俺達は転生者というモノについてクリスに説明する。
地球という世界で死んだ者が、神様の力で別の世界へ生き返らせる現象。
転生というべきか転移というべきか迷うが、神様特典なんてモノを与えられて今までの自分とは全く違うモノになるんだから転生でもあってるのかもしれんが。
転生なんて話をそう簡単に信じる事など出来る筈も無いから、この事は俺達同類以外には喋らないこと等々。
話を最後まで聞いたクリスはコクリと頷き、
「すいません。分かりません」
誤魔化してるとかじゃ無く、ホントに分からないようだ。
「ですけど、たぶん私も皆さんと同じ、転生者というモノだと思います」
「分かるのか?」
「はい。初めて皆さんを見た時、何となく自分と同じ存在だと感じたので・・・・・・」
転生者は転生者を知覚する。
何の知識も無くても、その辺は分かってしまう様だ。
「自分の特典・・・・能力が何なのか分かるか?」
「その神様特典というモノかどうか分かりませんが、小さい頃からこういう魔法が使えますね」
言って、クリスがジャラァッと、その右手の指に5本の鎖を出現させた。
コレは・・・・アレか? ハンターのアレか。
「後は、気が高ぶって来ると力が上がったりします」
「ふむ」
俺は【解析‐アナリシス‐】でクリスの情報を解析する。
「それは【アルティメット化】だな」
「【アルティメット化】?」
「そ」
俺はチラッと悟空を視る。
悟空に思い当たる節があるようで「あー」と頷き、その様を見てルーチェとエリザベスも察した。
「もしかして孫御飯のアレ? 老界王神の潜在能力解放だったっけ?」
「そう、それ」
あの戦闘力が一気に上がるチートな。
「他にもあるぞ。『全適性適応力』・・・あらゆるモノに対する適性や才能を獲る」
「地味めね」
「まぁ、でも色んな分野に活かせれるから幅は広いんじゃない?」
「他には『女神の使徒の瞳』っつう超回復系能力」
「あー・・・・・」
思い当たる節があるのか、クリスが思い出す様に空を仰ぐ。
「昔、不思議な力でウェンディお姉ちゃんの怪我を治したことが有ります」
天空の滅竜魔法は自分の怪我は治せないんだっけか。
「後『完全無欠の模倣‐パーフェクトコピー‐』と『天帝の眼‐エンペラーアイ‐』」
「「バスケかッ!?」」
ルーチェとエリザベスが同時にツッコんだ。
気持ちは良く分かる。
「最後に『絶対時間‐エンペラータイム‐』」
「エンペラー繋がりか・・・・・」
何つーか、直接何かが起こせるような能力じゃ無いモノが多いな。
鎖が武器っちゃあ武器だが、それでも殴ったりするのがメインの攻撃手段だろう。
『完全無欠の模倣‐パーフェクトコピー‐』で技術は再現できても、俺の『完成‐ジ・エンド‐』のように能力まではコピー出来ないだろうし。
「私にそんな力があったんですね・・・・・・」
「今まで気づかなかったのか?」
「そうですね。昔から何か大抵のモノは一度見たら真似出来たり、周りの動きがよく見えたりしてましたが・・・・・」
まぁ、それが能力だとは気づきにくいものばかりだしな。
取りあえず、クリスに自分がどんな能力を持っているのかを教えておく。
それくらいは知っておいた方が良い。
クリスへの能力の説明が終わり、さぁそろそろウェンディとハッピーの捜索を再開しようとした頃。
「む?」
「お!?」
「コレは・・・・・!」
「何かヤバくない?」
「凄くデカい気配がします」
俺達の所に、7つの気配が近づいて来る。
この気配・・・・・・サーヴァントか?
だが、さっき俺等が倒した奴等とはレベルが違う。
アルトリア・ペンドラゴン並みにヤバい奴等がいるな。
「来るぞ‼」
悟空の声に、俺達は迎撃の体勢を取る。
ガサガサと木々を突き破り、7つの人影が俺達の前に躍り出た。
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