(Z–>)90º – (E–N²W)90ºt = 1   作:ASHIMU

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二話

気がついたとき、そこは森の中だった。

陰鬱で、太陽の見えない鬱蒼とした森の中。

体は露でぐしょぐしょだ。

 

「くっ…そ…」

 

上半身を起こし、毒を吐く

頭がガンガンする、インフルエンザの時の頭痛を何倍にもしたような酷い頭痛だ。

…だが、ここで座っているわけにもいかない。

どうすればいいか、回らない頭で考える。

 

(ここは…違う次元なんだろうな…【あの空間】での出来事が夢だとは思えない…それに…)

 

先ほどから感じるのだ、今まで感じたことが無い感覚、眼には見えないが、ソレがここにあり、この空間に満ちているのが分かる…あの空間での出来事により、俺はソレを理解したのだろう。

 

手を伸ばし、掌を広げる、そこにソレを集めてゆく…一度ソレを理解したからだろうか、息をするように自然に集めることが出来た。

手の中に光が集まっていく、その光は幻想的で眼を奪われてしまった。

 

「コレが…マナか。」

 

マナ

MTGにおける、全ての呪文に必要なエネルギーだ。

このマナがなければプレインズウォーカーは呪文を唱えることが出来ない。

 

…しかし、違和感を感じる。

 

「……ダメだ…マナが薄い。」

 

そう、まるで力を感じないのだ、確かにエネルギーは感じる、だが濃度がまるで足りないのだ。

 

(この次元では、マナを得られない…?)

 

そんな想像が生まれゾッとする。

呪文が使えなければ元の世界に戻ることが出来ない。

 

「くそっ…!何だってんだ…!」

 

苛立ち、地面を殴る…そもそもこの状況は何だ?

どうして俺がこんな目にあっている?

考えても仕方の無い事が頭を埋め尽くしていく。

 

「はぁ…ダメだ…」

 

そんな事を考えていても仕方ない、頭では分かっているがやはり、どうしても考えてしまう。

冷静にならなければならない、慌てふためいてもどうにもならないのだから。

 

「せめて…説明書でもありゃあなぁ。」

 

苦笑しながら呟く。

状況が分からない、何が出来るか分からない、この状況を整理してくれる何かを求めたくもなる。

もちろんそんなものは無い…と思ったのだ。

 

SYSTEM

メニューを参照しますか?

 

「………は?」

 

すぐには返事できなかった、頭の中にまた無機質な声が響く。

 

SYSTEM

メニューを参照しますか?

 

「イ、イエス!」

 

返事をすると、目の前にウィンドウのようなものが現れる。

SF作品とかで見る、空間に投影されるあれだ。

項目がいくつかあり、「ステータス」「デッキ」「土地セット」「呪文リスト」「装備」の五つだ。

 

手始めに「ステータス」をタッチしてみる、すると画面が変わり文字が表示される。

 

プレインズウォーカー Lv1

 

ライフ 5

マナ出力 1

維持可能マナ 5

クリーチャー使役数 1

手札 3

 

PP 0

 

スキル

プレインズウォーカーの灯 Lv1

マナ操作

呪文詠唱

 

 

 

 

「………弱えぇ…」

 

感想が口から漏れる、「マナ容量」だの、「維持可能マナ」だのよく分からない部分があるが少なくとも自分の知っている基準と比べると余りにも弱い。

 

MTGのプレイヤーの体力は「20」手札は「7枚」だ…この数字が本当だとすれば、余りにも差がある。

 

それぞれの項目にタッチできるようなので触れてみる、まずは「ライフ」からだ。

 

「ライフ」

あなたの初期体力の数値です。

ライフは24時間毎にリセットされます。

0になると死亡します。

 

と、説明が現れた。

 

「…マジか。」

 

初期体力というのはMTGをやっていたからなんとなくわかる。

つまりは24時間という時間が過ぎるたびにライフが1だろうが100だろうが5になるということだろう…問題はその後の「死亡」だ。

 

なんとなくは予感はしていた、分かってはいた。

もし、戦いというものをした時、恐らく無事にはすまないという事は…だが、こうもはっきり言葉にされると、色々とクルものがある。

 

「…」

考えていても仕方ない他の項目を触る。

 

「マナ出力」

あなたが一度に引き出せるマナの量です。

この数値より大きなマナコストの呪文は他の助けが無ければ唱えられません。

 

「維持可能マナ」

あなたが維持できるマナコストです。

この数値より多くの各パーマネントのマナコストの合計は維持できません。

この数値より、各パーマネントのマナコストの合計が上回った場合、パーマネントがランダムに消滅します。

 

「クリーチャー使役数」

あなたの指示に従うクリーチャーの数です。(トークンは含みません)

この数値より多くの数を召喚すると、あなたの指示に従いません。

 

「手札」

あなたの保持できる呪文の数です。

 

1時間ごとに判定を行い、この数値より多くの呪文を保持していた場合、この数値まで数を減らします。(減らすまで呪文を唱えられません。)

 

 

 

……つまり、今の自分は「1マナ」の呪文しか唱えられないうえに、クリーチャーは「一体」まで、という事だ、「維持可能マナ」「手札」についてはまだよく分からない。

 

続いてスキルをタッチする。説明はこうだ。

 

「プレインズウォーカーの灯 Lv1」

多次元を認識し、移動を可能とするスキル

Lvが低いと「次元の間」からしか【Planeswalk】を唱えることが出来ない。

このスキルのLvは、「プレインズウォーカー」のLvと同じである。

 

「マナ操作」

マナを認識し、マナを使うことを可能とするスキル

 

「呪文詠唱」

マナを使い、呪文を発動させることができるスキル

 

 

「プレインズウォーカーの灯…!」

 

希望が見つかる、ここに書いてあることはLvを上げれば【Planeswalk】で元の世界に戻ることが出来るかもしれないという事だ。

 

(やる事が決まった…!)

 

どうにかLvをあげ、【Planeswalk】を使い、元の次元へと帰る事。

 

「ソレが俺の目的だな。」

 

口にだして再確認する、やり方も、方法も分からない、だが目標が出来れば人は活力を得れるのだ。

 

まず、どうにかしてLvの上げ方を見つけよう、その為にも他の項目も見なければならない、そう確信し「デッキ」の項目を開いた…その時。

 

ガサリと音が響いた。

 




小説って書くの難しい…

読みにくかったらすみません!

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