「もう始まってるみたいだな」
超反転魔法の真の姿・・・・既に古代都市ニルヴァーナが起動しているのが遠くに見えた。
最終決戦が勃発しているようだ。
「急ごう」
クリスと共に、俺はニルヴァーナを目指す。
◆◆◆
「ナツの声だな」
ニルヴァーナの足下辺りまで来た俺達は、ナツの声と思しき咆哮に耳を塞ぐ。
うるせぇ。
ま、兎に角これを登らないとな。
「クリスって空飛べる?」
「無理ですね・・・・・・」
「んじゃ、俺が運ぶわ」
よっこらせと、クリスを抱えて空を飛ぶ。
取りあえずどうしよ、ナツ達と合流するか、ブレインを探すか・・・・・・。
「・・・・・あ?」
「どうしたんですか?」
「何か見える」
空を飛ぶ俺の視界に、妙なモノが映った。
此処からかなり離れたところだが、空に何かが浮いている。
普通の視力じゃ、黒い点にしか見えない。
「【白眼】‼」
視力を拡大し、遠くを見る。
「・・・・・・なんだありゃ」
その黒い点は、城だった。
空中に浮かぶ城。
いや、庭園といったほうがいいのか。
とにかく、そんなものが此処から離れた空に浮かんでいた。
常識的に考えて、こんなタイミングであんなものがある時点で普通じゃない。
そもそも原作には無いモノだ。
「・・・・・・・てことは、アレか?」
転生者が関わっている?
このタイミングだと、考えられるのはあの憑依転生者しかいない。
「・・・・・・と、ナツ達だ」
ニルヴァーナの中心部に、ナツ達が集まっていた。
まずクリスを降ろすか。
「おーい、お前等ぁっ‼」
「あ、祐一‼」
そこにいるのはナツ、ハッピー、グレイ、ルーシィ、ジュラの4人と1匹だけ。
ウェンディとシャルルは、もう行った後か?
「祐一も六魔を倒してきたんだね」
「六魔っつーか・・・まぁ、そんなもんだ」
正確には六魔が召喚したやつだが、いちいち言わなくてもいいだろ。
「あの、お姉ちゃんは?」
「さっきあっちの方に行ったわよ。何か探してくるって言ってたけど・・・・・・」
辺りをキョロキョロと見るクリスに、ルーシィは指差して答えた。
「あの、私・・・・・・」
「おう、探して来な」
「まだ敵が残ってるから、気を付けてね」
グレイとハッピーに礼を言い、クリスはウェンディの後を追って行った。
「悪いが、俺も外していいか?」
「あぁ? 何で?」
「ちょっと向こうに気になる物を見つけてな。確認しに行きたいんだ」
眉を寄せて疑問を抱く皆の代表として、ジュラが「何を見つけたのだ?」と聞いて来た。
「城だ」
「城?」
「ここからかなり離れた所で、城が空に浮いていた」
「城が空をッ!?」
俄かに信じられないと言った風だが、俺が頷くと取りあえず信じてくれた様だ。
「こんなタイミングで周囲に空飛ぶ城なんて不自然だろ?」
「私達今、陸を歩く古代都市にいるけどね」
それを言うなよルーシィ。
「もしかしたら六魔のアジトかもしれねぇし、それ以外の敵とかかもしれん。どちらにせよ、援軍とか余計な手出しされたら面倒だろ」
「うむ、確かにな」
「ま、お前らが俺がいないと残りの敵を倒せるかどうか不安だって言うなら残るが・・・・・?」
「んな訳ねぇだろ! つーか、俺1人でも余裕だっての‼」
ナツは自信満々にそう言うが、ルーシィとハッピーは若干不安なようである。
とはいえ、見過ごすことは出来ないだろう。
全員、疲労の色が濃い。
あと残り1人だと言うから、まだ何とか戦えるといった所だ。
「分かった。後の事は我々で如何にかする」
「おっさんの言う通りだ。こっちは俺達に任せろ!」
「OK」
ジュラとグレイ、それにナツも賛成したのでルーシィとハッピーも諦めたようだ。
「んじゃ、コッチは任せたぜ。調査が終わったら直ぐに戻って来る」
「へっ、その頃にはもう終わってるっての!」
ナツの減らず口を聞きながら、俺は空を飛び、空に浮く庭園を目指す。
かなり離れた位置にも拘らず、その存在を視認できるのだ。
あの城はかなり大きい。
いったい何なんだ、アレは?
◆◆◆
結構時間が掛かった。
何があるか分からない以上、あまり力を使いたくはないから温存しつつ飛んできたが、ようやくたどり着いた。
「パッと見城に見えたんだが、城って呼んでも良いのかコレは」
何かラスボスとかが居そうなダンジョンなんだが。
空に浮かぶ建築物とかな。
「てかこれ、上下逆じゃね?」
下の方に町らしき石造りっぽい建物とか遺跡のようなモノが見えるが、全部逆さまに向いている。
奇妙な造りだ。
・・・・・・まぁ、何でもいいか。
「こういう時、大体中心部の最上階にいるもんだよな、ボスキャラって」
取りあえずそこへ行ってみよう。
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