早速感想をくれた皆さんありがとう。
『彼』は虚無感に苛まれていた。
彼にはとある『もの作り』の才能があった。
自身の才能に驕ることなく研鑽を続け、世間から認められ、将来にして生涯の仕事に就くこともできた。
だが、そこで彼の『情熱』は枯渇した。
様々な『作品』の原案はある、仕事を続けるのに何ら支障はない。しかし、彼にはもうその意欲は無かった。
彼が求めたのは自身の作品によって彩られる『偶像(アイドル)』。
だが彼の求めるものはいかなるコネクションを駆使しても見つかることはなく、それが彼から情熱を失わせた。
絶望感を感じながらふらりと立ち寄った公園で、
彼は、天使に出会った。
「……お兄さん、今、僕のパンツ見てたでしょ。えっち!」
頬を膨らませる水色の髪の少女に誠心誠意の謝罪をする。
同時に彼女に伝えた、彼の全身全霊を持って。
彼女の『お尻』がいかに魅力的なのかを。
「えっ……? そ、そうなの? えへへ、さすがは僕! お尻までカッコいいんだ!」
少し顔を赤らめた彼女の笑顔。
それがまた魅力的だった。
もっと彼女の笑顔が見たい。
明らかに一回り以上年の離れた少女に、彼は生まれて初めての『恋』をしていた。
レヴィと名乗った少女に、彼は幾つも自身の作品を送る。
「これって……パンツ? 違うの? ショーツ? ふーん」
予想以上。
レヴィが彼の作品を身に付けた瞬間、彼には全てが輝いて見えた。
作品だけではなく、レヴィそのものが。
彼の情熱は復活した。
いや、前以上の情熱と想像が溢れるようだった。
幾度もレヴィとの会瀬を繰り返すうち、彼女との距離は必然的に近づいていく。
ある時、ふ、とレヴィの尻に彼の手が触れた。
慌ててレヴィから離れ、地に額をつけて土下座する。
こんなものはただのセクハラだ、許される行為ではない。
己のあさましさに涙すら流す彼にかけられたのは、レヴィの意外な言葉だった。
「えっ、と……僕のお尻、そんなに、好き?」
もじもじと恥ずかしそうに頬を染めたレヴィは、気が狂いそうなほど愛らしかった。
それどころか、
「ちょっとなら……触っても、いい、よ?」
信じられない言葉が飛び出した。
後に彼は言う。
『理性が飛ばなかったのは奇跡としか思えない』
と。
かくして、青年と少女の『お付き合い』が始まった。
この後、『彼』は自身の煩悩を抑えるのに四苦八苦したり、結局抑えきれずに世界を敵に回す覚悟を決めることになったり、その覚悟が空振りに終わって案外平和なハッピーエンドを向かえることになったりするのだが……それはまた別の話。
『彼』の設定
天才女性用下着デザイナー。
学生にも関わらずすでに大手下着メーカーからスカウトが来るレベル。
レヴィが彼のデザインした下着を着けた姿をサンプルとして送ったところ、世界中のメーカーとデザイナーから絶賛の嵐を引き出したトカ。