今日は部活が休みで、友達と一緒に下校していたメイ。
途中寄り道して談笑して等、下校中の一時を楽しんでいる時、メイは意外な光景を見てしまった・・・。
「・・・あれって・・・兄貴?・・・・・・隣にいる女の人は・・・誰?」
自分の兄タダクニが、自分の知らない女子高生と楽しそうに歩いている光景を・・・。
「如何したのめーちゃん?」
「えっ!?いや・・・何でもないよ・・・」
少し呆然としていたのか、友達の1人が心配になってメイに声を掛けた。
声を掛けられて自分が呆然としていた事に気付いたメイ、友達は心配になってメイに問いかけるが、
言える訳が無い・・・兄が見知らぬ女子高生と一緒に歩いているとこを見てびっくりしてしまった等と・・・。
(たっ・・・確かに驚いたけど・・・別に兄貴が誰と付き合おうと私には関係ないし・・・それに変に誤解されて、
ブラコンなんて思われるのは嫌だし・・・って!まだ兄貴が付き合っているって決まった訳じゃないし・・・って!
だから別に付き合おうと関係無い・・・でも・・・あぁ・・・もうっ!!何なのよ!?)
心の中で色々と問答しているメイ。
「めーちゃん?」
「大丈夫?気分でも悪い?」
「えっ!?うぅん・・・大丈夫だよ」
「・・・ねえ、今日はもう帰ろうか?」
「うん・・・そうだね。めーちゃん、また明日ね」
「うん・・・ばいばい・・・」
その明らかに様子が少し変なメイを気づかい、今日は早々と解散する事にした。
友達と別れ、家に着くまでの間、メイの足取りは若干重かった。
(あの女の人・・・兄貴の友達かな?それとも・・・)
普段は頼りがいの無い、バカな事しかしない、友達が修復不可能なバカしかいない、女装が異様に似合う兄タダクニ・・・。
しかし・・・何時も美味しいご飯を作ってくれて、何かと気にかけてくれていて優しい兄タダクニ。
つい最近まで仲が悪かったメイとタダクニ、それまでは前者の悪いイメージしか抱いてなかった、
でもタダクニの謝罪以降、後者のタダクニの良いイメージを知る・・・いや、思い出したのだ、
幼い頃自分が兄に抱いたイメージと心境を・・・。
それがメイの心をかき乱している事を、本人は知らない・・・。
「・・・ただいま」
「おかえりー」
家に着くと既に帰宅していたタダクニ。
「・・・あのさ・・・兄貴」
「何だ?」
「その・・・き・・・今日の晩御飯何?」
本当は別の事を聞きたかった、今日一緒に居た女子高生の事を・・・しかし、望まない答えに恐れ、
咄嗟に質問を変えてしまった。
「明日バイトで居ないからカレーだよ」
「そっか・・・じゃあ私勉強しているから、出来たら教えてね」
「おう・・・」
メイは自分の部屋へと向かった・・・その途中・・・。
「・・・あの女の人って・・・兄貴の彼女・・・なのかな?」
そう呟くメイは、悲しみと寂しさが入り混じった表情になっていた事を・・・本人も気付いていなかった。