レヴィ・ザ・スラッシャーに好きな人が出来た。
その報告を聞いてディアーチェはコーヒーを吹き出し、
シュテルは調理中のカレーを爆発させ、
ユーリは報告したレヴィより顔を真っ赤にしてぶっ倒れた。
そして始まるのはレヴィへの質問と言う名の尋問。
どんな相手だとか馴れ初めはなんだとかどこまでいったのだとか色々と興味深々なマテリアルズの質問がぶつけられ、どうやら相手が先にレヴィに好意を持ったらしい、ということが判明した。
「あの……ね、僕のお尻が好きなんだって」
恥ずかしそうで、だがどこか嬉しげなレヴィのその解答に空気が凍りついた。
「変態ではないか!」
「変態ですね、明らかに」
「あわわわわ、変態さんです!?」
聞き出した情報によれば相手はシュテルのオリジナルである高町なのはの兄、恭也と同年代。
「ロリコンだな、しかも変態」
「ロリコンですね、そして変態」
「あわわわわ」
今だパニック中のユーリを除いた二人が下した結論は一つ。
「「別れろ/別れなさい」」
「お、お兄さんはそんなんじゃないよ!」
「目を覚ませレヴィ。外見年齢10才前後の我々に異性として好意を抱く時点でロリコンは確定、しかも好きなのが顔と言うならまだわかるが、言うに事欠いて尻だと!? 変態と言うのも生ぬるいわ!」
「身体目当てですね。このままですとレヴィはその男に性的に食べられた上、成長したら興味をなくされてポイ捨てされるのがオチです」
「あわわわわ」
「そんなんじゃないったら! お兄さんはいつも優しくしてくれるもん!」
再び凍りつく空気。
すでに手遅れか、とディアーチェとシュテルがフル装備でその男を殲滅せんと騎士甲冑とデバイスを展開し、居場所を聞くべくレヴィに食ってかかる。
慌ただしい口論の末、どうやらレヴィはまだ清い身体だと判明し安心するも、やはり疑念は晴れない。そこで更に突っ込んで聞いてみる事になった。
「えっとね、お兄さんは僕にパンツを……」
(パンツだと!? やはり変態か!)
(やはり殲滅するべきでは)
「あわわわわ」
「……穿かせるのが好きなんだって」
「「は?」」
「ふえ?」
曰く『パンツとは美しい尻を彩る装飾品であり、レヴィには常に良いパンツを穿いていて欲しい』とのことで、レヴィは幾つもパンツをプレゼントされ、穿かせる際は『女性の大切な場所をじろじろ見る訳にいかない』とも『視覚を閉ざした方がお尻の感触に集中できる』とも主張し、目を閉じてレヴィにパンツを穿かせているらしい。
ちなみに脱ぐのはレヴィが自分で脱いでいるとか。
「……それは紳士なのか変態なのかいまいちコメントに困る」
「いや、変態には違いないでしょう。分別はかろうじてあるようですが」
「レヴィは今もそのパンツを穿いてるんですか?」
「うん! スッゴク大人っぽくてカッコいいんだ!」
そう言うと、レヴィはスカートの後ろを摘まんでパンツを見せてきた。
上質のシルクで出来た、レースをふんだんにあしらった紫のショーツ。
派手過ぎず、レヴィの外見年齢でも違和感のないように、それでもその魅力を最大限引き出すよう考えられた逸品。
そして自慢気ながらも少し恥ずかしそうに顔を赤らめるレヴィ。
彼女は確かに『女』として魅力的になっていた。
「ふ……む、これは、確かに……」
「審美眼はあるようですね……侮れません」
「レヴィ、なんだか素敵ですー」
ユーリの素直な称賛に照れくさそうなレヴィの仕草がさらに彼女の魅力を底上げしていた。
「むむ……だが、其奴がレヴィの尻だけにしか興味を示していないならば許されざる輩だ」
「あ、あのね! お兄さんは『僕のお尻』だから好きなんだって言ってくれたよ!」
「……それもどうなんでしょうか。ますます変態っぷりが加速しているような」
「あの……ね、お兄さんが僕のお尻を触る時って、まるで宝物を扱ってるみたいにスッゴク優しく触ってくれるんだ。僕のこと、とっても大切に思ってくれてるの分かるって言うか……幸せな気持ちになっちゃうんだ」
恋する乙女の表情でそう告げるレヴィ。
そうなると、もはやディアーチェとシュテルはこれ以上追求するわけにも行かず、ため息をついた。
ユーリは『素敵ですー』と目をキラキラさせていた。
「……とりあえずは保留、そして件の男への尋問だな」
「ですね」
レヴィを不幸にするなら殺傷設定の使用も辞さない二人であった。
後悔はしているが反省は無用と確信している。