艦娘幼稚園   作:リュウ@立月己田

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※先日より活動報告にて、今後の予定をお知らせいたします。
 非常に申し訳なく思っておりますが、何卒よろしくお願い致します。

 バトルは終わった。
最後はあっけない幕切れにより天龍を倒した主人公。
後は、結果とご褒美をもらうだけ。
だけど、何やら不穏な空気……?
いや、もしかして、もしかしちゃったりするんでしょうか?

 そんな訳無いけどねー。




その10「ご褒美の理由」完

 

「それではバトルの結果発表の時間です~」

 

 言って、愛宕は手書きのボードを見ながら口を開く。

 

 参加者の殆どは若干不満げな表情を浮かべながら、横並びに整列していた。

 

「まず、金剛ちゃんは0点でしたね~。天龍ちゃんとのバトルは素晴らしかったですけど、最初っから広場で戦いながら勝負が決まらないのでは、点数が全く増えませんよ~」

 

 愛宕は1人ずつ丁寧に的確な指摘を挟みつつ、バトルの内容を話し始めていた。

 

「うぅ……白熱するあまり、本来の目的を忘れてしまったのデース……」

 

 金剛は身体についたペイント液をタオルで拭きながら、ガックリとうなだれ肩を落としている。

 

「次は天龍ちゃんですね~。点数は金剛ちゃんを倒した1点ですけど、それ以外は全く同じですね~」

 

「くそぉっ! なんとか金剛を倒したってのにっ!」

 

「天龍ちゃんったら、肝心なところが抜けちゃってるのよね~。目の前の敵を倒して勝ち名乗りを挙げるなんて、ぶっちゃけありえないわよ~?」

 

 見事なツッコミを入れる龍田の言葉に思いっきりへこむ天龍。

 

 うむ、いつも通りの風景だ。

 

「続いて雷ちゃんと電ちゃんですけど、同士討ちしちゃってますね~。一応点数は1点ずつですけど、ルールに従ってすぐにバトルを止めないとダメですよ~?」

 

「うぅ……ごめんなさいなのです……」

 

「今回は失敗しちゃったけど、次は頑張るわっ!」

 

 対称的な反応を見せる2人だが、さすがに俺の争奪戦をまたやるのは勘弁してほしいから、頑張らないでいただきたいです。

 

「次は時雨ちゃんですけど……残念ながら0点ですね~」

 

「そうだね。上手く先生を騙せたつもりだったんだけど……まさかあんな手でくるとは思わなかったよ」

 

 時雨はやれやれ……と両手を上に向けて呆れた顔を浮かべていた。

 

「えっ、もしかして時雨のアレは演技だったのか……?」

 

「うん、そうだよ先生。さすがにアレはちょっと怖いからね」

 

「だ、だよなぁっ! マジでビックリしたんだぞっ!」

 

 その言葉を聞いて、胸を撫で下ろそうとしたのだが、

 

「ふふ……だから、先生は別に怖がらなくても良いんだよ……ふふふ……」

 

「ちょっ、やっぱり怖いっ!」

 

 演技なのか本当なのかマジでどっちなんだっ!?

 

 ヤンデレ要員が飽和状態で日々を過ごすことになったら、俺の精神が持ちそうにないぞっ!?

 

「続いてヲ級ちゃんも0点でしたね~。場所取りは良かったですけど、相手が一枚上手でした~」

 

「ヲヲヲ……アソコデオ兄チャンガ来ナカッタラ、僕ノ独壇場ニナル予定ダッタノニ……」

 

 しくしくと泣いている風に装っているが、アレは嘘なので構わないことにする。

 

「あれ……ってことは、俺と雷と電が1点で引き分けなんじゃねーの?」

 

 そう言って、不思議そうな顔をした天龍だったが、愛宕は顔を左右に振って口を開く。

 

「違いますよ~。最後に先生の結果が残ってます~」

 

「あっ、そうだった。すっかり忘れてたぜっ!」

 

 いや、俺の争奪戦をやっといて、本人を忘れるってどんなに酷いんだよ……

 

「それでは先生の点数ですが……」

 

 ごくりと唾を飲み込む天龍、雷、電の3人。しかし、単純に考えればすぐに分かると思うんだけど……

 

 俺が誰かにやられたのなら、最低でも2点は入っている。つまり、俺は最後まで残ったのだから……

 

「なんと3点で断トツのトップでした~。おめでとうございますっ、先生~」

 

「いやぁ……ありがとうございます」

 

 頭を掻きながら答える俺。その横で3人はガックリと肩を落としていた。

 

「ちくしょう……同点だったら決勝戦だと思ってたのに……」

 

「残念なのです……」

 

「うぅぅ……って、ちょっと待って。先生が優勝したってことは、賞品はどうなるのかしら?」

 

 雷の言葉に参加者は、一同にウンウンと頷いた。

 

「ということは、もう一回バトルをやるんじゃねえのかっ!?」

 

 いや、しばらくは勘弁してください。マジで疲れるし大変なんです。

 

「違いますよ~。先生が優勝したのですから、所有権が本人に戻っただけです~」

 

 所有権って、ちょっと酷くないですかそれっ!?

 

「えっと、つまり……どうなるのデスカー?」

 

「普通に考えれば、いつも通りってことだよな?」

 

「結局バトルの意味が無かっただけなのです……」

 

「でも楽しかったわよねっ」

 

「うん。久しぶりに僕も楽しめたよ」

 

「月イチペースデヤリタイカナ」

 

 だから、マジで勘弁してください。

 

「それでは今回のバトルはお開きです~。皆さんお疲れ様でした~」

 

「「「お疲れ様でしたーっ!」」」

 

 言って、みんなは笑みを浮かべながら手を上げる。

 

 バトルの参加者も、観客の子供達も、マイクパフォーマンスの青葉……はどこかに消えてしまっているが、楽しんでくれたのだろう。

 

 ただ、トトカルチョについては言及しないでおく。なんだか非常に嫌な予感がするからね。

 

 凄く疲れたけれど、みんなの笑顔を見れたのは良かったかな――と思う。月一ペースはしんどいけれど、賞品が俺自身にならないのならば、今後もやって良いかもしれないと考えを改めながら、撤収作業に勤しむことにした。

 

 

 

 ………………

 

 そして、ふと、新たな考えが俺の脳裏に過ぎる。

 

 そういえば愛宕って全員の戦闘に対して指摘を行っていたけれど、どこで見ていたのだろうか?

 

 見られているような気配は無かったし、それ以上に、全員が固まって同じ場所にいたんじゃないんだけど……

 

「いやいや、まさかそんなことは……」

 

 なんだか嫌な寒気を感じ、俺は気にしないように作業に戻る。

 

 以前にもあった、嫌な視線の感じを思い出さないように……

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「それではご褒美のお時間です~」

 

「待って……ましたぁぁぁぁぁっ!」

 

「そこまで喜んでもらえると、ちょっと嬉しいかもですねぇ~」

 

 スタッフルームで汚れた服を着替えた俺は、後始末を済ませた愛宕が帰ってきたのを見計らって、ご褒美について聞いてみたのである。

 

「そ、それで、ご褒美とはいったい……っ!?」

 

「うふふ~、とっても気持ちの良いことですよ~」

 

「……なっ!?」

 

 そ、それってアレですかっ!? R指定がついちゃうヤツですかっ!?

 

 良いのっ!? 本当に良いのかなっ!? すんげぇ嬉しいんだけどっ!

 

「それじゃあ、さっそく始めちゃいましょうか~」

 

「ええっ!? まだ外明るいですけど良いんですかっ!?」

 

「大丈夫ですよ~。それじゃあ、あっちのソファーで……」

 

「うっひょーっ!」

 

 愛宕に進められるままソファーに駆けていく俺。念願叶うとあらば、地の果てだって向かいますよっ!

 

「そんなに慌てなくても逃げませんよぉ~?」

 

「い、いやいやっ! もう、楽しみで楽しみでっ!」

 

「うふふ~。そ・れ・で・は、ちょっと目を閉じてくださいね~」

 

「は、はいっ!」

 

 ニッコリと微笑む愛宕にクラクラしつつ、俺はゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

「う……うあ……あ、愛宕さん……もうちょっと優しく……っ!」

 

「あらあら~、先生の中……結構凄いんですねぇ~」

 

「ひあぁぁぁ……ら、らめぇ……これ、気持ちいい……っ!」

 

「そうでしょう~。私のこれ、味わったら病み付きになっちゃうらしいんですよ~」

 

「た、確かに……ふあぁぁぁ……」

 

 うん。めっちゃエロい声けどアレだ。想像しているのとは違うので、安心? してほしい。

 

 今何をされているかと言うと、ベタもベタベタ、耳掃除である。

 

 愛宕の太ももの感触を楽しみながら気持ちの良い耳掃除を味わってしまえば、思わずエロそうな声を上げてしまったとしても文句は言えないのだ。もちろん、勘違いなんかしてないよね?

 

 まさかこんな明るい時間から……うん、泣いてなんか無いんだからねっ!

 

 でも、マジで太ももの感触凄いからっ! ふんわり柔らかだけど、弾力もあって気持ち良すぎだぜっ! あと、ちょくちょくおっぱいが顔に当たってるからっ!

 

 そういう意味ではマジでご褒美でしたっ! ちょっとだけ残念だったけどねっ!

 

 でも、お楽しみはまた今度に取っておく。今度は俺から告白できるといいなぁ……なんて思ってみたり。

 

 死亡フラグにはならないように気をつけつつ、今は愛宕のご褒美を堪能することに集中する。

 

 せっかく帰ってこれた幼稚園なのに、トラブル続きのドタバタ騒ぎだったのだから、ちょっとばかりはこういうのもアリでしょう。

 

 もちろんこの後に悲鳴が上がる落ちなんて待っているはずもない。俺は、この時間を楽しみたいだけなんだからねっ!

 

「んんー、たっぷり取れましたね~」

 

「ふはぁ……ありがとうございます……」

 

「それじゃあ、反対側もやっちゃいましょうか~」

 

「よろしくお願いしますっ!」

 

「はいはーい、良いですよ~。懐が暖かくなったお返しですから~」

 

「……え?」

 

「なんでもありませんよ~?」

 

「あ、はい……そうですか……」

 

 別にオチなんて、無い……と、思うん……だけどね?

 

 

 

 

 

艦娘幼稚園 ~第一回先生争奪戦!~ 完




※先日より活動報告にて、今後の予定をお知らせいたします。
 非常に申し訳なく思っておりますが、何卒よろしくお願い致します。


<補足>
 愛宕は悪くないです。悪いのは元帥です(ぼそり
ヒントはいくつかありましたねー。青葉のセリフに愛宕の言いかけたセリフ……ええ、表向きはアレですが、裏では元帥が暗躍していたりするんです。
もちろん大損したんですけどね。元帥の予想は金剛だったようなので。

 でも、これによって鎮守府のみんなにヲ級の存在と紹介を済ます事が出来たので、結果オーライなんです。やったねヲ級ちゃん。




 以上にて、第一回先生争奪戦は終了となりました。
そして、活動報告にてお知らせいたしました通り、暫く毎日更新並びに暫くの間、小説の更新をお休みさせて頂きます。

 理由は冬のイベントに向けて同人小説本を出してみたいという思いにより、現在長編小説を執筆しておりまして、そちらの方に集中したい為であります。

 続きを楽しみにして下さっている読者の方々には非常に申し訳ございませんが、ご理解いただけますと幸いです。
また、現在の執筆が終わり次第、艦娘幼稚園の続きを再開したいと思っておりますので、是非これからも宜しくお願い致します。

 また、今後の作品についての参考意見等がございましたら活動報告やメッセージ、ツイッターなどにてご連絡頂けると幸いです。

ツイッター↓
「@ryukaikurama」
 是非フォロー宜しくです。

 これからも宜しくお願い致します。

 リュウ@立月己田

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