(Z–>)90º – (E–N²W)90ºt = 1   作:ASHIMU

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一話

あの時からどれだけの時間がたっただろう?

 

このよくわからない空間に投げ出されて、かなり時間がたったが相変わらず体は動ず、MTGのカード達が変わらず俺の周りを回っている。

 

投げ出された空間は…言葉にする事が出来ない。

 

上も、下も、前も、後ろも、右も、左もよくわからない。

浮きながら落下して、進みながら戻り、曲がりながら直進する。

暗いようで眩しく、暑いようで寒く、整然としていながら混沌と。

 

そう、俺はこの空間を《理解》できない。

 

《理解》できない物を《感知》することはできない。

 

こんな空間にいながら、体が動かないにも関わらず、精神が正常なのは恐らく…カードのお陰だろう。

 

本当にそうかはわからない、だがカードから出ている、俺の体を包んでいる光のお陰だと思う。

 

(しかし…どうしたもんかね)

 

もちろんどうしようもない。

だが考えるのを止めるわけにはいかない…止めると不安がとめどなく溢れてくるからだ。

 

(どうにかして、もとの世界に戻りたい…けど、そんな方法なんて…)

 

あるはずもない、そんなことはわかっている。

 

何を考えても、なにもできないという事を再認識する、そんなことを繰り返している。

 

 

そんな時、カードが目に入った。

 

(…なんなんだろうな、このカードは。)

 

そんな事はわかるはずがない、この空間と同じで《理解》できない。

 

 

 

 

だが、カードについては《知識》がある。

 

 

(そもそもカードってMTGじゃあどういう設定だっけ…?確か…)

 

MTGのカードは《呪文》だ。

クリーチャー呪文は異なる次元から生物や、人物を呼び出し。

インスタント、ソーサリー呪文はマナを燃料に瞬間的な現象を引き起こす。

エンチャント呪文はマナの性質を変え、霧散するマナを滞留させ、永続的な現象を発現させる。

プレインズウォーカー呪文は異次元のプレインズウォーカーに救援を求める。

 

(プレインズウォーカー…か。)

 

プレインズウォーカー

このMTGにおけるプレイヤーは、全てプレインズウォーカーという存在だ。

プレインズウォーカーは次元を越える力を持ち、多次元の呪文を使いこなす魔術師だ。

その力は圧倒的で、プレインズウォーカーの力で一つの次元を消すこともあったらしい。

 

(…なら)

 

思い付く、あの時の男はプレインズウォーカーなのではないかと。

 

(…あの止まった世界…いや、世界じゃない、きっと《次元》が止まったんだ。)

 

自分がいた《次元》を思い出す、次元を止めたから、全ての動きが停止した。

あの時開いたナニかは…《次元》だ。

 

(…なら、ここは)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは次元の間だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SYSTEM

スキル《プレインズウォーカーの灯》を習得しました。

 

 

 

 

 

 

 

無機質な声が頭に響く。

その瞬間、自分の周りのカード達がさらに光…消えていった。

 

そして、俺はこの空間を《理解》し《感知》した。

 

 

それはあまりに美しく、朧気な場所だった。

 

白、緑、赤、黒、青、無色。

 

複雑な色が混ざりあい、反発しあい、干渉しあう、そしてこの空間を《理解》した今ならわかる。

 

(…あの光の帯に触れれば…俺は消滅する。)

 

理屈ではない、が予感がする、限りなく確信に近い予感が。

 

(近づいているな。)

 

俺の体は少しづつ、だが確実に光の中心に引き寄せられていた。

…あまり余裕は無いように思う、恐らく10分といった所か。

俺と光の間にはいくつもの穴が存在していた。

 

(あの中に…!くっ!)

 

助かりたい一心で、穴へと飛び込もうとするが…

 

動けない、いや先程とは違い体は動く、だが、ここには地面がない、故に動けない。

 

(動くにはどうすれば…?)

 

SYSTEM

この空間で行動するには、スキル《マナ操作》《呪文詠唱》が必要です、習得しますか?

 

「イエスだ!!」

 

頭の中の声に答える。

 

SYSTEM

スキル《マナ操作》《呪文詠唱》を習得しました。

 

その瞬間、理解する。

今まで感知できなかった《マナ》という存在を。

 

SYSTEM

呪文《Planeswalk》を習得しました。

使用しますか?

 

「イエス!」

 

苛立ちながら答える、あと、5分程度で光にぶつかってしまう!

 

SYSTEM

呪文《Planeswalk》を習得しました。

使用します…error、デッキを確認できません。

デッキを選択してください。

 

「デッキ?!」

 

デッキとはMTGで使うカードの束だ、だがカードは先程消滅してしまった。

 

SYSTEM

以下の物から選択してください。

《注意!ここで選んだデッキの色以外の呪文は習熟度が著しく低下します》

 

すると俺の体から光が出てきて、光がデッキになった、それぞれにマークと説明のが浮かぶが俺は読むことができなかった。

 

何故なら光はもう目の前に迫っていたからだ。

 

俺は自分が最も慣れしたんだマークに手を伸ばし、あらんかぎりの声で叫んだ。

 

「Planeswalk!!」

 

そして、また意識を失ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SYSTEM

デッキが選択されました。

呪文《Planeswalk》が発動しました。

最適化を開始します。

 

 

 

最適化終了

装備を更新しました。

呪文リストが更新されました。

《ラヴニカへの回帰》が追加されました。

《M14》が追加されました。

 

 

 




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