

 そもそもがこの男、後先考えずにムシャクシャしたという理由だけで人間狩りを行う世紀末集団の戦車に色々やらかした挙句牢屋にぶちこまれた事があり……。

 

 義理と成り行きと個人的な報復活動だけで、命が幾つあっても足りない復讐に最後まで手を貸した男なのである。

 

 少し違う世界に来た程度、問題なく生きていけるのならば深刻に考える事はなかった。

 

 

「まーアレだ、しばらくよろしく頼むわ」

 

 

 ケラケラと笑い妖精へと青年は笑いかけ。

 

 

「え? 俺の名前か?」

 

 

 あー、そう言えば言ってなかったな。などと後ろ頭をガリガリと掻き……口を開く。

 

 不敵な笑みを浮かべて口を開く。

 

 

「アクセルだ、車の解体修理。ついでに改造まで任せておけ」

 

 

 親指で自らを指し示し、不敵な笑みを浮かべ名乗りを上げた。

 

 後に、『改造の鬼』『特攻魔改造野郎』『解体屋』……様々な二つ名を暁の水平線に馳せる男の名である。

 

 




というわけで主人公はアクセルさんです。
外見はMM2リローデッド仕様なので割りとイケメンです、でもチンピラです。

後、本作品では原作を若干改変してアクセルがメタルサーガニューフロンティアのメカニックのごとくアホみたいな改造を今後する予定です。
それでもよければ、これからもよろしくお願い致します。

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