FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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第5章 ニルヴァーナ
第68話 連合結成!


 

ハルジオンの一角に、最近オープンしたレストラン。

『8isLand』。

エイトアイランドと読むらしい。

 

「いらっしゃいませー、ご注文はお決まりですか?」

 

そんな声を出すウェイトレス姿のルーシィを一瞥し、俺は自分の仕事に戻る。

俺の仕事は料理だ。

このレストランは、シェフが魔法料理を作っているのだが、魔法料理を作れるコックが不足しているとのことで、俺がシェフの魔法料理を【完成‐ジ・エンド‐】させて厨房を手伝っているのだ。

 

「ユウイチ君、蒼天ミートソースとホーリーソーダと獣人カレー、それとルビーパフェだ」

「あいよー」

 

シェフから客のオーダーを受け取って調理を始める。

ちなみにこのレストランの店長であり、シェフでもあるのがこのヤジマさんだ。

元評議院で、俺も若い頃から大変世話になっているご老人で、ジジイの友人。

まぁ、世話になってた理由はもっぱらギルドがやらかした不祥事だが。

 

「ほい、蒼天ミートソースとホーリーソーダと獣人カレーとルビーパフェ、おまち」

 

しかしこの魔法料理ってのも意外と便利だな。

食べた人に色々な効果のある特殊状態を付与出来るんだから。

まぁ、ギルドでは出す訳にはいかないか、この店の客を取りかねないし。

そんな事を考えながら、俺は追加の料理を作り始める。

 

 

◆◆◆

 

 

そして夕暮れ時の閉店時間。

 

「いやぁ、お疲れさま。スっかし最近の若い子は働きモンだねぇ、またいつでも来なさいよ」

「はい、今日は勉強になりました」

「エルザ、気に入ってるんだ、その服・・・・・・」

 

もう仕事が終わったにも関わらず、まだ着てるものな、制服。

流石に慣れない仕事だったからグレイは疲れた様子で、ナツは満腹の様だ。

店のモン食い過ぎだコイツは。

賄いでもねぇのにタラフク食いやがって、ヤジマさんじゃなかったら即刻クビにされてんぞ。

 

「ところでヤジマさん、評議会の方はどうなりました?」

「ん~、ワスはもう引退スたからねぇ・・・・・・」

 

エルザとヤジマさんの会話に、ナツとグレイは「「評議会!?」」と驚いた。

知らなかったんかい。

 

「確か、ジェラールとウルティアの裏切りで評議会は解体。今は新生魔法評議会を立ち上げるべく、各方面に根回し中だったか」

 

以前俺がカルディア大聖堂をぶっ壊した時に集ったのは、あくまでもメンバーが揃ってない為の臨時の集いだったしな。

 

「君達にも本当に迷惑をかけたね、申ス訳ないよ」

「いえ・・・・・・ヤジマさんは最後までエーテリオン投下に反対されていたと聞きました。行動を恥じて引退など・・・・・・・」

「ワスには政治は向かんよ。やはり、料理人の方が楽スいわい!」

 

何も無い所でフライパンに乗ってる食材を炒めている。

火を使わなくても魔法で調理できるのは便利だよな。

 

「ところで、ナツ君、グレイ君」

 

ヤジマさんに声を掛けられ、2人はビクッとする。

ビビり過ぎだろ。

 

「これから評議院は新スくなる。ワスはもういない。フェアリーテイルを弁護スる者はいなくなる。その事を! よーく考えて行動スなさい‼」

「行動スます‼」

 

凄みを効かせるヤジマさんに、ナツとグレイは必死に頷き、ヤジマさんは満足そうに笑った。

 

 

◆◆◆

 

 

翌日の昼過ぎ。

 

「何ですか、コレ?」

 

ルーシィを始めとしたギルドのみんなが見上げるのは、空中に描かれた光の線だった。

光ペンというマジックアイテムを使ったモノだ。

 

「闇ギルドの組織図を描いてみたの」

「あ・・・・描いたの、オレ」

「改めてみると凄い数だな」

「どうしてまた?」

 

ミラの返答にリーダスが口を挟むが、エルザとルーシィに軽くスルーされた。

リーダスよ・・・・・・。

 

「近頃、動きが活性化してるみたいだからね。ギルド同士の連携を強固にしないといけないのよ」

「はぁ・・・・・・」

 

ルーシィは良く分かって無い感じだな。

 

「この大きい括りはなんだよ?」

「闇ギルドの最大勢力『バラム同盟』だ」

 

バラム同盟とは。

 

『六魔将軍‐オラシオンセイス‐』

『悪魔の心臓‐グリモアハート‐』

『冥府の門‐タルタロス‐』

 

この3つの闇ギルドから構成される、闇の最大勢力。

其々が幾つかの直属ギルドを持ち、闇の世界を動かしている。

ついでに言うと、バラム同盟とは無関係で独立している闇ギルドも存在している。

 

「あれ!? アイゼンヴァルトって・・・・・・」

「そうだ。あのエリゴールがいたギルドだ」

「あれはオラシオンセイスってギルドの傘下だったのか」

 

俺は特に戦ってない相手だったっけ?

 

「憶えのある名前が多いな」

「正規ギルドだった奴もあんじゃねぇか?」

 

ま、正規から闇に墜ちる事も間々あるからな。

 

「雷神衆が潰した『屍人の魂‐グールスピリット‐』もそうね」

「ジュビアもガジル君も、ファントム時代に幾つか潰したギルドが、全部オラシオンセイスの傘下でした」

「笑顔で言うな笑顔で・・・・・・」

 

呑気なことを言う俺等だったが、ルーシィは「うわ~どうしよう、怒ってなきゃいいけど」と震えていた。

それをワカバとマカオが笑い飛ばす。

 

「大丈夫だって、気にするこたぁねぇさ。コイツ等噂じゃ、たった6人しかいねぇらしいぜ」

「どんだけ小せぇギルドだっての」

「いや、逆だろ」

「ああ?」

「たった6人で、最大勢力の一角を担っている、だ」

 

少数精鋭という奴だろう。

 

「そのオラシオンセイスじゃがな・・・・・・ワシらが討つ事になった‼」

 

あ、ジジイが帰って来た。

ジジイの発言によって驚愕で硬直する皆だったが、ミラの「あ、お帰りなさいマスター」というあまりにもマイペースな言葉に、みんなズッコケた。

 

「定例会、いかがでした?」

「違うでしょ‼」

 

ルーシィのツッコミも様になって来たなぁ・・・・・・。

 

「マスター、一体どういう事ですか?」

「先日の定例会で、何やらオラシオンセイスが動きをみせてる事が議題に上がった。無視は出来んという事になり、何処かのギルドが奴等を叩くことになったのじゃ」

「またビンボークジ引いたな、じーさん」

「フェアリーテイルがその役目を?」

「いや・・・・・・今回ばかりは敵が強大過ぎる。ワシらだけで戦をしては、後々バラム同盟に此処だけが狙われることになる。そこでじゃ・・・・・・我々は連合を組むことになった!」

「「「「「連合ッ!!?」」」」」

 

『妖精の尻尾‐フェアリーテイル‐』

『青い天馬‐ブルーペガサス‐』

『蛇姫の鱗‐ラミアスケイル‐』

『四つ首の猟犬‐クワトロケルベロス‐』

『化猫の宿‐ケットシェルター‐』

 

「5つのギルドが各々メンバーを選出し、力を合わせて奴等を討つ‼」

「俺達だけで充分だろ‼ てか、俺1人で充分だ‼」

「馬鹿者! マスターは後後の事を考えてだな・・・・・・」

 

ナツの奴、話し聞いて無かったな。

 

「てか、ちょっと待ってよ・・・・・相手はたった6人なんでしょ? 何者なのよ、そいつら・・・・・・」

 

ま、普通に考えたら過剰戦力だがな。

それ程の相手という事だ。

 

「で、ジジイ、メンバーの選出は決めてんのか?」

「すでに考えてある」

 

確か原作だと、連合は4つでクワトロケルベロスは入ってなかったはずなんだがな。

何かしらの変更があったのか?

 

「フェアリーテイルから選出するのは5人じゃ。まず1人目は・・・・祐一、お前がフェアリーテイル代表じゃ、皆の指揮を取れ」

「あいよ」

「続いて、エルザ。お主が補佐じゃ」

「分かりました」

 

ま、聖十にS級魔導士の俺らが参加するのは妥当だろう。

 

「それから、ナツ、グレイ、お主らにも行ってもらう」

「おう!」

「へっ! 燃えてきたぞ‼」

「そして最後に・・・・・ルーシィ、お主じゃ」

「・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

ルーシィが間の抜けた声を出す。

うん、まぁ、言いたい事は分からんでもない。

これで5人か、原作通りだな。

ま、オマケでハッピーが付くから正確には5人と1匹だが。

 

「レッドはどうする、付いて来るか?」

「止めとくよ、何かヤベェ相手みたいだし」

 

ま、それが吉だな。

 

 

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