サーヴァント達を片付けたのはいいが、既に敵影は無く、撤退した後だ。
六魔にやられた一夜とジュラも合流し、一夜の痛み止めの【香り‐パルファム‐】でみんなの傷の痛みを和らげる。
ま、俺等転生者Sは無傷だが。
「アイツ等~~・・・ウェンディとハッピーを・・・・・・何処だァァァァァァァァァァァッ‼‼」
「落ち着けって」
連れ去られたウェンディとハッピーを探そうと駆け出すナツの、マフラーを掴んでグイッと後ろに引っ張る。
「んがッ!?」と間抜けな声を上げて、ナツは後頭部から地面に倒れる。
「何すんだよ!?」
「だから落ち着けってーの。闇雲に突っ込んだって、また返り討ちにあうだけだぞ」
「次は負けねぇっての‼」
ダメだ、人の話聞きやしねぇ。
「エルザ、しっかりして‼」
「そんな・・・私の痛み止めの【香り‐パルファム‐】が効かないなんて!?」
まず毒に苦しむエルザを如何にかするべきだな。
「ルーシィ退いてくれ。俺が治す」
「治すって・・・傷塞ぐだけじゃどうしようもないわよ」
・・・・・ああ、そういやルーシィに怪我治す所なんてハコベ山でマカオを治したとこしか見せてねぇもんな。
「大丈夫、解毒も出来る」
鮫島篤との戦いで完成させた毒の能力を使い、抗体を造り出せる。
それをエルザの身体に注入してやればいい。
エルザの体内にある毒を中和し、傷を治療していく。
「取りあえず、こんなもんか」
先程と比べて、顔色は大分良くなってきた。
「治ったの!?」
「ああ。つっても、流石に消費した体力まではどうしようもねぇから、しばらくは気絶したままだろうが」
ま、エルザならその内目を覚ますだろう。
「後は、攫われたウェンディとハッピーを救出して」
「ああ、六魔将軍をぶっ倒す‼」
さぁて、救出劇の始まりだ。
◆◆◆
「・・・・で、この面子か」
幾つかに纏まって行動する事になった俺達。
俺はエリザベス、ルーチェ、悟空、クリスの転生者達と共に行動している。
「その方が都合がいいんじゃない? 気兼ねなく話せるし」
「それもそうだ」
原作を知っているから、偶に余計な事を口走りそうになるからな。
「クリスはこっちの世界に来て長いのか?」
未だにあまり会話する事が無いクリスと親交を深めようと話しかける。
だが、クリスは俺の問いに首を傾げた。
「世界に来てって、どういう意味ですか?」
「あ? どういう意味って、そのままの意味だ。死んでどのくらい経つんだ?」
「・・・・・私死んでませんよ」
ん?と、俺達は顔を見合わせる。
「ちょっと待てクリス。お前、転生者じゃねぇのか?」
「転生者ってなんですか?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「「「「え?」」」」
クリスを除いた俺達転生者は、間抜けな声を出してしまった。
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