主人公に抜擢された青葉が、とある噂を聞きつけて色んなところへ駆け回るっ!
幼稚園児は少ししか出てこないけれど、ちっちゃい子供が新たに現るっ!?
あの艦娘が、はたまたあの人物が!
艦娘幼稚園で出てきたキャラクターが大暴れ? しまくるスピンオフ青葉編っ!
まさかの長編でお送りいたしますっ!
※第二回リクエストで応募頂きました艦娘&???が大量出演っ!?
二番煎じだろうがなんだろうが……ギャグ満載の嵐をお届けいたしますっ!
その1「早速取材、開始ですっ!」
ども、きょーしゅくです! 青葉ですよー。
呉の方が大変な事になっちゃっていましたが、どうやらひと段落といった感じで青葉も安心しました。
なにやら先生が大活躍したらしいのですが、青葉は取材……じゃなくて、出撃できなかったので詳しくは分からないんですよねー。
もちろん情報を得るために色々と手を回したつもりだったんですが、扶桑さんと会話をするとダークな感じになっちゃいますし、高雄秘書艦や愛宕には……近寄りたくないですからねぇ……
それに今では、深海棲艦との停戦の話が鎮守府内を駆けまわっちゃって、皆はそっちに集中しまくり状態です。正直に言っちゃえば堅苦しいお話なので、青葉としては取材のしがいが無いのです。
ただその関係からか、幼稚園に数人の深海棲艦が通うことになったという、なんとも面白そうなネタが舞いこんできたんですけど、青葉は完全に幼稚園内は出禁扱いになっちゃっていますからねー。
次にばれたら、かなりやばそうなので……暫くは避けておいた方が良さそうなのです。さすがに命は大事にしないといけませんからねー。
と言う事で、残念ながら直接的ではなく間接的に取材を行おうとしたのですが……なにやら、またまた面白そうなネタが舞いこんできました。
まだ未確定な情報なので今から直接出向くんですが、まずは切っ掛けとなったお話を語る事に致しましょうー。
今日も青空の良い天気。
午前中の予定を済ませた艦娘は昼食を終え、休憩場所でまったりと過ごしていたり、お昼寝をするのが一般的です。
もちろん青葉は休むよりも、取材の為に鎮守府内を駆けまわっているのが当たり前なんですよ。今もこうして、食堂からどこに向かおうかと考えながら歩いているんですが……
「おや……?」
何やら埠頭の方から大きな声が聞こえてきた様な気がしました。普通の人や艦娘なら聞こえなかったかもしれませんけれど、青葉の耳は取材の為に訓練したんですっ。
まぁ、危うく引っぱられてちぎられそうになった事もありますけど……酷いですよねー。
えっ? 約束を破ったり、変な噂を撒き散らしたり、とある人の写真をばらまくからですか?
はて……それは一体何のことでしょう。青葉は良く分かりませんねー。
それよりも、埠頭の方が青葉気になりますっ! どっかの好奇心旺盛な女子高生よりも気になっちゃいますっ!
早速ジャーナリスト魂で、向かってみる事にしますよー!
「早くっ! ドックの方へ運ぶんだっ!」
「手間取っていたら、あの世に逝っちゃうよっ!」
埠頭の方へと向かう最中の建物近くで人だかりができていますが、あまりに多くの人や艦娘がいるせいでハッキリと何が起こっているのか分かりません。ですが、ドックとかあの世とか言っていますし、誰かが重傷を負ったという事で間違いないんじゃないでしょうか。
これはちょっと青葉も心配になっちゃいますけど……艦娘として海で戦う以上、こうした事が起こるのは想定しています。薄情に聞こえるかもしれないですけど、戦場で何が起こってもおかしくはないんですよね。
でも、できるならば怪我を負った艦娘は助かって欲しい。そう思いながら、青葉は取材をしようと思ったんですけど……
「今はそれどころじゃないっ! さっさとそこをどいてくれっ!」
「は、はいっ。ごめんなさいっ!」
案の定、怒られちゃいました。どうやら本当に切羽詰まった感じみたいです。
これは直接ではなくて、間接的に情報を得た方が早いかもしれませんね……と、青葉はドックのある建物の裏手に回って、整備室の方に向かうことにしました。
「こんにちわー」
「あれ、青葉じゃない。整備室に来るなんてどうかしたの?」
挨拶をしながら入ったんですけど、そこにいた1人の艦娘が青葉に気づいて声をかけてくれました。
「そりゃあ、青葉も艦娘ですから艤装の整備くらいはしますよ?」
「語尾の段階で怪しさ満点だけどね……。まぁ、開いているところを使えば良いわよ」
そう言ってマスクを被り、バチバチと火花を散らしながら溶接をしていたのは夕張なんですけど……いったい何を作っているんでしょうか?
背中越しに見えるのは、明らかに艤装のそれとは違う気がするんですけど……気になるよりも怖さの方が際立っちゃいますねぇ。
まぁ、触らぬ神になんとやらと言いますし、集中していて話も聞けそうにないですから、夕張の事は放っておいて他の方に話を窺ってみようと整備室内をうろつきます。
「うーん、どうやら整備している艦娘はいないみたいですねぇ……」
今は昼食後の休み時間な訳ですから誰かはいるだろうと思っていたんですけど、夕張以外に見当たらないんですよねー。
逆に言えば、休み時間に整備室に籠る時点で特殊って感じなんでしょうか。そう考えたら、やっぱり夕張って……いや、この考えは止しておきましょう。
ああ見えて夕張も勘が鋭かったりしますから、変な言葉を聞かれちゃったら……
「不意打ちっ!」
「ひゃうっ!?」
く、くくくっ、首元に冷たいモノがっ!?
「どう、ビックリした?」
「も、もうっ、焦りまくったじゃないですかっ!」
振り返ってみると、いつの間にか夕張が笑みを浮かべて立っていました。右手には缶ジュースが握られていて……これを首元に当てられたんですね……。
もう……心臓が止まっちゃうかと思ったじゃないですかっ!
「ゴメンゴメン。ちょっと変な気がしたから脅かしちゃった」
「む……ぐ、まぁ、別に良いですけど……」
片手でごめんなさいと会釈をした夕張に向かってそう言いましたけど、やっぱり勘が鋭いです。
「と言う事で、これ良かったらどうぞ」
そう言って、夕張は手に持っていた缶ジュースを渡してくれました。
「え、あぁ、どうもです」
好意は素直に受け取っておくところなんですが、何だか怪しい気配がします。
「……これの見返りとか、請求されたりしちゃいます?」
「あらー、やっぱり読まれちゃうかー」
「青葉の鼻をなめないで下さいよっ」
ジト目で睨みつつも、缶ジュースのプルトップを引き上げてゴクゴクと飲んじゃいます。何かを企んでいるとしても、さすがに毒なんか入れる訳が……
「ぶはーーーっ!」
な、なんですかこれっ! すんごい味がするんですけどっ!?
「あれっ、どうかした?」
「ど、どうしたもこうしたも……なんなんですかこのジュースはっ!?」
「この前外に出かけた時に買ってきた、正●丸ジュースだけど」
「な、なんてモノを飲ませるんですかっ!」
「え、そんなに不味いかしら? 私は結構いけると思うんだけど……」
そう言って、夕張はポケットから取り出した同じ缶ジュースを開けて、ゴクゴクと飲んでいますけど……
「んぐ……んぐ……」
うわ……一気に飲んじゃってますよ……
「ぷはーっ! この苦みが良いのよねー」
いや、苦過ぎて美味しさなんてありませんでしたよっ!?
「どういう味覚をしているんですか……」
「むしろこの苦みが分からないようじゃあ、まだまだよねー」
いや、正直分かりたくないです。
これ以上飲む気は無いので夕張に缶ジュースを返すと、美味しそうに最後まで飲み干していました。
夕張……恐ろしい子っ!
「それで、実は青葉にお願いがあるんだけど」
「……お願い、ですか」
どうやらさっきの缶ジュースはやっぱり見返りを求めての物だったようですが、あんな不味いジュースではとても言うことを聞いてあげようって気にはなりません。ですが、もしかするとドックの情報をゲットできるかもしれないので、ひとまず夕張のお願いを聞いてみる事にしました。
「最近先生の良いネタが入ってないかなーって思ったんだけど……どうかしら?」
「んー、そうですね。新しい写真がいくつか入ってますよー」
「本当っ!? それをぜひ、お願いしたいんだけどっ!」
「もちろん、それ相当の報酬が必要になりますよ?」
「ええ、それは分かっているわ。1枚いくらかしら?」
「いえいえ。今回はコインじゃなくて情報が欲しいんですよねー」
「情報……?」
少し不思議そうな表情を浮かべた夕張でしたが、青葉は気にせずに話を続けます。
「実はドックの方が慌ただしいみたいなんですけど、その事について何か知らないかなーっと思いまして……」
「それっていつ頃の事かしら?」
「ほんの少し前です。多分ですけど、午前中の出撃の艦隊か……もしくは昼前に帰ってきた遠征艦隊だとは思うんですけどねー」
「うーん……残念だけど、私は何も分からないわ。朝からずっと溶接作業をしていたから、殆ど周りの音も気にしていなかったのよね」
「ありゃ、そうですか……」
どれだけすごい集中力なんですか……と、ツッコミたくなりましたけど、夕張の性格を考えればありえそうですよね。
「それじゃあ、聞きたい事は無くなっちゃいましたねぇ……」
「えー……じゃあ先生の写真はどうなるのかしら……」
「仕方ないですねぇ。いつも通りの価格でお売りいたしますよー」
「やった! これで新しい先生のデータが手に入るわっ!」
大喜びの夕張からコインを受け取った青葉は、先生の写真を渡してあげました。
「おおっ! これは先生のウエットスーツ姿っ!」
「つい先日の呉に向かった際に撮られた写真ですよー。残念ながら青葉は参加できなかったので、別の方が撮ってくれたやつなんですけどねー」
誰だとは言えませんけど、青葉には色んな写真家の知り合いがいるんですよねー。
もちろん報酬もお渡ししますし、物々交換もどんとこいです。でも超常現象はどんとこないで下さい。
「このピッチリとしたタイツの感じ……この前の下着姿より……良いわよね……」
うっとりとした表情で写真を眺めている夕張がなんだかちょっと怖いんですが、これはいつもの事なので放っておきましょう。
「それじゃあ青葉は情報を仕入れるため、別の人に話を聞いてきますねー」
「はぁ……これは家宝モノよね……」
完全に一人の世界に入り込んでいるようなので、さっさと行っちゃいますかー。
それから青葉は整備室の中を回って暇そうな人はいないかなー……なんて思いながら探していると、作業着姿の男性が天井を見上げながらボケーと座っているのが見えました。無精ひげを生やした30代くらいの方ですけど、どこかで見た事があるような気がするんですよねー。
でもまぁ、思い出せないってことはたいした事じゃないんでしょう。早速話を窺ってみることにしますっ。
「どもどもー。青葉ですけど、ちょっとばかり取材良いですかー?」
「ん……と、取材?」
「ええ、取材です。実はついさっきの事なんですけど、ドックに誰かが運ばれた件について、何か知りませんか?」
「いや、何も知らないかなぁ。ついでに言えば、どうでも良いかなぁ」
「い、いやいや。さすがにその発言はどうかと思うんですけど……」
仮にも鎮守府で働いているんですから、どうでも良いって発言は少々危ない気がします。
ただ、なんというかこの人……完全に呆けちゃっている感じがするんですが……
「だってさぁ……ヲ級ちゃんのファンクラブ会長の座を奪われて、大鯨様のオシオキは最近無いし……生きている意味が無くなっちゃったんだよ……?」
そう呟いた男性は、ガックリと肩を落として大きなため息を吐きました。
あー……そうか、なるほどです。
どこかで見たことがあると思っていたんですけど、どうやらヲ級ちゃんファンクラブのホームページですね。
しかし、会長の座を奪われたって……一体全体、何があったんでしょうか……?
「えっと……そのことについてお聞きしても良いんですかね?」
「喋った時点で胃に穴が開くから、できれば聞かないで欲しいです」
「そ、それは……痛いですよね……」
「大鯨様のオシオキならば……痛くても良いんだけどねっ!」
………………
なにこれ。目がキモイ。
キラキラしながら遠くを見つめて、更に頬染めるとかマジであり得ないですよっ!
「ハァハァ……思い出しただけで……」
怖い怖い怖いっ!
これは有害人物リストに確定ですっ! 要注意人物として報告しますっ!
それに近くで話しているだけで寒気がするので、さっさと退散しますっ!
「では青葉はこれにてっ! 周りに迷惑かけない程度に頑張って下さいっ!」
「え、あ、もしかして放置プレイ!? キタコレッ!」
うわあぁぁぁっ! 完全に変態ですーーーっ!
全国の漣ファンに謝りながら、脱兎の如く逃げるですっ!
次回予告
変態作業員から逃げた青葉ですが、肝心の情報はゲットできず。
しかし、翌日にある噂を聞きつけて、早速突撃する事にしちゃいましたっ!
そしてまさかの現象に……暴走が止まりませんっ!
艦娘幼稚園 スピンオフシリーズ『青葉の取材遠征日記』
その2「那珂ちゃんのファンやりますっ!」
乞うご期待!
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