「まさか、俺以外の転生者に早々出会うとはな」
ルーチェ「それは私も同じよ。と言っても、私はこの世界に来てもう5年になるけど」
この女の名は、ルーチェ・クライン。
俺と同じ転生者だ。
本名は前野千代というらしいが、態々転生して別の世界にいるのに平凡な本名を名乗る理由はないとのことらしい。
・・・・・俺もそうすればよかったか?
ルーチェ「それで? アンタ、どこのギルドに入ったの?」
「フェアリーテイルだ」
言って俺は、右手の甲にあるギルドのマークを見せる。
それを視た瞬間、ルーチェはあからさまにバカにしたような顔で、鼻で笑った。
「んだよ、そのリアクションは?」
ルーチェ「だって、せっかく転生なんてレアな体験してるのに、そーんなテンプレ通りな事してるんだもの。そりゃ、笑いたくもなるわ」
「んじゃ、お前は何処のギルドに入ったんだ? この世界に来て、まさか魔導士ギルドに入ってない訳じゃないだろ?」
ルーチェ「当然! 私が入ったギルドはここよ‼」
バッとルーチェが、左腕の服の袖を捲くる。
そこにあるのは、
「ブルーペガサスか」
ルーチェ「そーよ」
「なんでブルーペガサスに?」
ルーチェ「そんなの決まってるじゃない」
首を傾げる俺に、ルーチェはドヤ顔で言い切る。
ルーチェ「ブルーペガサスがイケメン揃いだからよ! そして私は、私だけの逆ハーレムを作ってやるわ‼」
「・・・・・・・あ、そ」
なんともリアクションの取りづらいことを言い切った。
バカなのか、コイツ。
俺のそんな思考を察したのか、ルーチェは怪訝な顔をする。
ルーチェ「なによ、その顔?」
「いや、別に」
ルーチェ「・・・・アンタは何で、フェアリーテイルに入ったのよ?」
「何でか? ハッ、決まってんだろ、そんなこと」
一拍置いて、俺もコイツと同じ顔で言ってやる。
「一番美少女が多いからな。物語の本筋だし、一番フラグを建てる機会がある。俺は、俺だけのハーレムを作り、楽園を築く」
ルーチェ「・・・へぇ、私と同じって訳。けど、アンタじゃハーレムなんて無理よ」
「ああ? どういう意味だ? つーか、お前に言われたくはねーよ、お前に逆ハーレムなんてもんは無理だ」
ルーチェ「・・・なんですって? それこそアンタに言われたくないっての!」
ガンつけてくるルーチェに、俺も同じく睨み返してやる。
何でコイツに逆ハーレムが無理か?
決まってるだろう、そんなこと。
「美少女じゃないお前に逆ハーレムなんて出来る訳ねーだろうが‼」
ルーチェ「イケメンじゃないアンタにハーレムなんて出来る訳ないでしょうが‼」
祐一&ルーチェ「「うるせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼」
俺と同じことを言って、同じ返しをしやがった。
何だこれは、気持ち悪い。
「どうやら痛い目に遭いたいようだな」
ルーチェ「こっちの台詞よ」
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